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神社の出店って美味しいよね!

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「いってきまーす!」
「気を付けてね~。」
「はーい!ハルト行こっ!」
「千春待ってー!アリンさん早く!」
 千春と頼子は手を繋ぎ、片手の方にはエンハルトとアリンハンドが引きずられるように引かれる。

「寒いな。」
「そりゃそうだよ、こっちはお正月で真冬だもん。」
 玄関を開けると更に冷たい風が頬を撫でる。

「ルプついて来てるー?」
『おう。』
「ビェリーは?」
「ココに居るよ~♪」
 頼子は頭の上を指差すがルプとビェリーの姿は見えなかった。

「チハル何処に行くか決めてるのか?」
 エンハルトは苦笑いで話しかけると千春はキョトンとした顔で答える。

「んにゃ?」
「・・・まぁ良いか。」
 クスッと微笑みエンハルトは千春と歩く。

「最初は決まってるよ。」
「神社って言ってたな、ルプが居た神殿だろう?」
「あっちなら神殿なのかなぁ。」
『そんな大層な物じゃねぇなぁ。』
 ルプはそう答えるとクスクス笑う、しばらく歩くと人垣が見えて来た。

「あそこだよーん。」
 千春はテクテクと神社に向かう、そして鳥居の前に辿り着くと人が並んでいた。

「多いなぁ。」
「そりゃそうだよー、まだお正月2日目だもん。」
「それじゃ挨拶しますかぁ、はいハルト。」
「アリンさん、はい。」
 2人は小銭を手渡す。

「これをあの箱に入れるんだな。」
「うん、さっき教えたようにやったら良いから。」
 姫桜神社でリハーサルと言いながら教えた作法を伝える千春、しかしリハーサルで本物の神が見ていた為、エンハルトとアリンハンドは何度も聞く事になっていた。

「もう神様に挨拶したから別に良いんじゃないか?」
「そうですよ・・・直接話ましたよ?」
「ちゃうねん。」
「ちゃうねんな。」
 エンハルトとアリンハンドの言葉を遮る2人。

「三社参りって言って神社3ヶ所お参りするんだよ。」
「千春、アレって関係ある神社じゃないっけ?」
「・・・さ、お参りいたしましょ~♪」
 そう言うと千春は神社に入り列に並ぶ、しばらくすると前に進み賽銭箱の前に着いた。

「んじゃ参りまーす。」
「参りまーすって何か変だなぁ。」
「ヨリ、こまけぇこたぁいいのよ。」
「でたよ。」
 2人は楽し気に賽銭を投げるとペコペコと頭を下げパンパンと手を打つ、エンハルトとアリンハンドも同じ様にすると手を合わせお参りする。

『狼の!蛇もいらっしゃる!』
「・・・お?」
「カラス君の声聞こえたね。」
 千春と頼子はそう言うと賽銭箱の前から移動し社務所の方へ歩く。

「カラスくーん、聞こえるー?」
『聞こえますとも。』
「社務所誰か居るかな?」
『今は誰も居りませんよ。』
「んじゃお邪魔しまーす。」
 勝手を知っている千春は引き戸を開けると皆で中に入る。

「おう、カラスの、元気にしているか?」
「はい、お陰様で。」
 姿を現したルプに挨拶をするカラス。

「カラス君を労いに来ましたー、はいコレ。」
 千春は紙袋に入った酒を取り出す。

「おぉこれはこれは有難い。」
「土地神様に言うのもなんだけど、何か有ったら言ってね?」
 千春は嬉しそうに酒を見るカラスに話しかける。

「そう言えばココってどの神様の神社なの?」
 ふと千春は浴衣姿の神達を思い出しながら問いかける。

「ココは八幡宮だ、いくつかの神が管理している。」
「へーそうなんだ。」
「それじゃアマテラス様とは関係ないの?」
「無くはないな、天照大御神様と須佐之男命様の娘3人も関わっているからな。」
「へーへーへー!」
「流石元土地神。」
 千春はスマホで軽く検索すると名前が出て来る。

「千春・・・呼ぶなよ?」
「うぉっと、そうだったわ、声届くかもだね。」
「変な事になる前に行きますか。」
「そだね、カラス君また来るね。」
「はい、いつでも御出で下さいませ。」
「いやいや、土地神様なんだからそんな畏まって言わなくても。」
「え?しかし千春様と頼子様は神気を纏っておりますが?」
「「は!?」」
 思わず叫ぶ2人。

「ルプ!?どういう事!?」
「一時的なもんだ、あれだけの神とじゃれ合えば体にも溜まる。」
「そうばい、それに2人とも信仰されとるけんねぇ。」
「だなぁ、聖女が国王よりも上だと認識されるわけだ。」
 ルプとビェリーはウンウンと頷きながら千春と頼子を見る。

「ちょっと!何か影響とか出ない!?」
「出ねぇよ、強いて言うなら悪霊が逃げるくらいだ。」
 千春がルプに問いかけると笑いながら答えるルプ、そして頼子もビェリーと話す。

