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嵐の来訪者
第201話-実力主義の学校-
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「どうです? こっちの生活には慣れましたか?」
そう聞いてくれるのはこの学校で世話役を任されているドヤングだ。
他校からの交換留学で来た自分に対する心遣いはこの学校で右も左も分からない今の身にはありがたい。
こちらの学校は元いた学校とはかなり違う。それは生徒の雰囲気、校風と上げれば当然キリはない。
だからこそ、刺激があり、勉強にもなる。
「完全にとは行かないね。まだまだ学ぶこともあって驚きもあるくらいだから」
なにぶん驚いたのはこの学校における優劣の付け方だ。
この学校では成績が最も重要視されている。特に模擬試合などは授業外でも行われていて、教師陣もあまり口を出さないのが習わしらしい。
もちろん元の学校でも試合などはあったが、こちらとは空気が違う。
「この学校をまとめていたのが、同い年の……えっと……ウェルズさんだったかな。凄いね。かなりの実力があったんだろうね」
「そうですねぇ。ウェルズさんは実力と名声兼ね備えていましたからね」
会ったことはないが、かなりの実力者であることは聞いている限り間違いなさそうだ。多分、存在感はあっちの方でも存分に溢れているのだろう。
「でも残念だ。こっちから二人来るなら僕も友達を誘えば良かったよ。彼はこっちも好きそうだし」
「へぇ、珍しい人もいるもんですね」
「彼はどっちかと言うとこっち側の方が合いそうな気がするよ」
ヤンならなんとなくこちらの方が元気にしてそうな気がする。どこか短絡的なとこがあるのが、ヤンの悪い癖だ。
「ウェルズさんの次に強い人も行ってるんだってね。それで君が三番目に強いんだってね」
「いやいや、自分なんかはたまたまですよ。上の二人が圧倒的ですから」
笑いながら謙遜しているが、彼のここでの周りからの接され方を見るに実力は本物なのだろう。そんな彼が一個下なのだから驚きだ。
年齢で全てが決まるわけではないけど、一年と言うのは小さい様で大きな時間の差でもある。
「それでも、君も一個下だけどその位置にいるなら凄いことだと思う。普通は上級生が上に居そうだしね」
「まぁ、そこはここの良いところですよ。自分みたいな新入りにもチャンスがあるんですから」
ここでは野良試合は当たり前だ。現にさっきも傍らでは行われていた。勝者は力を誇示でき、敗者は立場が悪くなる。
内心、騎士としてはあまり綺麗ではないとは思うが、これも多様性の一つ、勉強にはなる。
野良試合は基本的に断れないと言うのも特徴だった。確かに、戦いがいつ起こるものか分からないと言う点では、ある意味実戦形式なのだろう。
「僕も挑戦してみようかな」
「やめといた方がいいですよ。留学中だけなのに、しんどくて、辛いだけですよ。大丈夫、自分の横にいれば、招待客としてウェルズさんの息がかかって、力量なんか関係なく、ここで自由にできますから」
なんだかそれはそれで寂しいと思うのは僕自身がここでの実力を知りたいと内心思っているからなのかも知れない。
留学中と言う事もあって、怪我でもされたら問題があるのかも知れない。
「そうか。そしたら授業で試合があるのを期待しておくよ」
ヤン、ユリさんやフランソワ様への土産話を作るためにもここで学ぶ事はたくさんある。
そう言えば皆んなは元気にしているだろうか。ヤンはちゃんとユリさんの先輩としての立ち振る舞いが出来ているか、フランソワ様は持ち前の元気さでバテていないだろうか、心配にはなるけど、それは帰ってから話を聞けばいい。
鐘を叩く音がする。昼休みが終わって午後からの講義が始まりを告げた。
そう聞いてくれるのはこの学校で世話役を任されているドヤングだ。
他校からの交換留学で来た自分に対する心遣いはこの学校で右も左も分からない今の身にはありがたい。
こちらの学校は元いた学校とはかなり違う。それは生徒の雰囲気、校風と上げれば当然キリはない。
だからこそ、刺激があり、勉強にもなる。
「完全にとは行かないね。まだまだ学ぶこともあって驚きもあるくらいだから」
なにぶん驚いたのはこの学校における優劣の付け方だ。
この学校では成績が最も重要視されている。特に模擬試合などは授業外でも行われていて、教師陣もあまり口を出さないのが習わしらしい。
もちろん元の学校でも試合などはあったが、こちらとは空気が違う。
「この学校をまとめていたのが、同い年の……えっと……ウェルズさんだったかな。凄いね。かなりの実力があったんだろうね」
「そうですねぇ。ウェルズさんは実力と名声兼ね備えていましたからね」
会ったことはないが、かなりの実力者であることは聞いている限り間違いなさそうだ。多分、存在感はあっちの方でも存分に溢れているのだろう。
「でも残念だ。こっちから二人来るなら僕も友達を誘えば良かったよ。彼はこっちも好きそうだし」
「へぇ、珍しい人もいるもんですね」
「彼はどっちかと言うとこっち側の方が合いそうな気がするよ」
ヤンならなんとなくこちらの方が元気にしてそうな気がする。どこか短絡的なとこがあるのが、ヤンの悪い癖だ。
「ウェルズさんの次に強い人も行ってるんだってね。それで君が三番目に強いんだってね」
「いやいや、自分なんかはたまたまですよ。上の二人が圧倒的ですから」
笑いながら謙遜しているが、彼のここでの周りからの接され方を見るに実力は本物なのだろう。そんな彼が一個下なのだから驚きだ。
年齢で全てが決まるわけではないけど、一年と言うのは小さい様で大きな時間の差でもある。
「それでも、君も一個下だけどその位置にいるなら凄いことだと思う。普通は上級生が上に居そうだしね」
「まぁ、そこはここの良いところですよ。自分みたいな新入りにもチャンスがあるんですから」
ここでは野良試合は当たり前だ。現にさっきも傍らでは行われていた。勝者は力を誇示でき、敗者は立場が悪くなる。
内心、騎士としてはあまり綺麗ではないとは思うが、これも多様性の一つ、勉強にはなる。
野良試合は基本的に断れないと言うのも特徴だった。確かに、戦いがいつ起こるものか分からないと言う点では、ある意味実戦形式なのだろう。
「僕も挑戦してみようかな」
「やめといた方がいいですよ。留学中だけなのに、しんどくて、辛いだけですよ。大丈夫、自分の横にいれば、招待客としてウェルズさんの息がかかって、力量なんか関係なく、ここで自由にできますから」
なんだかそれはそれで寂しいと思うのは僕自身がここでの実力を知りたいと内心思っているからなのかも知れない。
留学中と言う事もあって、怪我でもされたら問題があるのかも知れない。
「そうか。そしたら授業で試合があるのを期待しておくよ」
ヤン、ユリさんやフランソワ様への土産話を作るためにもここで学ぶ事はたくさんある。
そう言えば皆んなは元気にしているだろうか。ヤンはちゃんとユリさんの先輩としての立ち振る舞いが出来ているか、フランソワ様は持ち前の元気さでバテていないだろうか、心配にはなるけど、それは帰ってから話を聞けばいい。
鐘を叩く音がする。昼休みが終わって午後からの講義が始まりを告げた。
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