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エイクラーダンジョンに蟻を!

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「ただいまー!」
「お帰りなさいませチハル様。」
 庭から戻り千春は部屋に戻ると執事を任されているワークスが迎え入れる。

「お帰りなさいませチハル様。」
「ただいま~、ノースちゃん。」
 千春にそっくりな姿のノースが立ち上がり頭を下げる。

「お仕事おわった?」
「はい、本日の執務は終了しております。」
 ノースが微笑むとワークスが答える。

「おつかれさま!あとで美味しい料理作るから寛いでてね。」
 そういうと後ろからエンハルト達が入って来る。

「チハル、今日はもう出かけないだろう?」
「多分ね。」
「・・・出かける時は言えよ?」
「わーってるってー。」
 念を押される千春は苦笑いで答える。

「それじゃチハル、また後でね。」
「はい、お母様、ルクレツィアさん有り難うございました。」
「こちらこそ~♪また行くとき呼んでね~♪ルプ様ぁまた後で来ますね!」
「お前は仕事しろ。」
「してますぅー!」
 ルクレツィアはルプに手を振りマルグリットと部屋を出て行く。

「蝙蝠ちゃーん。」
 シャンデリアに向かって言うと、ぴょこっと顔を出す蝙蝠。

「アルデア居る?」
「キッ!」
 蝙蝠がひと鳴きすると、千春の影からアルデアが現れる。

「どうしたの?」
「ん、ちょっとダンジョンの事で相談あってさ、レミちゃんは?」
「今こっちに向かってるわよ。」
「レミちゃんって影移動出来ないの?」
「出来ないわ、今必死で飛んで来てるわ。」
「それは申し訳ない・・・。」
「良いのよ、で?どういった用事なの?」
 千春はダンジョンと女王蟻の話を始めた。


---------------


「蟻ねぇ、あんな物を食べるなんて変な子。」
「あー、そう言う事言う?美味しいんだから。」
「へぇ~、食べようと思った事すら無いわ。」
「だろうね、私も言われなきゃ絶対食べないよ。」
「で?蟻を育てるの?」
「ん~、育てると言うかダンジョンで狩れるようになったら良いなーくらい?」
「それは大丈夫よ、ただ注意しておかないと、どんどんエリアを広げちゃうわ。」
「あー、それで今回坑道まで穴掘ったのか。」
「えぇ、なんなら私のダンジョンでやっても良いわよ?」
「えー遠いじゃん、狩りに行くのめんどくたい。」
 面倒くさがる千春、頼子も話す。

「アルデアちゃんのダンジョンってクルメール国だったよね。」
「そうよ、中層なら蟻の餌も沢山あるわよ?」
「・・・中層ってあのムシムシエリアだよね。」
「えぇ。」
 ソファーに座りお茶を飲むアルデアは飄々と答える。

「お姉様!」
「やっと来たわねレミ。」
 魔族でありジブラロールのダンジョン、エイクラーダンジョンマスターをしているラミ・レイジィがプンプンと怒って言う。

「待ってって言ったのに!」
「待ってたでしょ?ココで。」
 ゴスロリな服を着てプンプンと怒る少女姿のラミを見てアルデアはクスクス笑う。

「ラミちゃん、今エイクラーのダンジョンってどんな感じなの?」
「へ?・・・えっとぉ・・・。」
「この子配下の子に任せっぱなしで見て無いのよ。」
「大丈夫なの?ソレ。」
「余程の事が無ければ放置しても問題無いわよ、エイクラーのダンジョンは安定してるもの。」
 ラミではなくアルデアが説明すると、ラミはコクコク頭を動かす。

「ラミちゃんあのダンジョンで蟻って育てれる?」
「どうかしらぁ、ちょっとまってね。」
 ラミはブツブツと呪文を唱えると魔法陣が現れるそして魔法陣が消えた所に小悪魔が寝ていた。

ペチ!

「イタイ!」
「ナルテト。」
「ラミ様!?」
「何してるの?」
「エ?」
 キョロキョロと辺りを見回すナルテト、千春達に囲まれ挙動不審だ。

「休憩シテマシタ。」
「そう、ちょっとフロアに蟻を沸かせる事できるかしら?」
 ラミは腰に手を当て高圧的に言う。

「タブン出来マスよ?」
「チハルさま出来るって。」
「んじゃ女王蟻連れて来なくてよかったね。」
「女王蟻ダケデハ育タナイゾ・・・デス。」
「あ、それは大丈夫、卵と働きアリ?っぽいのも拉致ったから。」
「チハルさま、何してるの貴女。」
 呆れる様に言うラミと、ポカンと話を聞くナルテト。

「それじゃ、女王蟻と卵、あと働きアリをダンジョンに連れて行くかぁ。」
「チハルは行かなくて良いわよ、イーナ。」
 アルデアが声を掛けるとイーナが影から引っ張り出される。

「何するですか!アル!この扱いは酷いのです!」
「うるさいわねぇ、いつも好き勝手遊ばせてるんだからたまには仕事しなさい。」
 アルデアの分身であるイーナの襟を掴んだまま言い放つ。

「チハルから蟻を受け取ってラミとダンジョンに開放してきなさい。」
「えーめんどくさいですー・・・行かせて頂きます!」
 左手でイーナを掴み、右手をドラゴンのような手に変化させ脅すアルデア。

「それじゃチハル、このアイテムボックスに入れて頂戴。」
「このまま入れ替える感じ?」
「えぇ、私とこの子のアイテムボックスは共有してるから。」
 千春は開いたアイテムボックスにぼとぼとと蟻と卵を落とすと、サフィーナも蟻を入れて行く。

「ラミ、ナルテト、イーナ、お願いするわねぇ~。」
 ワシワシと大きな爪を見せながらお願いするアルデア。

「は、はい。」
「リョウカイシマシタデス!」
「なんでイーナまで・・・ぐぁ!痛いでずぅぅぅ!喜んでぇぇぇ!!!!」
 アイアンクローされ、強制的に仕事をさせられるイーナ、3人は直ぐに庭に飛び出し飛んで行った。

「ラミは当てにならないからナルテトに定期的に報告させるわね。」
「ありがとうアルデア、お礼は蟻しゃぶでいい?」
「何それ。」
「蟻の料理、美味しいよ?」
「えぇぇ、遠慮しても良いかしら?」
「美味しいよ?」
「・・・まぁチハルが言うなら美味しいのでしょうけれど、それより・・・。」
「あ、そろそろか、次は誰だっけ?」
「この前はウチでしたー。」
 美桜が手を上げる。

「んじゃ次私だね~♪」
 麗奈はそう言うと腕まくりをする。

「いつも悪いわね。」
「良いって事よー♪」
 アルデアはそう言うと腕に向かって手を合わせる。

「いただきます。」
「あ、それ言うんだ。」
「私も言われたw」
 美桜や頼子も笑いながら言うと、アルデアは麗奈の腕に噛みつく。

カプ!・・・・ちゅ~~~~

「アルデアちゃんの血吸ってる姿可愛いよね。」
「わかるぅ~。」
「なでなでしたくなる。」
「何千年も年上なのにね。」
「・・・見ないでくれる?」
 顔を赤くし腕から口を離し呟くアルデア。

「ごめんごめん、さ、どうぞどうぞ。」
 美桜と頼子が言うと再度麗奈の腕に口を付けるアルデア、千春はおいしそうに血を吸うアルデアを傍目に蟻の調理を始めた。





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