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贅沢病!

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「病が広がってる?」
 頼子はアリンハンドの執務室で話をしていた。

「はい、南、ヤバーツから西に向かった農村で病が広がっています。」
「感染するの?」
「広まっていると言う事はそうなのでしょう。」
「どんな症状なの?」
「分っている事は眠れなくなり手足が痺れ歩けなくなると、そして食事が出来なくなり・・・。」
「ん~~~~~~、ん?ちょっと待ってね。」
 頼子はスマホを触ると検索する。

「ん?自律神経失調症?」
「何ですか?それは。」
「んー、ストレスから出る病気なんだけど、複数人出てるんだよね?」
「はい。」
「最近その村で変わった事ある?」
「変わったとは聞いてませんが。」
「ふむ、感染症っぽい感じでは無いけど、症状はそれだけ?」
「はい。」
「見た目に何か有ったり高熱が出たりとかは?」
「衰えて行くとしか聞いてません。」
 フムフムと頼子はそのままスマホで検索する。

「・・・食生活かなぁ、その村の主食は何とか分かる?」
「穀物だと、しかし今までと同じ生活のはずなので。」
「ん~、病人を隔離してる感じ?」
「はい、しかし次々と動けなくなる者が増え、収容出来ないようです。」
「マジか、アイトネ様なら分かるかな。」
『呼んだー?』
「呼ぶところでした、アイトネ様南西の村の病気って何か分かります?」
『ん~・・・、ココねぇ・・・、あら栄養失調ね。」
「へ?栄養失調!?アリンさんその村ご飯ないの!?」
「そんな事は有りません、あの農村で作っている米は王都に運ばれています、十分な蓄えもあると聞いていますから。」
「えー?どういう事?アイトネ様どういう事です?!」
 意味が分からず頼子はアイトネに問いかける。

『え~っとねぇ、栄養が偏っちゃってるのよ、私は直接助ける事は出来ないわ。』
「ですよねー、ヒントは!?」
『ヨリの世界の病名を教えるわ。』
「お願いします!」
『カッケよ』
「・・・脚気?」
「なんですか?カッケとは。」
「んっとねぇ・・・。」
 頼子は直ぐに脚気で検索する。

「ビタミンB1不足・・・米食べてるんだよね?・・・米、脚気・・・あー!!!!!!」
 頼子は検索してHITした項目を読む。

「だぁぁあ!白米にするとビタミンB1が減って脚気になるって書いてる!」
「え?もしかして。」
「うん!私達が白米の事教えちゃったから玄米で食べなくなってビタミン不足になってる!」
「えー!そんな事があるんですか!?」
「うん、日本でも昔の人は白米を食べる様になって贅沢病になったって書いてる。」
「対策は?」
「ビタミンB1を取る事だね、えーっと柑橘類、肉なら豚肉、こっちだとオークか猪かな?あとは赤身の肉、あとは米を白米じゃなく玄米で食べたり豆類も有りだね。」
「ちょっと待ってください、メモします!」
 アリンハンドは直ぐにメモを取る。

「アイトネ様有難うございます。」
『どうしたしまして、美味しい物を食べただけで病気なんて人間は大変ねぇ。』
「バランスよく食べないとダメですねー、千春はそう言う所はしっかり考えて作りますから。」
『美味しくてバランス良い食事、最高ねチハルって。』
「ほんとに、出来た子です・・・って今もヤバいんだよね?その村。」
「あ、はい、かなりの人数が病に伏せてます。」
「伝染病じゃないなら私達行っても良いよね?」
「え!?行くんですか!?」
「行くでしょ、大きな村じゃないんだよね?」
「はい。」
「どれくらいの人数が病気になってるか調べれます?」
「はい!直ぐに確認してきます!」
「私は千春の部屋に行くから確認お願い!」
 アリンハンドと頼子は立ち上がる。

「アイトネ様有難うございます、コレお礼なので食べてください。」
 頼子は影から筒に入ったポテトなチップスを取り出し渡す。

『有難う♪お礼にもう一つ教えてあげるわ、あの村で米のお酒も作り始めたの、アレも原因の一つよ。』
 そう言うと手を振りアイトネは消えた。

「・・・うわぁぁソレも私達が原因じゃぁぁぁん!!!!!」
 頼子は叫びながら走って千春の部屋に移動した。


----------------------


「えー!マジでー!?」
「マジ、大マジ、アイトネ様に確認済。」
「アイトネが言うなら間違いないね。」
 千春はそう言うと脚気を調べる。

「ほんとだ、白米にして脚気にって出るわ、えー!明治時代は1年で2万5千人死んでる!?」
「ヤバいね、コレは食事改善の勉強させないと。」
「うん、白米ってもう王都でも食べられるようになったし、私達が広めちゃったからね。」
 2人はそう言うとスマホで検索し画面を見つめる。

「うん、取り敢えずビタミンB1のサプリ買って来よう。」
「私も行くわ。」
「いや、ヨリはアリンが来るの待ってて、私が行ってくる。」
「ビェリー荷物持ちで付いて行って!」
「まかせり!」
 千春はビェリーを頭に乗せると日本に戻り、ドラッグストアーへ走って行った。


----------------------


「ヨリさん!確認しました!」
「おかえりアリンさん、どうでした?」
「はい、村の人口は400人程、現在50人程症状が出ているとの事です。」
「多いな!でも今からまだ増えるかもしれないね。」
「はい、同じような食生活をしているのであればこれからも増えるでしょう。」
「原因は分かったし、今千春がサプリ買いに言ったから。」
「さぷりですか?」
「うん、不足している原因の栄養剤、ビタミンB1なんだけどそれを摂れる薬みたいな物だよ。」
「それは凄いですね。」
「村に行くのは可能?」
「はい、今宰相様に話をしました、うつる事が無いのであれば許可と言う事です。」
「うん、アイトネ様にも確認したしそれは大丈夫。」
 頼子とアリンハンドが話をしているとロイロが戻って来る。

「ヨリ、何が有った?チハルが焦っておったが。」
「ロイロちゃん、近くの村で病気が流行ってて、その原因が私達だったの。」
「む?どういう事じゃ?」
 ロイロは首を傾げる、頼子は脚気の説明をする。

「ふむ、それは・・・うーむ、チハルやヨリが原因と言うのも、いや、うーむ、言われればそうかもしれぬが。」
「日本じゃ治せる病気だし原因も分かってるから、サプリ持って今から行きたいんだよ、千春は今ドラッグストアーに買いに行ってる。」
「ふむ、急ぎで行くのか?」
「モチ!」
「よし、ドラゴンを数頭呼んでおこう。」
「ありがとうロイロちゃん!」
「ロイロさん、私達も行きますから。」
 サフィーナは出かける準備を終わらせロイロに言う。

「うむ、1人1頭付けて最速で行くとしよう、待っておれ。」
 ロイロはそう言うとドラゴンに変化し、竜騎士団の厩舎へ飛んで行った。








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