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餅が無ければつけばいい!

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「帰ったわよー♪」
「は~!いっぱい買ったわね~♪」
「残ったら明日食べれば良いじゃない。」
 ママさんズ達が買い出しから戻りワイワイと部屋になだれ込む。

「おかえりお母さん。」
「ヨリちゃんお蕎麦出来た?」
「お父さん達が今作ってるよ。」
 春恵はアイテムボックスを開くと買い物袋を次々出していく。

「こっちはお惣菜とお酒の肴ね、こっちは蕎麦のトッピング分だから。」
「私がお皿によそうわ。」
 美咲はトッピングの総菜袋を手に取る。

「あなたー調子はどう?」
「おう!お帰り!今から切る所だ。」
「手伝う?」
「ん~そうだな、切るのを手伝ってもらおうか。」
「おっけ~。」
 麗子はそう答えると厨房に入る。

「ハルさん、コトハ達が来たわ。」
 スマホを見ながら智美が言うと春恵は頷き日本へ戻る、そして青空、大愛、花音の両親が入って来る。

「おまたせしましたー。」
「いらっしゃい♪もうこっちで皆年越しちゃいましょうって話になってね。」
「色々持って来たわ。」
「ありがとうコトハ。」
「あの私達も良かったのかしら?」
「勿論よマイさん。」
 花音の母麻衣は申し訳なさそうに話す。

「お母さんお父さんお疲れさまー。」
「カノン、元気そうだな。」
「めっちゃ元気だよ、お仕事大丈夫?」
「あぁ三箇日は休みを貰ったからな。」
「お母さんも貰ったわよ。」
「やった!」
「・・・いつもごめんね?」
「大丈夫!お父さんとお母さんの仕事は知ってるから♪」
 花音は嬉しそうに2人の手を取る。

「カノンっていつも1人なの?」
 話を聞いていた美桜が問いかける。

「んー、まぁ1人の時多いかな。」
「そっかぁ。」
「大丈夫だって、慣れてるから、チハルの話聞いたけどチハルの方が大変だったじゃん?」
「まぁそうだけどさ。」
 美桜と花音は千春を見ると、千春はニッコリ笑い何故かピースサインで答える。

「慣れる!」
「まぁ私も慣れてるけどね。」
 千春と花音はケラケラと笑いながら美桜を見る。

「強いな2人とも。」
「いや、千春は寂しがり~だよ。」
「ヨリ!?」
「夜ね~、電話してくるんだよ。」
「ヨリ!?ちょ!?」
 千春は頼子の口を塞ぐ。

「うぶぶぶぶぐ・・・・・・ぶはぁ!!!鼻まで塞ぐなぁ!」
「ごめんごめん、ヨリが変な事言うから。」
「所で何か作ってるの?」
 千春と頼子が騒いでいるのを放置し麻衣が智美に話しかける。

「そば打ってるのよ。」
「そば!?作れるの!?」
「うちの旦那は何度か蕎麦打ち体験やって作れるようになってたわね。」
「レイコの所もそうらしいわよ。」
「へぇ~すご~い。」
「俺も何か手伝おうか。」
 花音の父拓哉は厨房の方を見ながら呟く。

「もう麺を切って茹でるだけだから大丈夫よ。」
 智美はそう答えながら袋を開き店で買ったお惣菜を並べて行く。

「トモ!モチ買ったか!?」
「買ったわよ、コレでしょ?」
 勇に言われ智美が袋から取り出す。

「・・・いや、鏡餅じゃねぇよ、食べるモチだよ。」
「・・・忘れたわ。」
「おいおいー、明日の雑煮はどうするんだ?」
「・・・今から買いに行ってくるわ。」
 失念していたとしょんぼりする智美、美咲も「あ~忘れてたわ~。」と呟く。

「千春、モチ米有ったよね。」
「あるよー。」
 千春は頼子に言われアイテムボックスからモチ米を取り出す。

「これ日本産?」
「うん、こっちでお餅作ろうと思ってたんだけど・・・道具無いから入れっぱなしだった。」
「道具ってあのペッタンペッタンするヤツ?」
「んにゃ?モチつき機。」
「ペッタンペッタンは?」
「杵と臼?無いよ、あっても私出来ないもん。」
「・・・まぁ私も出来ないわ。」
 千春と頼子はモチ米を見ながら呟いていると勇が厨房から出て来る。

「モチ米かぁ、昔餅つきのバイトしたなぁ。」
「そんなバイトあるの?お父さん。」
「あるぞ、スーパーの前でな、つき立てのモチを売るんだよ。」
「へぇ~・・・って事はお父さん餅つき出来る?」
「道具がありゃぁな。」
「お父さんなんでも出来るね。」
「すごいだろ。」
「すごいわ。」
「アイトネー、杵と臼作れる?」
『作れるわよー!お餅食べたーい!』
「はい、女神さまが御所望なので餅つきしまーす!」
「ウチもやりたい!」
「私も!」
「私もやってみたい!」
 何故かJK軍団が手を上げ始める。

『チハルのイメージだと良く分からないわね。』
「杵と臼?」
『えぇ。』
「そりゃ見た事無いもん、テレビとかでしか。」
「アイトネ様俺の記憶はどうですか?」
 勇が言うとアイトネは勇を見る。

