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山賊さん居たー!
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「良い町だったねー。」
「ねー。」
千春は外を眺めながら頼子と話しているとロイロが話しかける。
『チハル、誰かやり合っておるぞ。』
「やぁ~ね~喧嘩?」
『殺し合いじゃなぁ。』
「げ、マジで?」
ロイロは街道の先を見ながら千春に問いかける。
『おせっかい焼くか?』
「やぁ~ねぇ~・・・やくに決まってるじゃん♪」
『じゃろうなぁ~♪』
ロイロはそう言うと軽く吠える、するとドラゴン達は編成を変える。
『アイリス、あの大きな木がある先じゃ。』
「了解です。」
アイリスが答えるとアベリアはアイリスを乗せたまま速度を上げる、その後ろをレフト、ヒスイ、フローラが追尾するように飛んで行った。
『ライ、少し距離を空けて飛ぶぞ。』
「はい。」
ゴンドラを運ぶロイロとライトは高度を落としながらも速度を変えず進んでいく、すると大きな炎が街道に立ち上る。
「うおぉう、派手にやってんねー。」
『威嚇じゃ、誰にもあたっておらぬ。』
「そりゃアレ当てたら消し炭だよぉ~。」
直ぐに千春の耳にも喧騒が聞こえる、そして兵士と思われる者達は倒れた者達を引きずりながら距離を開ける。
「・・・あ!味方だって言わないと!」
「だよねぇ、急にドラゴンが襲って来ただけにしか見えないよねぇ。」
千春が言うと頼子も呑気に窓からドラゴン達を見て呟く。
「ロイローあの兵士さん達の所まで飛んでー。」
『了解じゃー。』
ロイロはアイリスを乗せたアベリアの上を通り過ぎると兵士達の前にゆっくり降りる。
「すみませーん!味方でーす!」
「なんだ!?」
「隊長!ドラゴンの持つ荷から人が!」
「何者だ!」
騒めく兵士達、隊長と言われた男は剣を手にするとロイロの前に出る。
「お手伝いのつもりで降りて来たんですけど・・・。」
千春はそう言うと後ろを見る、倒れた兵士も居るが、盗賊と思われる者達はほぼ全滅していた。
「ビェリー、まだ居るか?」
「そこの林に2人隠れとるねー。」
「・・・アレか。」
ルプは気配を探るとゴンドラから飛び降りる。
「コン、ビェリー。」
「右やるばーい。」
「お手伝いしまーす。」
「俺は左のだ。」
そう言うとルプ、ビェリー、コンは戦闘モードで林へ飛び込む。
「フェ!?フェンリル?!」
「大蛇が!」
「あの狐、尾が沢山あったぞ!?」
兵士達は急に現れた魔物と勘違いし、ルプ達を見て怯える。
「あ、あの子達ペットなんで。」
「こ・・・このドラゴンは!?」
「ペットです。」
ニコッと笑い答える千春。
「チハル様。」
「アイリスさんおつかれさまー。」
「殺さず捕獲しましたが、既に死んでいる者も居ました。」
「兵士さん達は?」
「まだ、なんとか。」
「生きてるならどうにかなるよ、ヨリ!みんな呼んで!」
「おっけー!皆出番だよー!」
「まかせろーい!」
「兵士さん!重傷者優先で集めてください!」
「カノン、こういう時ってなんて言うんだっけ?」
「トリアージかな?赤、黄、緑、黒で分けるんだよ。」
久々の聖女軍団で張り切るJK達。
「ユラもがんばる!」
「私も出来る事が有れば!」
「イーナもがんばるです!」
「・・・仕方ないわねぇ~。」
おこちゃまズがやる気を出し、それを見ていたアルデアはクスクス笑いながらゴンドラから降りる。
「ヒーラーなのか!?」
「皆聖女なんで回復任せてください♪」
「・・・はぁ?」
「いいから怪我人の所へ、アルデア!重傷者の所行こう!」
「はいはい、イーナ、ユラ達は軽傷の所へ、無理はさせちゃダメよ?」
「ハイなのです!」
皆はそれぞれ手分けをしながら怪我人を治していく。
「ヒール!」
「こっち重症!」
「チハルー!盗賊の方はどうすんのー!?」
「魔力余ったら動ける程度に回復するから放置でー!」
「りょー!」
聖女軍団は兵士達を回復し、ついでとばかりに死にそうな盗賊をいくらか回復して回った。
-------------------
「ぷはぁあ!うめぇ!」
「やっぱ世界樹の水は凄いね。」
「MPポーションなんてまずくて飲めないもん。」
