恋喰らい

葉月キツネ

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彼女の秘密

時一刻と

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「次は法寺駅、法寺駅。右側のドアが開きますのでご注意ください」

 アナウンスとともに電車のドアが開き、一番にホームに降り立ち改札まで階段を駆け上る、電車の中で駅までに使った体力はいくらか戻っていた。

「会いたい。どうしても」

 電車の中でも思っていたのはそれだけだった。
 改札を抜け駅の南出口を出るとそこは車の行きかう道路道であった。

「どこに行けばいいんだ・・」

 あたりを見回してもあるのは商業施設と大きな道路と駐車場、住宅街というものはなく、ただ立ち尽くすしかなかった。
 反対側の出口へ回ってみるが景色はあまり変わらなかったが、小さなベンチを見付けた。

「(あそこからなら改札も見えるしあそこで待ってみよう・・これじゃあまるでストーカーだな)」

 心の中で苦笑する。
 冷たい風が体を吹き抜けていく分ヒートしていた頭が回ってくる。

「(なぜ無謀にもここに来たのか、なにが自分をそこまで駆り立てるのか、不思議で仕方ない・・)」

 気づくと電車を降りた時間から時計の長針が半周していた。
 そう思った瞬間一気に体が冷えた気がした、思わずくしゃみが出てしまう。ベンチの近くを歩いていた子どもがくしゃみに驚き母親の陰に隠れてしまい申し訳ない気持ちになる。

 ごめんね・・と言いながら子どもに手を振る傍らにきれいな髪の持ち主を見つけた。
 彼女だ。間違いなく前園奏だった。一目散に彼女の素へ駈け出す。

「ま、前園さん!」
「川上さん・・どうしてここに・・」

 彼女の驚いた顔はとてもかわいらしかった、彼女が驚くのは同然だ、普通いるはずのない自分がここにいる。まさしくストーカーである。怒られるなら後でいくらでも怒られる、今は彼女に聞きたいことがある、だがなかなか名前以外の言葉が出てこず戸惑う、しかし、そんなしどろもどろの自分の言葉をさえぎったのは彼女だった。

「約束の事・・ですよね。ごめんなさい」

 彼女が顔を俯けながら発した言葉。

「あっちにね公園があるの、そこまでいいかな。そこで少し話を聞いてほしいの。」

 彼女の申し出に首を縦に振る選択肢以外はなかった。
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