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王女殿下専属侍女枠争奪戦!結果!

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「チハルちゃーん!!!」
「うわぁ!ビックリした!!!!」
 庭の扉を開けて声を掛けて来たのはルクレツィアだ。

「チハルちゃん!私も侍女にして!」
「へ?」
「ルクレツィアさん団の仕事あるんじゃないんです?」
 千春と頼子はルクレツィアを見る。

「チハルちゃんの侍女になったらルプ様とずっと一緒に!」
「俺は日本にも行くからずっとじゃねぇぞ?」
「えぇぇ!そんなぁ!」
「いやいや、侍女枠争奪戦今やってるからぁ。」
 千春は映像を見る。

「知ってるわよ、王宮内立ち入り禁止になってたもの、なんで団の者は参加出来ないのよ。」
「そんな事言われても・・・ねぇ?」
「ねぇって言われても・・・ねぇ?」
「私に振らないでよ・・・ねぇ?」
「え?・・・ねぇ?」
 千春は頼子に、頼子は美桜に、美桜は青空を見る。

「漫才かよ。」
 青空は呆れた顔で見る、そして映像ではまだ追いかけっこが続けられていた。

「お?他の人達もチラホラ見えるね。」
「追い詰められてきたかな?」
 ラルカを見ると耳をピコピコ動かし警戒している姿が見える、そして3ヶ所の映像がすべてラルカになる。

「おぉー、そろそろ決まるかー?」
「いやぁ、どうだろ、ラルカちゃんまだ余力有りそうじゃん。」
 部隊の者は肩で息をする者が見えるが、ラルカはまだ大丈夫そうだ。

「フアナが動いた!」
「早いなー。」
 フアナは地面を蹴り低い体勢でラルカに突っ込む、ラルカはバックステップで下がるがそこにはサビアが立っていた、そしてラルカは地面に足を叩きつける。

ドォォン!

「ひぇー、良い音出るねぇ。」
 千春の部屋まで聞こえる破壊音、映像には砂埃が舞っている。

「逃げたわね。」
 アルデアが状況を話す。

「逃げたかぁ。」
「えぇ、部隊の子達が騒いでるわ。」
 映像にラルカの姿は無い、そしてフアナ、サビア達も見当たらない。

「あら、蝙蝠もおいてきぼり?」
「みたいね、流石に追いつけなかったみたい。」
 アルデアが他の蝙蝠の状況を確認すると映像が変わる。

「居たわよ。」
 ラルカが走り抜け、その後ろにナッテリーが、そしてリンプもそれを追う。

「おー、ハルトの部隊もやるねー。」
 リンプとナッテリーは共同作戦なのかリンプが途中で道を変え消えた、しばらくナッテリーが追うと前からリンプが現れる、ラルカは急ブレーキをかけ地面が擦れる、そして後ろからナッテリーがタックルを掛け腰を掴む。

「捕まった!」
「流石に捕まるかー。」
「で、リボンはどっちが取るかな。」
 JK達が見守る中、ナッテリーに捕まったラルカにリンプが飛び掛かる、そして気を取られた瞬間ナッテリーがリボンを獲った。

「おー!ナッテリーちゃんゆうしょー!」
「凄かったねー。」
「って言うかこのメンバーでラルカもよく逃げれたねぇ。」
「これ反撃OKにしてたらまた結果変わってただろうね。」
「いや、流石にそれやると血見るよ?」
「「「「デスヨネー。」」」」
 決着がついたラルカ達は握手をしながらテクテク歩いて戻って来る。

「さ、中庭行こうかー。」
「ういーっす。」
 JK達は揃って部屋を出る、そして残念そうに集まる部隊の者達と一緒にラルカが現れる。

「つかまっちゃいましたぁ~。」
「お疲れ様、ラルカ見てたけど凄かったよ。」
「本当ですか!?」
「うん、凄かった。」
「キノコ売ってる兎獣人がここまで育つと思わなかったねぇ。」
「ホントそれ。」
 千春達はラルカに賞賛を送ると照れるラルカ。

「おっほん!それでは結果発表ー!勝者ナッテリー!」
 モリアンが言うと皆は恨めしそうにナッテリーを見る、ナッテリーはニッコニコでお辞儀をする。

「パンブル子爵家4女ナッテリーと申します、よろしくお願い致します!」
「あ、貴族なんだ。」
「部隊の者の半分以上は貴族令嬢ですよ。」
「そういや言ってたね。」
 ナッテリーが自己紹介をするとサフィーナが説明する。

「では第一回王女殿下専属侍女枠争奪戦終了です!」
「おつかれー、皆参加賞あるからもらってねー。」
 モリアンが閉会すると千春が皆に言う。

「参加賞?」
 フアナがコテンと首を傾げる。

「うん、ギョースーで買ったチェロスだよ。」
「ちぇろすですか?」
「そ、美味しいお菓子だよ。」
 お菓子と聞き皆の目が輝く。

「ルノアーさんに揚げてもらう様に言ってるから皆食堂に行って食べてね、大量に渡してるから食べ放題だよ。」
「千春、チェロス食べ放題とか胸やけしかしないんだけど。」
「胸やけする前に食べるのやめるっしょ?」
「そう思う?」
 頼子は食堂に向かう部隊の子達を見送りながら呟く。