『臼って木なの?石?』
「どっちでど良いですが石の方が良いですね、杵は木です。」
『おっけー♪』
 アイトネはそう言うと手を振る。

「うわぁ!綺麗!」
「何これ宝石の臼?」
「うわぁ・・・高そう。」
「こんな臼・・・臼じゃない。」
「凄いねアイトネ様。」
 JK達は臼を囲んで見つめる。

「アイトネこれ何?」
『臼よ?』
「いや、素材、ただの石じゃないよね?」
『この世界で一番硬い石よ♪』
「うわぁヤバそうな物出してきたよこの人!・・・人じゃ無かったわ。」
 千春はそう言いながら臼をペチペチ叩く。

「アイトネ様これなんて石なんですか?」
『ルムフート鉱石よ、溶岩の中で高温高圧の状態で固められたものっっごく固い石♪』
「ダイヤモンドみたいな感じ?」
『ダイヤモンドより硬いわよ~♪』
「マジか。」
『杵はどっちにしようかしら。』
「どっちって?」
『その桜を使うか世界樹使うか・・・どっちがいいかしら?』
「もうどっちでも良いわ。」
『それじゃ世界樹で作りましょ♪へんな効果付くかもしれないけど♪』
「ちょーっとまったぁ!桜でお願いしまっす!」
『え~?』
「え~じゃないですぅ~桜ぁ!」
『はーいなぁにー?チハル様~♪』
「ちょっと固い枝ちょーだい!」
『はーい♪』
 姫桜の精、桜はそう言うと物凄く太い枝を取り出す。

『どうぞ♪』
「・・・でっかいなぁ、アイトネこれでお願い。」
『おっけ~何本くらい必要かしら?』
 アイトネは勇に向かって問いかける。

「3本お願いします。」
『おっけ~♪』
 アイトネが答えると枝がパリパリと剥がれ杵が3本出来上がる、それを千春達が受け取り勇に渡す。

「よし、それじゃそのモチ米を蒸すか。」
「あ、蒸すんだ、炊いたらダメなんですか?」
「炊いても良いが蒸した方が美味い。」
「それじゃ蒸した方が良いですね。」
「しかし今からだと年が明けるなぁ。」
「え?そんなに時間掛かるんです?」
「あぁ、普通は一晩水に浸けるからなぁ。」
 千春の問いかけに答える勇。

「アイトネ!魔法でちゃちゃっと出来ないかな!」
『出来るわ!早く食べたいもの!』
「それじゃ準備するから手伝って!」
『わかったわ♪』
 千春とアイトネは部屋に戻るとモチ米の準備を始める。

「チハルってアイトネ様の使い方上手いよね。」
 美桜が呟くと青空達も頷く。

「確かに。」
「いや、アイトネ様が食欲に弱いだけじゃん?」
「それは言えてる・・・。」
「早く出来た方が良いじゃん、うちも餅つきしたいし♪」
「ダイアの言う通りだね、私らも手伝おう。」
 JK達はそう言うと千春達の作業を手伝う事にした。

「私餅つきした事あるよ。」
 麗奈は横にある杵を見ながら話す。

「え?マジで?」
「うん、子供会の行事で毎年あってたんだよね。」
「あー!そう言えばウチも一回やったわ!」
「私無いわー。」
「うちも無い。」
 モチ米を計りながら話すJK達。

「これモチ米足りるの?」
 分けながら呟く頼子。

「アイトネ様モチ米ってこの世界無いんですか?」
『ちょっとまってね・・・あるわ!』
「あるんだ!」
「あるの!?」
『でも日本のもち米とはちょ~~~っと違うかも。』
「品種改良的なアレかなぁ。」
「でも昔からあるじゃん?大丈夫じゃね?」
「アイトネ、何処にあるの?ジブラロール?」
『別の国ね、え~っとジャシール国付近で栽培されているわ。』
「どっかで聞いたなその国。」
「チハル、ロイロさんの里ですよ。」
 サフィーナが千春に教えると、千春はハッとした顔で思い出す。

「あー!あの!えっと!へんな貴族が喧嘩売って来た所!」
「そうです、そこですね。」
『あの周辺の獣人がよく作ってるみたい。』
「獣人が作ってるんだ。」
『えぇ、狐族や狸族が好んで食べてるわ。』
「狐族?・・・ユラの村!?」
『あ、本当だわ、ユラの村でも作ってるわ。』
 言った後にアイトネも少し驚きながら千春に言う。

「んじゃユラも餅食べるかな。」
「確か米を見たときに食べてたって言ってましたね。」
「言ってた言ってた!モリー!ユラ連れて来て!」
「了解でっす!」
 モリアンはそう言うと扉を勢いよく開け消えて行った。

「ユラの村かぁ・・・連れて行きたいけど・・・悲しむだろうなぁ。」
『そうね。』
「ユラちゃんの両親ってアレだっけ?」
「うん。」
「チハル、アレって?」
「奴隷狩りに殺されたんだよ。」
 青空に聞かれ答える千春。

「犯人とかわかってんの?」
「まだ、わかんないと思う。」
『もう分かってるわよ、モートが動いたもの。』
「そうなの?!」
『えぇ、あっちに連れて行ったわよ。』
「流石モートさん仕事早い。」
「モートさんユラに甘いもんねー。」
「ユラにお願いされたのかな?」
「いやぁ、ユラちゃんはそんなお願いしないっしょー。」
『えぇ、ユラの記憶から調べたら見つけたから処理するって報告有ったわ、勿論オッケー出したわ。』
「アイトネもユラに甘々だもんねぇ~。」
 クスクスと笑う千春、そしてモチ米の準備が終わるとモチ米を蒸し、準備が始まった。




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