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騎士と派閥と学園生活と

第154話-私達の参謀-

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「って事があったのよ。なんか疲れちゃった」
「それは大変でした」
「でも流石はフランソワ様です。人気者ですね」

 ユリィの労いの言葉とアリスの嬉しそうな言葉を聞くと私の疲労もどこかへ飛んでいった様な気がした。
 昨日この時間を共有出来なかっただけなのにすごく懐かしい気がする。それだけこの時間は私にとって日常の一部になっていた。

「それでね、アンに相談があるの」
「私にですか?」

 話を振られるとは思っていなかったのか突然の言葉に少し戸惑った様子を見せた。

「別に対した事じゃないの。もし、分かればの話だから」
「私の知識でお役に立つのならいくらでも!」

 戸惑った表情も一瞬の内に吹き飛んでいって、目を輝かせながらグイグイとこっちにやってくる。

「その派閥に関する事でね。アンは詳しそうだったし聞いてみたかったのよ」
「派閥についてですか……。あまり詳しくはありませんが私の知っている範囲内でお話させて頂きますわね」
「自意識過剰かも知れないんだけど、どうして私に総長も、昨日の二人も声を掛けてきたのかなと思ってね」

 私はこの学院の事をあまり知らない。だから私の知っている中でも一番詳しそうなアンに白羽の矢を立てた。噂好きな彼女なら色々な事を知っていると思ったから。

「自意識過剰なんてとんでもないですわ。フランソワ様は贔屓目をしなくても、今後の注目生徒ですから当然です」
「色々噂になってるのは身に染みてるけど、そこまでの事かしら?」
「えぇ、それほどのことです」

 真剣な眼差しで私に力強く頷くアンが頼もしく見える。

「そしたら昨日のエルンさんとジェフさんは言わなかったけど、総長と同じで私を勧誘しに来たって言う事で良かったの?」

 私の言葉にアンが押し黙った。回答に悩んでいる様子ではない。何かを言おうとして、口を閉じるのを繰り返す。ただ、言葉を選んでいる様にも見える。

「アンの言葉でいいの。はっきり言って欲しいわ」
「いえ、違うんです。私の知識と言うよりかは、私の意見と言った方が正しくて、間違いだったらと思うと躊躇ってしまいまして」
「それでもいいわ。仮に間違っていても責めたりもしない。約束する」
「それでは……私の考えでは、恐らくそのつもりはなかったかと」
「言葉通りで勧誘の意図はなかったって事ね」
「はい、ただ入って貰えるのならそれに越した事は無いと言ったところでしょうか」

 あわよくばと言った所だろうか。確かにそうすれば二人のどちらかは総長選挙で有利になる。

「ただし、御二人は本当の所としては入らなくてもいい、ただ、総長側に着くのだけは避けたかったのではないでしょうか」

 私の相談相手は少し不安そうな表情を浮かべながらそう言った。
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