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千春おこられる!

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 エンハルトは千春の部屋へ向かう、帰って来た知らせを聞いたのだ。

コンコン

「はーい。」
 扉が開く、エンハルトは扉を開けたモリアンに声をかけた。

「チハルは?」
「え~っと。」
 モリアンはエンハルトを中に招くと扉を閉めた。

「・・・ごめんなさい。」
 千春は何故か正座をしていた、そして仁王立ちで千春を見るサフィーナ、ソファーにはマルグリットとアルデアが座り、テーブルの方には頼子とロイロが座っていた。

「ルプさんも見つけたのでしたら横で護衛しても良かったのでは?」
「・・・いや、楽しそうだったからな。」
「隣に居ても楽しめたでしょう。」
「・・・ごめんなさい。」
 ルプは千春の横でお座りしたまま頭を下げる。

「サフィーナ、もうそれくらいにしてあげなさい。」
 マルグリットは苦笑しながらサフィーナに言う。

「ルプが直ぐに見つけてロイロも一緒に見ていたのでしょう?」
 マルグリットはロイロを見る。

「勿論じゃ。」
「あぁ、千春の友達が居る館に入る所からな。」
 2人はそう言うと、サフィーナは溜息を吐く。

「ハルト殿下。」
「ん、あぁ。」
 サフィーナはエンハルトを見ると声を掛ける。

「あー・・・小言の一つでも言おうと思ったが・・・。」
 しょんぼりしている千春を見てエンハルトも苦笑いする。

「こってり絞られたみたいだな。」
 千春はエンハルトを見る、捨てられた犬のように。

「ヨリも来てたのか。」
「うん、さっき来たんだけど・・・。」
 頼子はスマホで千春の写真を撮りLIMEしていた。

「チハル。」
「はい・・・。」
「出かける時は連絡する。」
「はい・・・。」
「約束だろ?」
「・・・はい。」
「チハルを束縛するつもりは無いが心配させたらダメだぞ。」
「はいぃ。」
 散々サフィーナに言われたのか千春はまたしょんぼりする。

パンパンパン

「はい、コレでこの件は終わりよ、良いわねサフィーナ。」
 マルグリットが言うとサフィーナもコクリと頭を下げる。

コンコン。

「あら、誰かしら?」
「国王陛下の様です。」
 マルグリットの問いにサフィーナが気配で答える。

「もうそんな時間なの?」
 モリアンが扉を開けるとエイダン国王と宰相のルーカスが部屋に入って来る。

「おぉ・・・チハル、街は楽しかったか?」
 エイダンは笑いながら声を掛ける。

「はい・・・たのしかったですぅ。」
「はっはっは!こってり絞られたのぅ、儂も良く王宮から逃げ出したもんじゃ。」
 ゲラゲラ笑いながら言うエイダン、するとサフィーナとマルグリットが睨む。

「・・・うぉっほん、そろそろ来られるじゃろう?」
「えぇ、アイさんに頼んでますから。」
 マルグリットとエイダンは話す、千春は何の事か分からず首を傾げる。

「来るまでここで待たせてもらおう、チハルもこっちに来なさい。」
 エイダンは正座した千春をひょいっと持ち上げソファーに座らせ、自分もソファーに座る。

「お父様!?」
「やんちゃするのも良いが心配させたらダメだぞ?」
「はい・・・ここに誰が来るんですか?」
 千春が問いかけていると門の部屋が騒がしくなる。

「来たようじゃな。」
 モリアンが門の部屋の扉を開くとママさんズとパパさんズが入って来る。

「こんにちは。」
「久しぶりじゃな、イサム殿、ケイジ殿、カズヤ殿。」
「いらっしゃいトモミ、皆よく来たわね。」
 2人が声を掛けると後ろからアイトネも入って来る。

「アイさんありがとうございます。」
『構わないわよ~♪ウカちゃん達と一緒にお茶出来たし♪』
 アイトネは楽しそうに答える。

「・・・何?なんなんです?」
「お母さん、お父さんなにしてんの?」
 千春は意味が分からず、頼子も聞いてなかったのか智美に声をかける。

「お母さん達もこっちで仕事することにしたのよ。」
「「へ?」」
 千春と頼子が聞き返す。

「どどどどどどういう事?!?!」
 頼子は聞いていなかったのかさらに聞き返す。

「それは儂が説明した方がいいじゃろうな、イサム殿に一つ領を見てもらおうと思っておるのじゃ。」
「「はぁぁぁ!?」」
「お父さん日本の仕事は!?」
「辞めて来た。」
「えー!!!!どうすんの!?」
「大丈夫だ、宇迦之御魂様の経営する会社に就職したからな、向こうの生活は問題無いぞ。」
「千春聞いてた!?」
 頼子は千春を見ると、千春はブンブンと首を振る。

