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花音王都見学をする!

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「そうそう、それで地面を蹴る。」
「こう?」
 ふわりと浮かぶ花音、杖に跨ったまま上に浮き上がる。

「手に持った魔石に魔力軽く通して動きたい方向に意識してー。」
「ほーい。」
 フヨフヨと前に進む花音。

「良い感じ?」
「うん。」
「いんじゃない?」
「もう少し練習したら王都行ってみる?」
「行く!」
 両脇にソラとダイアが一緒に飛びながら話すと花音は嬉しそうに答える。

「それじゃ姫桜の頂上まで行こうか。」
「う!?マ!?」
「マ、ほらいくよー。」
「えー!まってー!」
 スパルタ気味に空へ飛ぶ練習をさせる青空達、そして十数分後にはスイスイと空を駆け巡る花音だった。


-------------------


「チハルさーん!ハルト殿下お呼びしましたー!」
「あざーすモリー。」
 扉を開け元気に入って来るモリアン、後ろからエンハルトが入ってくると千春に声をかける。

「どうした?」
「王都に行くー。」
「そうか、誰が行くんだ?」
「私達とそれぞれペット随伴、あとはサフィー達だね。」
「問題無さそうだが、サフィー護衛は?」
「部隊が付きます。」
「わかった、気を付けて行って来いよ。」
「はーい♪許可貰いましたー!行くよー!」
「もう行くのか?」
「うん!急がば回れ!」
「千春それ違う。」
「なんだっけ。」
「善は急げ?」
「即断即決か?」
「思い立ったが吉日?」
「いやいや、『チハルだから。』でよくね?」
「「「「「それだわ。」」」」」
 美桜の言葉に苦笑いするエンハルト。

「んがー!どうでもいいのんじゃー!いくよー!」
「へいへい行きましょうかね~♪」
 頼子はケラケラ笑いながら庭に出ると侍女達、そしてワークスも外に出る。

「王都にれっつらごー!」
 地面を蹴る千春、皆も地面を蹴り皆は王都に向かった。


--------------------


「うわぁ!すっげぇ!」
 広い王都を空から見る花音は満面の笑みで叫ぶ。

「綺麗っしょ♪」
「うん!すげぇ!」
「あそこ、中央公園に降りるよー。」
 千春は広場を指差すと皆は続々と地上へ降りる。

「さて、目的もなく王都に到着しました!」
「思い付きで来たからね。」
 千春が言うと頼子はいつもの事だと言わんばかりに呟く。

「カノン何か見たい物ある?」
「いや、何があるかわかんないんだが?」
「そりゃそうだ、買い食いする?」
「えぇ~?晩御飯食べれなくなるじゃん?」
「晩御飯より王都の買い食いの方がよくない?」
「いや!チハルの晩御飯の方が絶対美味い!」
 断言する花音、頼子達も頷く。

「・・・えへっ♪」
「買い食いは軽くでもいんじゃね?」
「そだね、ま、見て回ろうか。」
 ゾロゾロとJK軍団は通りを歩く、人通りはそれなりに有るが夕方と言う事もあり多くは無い。

「姫様いらっしゃい何か食べてくかい?」
 出店の女主人が声をかけて来る。

「チハルあれ・・・フランクフルト?」
「そだよー、ヨリ達食べるー?」
「たべる~。」
「ウチも~。」
 皆は手を上げる。

「それじゃ8本くださーい♪」
「あいよ!」
 千春はフランクフルトを受け取ると花音に渡す。

「・・・ケチャップにマスタードまで。」
「美味しいよー。」
「重くね?」
 かなり太いフランクフルトを見ながら呟く花音。

「大丈夫、一口食べたらペットが残りを処理します。」
「へ?」
 千春はパクっと一口食べるとルプにフランクフルトを向ける、ルプはパクっと一口でフランクフルトを処理した。

「あ、そう言う事ね、サンジュ食べる?」
「たべる!」
 パクリと一口食べる花音、そして残りをサンジュに渡すとあっという間に食べてしまった。

「えぇ~?こんな小さな体なのにめっちゃ食べるね。」
「この人達胃袋異常だから。」
「そそ、某女神様なんて底なしだよ。」
「神様みんな底なしだねぇ。」
 テクテクと歩きながら次々と買い食いをするJK達そして。

「ハンバーガーあるしー!」
「んまいよ?」
「そりゃ美味しかろう!良い匂いだもんよ!」
 チーズがとろりと溶けたハンバーガーを見て驚く花音。

「え?コレってデフォ?」
「王都じゃデフォ。」
「千春が広めたんよ。」
「マ!?」
「マ。」
「異世界文化デストロイヤー!」
「お、新しい二つ名出来たね千春。」
「やーめーてー、異世界文化壊してんのパパさんズだし!」
「いや・・・ママさんズも結構やらかしてると思う。」
 暫く歩くと雰囲気が変わり旅人や冒険者が目に付き始める。

「ココは?」
「もう少し行くと冒険者ギルドと商業ギルドあるよ。」
「へ~、冒険者ギルドって荒くれ者の巣窟?」
「私も昔はそう思ってた。」
「違うの?」
「違うねぇ、顔出してみよっか。」
「大丈夫なの?」
「うん、私達冒険者カード持ってるし。」
 千春が言うと皆はカードを見せる。

