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でっけぇカエルは美味かった!

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「チハル、街に行ってたのか?」
 エンハルトはアリンハンドと別荘の前で待っていた。

「うん、色々見てた、町長さん挨拶できた?」
「出来たぞ、湖の周りは第三騎士団が警備しているが気を付けてくれと言っていた。」
 千春はキョロキョロと見まわすと、数人の騎士が湖の周りを歩いている。

「カエルいる?」
「ココからは見えないな。」
「なんか夜ヤバいらしいよ。」
「鳴き声か、クラガン町長も言ってたな。」
「ルプ、音の結界とか出来ない?」
「俺は出来ないな。」
「儂が出来る、寝る前に掛けるとしようかのぅ。」
「サンキュ~ロイロ。」
 ユラとルペタ、彩葉と三珠が湖の近くで湖面を見ている。

「チハルおねえちゃん、あそこカエルいるー。」
「子供は食べられちゃうって言ってたから近寄っちゃダメだよ!」
「はーい!」
「はーい!」
 ユラとルペタはそう言うとちょこちょこと走り戻って来る、彩葉と三珠は湖面を見つめている。

「千春、ロボット出して。」
「ん?彩葉何するの?」
「カエルやっつけるわ。」
「えぇぇ、いいけど。」
 千春がアイテムボックスからメイド服を着せたロボメイドを出すと彩葉がロボットの中に入る。

「どうやって倒すの?」
「こう。」
 彩葉はロボットの腕を前に出すと、手首から先が勢いよく飛ぶ、手にはロープが付いており、水の中にそのまま突き刺さるように入りカエルを捕まえた。

「・・・獲れた。」
 彩葉の腕から出たロープはそのまま巻き上げられる、すると大型犬程のカエルが湖面に浮き上がる。

「でっかぁ!!!」
「きっも!」
「ちょ?毒あるんだよね?」
「ロボットだからそれは大丈夫っしょ。」
 そのまま巻き上げられるカエルは水面をバタバタと暴れるが、彩葉の手は離さない。

「イロハ、その体は耐電仕様か?」
「分らないわ、どうなの?ヨリ。」
「多分大丈夫だよ、ミスリルは電気通り難いって言ってたし。」
「カエルの動きを止める、雷当てるぞ。」
 ルプは彩葉の横で魔力を溜め電撃を当てる。

バチッ!!!!

「・・・浮いたね。」
 ルプの電撃で動かなくなったカエルは腹を上にしたままピクピクと暴れるのをやめた。

「とったどー。」
 嬉しそうに言う彩葉、千春達は恐々カエルに近寄る。

「動かない?」
「ピクピクしてるけど・・・大丈夫だよね?」
「流石にアレ食らったら死ぬでしょ。」
 青空達も近寄りカエルをのぞき込む。

「鑑定!」
 おもむろに千春は鑑定を掛ける。

「・・・ヨリ、食べれるよコレ。」
「毒は?」
「この頬にある袋と背中の袋だって、皮剥いだら肉は美味・・・らしい、マジか。」
「本当なのか?チハル。」
「鑑定が嘘ついて無ければねー。」
「ふむ、皮を剥ぐんじゃな?」
 ロイロはドラゴンに変身するとカエルの後ろ脚を両手でつかみ引っ張る。

ベリッ、ベリベリベリ!

「・・・上手だねロイロ。」
『まぁのぅ、昔カエルは良く食べてたからのぅ。』
「そなの!?」
『ドラゴンに転生する前じゃがな。』
 器用に皮を剥いだカエルをプラプラとぶら下げ話すロイロ。

『で、どうするんじゃ?』
「んー、食べるつもりは無かったけど、調理してみるかぁ、サフィー、テーブル出して。」
 千春は後ろにいたサフィーナに向き直り声を掛けるとサフィーナは後ろを向いていた。

「サフィー?」
「・・・はい、テーブルですね。」
 サフィーナは後ろを向いたままアイテムボックスからテーブルを出す。

「サフィーカエルダメだったか。」
「・・・無理ですね。」
「えー?サフィー、カエルかわいいですよぉ?」
「可愛いと思う人は見たらいいんです、モリー、チハルのお手伝いしてあげて。」
「了解でっす!」
 ロイロが大きなカエルをテーブルの上に置く。

「うん、キモイ。」
「チハルこれ捌けるの?」
「ミオやってみる?」
「ヤダ!」
「レナは?」
「やってみますかね~♪」
 意外にも麗奈は平然と包丁を手に取る。

「よし、私もやってみるかな。」
 千春は足の関節部分にナイフを入れる。

「うん、見た目鶏肉だね。」
「だねぇ、何の料理にする?」
「そうだねぇ、鶏肉っぽいし唐揚げにでもするか。」
「ココの名物になった照り焼きは?」
「ん、それも有りか。」
 千春と麗奈がカエルを解体し、切り分けた肉を頼子達が唐揚げのサイズに切り分ける。

