上 下
613 / 744

閑話休題:王宮庭園!

しおりを挟む
「凄いわねぇ。」
 マルグリットは王宮にある庭園を散歩しながら呟く。

「はい、今この庭園はユラ様、イーレン・ゴールマン伯爵令嬢が見ております。」
「ユラとレンと言うよりも・・・妖精よね。」
「はい。」
 マルグリットの言葉に答えるエリーナ。

「おかあさま!」
「ユラ、走ったら危ないわよ。」
 遠くからユラが可愛いドレス姿で走って来る。

「おうひさまごきげんうるわしく。」
「レンも元気そうね。」
 ニッコリ微笑むマルグリット。

「おかあさまおさんぽ?」
「そうよー、少しは動かないとね。」
 軽くお腹を摩りながらマルグリットは答える。

「王妃さま~お花どうぞ~♪」
「綺麗な王冠だぜー!」
 妖精のルルとポポが花で出来た王冠を手に飛んで来る。

「ユラ達が作ったのかしら?」
「はい!」
「作りました!」
「ありがとう、ルル、ポポ、いつも二人を見てくれてありがとうね。」
「一緒に居るだけよ?」
「楽しいからな!」
 マルグリット達は話しをしながらガゼボまで移動すると椅子に座る。

「見ない花が増えたわね。」
「ルルとポポと、リリとクゥクゥもおはなのたねを持ってきてくれたの!」
「アミちゃんたちもそだててくれてるんです!」
 ユラとイーレンは花畑を見ると、他よりも小さい軍隊蜂が花の周りを飛んでいた。

「軍隊蜂を最初見た時は驚いたけれど、凄いわねぇ。」
 マルグリットが呟くとユラの横に立つ侍女コラリーとドロテが話す。

「チハル王女殿下から御聞きした話ですが、花や果実の蜜を取り、その時に受粉を手伝うとの事で御座います。」
「他にも蜜に加えローヤルゼリーと言われる物を集めると、それから蜜蝋と言われる物は化粧品にもなると言われておりました。」
「それは凄いわね、その蜜蝋は?」
「ミツバチでは無いのであまり集まらないと言われておりましたが、アミさんが採れるように古い巣を入れ替えるようにしたようです。」
「蜂と話しが出来るレナが居るからそんな事が出来るのね。」
 少し呆れ気味に話すマルグリット。

「果樹園の方も収獲が増えていると聞いております。」
 話を聞いていたアルベルは思い出しながらマルグリットに言う。

「凄いわね軍隊蜂・・・いえ、アミが凄いのかしら。」
 皆が話をしていると他の蜂よりも大きな軍隊蜂が飛んで来る。

「あ!アミちゃんだ!」
「アミちゃーん!」
 ユラとイーレンが手を振るとアミは一直線に飛んで来ると目の前でホバリングする。

「アミ、いつもありがとう、ユラ達の護衛もしてくれてるのでしょう?」
「ブブブブブッブブブブ!」
「フフッ、謙遜しなくても良いのよ、それに果樹園やチハルの畑も見てくれているでしょう、話では街の護衛もしてるそうね。」
「ブブブブッ。」
「えぇ、いくらでも持って行ってちょうだい、それにこの花や果樹園の花を増やしてくれているのは貴女の子だもの。」
「ブブブッブッブブブブブ!」
 クルクルと回りを飛び回る軍隊蜂の女王アミはマルグリットの周りを数回飛ぶと姫桜へ飛んで行った。

「おかあさま、アミちゃんともお話できるの?」
「出来たわね、私もビックリしたわ。」
「おうひさま凄いです!」
「この石のおかげなの・・・秘密よ?」
 フフッと笑い口に人差し指を当てこっそり話すマルグリット、するとユラは上を見上げる。

「ラティだ!」
「ヤマト君もいます!」
 ユラにつられ上を見上げるイーレンも鳥を見つける。

「最近仲が良いのよあの2人。」
 ガゼボから少し顔を出し空を見上げるマルグリット、二羽の鳥はゆっくりと羽ばたきマルグリットの前に降りて来る。

「いらっしゃいラティ、ヤマトさん。」
「クィッ!」
「コケっ!」
「あら、デートなの?」
「クィックィッ!」
「・・・コケっ。」
「ヤマトさん、ラティをよろしくお願いしますね。」
「コケッ!!!」
「かめきちさんは?」
「・・・こけっ。」
「そう、あの人最近かめきちさんに愚痴るのよねぇ、かめきちさんは苦に思って無いって言ってくれるけれど。」
「こけ~、コケッ。」
「そう?それなら良いけれど、お礼しないといけないわねぇ、ヤマトさん何かかめきちさんの喜ぶ事知らないかしら?」
「コケッコケコケっ!」
「そうなの?魚・・・チハルに聞けば手に入りそうね、ありがとうヤマトさん、ラティも今日は楽しんでらっしゃい。」
 マルグリットがそう言うと二羽は大きく羽ばたき空へ飛んで行く。

「ヤマト君って空とべたんだぁ。」
 イーレンは千春に鶏は空を飛べないと聞いていた為少し驚いていた。

「ヤマトさんは聖獣なのよ、あの姿も一番楽な姿って言ってたから、本当の姿は凄いのかもしれないわね。」
 イーレンにそう答えるマルグリットはエリーナに声を掛ける。

「今日はココでお茶しましょう。」
「はい、ユラ様、イーレン様こちらへお座り下さい、ルル様、ポポ様もどうぞ。」
 エリーナはそう言うとアイテムボックスの魔道具に加工された袋を広げお茶セットやお菓子を取り出す。

「ほんと便利ねこの魔道具。」
「はい、チハル王女殿下とサフィーナの作る魔道具とは違い、アルデア様が作ったアイテムボックス魔道具は入る量が倍くらいありますので。」
「アルデアにもお礼しなくちゃいけないわねぇ。」
 フフッと笑みを浮かべながらマルグリットはお礼する人達を思い浮かべる。

「・・・困ったわ、お礼する人が多すぎるわ。」
「王妃殿下、お腹の方が落ち着きましたら一緒にお考え致しますので。」
「そうね、エリーナ、アルベル、ありがとう。」
「おかあさま、ユラもかんがえます!」
「わたしも一緒にかんがえます!」
「あらあら、ユラとレンも?ありがとう。」
 2人の頭を撫でながらマルグリットは庭園で安らかな一時を過ごした。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

処理中です...