「ねー、最初飲んだ時何これってなったもん。」
皆は世界樹の泉水を飲みながら休憩する。
「聖女様、有難うございます。」
隊長と言われていた男は聖女軍団の前に来ると膝を突きお礼を述べる。
「いえいえ、でも沢山居ましたねぇ。」
山賊と言われていた盗賊達は縛られ路肩に転がされ呻いている。
「まだ本隊と思われる者達は捕えておりません。」
「あら、まだ居るの?こんなに居るのに?」
20人ほどの盗賊達を見ながら千春が呟く、そしてその奥に転がる数人の動かぬ盗賊達も目に入る。
「チハル。」
「おかえりルプ・・・げぇ!?」
「ボスを捕まえて来たぞ。」
縄で簀巻き状態までされた男3人を背中に乗せたルプは男達を放り投げる。
「こっちもばーい。」
「沢山いましたー!」
同じ様に簀巻きにされた男達、総勢10人の男達をポイポイと放り投げるルプ達。
「よく見つけたね。」
「2人ほど隠れているヤツが居たからな、食うぞと脅かしたら案内してくれた。」
「簡単やったばい、洞穴ばアジトにしとったけん。」
「僕が狐火沢山投げたら出てきました♪」
楽し気に話すペット達。
「だそうです、この人がボスらしいです。」
ルプが投げた男を指差す千春、そして隊長を見ると顎が外れたのかと言う程口を開き止まっていた。
「隊長さーん?」
「はっ!?」
気を取り直した隊長は兵士に指示すると男達を捕え並べる。
「この盗賊さんどうするんです?」
「この場で首を切りますが?」
「・・・え?」
「この者達はこの場で首を・・・。」
「えぇぇ。」
「聖女様、プロステル王国の法では当たり前ですが・・・どちらからお越しに?」
「別の大陸からです。」
「そうですか。」
「えっと、温情的な物無いんです?」
「ありません。」
キッパリと言い切る隊長。
「回復してあげた人も居るのになぁ。」
余った魔力と言いながらもしっかり回復させた千春は盗賊達を見る。
「隊長さーん、鉱山で強制労働とかお約束ないんです?」
「それは街で窃盗を行った者等の犯罪者の罰です。」
「おぉぅふ・・・厳しいなプロステル王国。」
青空が思わず呟くと美桜と麗奈が青空に言う。
「ジブラロールもスリとか腕切られるからね。」
「マ!?」
「マ。」
「犯罪に厳しい世界だぁ・・・。」
「犯罪者の命軽いよね、この世界。」
しみじみと話ながら青空は盗賊達を見る。
「隊長さーん、兵士さん達を回復したお礼って事でこの人達に温情ダメですか?」
大愛はダメ元で隊長に言うと、隊長はしばらく考え頷く。
「分かりました、聖女様達はこれからどちらへ?」
「プロステル王国に遊びに行く予定です。」
「あ・・・遊びですか?」
「はい♪」
「チハル、石工ギルド・・・。」
「あ・・・まぁそれは置いといてぇ♪」
「それでは王都までお送り致しましょう。」
「ココからどれくらいですか?」
「この馬車で3時間程で御座います。」
「あ、大丈夫です、ドラゴンで行きますので。」
「お!お待ちください!」
焦る隊長は千春を止める。
「馬車で3時間乗れるお尻して無いんですよ・・・。」
「痛いよねぇお尻。」
「アレを3時間・・・拷問じゃん。」
「せめてジブラロールの最新馬車ならねぇ。」
馬車に乗るのを嫌がるJK軍団は隊長を見る。
「入国の手続き等も有りますので!」
「コレじゃダメです?」
千春はルジイタ領主から貰ったペンダントを見せる。
「これは・・・港町ルジイタのフィンコ卿の?」
「はい、入国の時に見せたらおっけーって言われたんで。」
「しかし!是非にとも国王陛下にもご挨拶させて頂ければと!」
「へ?国王陛下がご挨拶するの?」
「あの瀕死の者達を回復出来る者は聖女しかありえません!ランスルーセン教の聖女と言われたシュリン様でも無理で御座います。」
「あ~例の聖女さんかぁ。」
「ランスルーセン教の本当の聖女としてお迎えさせて頂き、是非にとも国王陛下とお話を!」
「あ、そう言うのは要らないです、私達別の神様の聖女なんで。」
「・・・な?!」
「あ、これ言ったらヤバかった?」
思わず千春はサフィーナを見る、サフィーナはニコッと微笑む。
「問題有りませんよ、本当の事ですから。」
平然と答えるサフィーナ。
「べ・・・べつの・・・神・・・?!」
「はい、あ、今も多分覗き見してるんで変な事言わない方が良いですよ?」
