悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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Time can only move forward

第263話-もう一つのお願い-

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「今日までありがとうございました。私は貴方がいると甘えちゃいます。だから私の勝手ですが、このお願いを最後にさせて下さい」

 最後に私の我儘を言う。
 私だけのお友達。この存在がいる限り私は前に進めない。せっかく貰ったフランソワ様からの言葉も、いずれは忘れてしまうかもしれない。私は心が弱くて我儘ですから。

「私とさようならして下さい」

 私の言葉をかき消すかのように風が吹く。でも私の言葉は聞こえているはずだ。どんな小さな声で言っても聞き逃したことの無いお友達だから。

『ヒトノコタスケル。タスケラレナイ。イラナイ。ネガイナイ』
「いいえ。お願いならさっき言った通りです。今まで我儘ばっかり言ってしまってすみません。だけど、これが最後です」
『タスケル。ネガイキク。ヒトノコ。モドス。マキモドス。ソンザイイラナイ』

 だんだんとお友達の言葉が早くなってくる。私と同じ人間がこんな風になる時は焦っている時だと思う。

『アッアッア……。キエル。ノゾマナイ。アーーーーー。ゲーーーー。』

 まるで狂ったかのように無機質な声が私だけに鳴り響く。
 声だけじゃない、腕のような部分で頭を押さえて、次第には自分を傷付けるように暴れ出す。

「私をいつも心配してくれていました。ありがとうございました。だけど、今日で終わりです。最後に時間を戻す前に戻して下さい。そしてさようならです。また私が貴方に依存しないくらいに強くなれたらまたお友達になって下さい」
『ネガイカナエル。イラナイ。ネガイカナエル。イラナイ。ネガイカナエル。イラナイ』

 壊れてしまったかのように同じ言葉を繰り返す。はじめて見る姿に私は困惑と覚悟をした。最悪襲ってきたとしても、私にはどうする事も出来ない。あの大きな手で掴まれて、潰されるかもしれない。その覚悟をした。

「さぁ。お願いします。それが私のお願いです」
『アゴア#アガカナtwmマツソjpヤヤマ』

 もう言葉にならない。何を言っているのか理解できない。それでも悩んでいるのは分かる。それぐらいの時間は一緒に過ごしてきたつもりではある。

『……ネガイカナエル。イラナイ。キエル……サヨナ……ラ』

 そう言った瞬間に世界が回り出した。文字通り私の視界に映る景色が何重にも渦を描くように。
 この慣れた感覚も最後なのだと思うと色々と思い出す事がある。
 それでも今言わないといけない言葉は今までの思い出じゃない。私だけのお友達に対しての言葉。

「私の我儘でごめんなさい。また会えるように頑張ります。またその時までさようなら、ずっと私と一緒に居てくれた私だけのお友達」
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