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騎士と派閥と学園生活と
第133.5話 幕間-ヤンの帰郷-
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「フロストの怪我もだいぶ治ってんじゃねーか」
「あぁ、なんとかな。しかし、いきなり帰ってきてどうした? 騎士学校を退学させられたか?」
「んなわけねーよ。ただ護衛仕事で帰ってきたから顔出してやったんだろ」
「別に顔見たくもなかったけどな」
お嬢の護衛が始まるよりも早く俺は街へ入って下層に顔を出していた。
あの事件から時間が経ってはいたがフロストも正当防衛ということで拘束もほとんどなく、帰ってきている。
「護衛っていうとあの嬢ちゃんか?」
「あぁ。相変わらずてんやわんやなお嬢だわな」
「自由気ままな奴が飼い慣らされちまったな」
「飼われてはいるけど自由にやってるさ」
近衛騎士と言っても堅苦しくないようにはさせてもらってる。そこは感謝だ。俺にアルみたいに堅苦しいのは合わないからな。
「そりゃ良かったな。いい嬢ちゃんなんだ。ちゃんと守ってやれよ」
「お前がそんなこと言うとは思わなかったな。お嬢ってお前の好みだったのか?」
フロストの言葉に驚いた。こいつのお嬢への評価がここまで高いとは。
「んなわけないだろ。俺は年上のねーちゃんが好きなんだよ。あの嬢ちゃんの事は認めてるさ。俺だけじゃない、あの事件に関わった人間も、んでもって事件の話を聞いた下層の人間もそうだと思うぜ」
「なんだそりゃ。いつの間にそんな有名人になったんだよ」
「おの嬢ちゃんがいなけりゃ下層は戻ってなかったからな。それをあの嬢ちゃんが走り回ってアルを巻き込んで、お前を助けた。それに乗じて俺たちがキース一派と戦って勝った」
「間違いないけどな。なんか美化されすぎじゃねーか?」
「本当のことだろ。俺たちはほんとに感謝してる。俺たちが感謝したところで嬢ちゃんには何も渡せないけどな」
「お嬢がその言葉を聞いたら喜ぶだろうな。ただ、否定はしそうだがな。『たまたま上手く行っただけ、むしろ自分のためにやった』ってよ」
そんなセリフを慌てながら言ってる姿が思い浮かぶ。
「そう言う謙虚なとこがいいんじゃねーかね。だからあの嬢ちゃんを悪く言う奴なんてここにはいねぇ。むしろ、なんか困ってるなら助けに行くくらいの気持ちが下層の人間にはあるぐらいには人気者だ。お前よりも少なくとも人気者だろうよ」
「俺の人気なんてねぇだろうよ」
こんな他愛ない話ができるのも確かにお嬢のお陰だ。馴染みの奴らと馴染みの汚い建物でまた会えるのは1番落ち着く。
「それじゃ俺はそろそろ護衛にいくわ。じゃあな」
「あぁ」
フロストに別れを告げて建物を出た、影が多くて湿気くさい。
「ヤン、ちょっと待て」
出口で俺を呼び止めたのはヴァリだった。
「なんか用事か?」
「あぁ。あいつら見覚えあるか?」
外に指差した先にいたのは数人の男達だった。
「いや、ないな。ってかお前が見覚えないなら俺にもあるはずないだろ」
「だろうな」
「って事は下層の住人以外ってことか。またキースみたいな奴らか?」
嫌な予感がした。また下層に外から出入りし始めた奴らがキース一派みたいなやつらなら危険でしかない。
「分からん。俺が声をかけてみる。」
「なら俺も一緒に行く」
「いいのか? 用事があるんだろ?」
「呼び止めといて今更そんなこと言うなよ。何もなければそのまま仕事に戻るさ」
俺とヴァリは建物を出て、見たことのない奴らの元へと武器に手をかけながら近づいていく。
「あぁ、なんとかな。しかし、いきなり帰ってきてどうした? 騎士学校を退学させられたか?」
「んなわけねーよ。ただ護衛仕事で帰ってきたから顔出してやったんだろ」
「別に顔見たくもなかったけどな」
お嬢の護衛が始まるよりも早く俺は街へ入って下層に顔を出していた。
あの事件から時間が経ってはいたがフロストも正当防衛ということで拘束もほとんどなく、帰ってきている。
「護衛っていうとあの嬢ちゃんか?」
「あぁ。相変わらずてんやわんやなお嬢だわな」
「自由気ままな奴が飼い慣らされちまったな」
「飼われてはいるけど自由にやってるさ」
近衛騎士と言っても堅苦しくないようにはさせてもらってる。そこは感謝だ。俺にアルみたいに堅苦しいのは合わないからな。
「そりゃ良かったな。いい嬢ちゃんなんだ。ちゃんと守ってやれよ」
「お前がそんなこと言うとは思わなかったな。お嬢ってお前の好みだったのか?」
フロストの言葉に驚いた。こいつのお嬢への評価がここまで高いとは。
「んなわけないだろ。俺は年上のねーちゃんが好きなんだよ。あの嬢ちゃんの事は認めてるさ。俺だけじゃない、あの事件に関わった人間も、んでもって事件の話を聞いた下層の人間もそうだと思うぜ」
「なんだそりゃ。いつの間にそんな有名人になったんだよ」
「おの嬢ちゃんがいなけりゃ下層は戻ってなかったからな。それをあの嬢ちゃんが走り回ってアルを巻き込んで、お前を助けた。それに乗じて俺たちがキース一派と戦って勝った」
「間違いないけどな。なんか美化されすぎじゃねーか?」
「本当のことだろ。俺たちはほんとに感謝してる。俺たちが感謝したところで嬢ちゃんには何も渡せないけどな」
「お嬢がその言葉を聞いたら喜ぶだろうな。ただ、否定はしそうだがな。『たまたま上手く行っただけ、むしろ自分のためにやった』ってよ」
そんなセリフを慌てながら言ってる姿が思い浮かぶ。
「そう言う謙虚なとこがいいんじゃねーかね。だからあの嬢ちゃんを悪く言う奴なんてここにはいねぇ。むしろ、なんか困ってるなら助けに行くくらいの気持ちが下層の人間にはあるぐらいには人気者だ。お前よりも少なくとも人気者だろうよ」
「俺の人気なんてねぇだろうよ」
こんな他愛ない話ができるのも確かにお嬢のお陰だ。馴染みの奴らと馴染みの汚い建物でまた会えるのは1番落ち着く。
「それじゃ俺はそろそろ護衛にいくわ。じゃあな」
「あぁ」
フロストに別れを告げて建物を出た、影が多くて湿気くさい。
「ヤン、ちょっと待て」
出口で俺を呼び止めたのはヴァリだった。
「なんか用事か?」
「あぁ。あいつら見覚えあるか?」
外に指差した先にいたのは数人の男達だった。
「いや、ないな。ってかお前が見覚えないなら俺にもあるはずないだろ」
「だろうな」
「って事は下層の住人以外ってことか。またキースみたいな奴らか?」
嫌な予感がした。また下層に外から出入りし始めた奴らがキース一派みたいなやつらなら危険でしかない。
「分からん。俺が声をかけてみる。」
「なら俺も一緒に行く」
「いいのか? 用事があるんだろ?」
「呼び止めといて今更そんなこと言うなよ。何もなければそのまま仕事に戻るさ」
俺とヴァリは建物を出て、見たことのない奴らの元へと武器に手をかけながら近づいていく。
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