「ビェリー、運が良くなるとか無いの?」
「無いばい?」
「ちっ、他に何か良い事無いの?」
「そうやねぇ、神様の眷属が頭下げて来るくらいやない?」
「それだけ?」
「そんだけばーい、神様が帰ったら神気も抜けるやろうし。」
「いや、ビェリー、あの餅食ってたら抜けねぇぞ。」
「そういやそうやったねぇ。」
「モチか!」
「昨日あの餅食べまくったからねぇ。」
「ま、いっか。」
 千春はそう言うとカラスに挨拶し社務所を出る。

「それじゃ行きますかぁ!」
「何処に行くんだ?」
 エンハルトはそう言うと千春を見る。

「取り敢えずそこの出店の焼きそばを食べる。」
「私タコ焼き食べよ~。」
『ヨリ!わっちはあのクレープ食べたいばい!」
「ルプ何か食べたいのある?」
『あの箸巻きを5本くれ。』
「ハルト何か食べたいのある?」
「そうだな、あの丸いお菓子が美味そうだ。」
「ベビーカステラね。」
「アリンさんはー?」
「アレは何ですか?」
「ジャガバターだね、私も食べたいから半分こしない?」
 気付けば4人と2匹は神社の出店で買い食いを始めていた。


-----------------


「・・・こう?」
「えぇ、もう少し腕を上げながら回るのよ、イーレンちゃんも同じ様に腕を上げてね。」
「イーナはどうですか!?」
「イーナちゃんも良いわよ、もう少し歩幅を小さく、ユラちゃんに合わせてね。」
「「「はーい!」」」
 女性は姫桜神社の中で踊る幼女3人を微笑ましく見ながら巫女舞を教えていた。

「ウズメ様、お茶が入りましたよ。」
「ハル様有難うございます。」
「様を付けないで頂けると・・・。」
「何を言われてるのですか、こちらで管理者をされてるのでしょう?」
「まだ新米ですから。」
「早い遅いを言うのは頭の固い者だけよ、能力が有れば十分だわ、ユラちゃん、イーレンちゃん、イーナちゃん休憩にしましょう。」
「「「はーい!」」」
 天鈿女命に呼ばれ3人はテコテコと後ろを付いて行き部屋に戻る。

『ウズメさん、どう?』
「覚えが早いですわね。」
『ですって。』
 アイトネの横に座るモートに声を掛けるとモートは頷く。

「イーレンも聖女にするか?」
『それはモートの判断に任せるわ。』
「ふむ、十分素質は在る、魂も綺麗だからな。」
 そういうとモートは楽し気にお菓子を食べるイーレンに声を掛ける。

「イーレン、お前にも神託スキルを付けているがスキルを上げても良いか?」
「えっとぉ・・・良く分かりませんが、モート様がその方が良いと言われるのでしたら。」
「あぁ、仮にその事で問題が発生すれば俺が責任を持つ。」
 そう言うとモートはイーレンを撫でる。

『これでユラとレンちゃんが餅つきすればアレが出来るわね。』
「イーナに神託スキルは・・・。」
 モートがそう呟くと横から声がする。

「問題ありすぎですわ。」
 腰に手を当てながら言うのはアルデアだ。

「イーナに神託スキルを付ければ私にもついてしまうわ。」
「別に問題は無いだろう?」 
「魔族で神託スキルなんてありえないでしょう?」
『そうでも無いわよ?流石に聖女になった事は無いけれど、神託スキルを持つ魔族は居るわ。』
「・・・。」
「イーナ、お前も神託スキルを付けるか?」
「?」
「ユラとイーレンには付いてるぞ。」
「!?」
 イーナはチラチラとアルデアを見る。

「・・・はいはい、付けて良いわよ、でも絶対に言わないでよ?」
「イーナは言わないのです!」
「ユラもー!」
「私も言いません!」
 幼女3人は口の前に人差し指を当て「しー!」とジェスチャーする。

「内緒にするならお祝い出来ないわねぇ。」
 春恵は顎に指を当てながら考える。

「イーナだけ内緒にしてくれれば良いわ。」
「でもレンちゃんが聖女になったと分かったら大騒ぎよね。」
「そうでもないと思うわよ、国王陛下の胃が壊れるくらいじゃ無いかしら?」
「それはそれで大変よね。」
『私がエイダンちゃんの胃袋強化してきましょうか?』
「アイトネ様、そういう問題では無いのですよ?」
 アルデアは呆れた様にアイトネに言う。

「はーい!」
 手を上げるイーレンをアイトネが指差す。

『はい!レンちゃん!』
「せいじんするまで言わないってのはどうでしょう!」
「そうね、その頃にはあの子達全員聖女になってるでしょうから。」
 アルデアはイーレンを見ながら頷くと春恵が侍女を見る。

「サフィーちゃん、この事はメグさんにだけ教えて良いわ。」
「はい、了解しました。」
「モリーちゃん♪」
「はぃぃ!絶対に言いません!」
「よろしい♪」
 春恵はニコッと笑みを浮かべる、そして休憩が終わると天鈿女命と幼女達のレッスンが再開された。




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