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ガルド城の秘密
第72話-月の輝く時-
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目が覚める。窓の外はまだ真っ暗だ。
何故目が覚めたか自分の喉を触って気づく。喉がカラカラだ。身体が水を欲していた。
部屋の中に用意してある水差しへとベッドから静かに降りて向かう。
水差しの中には何もなかった。思い出してみると寝る前に今日の事を思い出して考えを回らせているとやたらと喉が乾いて水を飲んだ事を思い出す。
「仕方ない…貰いに行こう」
眠気で動かしたくない身体を動かすために言い聞かせるように呟いた。
水差しを持ったまま両親を起こさないように静かに動いて、ドアもそっと開けて外に出る。
廊下は所々明かりがついていて道に困ることは無さそうだ。
誰もいない廊下は音もなくただ不気味とも思えた。
どこに行けば水が貰えるのかわからないけど、とりあえず玄関ホールに向かう事にした。玄関ホールに行けば誰かいるだろうし、それまでに人に会えばその人に聞けば良い。
歩いていると前から見知った人が歩いて来た。
ルシアさんの旦那さんだ。
「こんばんは。どうしたんですかこんなとこで?」
「あぁ、ちょっと無理を言ってテラスから空を見てたんだ。そっちこそどうした?」
「水がなくなちゃって」
手に持った水差しを見せる。
「そう言えば好きだって言ってましたもんね星」
「この時期は星と月が綺麗に見える時期でな。俺の密かな楽しみなんだ」
「そうなんですね。初めて知りました」
「幼少学校でも旧暦年紀は習わないって聞くしな」
「きゅう……こよみねんき?」
初めて聞いた言葉だった。旧って言うぐらいだから旧暦とかって意味だと思うけど、何を示すかは分からなかった。
「言ったろこの時期は星と月が綺麗に見える時期だって。アルガド歴が始まる前、この時期は「夜海」って呼ばれててな。1番月が輝く時だって言われてたんだ。月が輝いて星も輝く。綺麗だと思うだろ」
熱心に私に夜空のことを語ってくれる。
星は輝くのは分かるけど月は自分で輝いている訳じゃない。あくまで太陽の光を反射して光っているように見えるだけ。
そう言っても信じてもらえないだろうし、もしかしたはこの世界の月は自分で輝いていて、星と同じものなのかもしれない。だから私は何も言わずに旦那さんの話に首を縦に振った。
「そうだ。『月の奇跡』って言う言葉を聞いたことありませんか?」
藁にもすがる思いで聞いてみる。
もしかしたら私とユリの知らない言葉で夜空にまつわる言葉かも知れないと思ったからだ。
旦那さんは顎に手を当てて考える仕草でうねっている。
「いや、聞いたことないな」
「そうですか……」
「ただ、良い言葉だな。神秘的だ」
少し恥ずかしそうに言う旦那さん。
「そろそろ部屋戻るわ。またあいつの相手してやってくれ」
照れ隠しなのか、旦那さんは忙しなくその場から離れて行った。
ギャップもあってなんだかとっても可愛く見えた。
何故目が覚めたか自分の喉を触って気づく。喉がカラカラだ。身体が水を欲していた。
部屋の中に用意してある水差しへとベッドから静かに降りて向かう。
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「仕方ない…貰いに行こう」
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水差しを持ったまま両親を起こさないように静かに動いて、ドアもそっと開けて外に出る。
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誰もいない廊下は音もなくただ不気味とも思えた。
どこに行けば水が貰えるのかわからないけど、とりあえず玄関ホールに向かう事にした。玄関ホールに行けば誰かいるだろうし、それまでに人に会えばその人に聞けば良い。
歩いていると前から見知った人が歩いて来た。
ルシアさんの旦那さんだ。
「こんばんは。どうしたんですかこんなとこで?」
「あぁ、ちょっと無理を言ってテラスから空を見てたんだ。そっちこそどうした?」
「水がなくなちゃって」
手に持った水差しを見せる。
「そう言えば好きだって言ってましたもんね星」
「この時期は星と月が綺麗に見える時期でな。俺の密かな楽しみなんだ」
「そうなんですね。初めて知りました」
「幼少学校でも旧暦年紀は習わないって聞くしな」
「きゅう……こよみねんき?」
初めて聞いた言葉だった。旧って言うぐらいだから旧暦とかって意味だと思うけど、何を示すかは分からなかった。
「言ったろこの時期は星と月が綺麗に見える時期だって。アルガド歴が始まる前、この時期は「夜海」って呼ばれててな。1番月が輝く時だって言われてたんだ。月が輝いて星も輝く。綺麗だと思うだろ」
熱心に私に夜空のことを語ってくれる。
星は輝くのは分かるけど月は自分で輝いている訳じゃない。あくまで太陽の光を反射して光っているように見えるだけ。
そう言っても信じてもらえないだろうし、もしかしたはこの世界の月は自分で輝いていて、星と同じものなのかもしれない。だから私は何も言わずに旦那さんの話に首を縦に振った。
「そうだ。『月の奇跡』って言う言葉を聞いたことありませんか?」
藁にもすがる思いで聞いてみる。
もしかしたら私とユリの知らない言葉で夜空にまつわる言葉かも知れないと思ったからだ。
旦那さんは顎に手を当てて考える仕草でうねっている。
「いや、聞いたことないな」
「そうですか……」
「ただ、良い言葉だな。神秘的だ」
少し恥ずかしそうに言う旦那さん。
「そろそろ部屋戻るわ。またあいつの相手してやってくれ」
照れ隠しなのか、旦那さんは忙しなくその場から離れて行った。
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