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飛行島稼働する!

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「千春そろそろ時間よ?」
「おぉっとぉ、ヨリ、行くよー。」
「ほいほーい。」
 千春と頼子は箒を片手に庭に出る、勿論サフィーナやモリアン、サリナ達も一緒だ。

「飛行島か?」
「そ、ルプも行く?」
「千春が行くなら行くに決まってるだろ。」
 フッと笑みを浮かべルプも庭に出る。

「千春私も行きたい。」
「吾輩も行くにゃ。」
 珍しく部屋でゴロゴロしていた日本人形の彩葉と猫又三珠も庭に出る。

「イロハ乗る?」
「ミタマに乗っていくから大丈夫。」
 三珠はルプ程の大きさになると地面を蹴る、するとルプと同じ様に空中を蹴り空を走る。

「へぇ、ルプが教えたの?」
「あぁ、街までが遠いと言っていたからな。」
「わっちは無理なんよねー。」
「足がねぇからなぁビェリーは。」
 ビェリーはルプの頭に乗るとルプも地面を蹴る、そして三珠と一緒に空を駆ける。

「それじゃシュッパーツ!」
「おー!」
 千春と頼子は箒に跨り地面を蹴ると、すい~~~っと空を飛び飛行島に向かった。


------------------


「見えた!人多いな!」
「おー、入居者?」
「さぁ?商業ギルドのギルマスに全部お任せしてるからねー。」
 千春達は飛行島の前に行くと地上へ降りる、地上には飛行島に乗り込む人達が次々とエスカレーターに乗り上っていた。

「チハル様!」
「あ、メイソンさんお疲れ様で~す。」
 商業ギルドのギルドマスター、メイソンが千春を見つけ声を掛ける。

「人いっぱいですねー。」
「それはそうでしょう、初めて飛行島が飛ぶのですよ。」
「まぁ私達は乗ったけど。」
「この島でまずはモート国、ブルーワグ国、そして魔国へ行きフリエンツ経由で戻ってきます、各地で商人が交易品を売り買いし、そして多くの国を安全に回れるのです。」
「すごいねぇ。」
「・・・チハル様の所有物でございますよ?」
「らしいねぇ。」
 千春は他人事の様に話す、その間にも次々と商人が荷物を運び入れ、人も乗り込む。

「住人はどうなりました?」
「はい、この旅の期間に世話をする人員、そして宿の管理、食事の管理をする者は商業ギルドの審査が通った者が入っております。」
「そりゃそうかー、飛んで行くとは言え数週間かかるもんね。」
「モート国までは2日間、ブルーワグは数時間、その後2日かけ魔国へ行きます、途中フリエンツに寄りますが帰路になります、各国で2日~3日の滞在になりますので戻るのは遅くても2小月で御座います。」
「千春、小月って10日だよね。」
「うん、20日くらいで帰って来るみたいだね。」
「こんなに人が移動かぁ、凄いなぁ。」
「凄いどころではありませんよヨリ様、旧帝国、今のモート国までは馬車で2か月は掛かります、それが2日で到着するのです、しかも今回は竜騎士団が2人護衛に付きます。」
「千春、馬車って時速何キロ?」
「前調べたら時速10㎞~15㎞だったよ、長旅だとゆっくりらしいから10㎞計算だね。」
「10㎞かける24時間で240㎞?」
「いや、それやると馬が死んじゃう。」
「あ、そっか。」
 頼子はスマホの電卓をポチポチと押す。

「休憩とかあるし野営準備もあるから平均10時間くらいだったかな?」
「はい、概ねその通りで御座います。」
「それじゃ1日100㎞かー、60日って事は6000㎞!?」
「ヨリ様、各地で仕事もします、移動は8割ほどで御座いますよ。」
 メイソンはニコニコと説明をする。

「それでも4800㎞かー結構あんね。」
「2日で行くって事は時速100㎞?」
「あれ?もっと早かった気がするけど。」
 千春は首を傾げる。

「ロボ君様曰く一番魔力効率の良い速度だそうで御座います。」
「へー、まぁこの島24時間飛べるからねぇ。」
「そういやロボ君寝ないもんね。」
「はい、飛行島の監視は完璧だと、ロボ君様より竜騎士団へ連絡できる魔石も渡されております、何か有れば直ぐに動けると。」
「おーばっちしじゃん。」
「やべぇ私も行きたくなってきた。」
「行けるよ?ヨリも行く?」
「へ?」
「ルルが管制室の所にフェアリーリング作ったらしいから来れるよ。」
「・・・ズルいなそれ!」
「便利って言うんだよーだ。」
 アハハハと笑いながら千春は答える。

「メイソンさん飛行島入って良い?」
「勿論です、チハル様は誰にも許可取らず入られてください、チハル様の所有なのですから。」
「あ、そうだった、すぐ忘れるわ。」
 千春は下から見上げ、巨大な岩の塊に見える飛行島を見る。

「それじゃ飛んで行こう。」
 箒に跨ると皆も同じ様に飛んで移動し飛行島の上に行く。

「うおー!すげー!街出来てる!!!」
「千春見てなかったの?」
「・・・うん。」
『マスターイラッシャイマセ。』
 テールカに貰った通信機の玉から声が聞こえる。

「ロボ君やっほー、順調?」
『ハイ、完璧デゴザイマス。』
「そっち行くねー。」
『了解シマシタ。』
 通信を切ると千春は管制室の方へ飛ぶ、森に囲まれていた管制室は綺麗に舗装され建物も綺麗になっていた。