「ヨリさん!」
「アリンさんお疲れ様でーす。」
「アリンどうしたの?」
「・・・どうしたも何も、壊した壁を修理しているんですよ。」
「あ~あ~・・・お疲れ様!」
「疲れましたよ、まだ終わってませんが。」
「あははは。」
「チハル、アハハじゃないだろ。」
「ハルトおっつー。」
「はぁ・・・まぁ予想通りではあったがな。」
 溜息を吐きながらも笑みをもらすエンハルト。

「まだやるんだろ?」
「普通の侍女杯あるよ。」
「怪我させるなよ?特殊部隊と違って全員貴族令嬢だからな。」
「それは大丈夫だよ、私達がボール投げて逃げ切るだけのゲームだから、私達のボールで怪我すると思う?」
「どんなボールを投げるんだ?」
 エンハルトが問いかけると千春は100均のドッジボールを取り出す。

「これだよ。」
 千春が渡すとエンハルトはボールをグニグニと押しつぶし地面に落とし跳ね返りを見る。

「凄いな、何で出来ているんだ?」
「ゴムだよ。」
「ゴムか、タイキ殿が探していた材料だな。」
「お父さんゴム探してるんだ。」
「似たような物は見つけているから開発中じゃないか?」
 ボールをテンテンと地面に落としながら話すエンハルトは壁に向かってボールを投げる。

バーン!!!!

「結構頑丈だな。」
 跳ね返って来たボールをそのまま取るエンハルト。

「ハルト凄いね、軽く投げたように見えたけど。」
「そうか?チハルはどれくらいで投げるんだ?」
「え、思いっ切り投げるよ。」
「投げてみてくれ。」
 エンハルトは千春にボールを渡すと、千春は大きく振りかぶりボールを壁に投げつける。

テーン!

「どや!」
「・・・アレで怪我をするようならしょうがないか。」
「でしょ。」
 ドヤ顔でエンハルトに答える千春。

「千春褒めてないからね?」
 頼子が笑いながら千春に言う。

「みんな同じくらいでしょ?」
「まぁね~。」
「ウチもそんなもんじゃん?」
「うん、ワンチャン私の方がショボい。」
「私は身体強化使って良いの?」
 青空がワクワクしながらボールをクレクレと手招きする。

「身体強化したらどれくらいの威力になるの?」
「わかんない、投げたことないから。」
「やってみてよ。」
 ボールを青空に渡すと青空は魔力を溜め体をめぐらす。

「いっきまーす!」
 がっちりとボールを握り振りかぶる青空、そして壁に向かって投げる。

ダーーーーン!

「おー!これはヤバいかも!」
「痛そう。」
「アレはとれないね。」
 戻って来たボールを拾い上げガッツポーズをする青空。

「身体強化は無しだねー、これは怪我しそう。」
「そうですかー?」
 千春が言うとモリアンが余裕そうに言う。

「ほぉ?モリーはアレがとれると?」
「とれますよ?」
「ほぉぉぉ?」
「チハルこのボールはまだ幾つもあるのか?」
「あるよん、5個買って来たから。」
「そうか、サフィー、このボールをモリーに全力で投げてみてくれ。」
「全力ですか?」
「あぁ全力でだ。」
「ちょー!!!!!っとまってーーーーー!!!!!」
「あらあら、モリ~♪びびっちゃってるぅ?」
「ソラさんのボールだったらです!サフィーのボールなんて無理に決まってます!」
「サフィーの投げたボールなんて見た事無いじゃん。」
「いえ、ボールではないですけど・・・物投げてる所は見た事ありますぅ。」
 怯えるモリアン、エンハルトはクックックと笑いサフィーナを見る、そして壁に投げるように言う。
 サフィーナはボールを受け取ると、10m程離れた壁を向く、そしてガシっと握ったボールを思いっきり壁に投げつける。

パァァァン!!!!!!!

「ビックリしたぁ!!!!」
「ひぇぇぇ。」
「ボールはじけ飛んだけど。」
 頼子達は目を見開き壁を見る。

「さぁ!次はモリーが的ね。」
「今の見ましたよね!?チハルさん!?」
「ん?ボールが弾け飛んだやつ?」
「はい!」
「・・・キノセイじゃん?」
「サフィーの投げるボールが当たると何処まで怪我するか見てみたかったが、想像はつくな。」
「ハルト殿下そんな実験に私使わないで下さい!」
「怪我してもチハルが治療するぞ?」
「いえ・・・怪我だけで済む未来は見えません。」
 モリアンはブルっと震える。

「さ、次は昼からだしお昼ご飯でも作りますかー。」
「何つくるんです?」
「ナッテリーちゃんの歓迎だからちょっと豪華に行きますかー。」
 そう言うと千春達はナッテリーを見る、ナッテリーはキョトンとした顔をしていたが、噂で聞く千春の料理と聞き嬉しそうに頷いた。

「よろしくお願いします!!!!」




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