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ドワーフの鉱山に入るの巻!

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「お待たせした様だな。」
 小柄なドワーフの老人が声を掛けて来る、小柄とは言え腕は老人とは思えない程鍛えられている。

「いえいえ、美味しいお茶もらいましたから♪」
 千春はドワーフの女性からお茶を貰い飲んでいた。

「俺はイルド、この鉱山で働いて150年になる。」
「150年!?」
 後ろからついて来た若いドワーフ2人も挨拶をする。

「バンブです。」
「ジャウと申します。」
「千春です♪こっちはハルト・・・。」
 千春はそれぞれ紹介する、イルドは入って来た時眉間に皺を寄せていたが、好々爺の様に笑みを浮かべる。

「なんだ、どこぞの王女と言っておったから、面倒な話と思えば・・・気さくな王女だ。」
「有難うございます♪それでたまに怒られますけどね。」
 アハハハと笑いながらイルドと話す千春、サフィーナも笑みを浮かべている。

「それで?ゴーレム退治をするのはそのドラゴニュートと騎士か?」
「いえ?こっちは護衛です、退治は私達がやりまーす。」
 千春はサフィーナを見る、影収納が出来る頼子と麗奈も手を上げる。

「娘4人で何が出来るというんだ、物理も魔法も効かぬ塊に襲われればタダでは済まんぞ?」
「えっとですねー、そのテーブルがゴーレムだとしてー、こう。」
 千春はテーブルの下にアイテムボックスを開く。

ストン

「こんな感じで捕獲します。」
「こりゃ驚いた、皆この魔法が使えるのか?」
「えっと、これは私とサフィー、あとは。」
 頼子、麗奈、そして頼子の頭に乗った白蛇ビェリーが椅子の影に椅子を落とす。

「私達は影に落とすグループです。」
 ドヤ顔で言う頼子。

「ふむ、ゴーレムは動きが遅い、十分対応できそうだな。」
 フムフムと頷くイルド、バンブとジャウは驚き戸惑う。

「親方、この魔法が有れば鉱石運びが楽ですね。」
「んむぅ、嬢ちゃんここで働かないか?」
 バンブが言うとイルドは頼子に声を掛ける。

「えぇ!?それは困るぅ。」
「そうか、残念だな、ドワーフは魔法が得意ではない、使える者も居ないだろうな。」
「へぇ、ドワーフさんって魔法使い居ないんですか?」
「しらんな、それじゃ案内する、着いて来い。」
 イルドはそう言うと部屋を出る。

「親方がすみません。」
 ジャウはイルドのぶっきらぼうな言い方を謝罪する。

「え?全然大丈夫ですよ?優しそうなお爺ちゃんって感じですし。」
 千春はそう答えると、ジャウも安心したように笑みを浮かべ外へ促す、そして坑道の前に移動した。

「それじゃ入る、足元も暗い、気を付けて歩けよ。」
「「「「「「はーい。」」」」」」
 JK達は遠足気分で返事をし後ろを着いて行く。

「遠いんですか?」
「そうでもない、30分ほど歩けば着く。」
「・・・遠いな。」
 時間を聞きポツリと呟く千春達、暫く歩いていると格子の扉が見える。

「これで下に移動する。」
「エレベーター?」
「電動・・・って事無いよね。」
 全員入れない為二手に分かれると、千春達は乗り込む。

「このレバーを回すんだ。」
 イルドはゴンドラについたレバーを手に取る、そしてグルグルと力を入れまわすとゴンドラが下がりだした。

「おぉ・・・まさかの手動!」
 無言でゴリゴリ回すイルド。

「イルドさん私やっていいですか?」
 青空がイルドに声を掛ける。

「嬢ちゃんにはキツイぞ?」
「大丈夫です!」
 イルドは青空に変わると青空はぐっと力を入れる。

「ふん!!!」
「・・・動かないじゃん。」
「重たい!」
「だから言ったんだ、ほれ変われ。」
「ちょっとまってくださいね・・・はっぁ!!!」
 青空は魔力を解放すると再度力を入れる、するとゴリゴリと動き出す。

「ほぉ?魔法か?」
「き・・・ん・・・りょく・・・ま・・・ほうですぅぅぅぅ。」
 身体強化をしてもキツイようで、レバーを回しながら答える青空、そして大愛や日葵も手伝い一緒にレバーを回しているとエレベーターが止まった。

