悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
上 下
74 / 431
ガルド城の秘密

第48話-いざ。フランソワの実家へ-

しおりを挟む
 馬車に揺られながら半日。窓から見える景色は街、野原、山と様々な景色を私に見せてくれた。
 見たことのない景色は私に半日の馬車旅に退屈も与えずに彩ってくれる。

「お嬢様もうすぐ着きますよ」

 アレンの言葉に前を見ると巨大な屋敷の塀が見えてくる。周りに建物もなく、唯一そびえ立つその屋敷は圧倒的な存在感を放っている。

「あれかぁ。やっぱすごいなぁ」

 思わず心の声が口から出てしまう。今住んでる所も充分にでかいけど、それ以上に大きい。改めてソボール家の凄さを思い知った。
 そんなことを思ってるのも束の間で、豪邸の前に馬車が止まる。アレンが門に備え付けてある大きな鈴を鳴らすと門の横の建物から1人のメイドが出てきた。
 ホリナより年は上と思われるメイド。窓から覗き込む私と目が合った。

「お嬢様おかえりなさいませ。すぐに門を開けますのでお待ちを」

 頭を深々と下げて門を開けてくれる。
 馬車はそのまま屋敷の塀の中に入っていく。
 お金持ちの家にありがちな門と屋敷の間にある噴水の横を抜けて屋敷の前で私は馬車から降りる。

「私は馬車小屋にいますので用があれば呼んでください」

 そう言ってアレンはそのまま来た道を戻っていく。
 屋敷の扉が開いた。開いた先にはいかにも執事と言った細身の妙齢の男性がいる。彼がドアを開いてくれたのか。

「ありがとうございます」

 私を一瞬驚くような目で見てそのまま頭を下げるように表情を隠された。
 今の一瞬私は見逃さなかったからね。めっちゃびっくりしてたわこの執事。

「おかえりなさい、雰囲気が変わりましたわねフランソワ。帰ってくるなら先に手紙を出してくれれば良かったのに」

 嬉しそうに不満を私にぶつけてくる髪の長い女性。あぁ、間違いないこの人はフランソワのお母さんだ。鏡で見た自分と口元なんかそっくりだ。

「昨日家からの手紙を見ましたので。家を思い出して寂しくなって帰ってきてしまいました」
「学園生活は人をも変えてしまうのね。そんな事を言うと思っても見なかったわ。大人になったと言うことかしら」

 なるほどなー。この反応を見るにフランソワは家のことがあんまり好きじゃなかったように見える。
 人それぞれ悩みはあるもんだしね。家、両親が裕福でも悩みはあることだってあるわよね。

「立ち話は疲れるでしょう。早く上がりなさいな。お茶にしましょう。お父様にも声を掛けてあるからすぐに来ると思うわ」
「えぇ。私もたくさんお話ししたいことがございますので」

 そのまま屋敷の中に入る。玄関とは思えない広さの間取りに改めて驚きつつもフランソワ母の後をついて行く。
 廊下には飾られた壺や花がただの廊下を賑わせている。
 それでも豪華な花じゃない。どこにでも咲いていそうなよくある花。学院の周りでも見たような気がする。
 廊下に飾られた絵は風景を写したものが多い。特に山や民家の集まった村や町が映し出された絵は青空のイメージも相まって爽快さを醸し出す。

 「お父様が来るまで座っておきなさい。話はお父様が来てからにしましょう。同じ話をするのも疲れるでしょうから」

 部屋に入ると豪華の装飾のついた椅子に座って今から来るフランソワの父を待つことになった。
 対面で優雅に運ばれてきたお茶を飲む母を見て私は違和感を覚えながらも、それを解消できずにいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

処理中です...