「今・・・見ている!?」
「はい、間違いなく。」
「そ・・・そんな・・・ありえない。」
「呼びましょうか?」
『呼んだ?』
「いや、まだ名前すら呼んでないよ!?」
『呼ぶでしょ?』
「めんどくさいから呼ぼうかな~とは思ったよ?」
『それじゃ同じじゃない♪』
アイトネは千春と楽し気に会話すると、隊長を見る。
『この子に無礼な事するならプロステル消しちゃうわよ♪』
「・・・。」
隊長はガクガクと足を震わせ両ひざを突き四つ這いになると頭を下げる。
「ご・・・御慈悲を・・・もう・・・申し訳ございません・・・。」
『あら、イイ子ね、本気で謝ってるわ♪』
「もうー、アイトネやりすぎー。」
『でも早く済んだでしょ?』
「まぁね、ありがと♪」
『何か有ったらまた来るわ~♪』
プルプルと手を振り消えるアイトネ、そして放置された隊長に千春が声を掛ける。
「あのぉ、そう言う事なんで、王都行っても良いです?」
「はいぃ!」
「チハル・・・ビビり散らかしてるじゃん(ボソッ)」
耳元で囁く頼子。
「王様には会った方が良い感じなんですか?」
千春はビビり散らかす隊長に声を掛けると、ヘドバン並みに首を振る隊長。
「しゃーない、お父様から手紙預かってるし王城いきますかねぇ~。」
「お・・・おと・・・おとうさま?」
「はい、ジブラロール王国国王陛下です、あ、私チハル・アル・ジブラロールって言います。」
「お!王女ででででででんか!?」
「はい~♪」
隊長は考える事を止めたのか動かなくなった。
「・・・千春、いこっか。」
「そだね。」
「コレどうするの?」
「兵士さん達が連れてくっしょ。」
動かない隊長を放置し皆はゴンドラに乗り込む。
「ロイロー、王城へれっつらごー!」
『はっはっは!城の前で炎でも吐くかぁ~?』
「それはやめてあげて~。」
ロイロは笑いながら翼を広げ羽ばたくと大きく吠える、するとレフト、ライト、そしてアベリアまでが大きく吠えた。
「吠えたねー。」
「威嚇だろ、手出したら怖いぞ~ってな。」
クックックと笑うルプが答える、そして横で一部始終を見ていた1人の獣人が呟く。
「こ・・・怖ぁぁ。」
ファーノは改めて千春達に呟いた。
「ねー。」
千春は外を眺めながら頼子と話しているとロイロが話しかける。
『チハル、誰かやり合っておるぞ。』
「やぁ~ね~喧嘩?」
『殺し合いじゃなぁ。』
「げ、マジで?」
ロイロは街道の先を見ながら千春に問いかける。
『おせっかい焼くか?』
「やぁ~ねぇ~・・・やくに決まってるじゃん♪」
『じゃろうなぁ~♪』
ロイロはそう言うと軽く吠える、するとドラゴン達は編成を変える。
『アイリス、あの大きな木がある先じゃ。』
「了解です。」
アイリスが答えるとアベリアはアイリスを乗せたまま速度を上げる、その後ろをレフト、ヒスイ、フローラが追尾するように飛んで行った。
『ライ、少し距離を空けて飛ぶぞ。』
「はい。」
ゴンドラを運ぶロイロとライトは高度を落としながらも速度を変えず進んでいく、すると大きな炎が街道に立ち上る。
「うおぉう、派手にやってんねー。」
『威嚇じゃ、誰にもあたっておらぬ。』
「そりゃアレ当てたら消し炭だよぉ~。」
直ぐに千春の耳にも喧騒が聞こえる、そして兵士と思われる者達は倒れた者達を引きずりながら距離を開ける。
「・・・あ!味方だって言わないと!」
「だよねぇ、急にドラゴンが襲って来ただけにしか見えないよねぇ。」
千春が言うと頼子も呑気に窓からドラゴン達を見て呟く。
「ロイローあの兵士さん達の所まで飛んでー。」
『了解じゃー。』
ロイロはアイリスを乗せたアベリアの上を通り過ぎると兵士達の前にゆっくり降りる。
「すみませーん!味方でーす!」
「なんだ!?」
「隊長!ドラゴンの持つ荷から人が!」
「何者だ!」
騒めく兵士達、隊長と言われた男は剣を手にするとロイロの前に出る。
「お手伝いのつもりで降りて来たんですけど・・・。」
千春はそう言うと後ろを見る、倒れた兵士も居るが、盗賊と思われる者達はほぼ全滅していた。
「ビェリー、まだ居るか?」
「そこの林に2人隠れとるねー。」
「・・・アレか。」
ルプは気配を探るとゴンドラから飛び降りる。
「コン、ビェリー。」
「右やるばーい。」
