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新たなる始まり

第276話-魔法のルール-

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「えっ? そうなの?」
「はい。残念ながら」
「そ、そうなんだ……」

 内心少しがっかりしたものの、それを表に出すのいけない気がした。

「魔法って難しいんだね…。でもさっき会った時魔法が云々言ってなかった?」
「その説明も必要ですよね。簡単に言えば私やアリスさんの様な人は普通の魔法が使えないのです」

 その説明だけではざっくりし過ぎて理解できなかった。普通とは何か……? だから私は無言で相槌だけ打って話を聞くことに専念した。

「ざっくりと普通の魔法と呼ばれるものは火、風、土、水を手から出したりする様な事です。それと比べて普通ではない魔法とは何か。これが精霊魔法と呼ばれる様になりました」

 その説明をするユリィはどこか寂しげな目をしていた様に見える。

「精霊魔法とは特別な魔法です。例えばアリスさんは『時間』に関する魔法でしたよね。普通の人には使えません。精霊と呼ばれるその人だけにしか見えないものがいて使える様になります。そしてこの様な人を精霊憑きと呼びます。ただし、代わりに精霊憑きは普通の魔法は使えなくなります。これが私が魔法を使えない理由です」
「つまりユリィも精霊憑きってこと?」
「はい。貴方をこの世界に呼べたのも精霊憑きだからです」

 確かにアリスの様な魔法が誰でも使えたら世界は大混乱になってしまう。そうなっていないのはアリスのみが使える魔法だったからなんだろう。
 そして目の前にいるユリィも。
 そうなって来ると疑問に浮かんでくる事がある。

「そしたらユリィはどんな魔法が使えるの?」
「私に憑いている精霊は魂の精霊と呼ばれるそうです」
「魂……」
「昔私が時間が巻き戻るのを止めたいと思って助けを私の精霊に願いました。そして貴方はフランソワ様としてこの世界に来られました。ただ、正確に言うと私の魂の精霊が貴方の魂を呼んでフランソワ様にくっつけたのだと思います」
「そ、そんな感じだったんだ……。でも今回は私自身がこっちにきたのよね。これが成長的な?」
「多分ですけど……。魂に付随して貴方自身を呼べたのだと思います。そうでないとまた誰かと体を共有する様になってるはずなので」
「そっか。だったら嬉しいかも。たまたまとは言え私がまた呼んでもらえたし」

 偶然と言ってしまえば奇跡の様な確率だけど、私はまたこの世界に来れた。ある意味私の願いも叶ったわけだ。

「たまたまではありません。私がお願いしたのですから」
「私を呼んだ?」
「そうです」
「なんで私なんかを?」
「それが本題ですよね。何故私が貴方がこちらに来て欲しいと思ったのか……」
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