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嵐の来訪者
第214話-近衛騎士として-
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「何を言っている? 返すだの何だのと失礼なやつだ。邪魔だどいてもらおうか」
不機嫌そうな声のままでウェルズが話す。少しずつ肩にある手に入る力が強くなっている様に思える。
「当然の事だろ。あんたがうちのお嬢を捕まえてんだろ。まぁ、俺との待遇は違うみたいだがな。よくもあんな狭い所に監禁してくれたな」
「全く……訳の分からない事を言っているな。フランソワ様は自らの意志でここにいる。家同士のつながりもあるんだ。まぁ君には分からないだろうけどな」
「言ってくれるじゃねぇか。口が減らねぇな。そしたらそれをお嬢から聞きてぇな」
ウェルズが私にだけ聞こえる距離で囁く。
「フランソワ様……この際ですから言ってやってください。『近衛騎士はウェルズにする』と。次の交流会で宣言されるか、今宣言されるかの違いですよ」
逃がさないと言わんばかりに肩をしっかりと掴まれる。
ここでヤンに助けを求める事は出来る。だけど、それじゃ駄目だ。ヤン以外の誰かに被害が行くかも知れない。
「ほら……早く」
固唾を飲んでしまう。手が震える。両手を強く握りしめる。
「お嬢!」
ヤンが私を呼んだ。
「心配すんな。もう人質はいねぇ。言いたい事を言え」
だけど、まだ人質はヤンだけじゃない。
「お嬢の大好きなオーランがそいつの隠れてる仲間を止めてるはずだ。アルも問題ねぇ」
オーラン。なんでその名前がヤンから出てくるのか分からない。だけど、ヤンの言う事が本当なら……。
「俺を信じろよ」
そうだ。彼は誰だ、彼の言葉を私が信じなくて誰が信じるんだ。
「助けてヤン! 私の近衛騎士でしょ!」
「勿論だ。だってよお山の大将さん。うちのお嬢返して貰おうか」
身体を無理やり捻ってウェルズの手から逃げ出してヤンの方へ逃げる。短い距離が見た目以上の長さに感じる。
「フランソワ様!」
今度はウェルズが私を呼び止めた。
「本当にその選択で宜しいのですね」
「勿論よ」
ウェルズに今までの鬱憤を返す様に最大限の恨みを言葉に乗せてやった。そのままヤンの方に向かっていく。
「ありがとうヤン!」
「悪いな。危険な目に合わせちまった」
「私は大丈夫。聞きたい事が山程あるけど、まずは今からどうするかよね」
「無論、やられた分はやり返す。あいつが二度とお嬢に手を出せない様にさせてもらうぜ」
不機嫌そうな声のままでウェルズが話す。少しずつ肩にある手に入る力が強くなっている様に思える。
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「全く……訳の分からない事を言っているな。フランソワ様は自らの意志でここにいる。家同士のつながりもあるんだ。まぁ君には分からないだろうけどな」
「言ってくれるじゃねぇか。口が減らねぇな。そしたらそれをお嬢から聞きてぇな」
ウェルズが私にだけ聞こえる距離で囁く。
「フランソワ様……この際ですから言ってやってください。『近衛騎士はウェルズにする』と。次の交流会で宣言されるか、今宣言されるかの違いですよ」
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ここでヤンに助けを求める事は出来る。だけど、それじゃ駄目だ。ヤン以外の誰かに被害が行くかも知れない。
「ほら……早く」
固唾を飲んでしまう。手が震える。両手を強く握りしめる。
「お嬢!」
ヤンが私を呼んだ。
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だけど、まだ人質はヤンだけじゃない。
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オーラン。なんでその名前がヤンから出てくるのか分からない。だけど、ヤンの言う事が本当なら……。
「俺を信じろよ」
そうだ。彼は誰だ、彼の言葉を私が信じなくて誰が信じるんだ。
「助けてヤン! 私の近衛騎士でしょ!」
「勿論だ。だってよお山の大将さん。うちのお嬢返して貰おうか」
身体を無理やり捻ってウェルズの手から逃げ出してヤンの方へ逃げる。短い距離が見た目以上の長さに感じる。
「フランソワ様!」
今度はウェルズが私を呼び止めた。
「本当にその選択で宜しいのですね」
「勿論よ」
ウェルズに今までの鬱憤を返す様に最大限の恨みを言葉に乗せてやった。そのままヤンの方に向かっていく。
「ありがとうヤン!」
「悪いな。危険な目に合わせちまった」
「私は大丈夫。聞きたい事が山程あるけど、まずは今からどうするかよね」
「無論、やられた分はやり返す。あいつが二度とお嬢に手を出せない様にさせてもらうぜ」
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