「お手伝いしまーす。」
「俺は左のだ。」
そう言うとルプ、ビェリー、コンは戦闘モードで林へ飛び込む。
「フェ!?フェンリル?!」
「大蛇が!」
「あの狐、尾が沢山あったぞ!?」
兵士達は急に現れた魔物と勘違いし、ルプ達を見て怯える。
「あ、あの子達ペットなんで。」
「こ・・・このドラゴンは!?」
「ペットです。」
ニコッと笑い答える千春。
「チハル様。」
「アイリスさんおつかれさまー。」
「殺さず捕獲しましたが、既に死んでいる者も居ました。」
「兵士さん達は?」
「まだ、なんとか。」
「生きてるならどうにかなるよ、ヨリ!みんな呼んで!」
「おっけー!皆出番だよー!」
「まかせろーい!」
「兵士さん!重傷者優先で集めてください!」
「カノン、こういう時ってなんて言うんだっけ?」
「トリアージかな?赤、黄、緑、黒で分けるんだよ。」
久々の聖女軍団で張り切るJK達。
「ユラもがんばる!」
「私も出来る事が有れば!」
「イーナもがんばるです!」
「・・・仕方ないわねぇ~。」
おこちゃまズがやる気を出し、それを見ていたアルデアはクスクス笑いながらゴンドラから降りる。
「ヒーラーなのか!?」
「皆聖女なんで回復任せてください♪」
「・・・はぁ?」
「いいから怪我人の所へ、アルデア!重傷者の所行こう!」
「はいはい、イーナ、ユラ達は軽傷の所へ、無理はさせちゃダメよ?」
「ハイなのです!」
皆はそれぞれ手分けをしながら怪我人を治していく。
「ヒール!」
「こっち重症!」
「チハルー!盗賊の方はどうすんのー!?」
「魔力余ったら動ける程度に回復するから放置でー!」
「りょー!」
聖女軍団は兵士達を回復し、ついでとばかりに死にそうな盗賊をいくらか回復して回った。
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「ぷはぁあ!うめぇ!」
「やっぱ世界樹の水は凄いね。」
「MPポーションなんてまずくて飲めないもん。」
「ねー、最初飲んだ時何これってなったもん。」
皆は世界樹の泉水を飲みながら休憩する。
「聖女様、有難うございます。」
隊長と言われていた男は聖女軍団の前に来ると膝を突きお礼を述べる。
「いえいえ、でも沢山居ましたねぇ。」
山賊と言われていた盗賊達は縛られ路肩に転がされ呻いている。
「まだ本隊と思われる者達は捕えておりません。」
「あら、まだ居るの?こんなに居るのに?」
20人ほどの盗賊達を見ながら千春が呟く、そしてその奥に転がる数人の動かぬ盗賊達も目に入る。
「チハル。」
「おかえりルプ・・・げぇ!?」
「ボスを捕まえて来たぞ。」
縄で簀巻き状態までされた男3人を背中に乗せたルプは男達を放り投げる。
「こっちもばーい。」
「沢山いましたー!」
同じ様に簀巻きにされた男達、総勢10人の男達をポイポイと放り投げるルプ達。
「よく見つけたね。」
「2人ほど隠れているヤツが居たからな、食うぞと脅かしたら案内してくれた。」
「簡単やったばい、洞穴ばアジトにしとったけん。」
「僕が狐火沢山投げたら出てきました♪」
楽し気に話すペット達。
「だそうです、この人がボスらしいです。」
ルプが投げた男を指差す千春、そして隊長を見ると顎が外れたのかと言う程口を開き止まっていた。
「隊長さーん?」
「はっ!?」
気を取り直した隊長は兵士に指示すると男達を捕え並べる。
「この盗賊さんどうするんです?」
「この場で首を切りますが?」
「・・・え?」
「この者達はこの場で首を・・・。」
「えぇぇ。」
「聖女様、プロステル王国の法では当たり前ですが・・・どちらからお越しに?」
「別の大陸からです。」
「そうですか。」
「えっと、温情的な物無いんです?」
「ありません。」
キッパリと言い切る隊長。
「回復してあげた人も居るのになぁ。」
余った魔力と言いながらもしっかり回復させた千春は盗賊達を見る。
「隊長さーん、鉱山で強制労働とかお約束ないんです?」
「それは街で窃盗を行った者等の犯罪者の罰です。」
「おぉぅふ・・・厳しいなプロステル王国。」
青空が思わず呟くと美桜と麗奈が青空に言う。
「ジブラロールもスリとか腕切られるからね。」
「マ!?」
「マ。」
「犯罪に厳しい世界だぁ・・・。」
