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魔国で天ぷらうっどーん!

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「天ぷらうどん・・・。」
 ティスケリーは天丼とは違う料理を呟く。

「かき揚げうどんも良いよね。」
「いいよね、ふわふわになった衣が美味しいよね。」
 湯船に浸かりながら話す大愛と日葵。

「魔国でうどん作るの?」
「いやぁ、遅めのお昼と言うかかなり早い晩御飯食べたんだよねぇ。」
 ティスケリーに言われ千春は答える、3時のおやつと言うには重すぎるチーズ料理を堪能し過ぎてお腹は空いていなかった。

「そう・・・。」
 あからさまにしょんぼりするティスケリー、マリーナもクスクス笑っている。

「ティス、あなたさっき天丼食べたでしょう。」
「天ぷらは別腹よ。」
「意味がわからないわ。」
 呆れるマリーナ、すると頼子が呟く。

「魔法ブッパしたらお腹減るんじゃね?」
「そう言えばそんな設定だったね。」
「設定言うなし。」
「異世界よーわからん。」
「謎仕様なんだよなぁ、魔力って。」
 頼子の発言に美桜、麗奈、青空達も話す。

「しゃーない、天ぷら作るかぁ!」
「やったぁ!チハルさん大好き!」
 ティスケリーは大きな胸を千春に押し付けながら抱きつく。

「魔法ブッパは良いけど、うどんジブラロールで作んの?」
「どうせなら魔国で作る?材料はもう揃ってるし。」
「マリーナ、魔国に行きましょう。」
「そうねぇ、フェアリーリングで行くとして魔国ならジブラロールより近いし帰りは早いわね。」
「そうなの?」
「えぇ、魔国は貿易もしてるもの。」
「そんな事言ってたなぁ。」
 魔王の言葉を思い出す千春。

「問題は荷物と他の者達ね、大人数は運べないでしょ?」
「荷物は影に入れますよ、多いならビェリーも居ますし。」
「人員は・・・アイテムボックスにぶち込む?」
「チハル、それは流石にちょっと。」
 サフィーナは千春に突っ込む。

「ルルに手伝ってもらえば大丈夫よ?」
 リリは小さな体を湯船に沈めながら言う。

「ルルが居たね、ユラも連れてくか。」
「イーナにユラ呼んでもらうわよ。」
 千春が呟くとアルデアがイーナに連絡すると答える。

「イーナどこ居るの?」
「ユラと一緒にいるわ。」
「仲良いねぇ。」
「精神年齢が近いのよ、イーナを作ったのはかなり前だけど人との交流してなかったし。」
『私が送ればいいじゃない。』
「アイトネの送ってもらえば早いか・・・でもユラも連れて行きたいしフェアリーリング使おう。」
「そうね、イーナに連絡するわね。」
 アルデアはそう言うと目を閉じた、そして温泉から上がり一度王宮へ戻る事にした。


-----------------


 訓練所に行き魔法乱舞で腹を減らすJK軍団。

「やってるなぁ。」
 様子を見に来たエンハルトは苦笑いしながら千春に声を掛ける。

「ハルト!おつかれー。」
「魔国はどうだ?面白いか?」
「さぁ?」
「さぁって事は無いだろう。」
「だって魔王城でピザとかパン焼いてたし、観光は明日になったから。」
「・・・魔国まで行って何やってるんだチハルは。」
「・・・ほんとにね。」 
「魔王は女癖が悪いと聞いた、気をつけろよ?」
「それは大丈夫、指一本でも触れたらマリーナさんがしばき倒してお母様も暴れてアイトネが何するか分からないから。」
「別の意味で同情するな、魔王大丈夫か?」
「さぁ?」
 ケラケラ笑いながら美桜と麗奈の爆炎魔法を眺める2人、大愛と日葵はビェリーが作った岩の人形を切り刻んでいた、魔力がある程度減った所で皆が集まる。

「オッケー千春、いい感じに小腹すいた!」
「ウチもー、うどんくらいなら軽く食えるぜぇ!」
「はぁはぁはぁ、ぢがれだぁぁ。」
「ソラおつー。」
「身体強化だと魔力減らなくてキツい!」
「めっちゃ走り回ってたもんね。」
 ワイワイと部屋に戻るとマリーナとティスケリー、ユラも揃って待っていた。

「チハルおねえちゃん♪」
「いらっしゃいユラ、ルル、移動お願いね。」
「まっかせて!」
 ルルはクルクル飛び回りユラは千春に抱きつく。

「チハル、何か作るんですって?」
 マルグリットはユラと一緒に居たのか千春の部屋でマリーナ達と話をしていた。

「はい、天ぷらうどんですね。」
「・・・私も行っていいかしら?」
「いいんじゃ無いですか?魔王様が驚くと思いますけど。」
「メグ、体調は大丈夫?」
 アルデアは心配そうに問いかける。

「大丈夫よ、これでも3人産んでるのよ?それにアイさんの祝福も頂いてるわ。」
『見たところ安定してるわ、大丈夫よ。』
「アイトネ様が言われるなら大丈夫ね。」
「ありがとうアルデア。」
 マルグリットは心配するアルデアにお礼を言い微笑む。