「マジか!私も作りたい!」
「いいねー登録しよう!」
 千春達は街の探索をしつつ冒険者ギルドまで足を運んだ。


-------------------


「たのもう!」
 千春は両開きの扉をバーン!と開けながら言う。

「お、姫さんどうしたんだ?」
「頼み事か?」
「姫様の依頼なら受けるぞ?」
 冒険者達は笑みを浮かべ千春に声をかける。

「・・・ちゃうねん。」
「千春、その掛け声やめなー?」
「えー。」
 不満げに返事を返す千春、頼子はテクテクと受付まで歩いて行く。

「1人冒険者登録お願いしまーす。」
「はい、そちらの方ですね。」
 受付嬢はそう言うと後ろに居た男性に声を掛ける、男性は直ぐに裏へ行き消える。

「こちらの用紙に記入をお願いします。」
 ニコッと笑い受付嬢は勝手知ったると言わんばかりにサフィーナへ渡す。

「え?私が書くんじゃ無いの?」
「日本語じゃないよ?」
「あ、そうだった。」
 サフィーナはサラサラとペンを走らせ受付嬢へ渡す。

「はい、それではこちらへ。」
 そう言うと奥に繋がる扉を開き中へ促す。

「へぇ~、待つ所あるんだ。」
「いや、普通無いと思うよ。」
「そうなの?」
「うん。」
 花音の言葉に頼子が返す、受付嬢に促され応接間に入るJK軍団達。

「こちらでお待ちください。」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
「えっと、はい。」
 キョロキョロ見回す花音、皆は遠慮なくソファーに腰を下ろし千春と頼子はお菓子を取り出す。

「ちょっと!?チハル?ヨリ?!」
「へ?何?」
「どうしたん?」
「いやいや!お菓子はまずくない!?」
「え~?そんなことないよ・・・ねぇ?」
 千春はサフィーナを見る、つられて花音もサフィーナを見るとティーセットを取り出しお茶を淹れ始めていた。

「えぇぇ!?こっちの常識ってこんな感じなの!?」
 花音が叫ぶと扉が開きガチムチの男性が入って来た。

「・・・いや、これは非常識だからな?お嬢さん。」
「・・・ですよね・・・え?」
「失礼した、俺は冒険者ギルドマスターをしているレオだ、チハル王女殿下お久しぶりです。」
「こんちゃ!」
「今日はお友達の登録か。」
「はい、お願いしまーす。」
「あぁ、問題無く受理しておく、少し時間がかかるんだが。」
 そう言うとレオも1人掛けのソファーに座る。

「で?名前はカノン嬢・・・ん?貴族籍じゃないのか。」
 書類を見ながら呟くレオ。

「あ、まだですね、多分お母様がなにかしらやると思います。」
「・・・だろうなぁ。」
 事情を知るギルマスのレオは苦笑いする。

「決まったらもう一度来てもらって良いか?」
「了解でーす。」
 あっさりと話しが終わるのを呆けて見ていた花音は声をかける。

「ねぇヨリ、こんな簡単なの?」
「ん、まぁ王女特権と言うか、私達はこんな感じだねぇ。」
「確かレオさんてウチらの事情知ってるから。」
 美桜が言うとレオはニコッと微笑み頷く。

「あ、そうなんだ、そう言う事ね、把握。」
「これからどうするんだ?」
「ん、用事終わったから帰りますよ。」
「・・・相変わらずだなぁ。」
 苦笑いしながら立ち上がるレオ。

「また来てもらうのもアレだな、出来たら王宮へ届けさせよう。」
 窓の外を見ると空はうっすらオレンジ色に変わり始めていた。

「はーい、それじゃ行きますかぁ。」
「うぃ~っす。」
 ササっと収納し片付けると千春達は冒険者ギルドを出る。

「ねぇチハル、お母様がなにかしらするって言ってたよね。」
「あ、貴族籍?」
「それそれ、どういう事?」
「私達みんな貴族籍なんよ。」
「・・・うん、ヨリとかお父さん達貴族になってたもんね。」
「あ、ソレなんだけどさー、私そのままファンギス侯爵令嬢なんだよね。」
「ウチも!ヒラタ子爵じゃないんだよね!」
 美桜も頷きながら言う。

「へぇ~、そうなんだ・・・なんで?」
「「「さぁ?」」」
「知らないんかーい。」
 突っ込む花音、するとサフィーナが答える。

「みなさん嫁ぎ先が決まってますからね、通常ですと貴族間の繋がりを重視しますが・・・。」
「あー、ママパパさんズってそこらへん気にし無さそう~。」
 千春も知らなかったのかサフィーナの言葉に納得する。

「ですが、今回はミヤザワ家の爵位が付き、カノンもその貴族籍になると思われますよ。」
「そうなんだ・・・ってそんな簡単に貴族になれる物なの?」
「んなわけない。」
「なれるわけがない。」
「こっちの常識知らないけどそれは分かる、ありえんでしょ。」
 青空達はケラケラ笑いながら答える。

「ま、そのうち決まるから待ってたら良いよ。」
「そうだね、親に任せよっと・・・で、アレなに?」
 花音は通りを歩きながら話していると、明かに周りと違う建物を発見する。

「はい!こちら!チハル王女殿下の温泉宿で御座いまーす!」
 モリアンが楽し気に説明する。

「・・・うん、もう驚かない。」
「いや、そこは驚こうよ。」
 千春は突っ込む、そして皆は当たり前の様に温泉宿へ入って行った。




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