「おおー、これ生活出来そうだね。」
 外見はちょっとした貴族の屋敷の様に大きく、そして塀に囲まれ門も付けられていた。

「これチハルの屋敷よ?」
 サフィーナはポツリと呟く。

「え?そうなの?」
「えぇ、チハルが飛行島でお出かけする時に泊る場所が居るでしょう?」
「宿あるって・・・。」
「チハルが宿に泊まってどうするの、ちゃんと中も住めるようにしてあるわよ。」
「サフィー見た事あるの?」
「勿論です、私がすべてデザインしました、厨房は特にね。」
 ニッコリと言うよりもニヤリと言う様な笑みを浮かべるサフィーナ。

「中入ろう!」
「おー!」
 千春と頼子は扉を開けると、大きなロビーが広がる。

「すっげぇ!」
「何これ・・・。」
「この中央に何か飾りたいのですが、チハル何か無い?」
 広いフロアーの中央を指さしサフィーナが言う。

「・・・考えとく。」
「千春!こっちの部屋も凄い!」
 頼子は手当たり次第に扉を開く。

「その部屋は一般応接間、そちらは貴族用の応接間ですね。」
「・・・分けてんだ。」
「当たり前ですよ。」
 てくてくと屋敷を歩きモリアンも楽しそうに頼子と扉を開ける。

「ココは?」
「客間ですね。」
「・・・客間豪華すぎない?」
「王女殿下の屋敷ですよ?これくらい必要です。」
「はーい!サフィーさーん!」
 千春はサフィーナに手を上げて問いかける。

「はい、何です?」
「この建物のお金は何処から!?」
「商業ギルドですよ。」
「へ?こんなに凄いの建ててもらったの?」
「正確に言うとこの島の使用料から引かれて行きます、多分この一度の旅で回収出来ると思いますよ。」
「はぁ!?一度の旅で屋敷フル装備で建つの!?」
「それはそうでしょう、これだけの人数の荷物を他国に運び、さらにそこで買った交易品を乗せ次の国へ、旧帝国までの2か月掛かる移動費用や護衛代、宿泊日や食事、馬や馬車の手入れ、その他もろもろが2日で安全に出来るんですよ?」
「・・・言ってる事は分かる・・・気がする。」
「うん、すっごいお金掛かるんだろうなとは思う。」
「はい、しかも竜騎士団、ドラゴンの護衛、そしてロボ君の結界、そして空と言う事で盗賊に会う事は皆無です、魔物は飛んで来るかもしれませんが。」
 サフィーナは淡々と答える。

「魔物来てもドラゴン2頭居るんだよね。」
「最強生物が2頭とか負けないじゃん。」
「そう言う事です、利を計算できる商人でしたらまず使いますね、高くても。」
 フンフンと頭を振る2人、モリアンは次の扉を開けると厨房だった。

「チハルさん!厨房です!綺麗です!」
「そりゃぁまだ使われてないだろうし綺麗だよー。」
 皆は厨房に入ると声を上げる。

「・・・すっげえぇぇ!!!!」
「なんじゃこりゃー!!!!」
 千春と頼子の驚きに、サフィーナは笑みを浮かべる。

「どう?」
「凄いわ!」
 王宮にある千春の厨房をさらにパワーアップしたような厨房に驚く。

「このオーブンって・・・。」
 頼子はオーブンを見て恐るおそるサフィーナを見る。

「はい、アイトネ様仕様のオーブンです。」
「えー!どうしたのコレ!作れたの!?」
「いえ?アイトネ様に作っていただきました。」
「どうやって?!」
「チハルが作って保管しているお菓子やお菓子やお菓子でお願いしました。」
「・・・自由にして良いって言ったけど、凄いなぁ。」
『マスター、厨房見学ガ終ワリマシタラ此方ヘ来テ頂ケルト・・・。』
「うぁあ!忘れてた!」
『大丈夫デスヨ?』
 ちょっとしょんぼりな声を聞き千春は厨房を出る、そして管制室に入る。

「やっほーチハルちゃん久しぶりー♪」
「テールカちゃんやほー、どう?王都の暮らし慣れた?」
「んー基本この島に居るから。」
「そっか、ロボ君お疲れ様。」
『ワレ疲レマセンノデ。』
「挨拶みたいなもんだよ、テールカちゃんも移動するの?」
 一つ目で青い肌の女性、キュクロープス族のテールカに千春は問いかける。

「えぇ、飛んでても着陸してても生活は変わらないもの。」
 不便そうな雰囲気も無く飄々と答えるテールカ。

「テールカちゃんまだあそこに住んでるの?」
「いえ?この屋敷に部屋を作ってもらったの、チハルちゃんが居ない時は私が管理してるから安心してね。」
「おー、助かる、って言うか私が泊る事あるのかな。」
「泊ってよ、たまにはお話したいわ。」
「王宮来ればいいのに。」
「この見た目でしょう?憚るわよ。」
「だから王都にあまり行かないの?」
「そんなことは無いわよ、私が行っても初めての人は驚くけれど、直ぐに普通に対応してくれるわ、逆に私がビックリするくらいよ。」
 大きな一つ目を開き笑みを浮かべるテールカ。

「そっか、それなら良いや、それじゃ管理の方お願いね。」
「了解したわ。」
『オマカセクダサイ。』
「あ、多分あとで遊びに来るから。」
 管制室の横に設置されているフェアリーリングを見ながら言う千春、そして皆は一度王宮へ帰った。




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