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騎士と派閥と学園生活と
第129話-リーダーは誰に-
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「あのー少しよろしいでしょうか?」
手を上げながら控えめな声で質問の声を上げたのはマルズ君だ。
視線の先は私に向けられている。
「えっ? 私? 何々?」
「近衛騎士を複数名抱えていると言う話を今お聞きしまして、非常に驚いたのですが、その中で1つ疑問が思い浮かんでしまいまして」
「答えられることなら答えるわよ。それでどうしたの?」
「近衛騎士の中でのリーダーなどはどうされているのかなと、後学のためにもお聞きしたくて」
その質問に私をはじめとした、この話の中心にいる他の3人が「あっ」と揃えて声に出した。
「ハハハ……。考えてなかったなー。みんなは?」
正直に答えて他の3人はどうかと目線を送る。
全員が首を横に振った。
そりゃそうだよね。ヤンとアルはともかく、ユリなんて今日2人に会ったんだし。
いや、まぁ、私と同じタイミングで同じ反応した時点で察してはいたけどさ。
私も私でそこまで考えてなかった。確かにまとまりを作るのなら名前だけでも役割を決めておかないといざと言う時動けない。私の失態だ。
「いいところに気付いてくれたわね。ありがとう。私もそこまで至ってなかったわ」
「す、すみません。わざわざ指摘する様なことを言ってしまって」
「貴方は悪くないからそんなこと言わないでいいのよ。そう言うところに気づいて疑問を持つこと、そして、それをちゃんと口に出して聞けることはとても素晴らしいことなんだから」
「あ、ありがとうございます」
深々と頭を下げるマルズ君。彼は少し真面目すぎて、謙虚すぎる気がする。もっと自信を持って欲しいと思っての言葉だったけれど、少なくとも今は言葉の真意に気付いてはもらえなかった。
「そうね。言う通りだし、リーダーは決めとかないとね。立候補する人は?」
反応したのは1人、ヤンだった。だけどその手の先はアルに向けられている。
「んなもんアルに決まってんだろ。ユリでも良いけど本人からしたらやりづらいだろうしな」
「言わんとしてる事は分かるだけどさ……。でも今私が言ったのは立候補だからね」
「その次は推薦だろ。なら先に言ってもいいだろ。結局誰も立候補してないし」
言う通りではあるんだけど、何とも言えない気持ちになる。
「僕は逆にヤンがいいと思うよ。判断力もある、柔軟さもある。何より、君が最初の近衛騎士だ」
「その5分もしない後にお前もなってんだから誤差だよ誤差」
「君がやらないならユリさんはどうだろう。フランソワ様と同じ女性だからこそ、的確な判断が出来るとも思うんだ」
「いえ、私なんて滅相もない。お二方のどちらかが良いかと」
「こりゃダメだな。決まらないやつだ」
ヤンの言うようにこのままだと多分決まらない。学生時代のクラスの委員長決めと同じだ。大体その役割を元々持ってる人で決まったりするけど、今回は元々の役割なんてない。だから延々と推薦と言う形で展開されて行くのが目に浮かぶ。
「それであればフランソワ様に決めて頂くのはどうでしょうか」
「そうだな、そりゃいい、って事だお嬢」
「ユリさんの案に僕も賛成です」
そうなるよねー。想像はしてたけどさ。
でも想像してたからこそ私も返しは用意している。私が決めたところで本当に納得してくれるかは分からない。だからこそ、本人達3人に決めてほしい。
「なら私の一声で一斉にリーダーに相応しいと思う人を指差す事! いくわよ!」
「いきなり過ぎんだろ」
反論の声はスルーして掛け声を出す。
いや、多分答えは見えている。おそらく、私もリーダーはその人がするべきだと思ってる。
「いっーせーのーで!!」
手を上げながら控えめな声で質問の声を上げたのはマルズ君だ。
視線の先は私に向けられている。
「えっ? 私? 何々?」
「近衛騎士を複数名抱えていると言う話を今お聞きしまして、非常に驚いたのですが、その中で1つ疑問が思い浮かんでしまいまして」
「答えられることなら答えるわよ。それでどうしたの?」
「近衛騎士の中でのリーダーなどはどうされているのかなと、後学のためにもお聞きしたくて」
その質問に私をはじめとした、この話の中心にいる他の3人が「あっ」と揃えて声に出した。
「ハハハ……。考えてなかったなー。みんなは?」
正直に答えて他の3人はどうかと目線を送る。
全員が首を横に振った。
そりゃそうだよね。ヤンとアルはともかく、ユリなんて今日2人に会ったんだし。
いや、まぁ、私と同じタイミングで同じ反応した時点で察してはいたけどさ。
私も私でそこまで考えてなかった。確かにまとまりを作るのなら名前だけでも役割を決めておかないといざと言う時動けない。私の失態だ。
「いいところに気付いてくれたわね。ありがとう。私もそこまで至ってなかったわ」
「す、すみません。わざわざ指摘する様なことを言ってしまって」
「貴方は悪くないからそんなこと言わないでいいのよ。そう言うところに気づいて疑問を持つこと、そして、それをちゃんと口に出して聞けることはとても素晴らしいことなんだから」
「あ、ありがとうございます」
深々と頭を下げるマルズ君。彼は少し真面目すぎて、謙虚すぎる気がする。もっと自信を持って欲しいと思っての言葉だったけれど、少なくとも今は言葉の真意に気付いてはもらえなかった。
「そうね。言う通りだし、リーダーは決めとかないとね。立候補する人は?」
反応したのは1人、ヤンだった。だけどその手の先はアルに向けられている。
「んなもんアルに決まってんだろ。ユリでも良いけど本人からしたらやりづらいだろうしな」
「言わんとしてる事は分かるだけどさ……。でも今私が言ったのは立候補だからね」
「その次は推薦だろ。なら先に言ってもいいだろ。結局誰も立候補してないし」
言う通りではあるんだけど、何とも言えない気持ちになる。
「僕は逆にヤンがいいと思うよ。判断力もある、柔軟さもある。何より、君が最初の近衛騎士だ」
「その5分もしない後にお前もなってんだから誤差だよ誤差」
「君がやらないならユリさんはどうだろう。フランソワ様と同じ女性だからこそ、的確な判断が出来るとも思うんだ」
「いえ、私なんて滅相もない。お二方のどちらかが良いかと」
「こりゃダメだな。決まらないやつだ」
ヤンの言うようにこのままだと多分決まらない。学生時代のクラスの委員長決めと同じだ。大体その役割を元々持ってる人で決まったりするけど、今回は元々の役割なんてない。だから延々と推薦と言う形で展開されて行くのが目に浮かぶ。
「それであればフランソワ様に決めて頂くのはどうでしょうか」
「そうだな、そりゃいい、って事だお嬢」
「ユリさんの案に僕も賛成です」
そうなるよねー。想像はしてたけどさ。
でも想像してたからこそ私も返しは用意している。私が決めたところで本当に納得してくれるかは分からない。だからこそ、本人達3人に決めてほしい。
「なら私の一声で一斉にリーダーに相応しいと思う人を指差す事! いくわよ!」
「いきなり過ぎんだろ」
反論の声はスルーして掛け声を出す。
いや、多分答えは見えている。おそらく、私もリーダーはその人がするべきだと思ってる。
「いっーせーのーで!!」
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