「ヨリ、ちょっと脂っぽいし匂い気になりそうだからニンニクと生姜多めに。」
「うぃっす、ほんとちょっと脂っぽいね。」
「料理酒も入れて30分くらい漬け込んでおいて。」
「りょうかーい。」
「照り焼きの方はどうする?」
「酒と酢に浸けこんでマヨネーズを塗り込んで。」
「了解。」
 美桜は照り焼き用の肉に調味料を擦り込む。

「しかしデカいな!」
「コレが数百匹いるんだよね。」
「美味しければ食べ放題じゃのう。」
「今これ捨ててるんだよね?」
 少し離れた所で見ていたユーリンに問いかける。

「う、うん、捨ててる。」
「チハルちゃん大丈夫なの?」
「鑑定で食べれるって出たから大丈夫だよ、料理してもう一度鑑定するし。」
「このカエル駆逐出来るの?」
「ある程度は減らせるよ、ただ一度ここまで増えると中々減らないらしいんだよね。」
 千春と頼子の質問に答えるユーリン、そして解体が終わり、調味料を浸け込んだ肉を調理する。

「まずは唐揚げねー。」
「油の準備は出来てるわよ。」
「さんきゅ~サフィー。」
 菜箸を入れ温度を測る、そしていい具合の温度を確認すると、片栗粉を付けた肉を放り込む。

ジュワァァァ

「大き目なのと小さ目なのを取り敢えず作ろう。」
「なんで?」
「大きいとジューシーだけど肉の匂いが出るんだよ。」
「あ~、臭味あるかもだもんね。」
「そういうこと~。」
 油に入れた肉を菜箸でコロコロと転がしながら話す千春と頼子。

「チハルー、こっち照り焼きつくるよー。」
「ほーい、おねがーい。」
 美桜は慣れた手付きでフライパンに肉を入れる。

「タレ作るねー。」
 美桜の横で照り焼きソースを作る麗奈、青空達も聞きながら手伝う。

「千春、また来たわよカエル。」
「獲るにゃ?」
「えぇ~、このカエルだけでも食べきれないんだけど。」
「チハルちゃん、ギルドに持って行けばお金になるよ?」
「お金は別にいらないんだよなぁ。」
 ユーリンに言われ千春は答える。

「どのみち討伐するんじゃろ、彩葉ヤって良いぞ。」
「はーい。」
 先ほどと同じ様に手を飛ばし水中で捕まえる、そして次はロイロが電撃を当てる。

「とったどー!」
「とったにゃー!」
「皮を剥ぐぞ。」
 ロイロはまたカエルの皮をバリバリと剥していく。

「わっちが影に入れとくばい。」
「肉が傷むじゃろ、アイテムボックスの方がよくないか?」
「ばってんサフィーがアレばい?」
 サフィーナを見ると目をそらし背中を向ける。

「私が入れておくよー。」
 ユーリンはロイロの持つカエルの下にアイテムボックスを開ける、ロイロはそのまま手を離しアイテムボックスに入れる。

「鑑定!・・・問題無いね、はーい唐揚げ味見する人ー。」
「はーい!」
「はいにゃー!」
「俺も食べてみたいぞ。」
「儂も頂くかの。」
 ペット達はカエルの肉に忌避感が無いのか嬉しそうに千春の所に来る。

「はい、それじゃ捕まえた彩葉が一番ね、三珠に食べさせるよ。」
「うん、お願い、」
「いただきますにゃー。」
「熱いから気をつけなー。」
 皿に乗せ三珠に唐揚げを渡すと、パクリと口に入れモグモグと食べる。

「う・・・。」
「お?大丈夫?」
「うみゃいにゃー!」
「おいしー!」
「どれどれ。」
 千春も小さめの唐揚げを口に入れる。

「・・・美味いな。」
「千春、あーん。」
「ほい。」
「・・・うん、鶏より柔らかい、でも脂がちょっと独特な感じ。」
「だねぇ、でも悪くは無いね。」
 味見をすると油を切りルプやロイロ達にも食べさせる。

「うむ、美味いのぅ。」
「美味いな。」
「コレは捨てておるんじゃよな?」
「らしいな。」
「・・・もっと狩るか。」
「アリだな。」
「わっちが片っ端から影にいれてくるばい!?」
「手伝うわー!」
「手伝うにゃー!」
「まてーい!ルプ達もコレ食べてからにしなー。」
「そうだよ、まだ照り焼きも食べてないっしょー?」
「そうじゃった!」
「おっと、そうだな。」
「忘れとったばい。」
 そう言うとテーブルに座り出来上がるのを待つペット達。

「チハル、俺も良いか?」
「私も頂いて宜しいですか?」
「ほい、ハルトとアリンの分。」
 小皿に乗せると手渡す、2人は唐揚げを摘まみ一口食べる。

「悪くないな。」
「悪いどころか美味しいですよ。」
「アリンさん臭味とか気にならない?」
「全然気になりませんね。」
「・・・チハル、これを冒険者ギルドと町長に食わせても良いか?」
「いいよーん、みんなが食べ終わってからで良い?」
「勿論、残り物で構わない。」
「・・・めっちゃ残るよ多分。」
 千春は山盛りになった肉を見ながら呟いた。





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