「次が来るまで待つぞ。」
「はーい。」
「ソラ達大丈夫?」
「はぁはぁはぁ・・・ドワーフすげぇ。」
「これは・・・キツイ!」
「これ・・・魔法で・・・どうにかなんないかな。」
 青空、大愛、日葵は、ハァハァと息を切らしながら言う。

「お父さんの開発してる魔導モーターで作れそうだよね。」
「あーアレね、うちのお父さんも言ってたわ、バイク作れないかって。」
「また、異世界文化ぶっ壊してるなぁ。」
 千春が言うと頼子と美桜も頷く、そして次のエレベーターが降りて来る。

「ふむぅ、これは中々キツイのう。」
 ロイロは腕をグルグルと回しながらエレベーターから降りて来る。

「あ、ロイロ回した?」
「うむ、面白いのぅ、しかし毎回これは面倒じゃな。」
「うん、今それ話してたんだよ。」
 皆が揃いイルドが先を促す、そして暫く歩いているとルプ、ビェリー、コンが反応する。

「なんかおるばい。」
「あぁ居るな。」
「臭いもしますね。」
「イルド殿、この先に魔物はおるのか?」
 ロイロが問いかけるとイルドが答える。

「いや・・・この先は集積所と分岐が有るだけで生き物は居ない。」
 イルドは眉間に皺を寄せる、そして先頭をルプ達が歩き、後ろに続く面々。

「やっぱおるね。」
「5匹か?」
「みたいですね。」
「ゴーレムや無いばい?」
「ゴーレムはいるか?」
 ルプはロイロを見る。

「いや、魔法感知では魔力の数とその気配で数が合うんじゃが、以前のダンジョンで見たゴーレムの反応はまだ無いのぅ。」
「ま、ゴーレムやないならわっちらでけちらしゃよかろうもん。」
「そうだな。」
 ロイロの返答を聞くが、先を進むのには変わらないと、ペット達はまた歩き出す、そして少し開けた場所に到着した。

「ココが集積所だ、掘った鉱石を一度集め運び出す。」
 レールが敷かれトロッコの上には鉱石が積まれている。

「おー!トロッコだ!」
「アレ乗れないかな。」
「レナ乗りたいん?」
「ほら!映画でもあんじゃん?」
「あー、暴走して溶岩に落ちたりな。」
「いや、溶岩はいらん。」
「でも動力無いし坂道ないけど?」
「そこは人力で!」
「誰が押すんよ。」
 トロッコで盛り上がるJK達、ルプは一つの坑道を見つめる。

「あそこだな。」
「あっちも気付いたばい。」
「近寄ってますね。」
 気付けばロイロが結界を皆に張り警戒をしていた。

「ロイロ殿、ココは自分が。」
「エーデルは皆を守っておれ、儂らが相手をする、まぁルプだけでも余裕じゃろうがな。」
 腰に手を当て坑道を見つめるロイロ、そして坑道から黒く大きな蟻が現れた。

「ありんこだ!!」
「いやいやいや、デカすぎでしょ!」
「ゴキよりマシじゃね?」
「でも大型犬サイズの蟻ってどうなんよ。」
「アリって確か酸あるよね。」
「あーあー、ギ酸だっけ?」
「それそれ~。」
 暢気に蟻の話をするJK、ドワーフ達は肩に抱えた斧を手に取る。

「イルド殿、ココはルプ達に任せて大丈夫ですから。」
 エンハルトはイルドに言うと同時に、ルプ達は蟻に向かって走り出した。


---------------


「アイトネ様、楽しんでって言いましたけど大丈夫ですか。」
 春恵はお茶を飲みながらアイトネに問いかける。

『大丈夫よ、今の所ちゃんと目的地に向かってるから。』
「でもまさか虫のダンジョンと繋がるなんて。」
『ね、でもチハルの大嫌いな・・・ゴキだっけ?アレは居ないわよ。』
「昔からあれだけは大嫌いでしたね。」
 小さな頃にGを見てギャン泣きした千春を思い出す春恵。

「でも虫がまさかダンジョンマスターしてるなんて、しかもあのボスって魔法使えますよね?」
『あら、こっちの世界じゃ植物も話し出来るし魔法も使うわよ?虫だって使える者も居るわ。』
「はぁ、流石異世界ですね~、坑道を深く掘りすぎたのかしら。」
『それも有るでしょうけど、あの蟻がダンジョンを広げ過ぎたのが原因でしょうね。』
「ダンジョンコアは・・・10km以上先!?」
『それくらい先ね。』
 気楽に言うアイトネ、春恵は少し心配そうに千春達を覗き溜息を吐いた。



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