「犯罪者の命軽いよね、この世界。」
しみじみと話ながら青空は盗賊達を見る。
「隊長さーん、兵士さん達を回復したお礼って事でこの人達に温情ダメですか?」
大愛はダメ元で隊長に言うと、隊長はしばらく考え頷く。
「分かりました、聖女様達はこれからどちらへ?」
「プロステル王国に遊びに行く予定です。」
「あ・・・遊びですか?」
「はい♪」
「チハル、石工ギルド・・・。」
「あ・・・まぁそれは置いといてぇ♪」
「それでは王都までお送り致しましょう。」
「ココからどれくらいですか?」
「この馬車で3時間程で御座います。」
「あ、大丈夫です、ドラゴンで行きますので。」
「お!お待ちください!」
焦る隊長は千春を止める。
「馬車で3時間乗れるお尻して無いんですよ・・・。」
「痛いよねぇお尻。」
「アレを3時間・・・拷問じゃん。」
「せめてジブラロールの最新馬車ならねぇ。」
馬車に乗るのを嫌がるJK軍団は隊長を見る。
「入国の手続き等も有りますので!」
「コレじゃダメです?」
千春はルジイタ領主から貰ったペンダントを見せる。
「これは・・・港町ルジイタのフィンコ卿の?」
「はい、入国の時に見せたらおっけーって言われたんで。」
「しかし!是非にとも国王陛下にもご挨拶させて頂ければと!」
「へ?国王陛下がご挨拶するの?」
「あの瀕死の者達を回復出来る者は聖女しかありえません!ランスルーセン教の聖女と言われたシュリン様でも無理で御座います。」
「あ~例の聖女さんかぁ。」
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「あ、そう言うのは要らないです、私達別の神様の聖女なんで。」
「・・・な?!」
「あ、これ言ったらヤバかった?」
思わず千春はサフィーナを見る、サフィーナはニコッと微笑む。
「問題有りませんよ、本当の事ですから。」
平然と答えるサフィーナ。
「べ・・・べつの・・・神・・・?!」
「はい、あ、今も多分覗き見してるんで変な事言わない方が良いですよ?」
「今・・・見ている!?」
「はい、間違いなく。」
「そ・・・そんな・・・ありえない。」
「呼びましょうか?」
『呼んだ?』
「いや、まだ名前すら呼んでないよ!?」
『呼ぶでしょ?』
「めんどくさいから呼ぼうかな~とは思ったよ?」
『それじゃ同じじゃない♪』
アイトネは千春と楽し気に会話すると、隊長を見る。
『この子に無礼な事するならプロステル消しちゃうわよ♪』
「・・・。」
隊長はガクガクと足を震わせ両ひざを突き四つ這いになると頭を下げる。
「ご・・・御慈悲を・・・もう・・・申し訳ございません・・・。」
『あら、イイ子ね、本気で謝ってるわ♪』
「もうー、アイトネやりすぎー。」
『でも早く済んだでしょ?』
「まぁね、ありがと♪」
『何か有ったらまた来るわ~♪』
プルプルと手を振り消えるアイトネ、そして放置された隊長に千春が声を掛ける。
「あのぉ、そう言う事なんで、王都行っても良いです?」
「はいぃ!」
「チハル・・・ビビり散らかしてるじゃん(ボソッ)」
耳元で囁く頼子。
「王様には会った方が良い感じなんですか?」
千春はビビり散らかす隊長に声を掛けると、ヘドバン並みに首を振る隊長。
「しゃーない、お父様から手紙預かってるし王城いきますかねぇ~。」
「お・・・おと・・・おとうさま?」
「はい、ジブラロール王国国王陛下です、あ、私チハル・アル・ジブラロールって言います。」
「お!王女ででででででんか!?」
「はい~♪」
隊長は考える事を止めたのか動かなくなった。
「・・・千春、いこっか。」
「そだね。」
「コレどうするの?」
「兵士さん達が連れてくっしょ。」
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「吠えたねー。」
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クックックと笑うルプが答える、そして横で一部始終を見ていた1人の獣人が呟く。
「こ・・・怖ぁぁ。」
ファーノは改めて千春達に呟いた。
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