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ガルド城の秘密

第54話-パーティーの始まり-

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「ご機嫌ようソボール公。娘さんも大きくなられましたね」

 このパーティーが始まっての短い時間で既に聞き飽きたセリフにテンプレのお礼を言いながら私は早くもこのパーティーに飽きだしていた。
 これは確かにフランソワが行きたがらないのも納得だ。なんだかとても窮屈だ。料理は美味しいし、飲み物も美味しい。部屋の中は明るく華やかだ。でも子どもにとっては苦痛の時間だ。
 あいさつだけ聞くとそこからは大人どうしの世間話になる。そこは子どもの入る幕ではない。私はたまに振られる学院での感想を言うだけの存在でしか無かった。
 開始から約1時間程が経とうとしていた。目まぐるしく代わる代わるにやってくる挨拶の波に疲れが出てきた時に会場の雰囲気が変わった。
 話し声は次第に小さくなっていき、みんなの目線は部屋の先にある少し高い所に設置してある舞台へと集まっていく。
 それはソボール家領主も例外ではなく、父も母も前を見て話をやめていた。
 声の波が収まると舞台に2人組みが姿を現した。
 目を引くのは大きな体にしっかりとした太い腕、腰には剣をぶら下げている。
 傍らに居るのはかなり高齢と思われる男性、白の立派な髭が顎から首元へと伸びている。髪もしっかりと生えそろっていて、髭のイメージが与える程の年齢でもないように見える。それでも高齢だと思ってしまうのは顔のしわ、そして片手に持つ杖のせいだ。

「皆の者楽しんでおるかな。今宵は祭りの初夜である。参加者同士で親交を深めて今後の発展の糧として貰いたい。儂が長く話すのもあまり退屈であろう、今の言葉をあいさつとさせてもらう。それでは続きを楽しんでもらおう」

 拡声器を使っての挨拶はユニークなもので聴き入っていた参加者の笑いも誘いつつも早々に終わらせた。

「毎年ガルド公は見た目は変わらないなぁ」

 フランソワ父の言葉から察するに今の挨拶をした人がここの城主で、このパーティーの主催らしい。
 たしかに堂々とした出で立ちといい、ただならぬ雰囲気があった。城主だと言われたら納得する。
 あいさつが終わると、さっきまでの雰囲気と活気が戻ってきた。

「初めましてソボール公。ご挨拶に参りました。一介のちんけな商人兼領主ではありますが、どうか以後お見知り置きをお願い致します」

 丁寧な言葉の中に豪快さのある声。バレルさんがいた。

「早速挨拶しにきてみたよ。フランソワ嬢」
「フランソワの知り合いだったのかい。こちらこそ娘がお世話になっているみたいで」
「いやいや。パーティーの始まる前に玄関先で少し話しただけでね。それでも何かの縁だと思って挨拶に来ましてね」

 そして短い間お互いの生業と挨拶だけしてバレルさんはそのまままた会場の参加者へと挨拶回りに行ってしまった。
 フランソワ父も嫌な感情は持たなかったようでバレルさんとは明日以降商売の話もしたいと言っていた。良かったねバレルさん。
 その後もひっきりなしに挨拶に来る人は途絶えないら。フランソワ母も横で挨拶に忙しそうだ。
 逆に私は疲れ果てて外の空気を吸ってくると両親に伝えて外のテラスへと向かった。
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