「・・・ミオママさん、ミオは知ってるの?」
「言って無いわよ。」
「レナママ・・・。」
「言って無いわねぇ。」
「マ!?皆呼ぶわ。」
 頼子はLIMEにポチポチ操作し連絡する。

「それでは皆様、こちらへ。」
 ルーカスはニッコリ微笑み扉を開ける。

「それでは儂も行ってくるかのぅ、アイトネ様ご足労お掛けして申し訳ありません。」
 エイダンは頭を下げ、パパさんズと部屋を出て行った。

「ハルト、知ってたの?」
「あぁ、計画は聞いていた。」
「くわしく。」
「話すと長くなる、それに皆も呼ぶんだろう?」
 エンハルトは頼子を見ると、頼子はウンウンウンウンと何度も頭を振る。

「皆が来てから説明するよ。」
「お願いします。」
「トモミ、それでは私の部屋に行きましょうか。」
「は~い♪皆行きましょう。」
 マルグリットは千春の頭を軽く撫でニッコリ微笑むと、ママさんズを連れて部屋を出て行った。

「・・・ダメ!やっぱ気になる!ざっくりで良いから教えて!」
 千春は先程まで落ち込んでいたのも忘れ、エンハルトに問い詰める。

「あー、簡単に言うと今ジブラロールの治安は良いだろう?」
「・・・うん、だから1人で遊べると思ったんだよね・・・ガッツリ怒られたけど。」
「それは立場的にチハルが1人だと心配だからだ、だが犯罪は物凄く減ったんだ。」
「なんで?」
「チハル達のお陰だな。」
 エンハルトは千春と頼子を見る、2人はハテ?と首を傾げる。

「ドラゴンの警備、軍隊蜂の巡回、妖精達がそれを聞いて直ぐに連絡が来る。」
「そう言えば妖精居たね。」
 街を楽しんだ千春が思い出す、リリ達以外の妖精が飛んでいたからだ。

「それからロイロが作り直した犯罪ギルド、名前は相変わらずだが中身は違う、人材派遣ギルドみたいな物だ。」
「へぇ・・・そうなんだ。」
「それからコウバンと言う詰所を設置した事も大きい、コレはタイキ殿の案だ。」
「・・・へぇ・・・で?」
「チハルの国の治安や法律をいくらか取り入れ街を運営するとどうなると思う?」
「さぁ、良い事もあれば悪い事も有るんじゃない?そもそも生活環境違うし。」
「あぁ、だが試してみたいと話が出てな、その試験的な事を近くの領都でやる。」
「それがうちのお父さん達?」
「そう言う事だ。」
 頼子が聞くとエンハルトは頷く。

「ウカ様の会社って何?」
 千春はしれっとお茶を飲んでいるアイトネに問いかける。

『向こうの管理者って人間の生活に溶け込んでいるのよ。』
「・・・答えになって無ーい。」
『簡単に言うと、ウカちゃんの会社の支店をこの世界で開くの。』
「それがヨリパパ達の仕事?」
『そう言う事。』
「でもあっちに帰ったりする時どうするの?私いつもいるわけじゃないよ?」
『それもちゃんと考えているわ、あの門は不安定でしょう。』
「不安定なの?」
『えぇ、魔力が切れれば閉じてしまう、チハルしか通れない、結界を張ってるけれど数人の魔導士で壊そうと思えば壊せるわ。』
「魔力崩壊して一帯が吹っ飛ぶらしいけどね。」
 アリンハンドの説明を思い出し呟く千春。

『それを私達が管理する事にしたの、その話をウカちゃんやアマちゃんに許可貰って来たわ。』
「へぇ・・・達ってアイトネとモートさんがやるの?」
『・・・んー、管理出来るようにお手伝いを1人雇ったのよ。』
「雇った?神様を?」
『そ、このタイミングで紹介するのも良いかもしれないわね。』
 アイトネはそう言うと目を瞑る。

「呼ぶの?」
『えぇ。』
 目を開けるアイトネはとても優しい目で千春を見る、そして。

「千春。」
 現れた女性は千春の前に立つと名前を呼ぶ、そして千春を抱きしめた。

「え?」
「大きくなったわね。」
 女性は声を震わせながら千春に言う。

「へ!?え!?・・・おかぁさん?」
「そうよ♪千春。」
 春恵は千春に答えもう一度抱きしめる。

「う・・・うぅぅ・・・うぁぁぁぁん!!!!!!」
 千春は声にならない声を上げながら力いっぱい春恵に抱き着いた。






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