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嵐の来訪者
第226話-勝てない存在-
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目の前で予想もしていない事が起こっている。
何かと言うと……アル=レイトが圧勝していた。
いや、実力を疑っていた訳じゃない。騎士学校のお手本生徒として、今後を期待されて今こっちよ学校に来ていたくらいだから舐めては居なかった。それでも、ここまでの結果は予想してなあえ。この学校の上から3番目の男を一方的にねじ伏せていた。
俺から現状を聞いたアルは一人の生徒に勝負を挑むと言った。
「この学校は実力が全てらしい。だからこの学校にいる今の時点で1番の実力者に勝てば僕は地位を確立して、ヤン達にも迷惑をかける事はない筈だ」
「勝算はあるんですかね? 負けちまえばそれこそ終わりだ。それなら向こうが解決するまでこっちは隠れてやり過ごせばいいんじゃね?」
「勝算は僕から見た彼の立ち振る舞いでしかないな。でも伊達にこの学校で過ごしていた訳じゃないよ。それに……」
「それに?」
「自分の主人と友達と仲間に被害が及んでいるなら、僕も動くべきだ。ヤンが僕の立場なら完膚なきまでに勝つために同じことをしてると思うよ」
仲が良いと言うのは知っていたけど、ここまで仲が良いと少し引いちまう。
そんでもって、ここまで過激な奴だとは思ってなかった。
「どうする? 見ていく?」
あの過激な行動の裏には自信があったのかも知れないが、相手はこの学校の上位だぞ。それに、同い年だけの話じゃない。全生徒合わせての上位だ。それがここまで一方的な試合になるなんて……。
アルは相手の攻撃を一撃も貰ってない。相手の攻撃を避けるのではなく、受け止めて、全て返していた。そして、気がつけば試合は終わっていた。
敗北宣言を相手が自分から告げても、観戦していた周りからは一言も声が上がらない。全員が唖然としている。
「この試合、僕の勝ちだ。ただ、良い試合だった。勉強になった。ありがとう」
勝利宣言を観戦者に聞こえるようにわざとらしく言って、相手に手を伸ばす。
そしてそこでようやく戸惑い混じりの歓声と拍手が響く。
ここからじゃ何を言っているかは分からないけど、アルは対戦した相手に何かを言ってこっちにやって来た。
「す、すげぇな」
「そうでもないよ。たまたま相性が良かっただけだと思うよ」
俺も一応は近衛騎士を目指した端くれだ、そんな言葉が嘘なのは分かってる。ここまで来ると謙虚さを超えて、嫌味にしか聞こえない。
「とりあえずはこれで大丈夫だね。上から下への命令があっても、現状この学校の生徒序列は1位は僕だし、うかつに変な事は出来ないだろう」
「そうだろうけどよ……。もし教師側にも相手の息が掛かってたらどうするよ?」
「その時は君に僕の言葉をヤンに伝えてもらって助けてもらうよ」
「そんなもんなのか?」
「疑い出したらキリがないからね。今分かってて対策出来る事だけしておくよ」
「そうか、やっぱあんたすげぇな」
こんなのを近衛騎士に従わせる位の大物に対して罠を仕掛けた自分が愚かに思えて来た。
「(そりゃ勝てねぇよアゴン坊ちゃんよ)」
思わず今の自分の雇い主に同情してしまう……。
何かと言うと……アル=レイトが圧勝していた。
いや、実力を疑っていた訳じゃない。騎士学校のお手本生徒として、今後を期待されて今こっちよ学校に来ていたくらいだから舐めては居なかった。それでも、ここまでの結果は予想してなあえ。この学校の上から3番目の男を一方的にねじ伏せていた。
俺から現状を聞いたアルは一人の生徒に勝負を挑むと言った。
「この学校は実力が全てらしい。だからこの学校にいる今の時点で1番の実力者に勝てば僕は地位を確立して、ヤン達にも迷惑をかける事はない筈だ」
「勝算はあるんですかね? 負けちまえばそれこそ終わりだ。それなら向こうが解決するまでこっちは隠れてやり過ごせばいいんじゃね?」
「勝算は僕から見た彼の立ち振る舞いでしかないな。でも伊達にこの学校で過ごしていた訳じゃないよ。それに……」
「それに?」
「自分の主人と友達と仲間に被害が及んでいるなら、僕も動くべきだ。ヤンが僕の立場なら完膚なきまでに勝つために同じことをしてると思うよ」
仲が良いと言うのは知っていたけど、ここまで仲が良いと少し引いちまう。
そんでもって、ここまで過激な奴だとは思ってなかった。
「どうする? 見ていく?」
あの過激な行動の裏には自信があったのかも知れないが、相手はこの学校の上位だぞ。それに、同い年だけの話じゃない。全生徒合わせての上位だ。それがここまで一方的な試合になるなんて……。
アルは相手の攻撃を一撃も貰ってない。相手の攻撃を避けるのではなく、受け止めて、全て返していた。そして、気がつけば試合は終わっていた。
敗北宣言を相手が自分から告げても、観戦していた周りからは一言も声が上がらない。全員が唖然としている。
「この試合、僕の勝ちだ。ただ、良い試合だった。勉強になった。ありがとう」
勝利宣言を観戦者に聞こえるようにわざとらしく言って、相手に手を伸ばす。
そしてそこでようやく戸惑い混じりの歓声と拍手が響く。
ここからじゃ何を言っているかは分からないけど、アルは対戦した相手に何かを言ってこっちにやって来た。
「す、すげぇな」
「そうでもないよ。たまたま相性が良かっただけだと思うよ」
俺も一応は近衛騎士を目指した端くれだ、そんな言葉が嘘なのは分かってる。ここまで来ると謙虚さを超えて、嫌味にしか聞こえない。
「とりあえずはこれで大丈夫だね。上から下への命令があっても、現状この学校の生徒序列は1位は僕だし、うかつに変な事は出来ないだろう」
「そうだろうけどよ……。もし教師側にも相手の息が掛かってたらどうするよ?」
「その時は君に僕の言葉をヤンに伝えてもらって助けてもらうよ」
「そんなもんなのか?」
「疑い出したらキリがないからね。今分かってて対策出来る事だけしておくよ」
「そうか、やっぱあんたすげぇな」
こんなのを近衛騎士に従わせる位の大物に対して罠を仕掛けた自分が愚かに思えて来た。
「(そりゃ勝てねぇよアゴン坊ちゃんよ)」
思わず今の自分の雇い主に同情してしまう……。
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