「それじゃリリ、ルル、おねがーい。」
「はーい、順番にフェアリーリングに入ってー。」
 リリは皆に声を掛ける、次々と入る人達、マリーナの侍女や荷物持ち達も入るとリリとルルが一度消える。

「はい!ただいま!次はだーれー?」
 ルルは元気よく声を掛けると千春達が入る。

「それじゃハルトいってくんねー。」
「あぁ楽しんでくると良い。」
 千春が手を振るとエンハルトも軽く手を上げ笑みを浮かべる、そして千春の視界は魔王城になる。

「さぁて、魔王さんビックリするだろうねぇ。」
「するに決まってるだろう!!!!」
「うわぁ!魔王さん居たの!?」
「なんでこの女が!フリエンツの女王まで・・・どうなっているんだ。」
「この女とは失礼ね。」
「ホントね、教育が必要かしら?」
「・・・ようこそ魔王城へ。」
「最初からそう言えば良いのよ。」
 マルグリットが言うとマリーナも頷く。

「まぁまぁ魔王さん美味しい食事今から作りますから。」
「そうなのか!?それでは厨房へ行くとしよう!」
 機嫌が良くなった魔王は率先して厨房へ向かう、JK軍団はクスクスと笑いながら付いて行く。

「お前たちも来るのか?」
 魔王はマルグリット、マリーナ、ティスケリーに目線を向け言う。

「チハルの新しい食事を食べに来たんですもの、行くに決まってるでしょう。」
 ぶっきらぼうに言われマルグリットはフンっ!と鼻を鳴らし答える。

「まぁ良い、美味しい食事をするんだ、喧嘩するつもりはないからな。」
「そうね、喧嘩するとチハルが困るものね。」
 そう言うと千春が2人にニパッと笑う。

「食事は楽しくですよー。」
「チハルおねえちゃんのごはん食べたらたのしい!」
 ユラもニパッと笑い千春と手を繋ぎ付いて行く、そして厨房に到着するとJK達はエプロンを着ける。

「さ~て、うどんは茹でるだけ、汁は出来てる、天ぷら揚げるよー!」
「おー!」
「私エビ天揚げるわ。」
 頼子はサフィーナが出した食材を手に取ると、上手に殻を剥き背ワタを取っていく。

「ウチは衣の準備するねー、ダイアこのボウルに氷魔法お願い。」
「りょ~♪」
 美桜は大愛と衣づくりを始める、麗奈と日葵は野菜を刻み始める。

「食材は全部ジブラロール産で行くの?」
「うん、この厨房って肉ばっかりで野菜無いんだわ~。」
「了解、ニンジンと玉ねぎ?」
「うん、あとは海鮮入れよう。」
 それぞれ材料を準備するとサフィーナが油の温度を確認する。

「チハルもう油良さそうよ。」
「おっけ~、それじゃ揚げて行くよ~ん。」
 ジュワワワといい音を立て天ぷらを揚げる千春、横ではサフィーナも鍋を並べ揚げる。

「サフィーも上手になったねー。」
「チハルの侍女をしてると嫌でも覚えますからね。」
「ほんっと何でも出来るね、魚捌く以外。」
「・・・目がダメなのよねぇ。」
 嫌そうに呟くサフィーナ、そして材料を揃えた頼子達はうどんの方を準備する。

「おっけ、麺準備できたよー。」
「ほーい、それじゃ器に入れて天ぷらバンバン入れちゃってー。」
「ういーっす!」
 麺を入れ、ツユを入れ、天ぷらを乗せる作業を青空達が流れ作業でやると、モリアン達が運んで行く。

「はーい!お待たせしました!天ぷらうどんです!」
「美味しそう!!!!」
 ティスケリーは満面の笑みで器を受け取る。

「はい魔王様、うどんです・・・ニャー。」
「うむ、有難う猫。」
「猫じゃないですニャー、マクリです!ニャ!」
「お、おう、物怖じしない子だな、俺魔王だぞ?」
「チハル様の方が怖いです・・・ニャ?」
「・・・たしかに、怒らせたら怖そうだ。」
 何故かマクリと魔王は笑い合う、そして魔王はうどんを一本箸で掴み口に入れる。

「こ、これは・・・食べ難いな。」
「はい!魔王様レンゲですニャ。」
「どうやって使うのだ?」
「こうやるですニャ。」
 箸を器用に使い、マクリはレンゲにうどんを数本乗せ、その上に天ぷらを乗せる。

「こうやって口に入れるです・・・ニャ。」
「ありがとうマクリ。」
 お礼を言うと魔王は改めてうどんを口にする。

「美味い、チーズの料理と違い優しい感じがするな。」
「んー!天ぷら最高!」
「美味しいわね、汁を吸って柔らかくなった衣がまた美味しいわ。」
 魔王が言うとティスケリーとマリーナも頷く。

「どう?うちの娘の料理は。」
 マルグリットはドヤ顔で魔王に言う。

「うむ、文句なく最高だ。」
「フフッ、素直な魔王も悪くないわね。」
 過去の諍いを払拭し2人は笑みを浮かべると、チラリと千春を見る、そしてまたうどんを味わった。







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