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うどーん!

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「チハルさん何やってるんですか?」
 モリアンは向かい合って手を繋ぎ、足踏みする千春と頼子を見る。

「うどん作ってんだよー。」
「きついなコレ。」
「次かわるよー。」
 麗奈が手を挙げ美桜も一緒に代わると同じように足踏みする。

「一回折りたたむね。」
 千春はビニール袋を捲り生地を折っていく。

「良いよー。」
 ビニールを掛けると2人はまた生地を踏んでいく。

「コレは太ももに効く!」
「ダイエット!ダイエット!」
「良い有酸素運動になりそうだねぇ。」
 次の番を待つ青空も楽しそうに見ている。

「ミオ達終わったら生地寝させるよ。」
「うぃーっす。」
「チハルさん、コレもパンみたいに寝かせるんですか?」
「うん、小麦粉のグルテン君が成長するんだよ。」
「誰ですそれ?」
「こまけぇこたぁ良いのよ、そう書いてたんだから。」
 暫くふみふみすると千春は生地を丸めてラップをかける。

「はーいきゅぅけーい!」
「あー汗かいたわ。」
「足踏みしてるだけなのにね。」
 やってやったぜ!と言わんばかりの美桜と麗奈、皆は応接室に戻るとヴァンパイアのアルデア・ド・ルシーが庭に降りてきた。

「ごきげんようチハル。」
「いらっしゃいアルデア、そこ座ってて、次誰だっけ?」
「ほーい私だよー。」
 千春が言うと頼子が手を挙げる。

「何かしてたのかしら?」
「うん、うどん作ってたの。」
「うどん?」
「そ、小麦粉で作る麺、出来たら食べてね。」
「ありがとう。」
 ニッコリ微笑むと、アルデアはカプリと頼子の腕に噛み付く。

「チハル、生地どれくらい寝させるの?」
「レシピには1時間って書いてるけど、お店では一晩って書いてるね、コシが出るってさ。」
「まぁ試しだし1時間で良くね?」
「どれくらい変わるかは後日検証でコレは1時間で次行こう。」
 のんびりお茶をしながら時間を潰していると、魔族のラミ・レイジィがやってきた。

「お姉様!」
「何よラミ、用事?」
「一緒に行くって言いましたよね!」
「そうだったかしら?」
 血を飲み終わったアルデアはすまし顔で紅茶を飲む、ラミは膨れっ面だ。

「ラミちゃんもうどん出来たら食べる?」
「ちゃん付けしないで!あなたより年上なのよ!?わかってるの?チハルだぁぁだぁぁ嘘です!ちゃん付けで良いですチハルサマァ!」
 ラミが千春に物言いを付けているとアルデアが左手を鷲の足の様に変化させ顔面を鷲掴みにする。

「誰のおかげでジブラロールに滞在出来てるのかしらねぇ。」
「ぢはるざまのおかげでずぅ!」
「チハル、この子最近温泉饅頭とじぶらもんしか食べてないのよ。」
「えぇぇ、偏り過ぎじゃん?アルデアもう良いから離してあげなよ。」
 千春が言うとアルデアはポイッとラミを投げ捨てる。

「だって美味しい物食べた事無かったんですもの!」
「うどんも美味しいから食べてみなよ。」
「チハルがそう言うなr・・・チハル様がそう言われるなら!!!」
「あははは、ラミちゃん魔族だよね?」
「そうy、そうです!」
「アルデアも?」
「人間が分類している種族で言うならそうね。」
「魔国に住んでたの?」
「魔国の領土の一つに私の国があったわ、今は無いわよ。」
「そういえば言ってたね。」
 アルデアはなんでも無い様に言う、そしてラミとの出会いや、魔国の話を続けた。

「魔国って魔王が居るの?」
「魔国の王だから魔王ね、居るわよ。」
「おぉー、勇者とか討伐にとか無かったの?」
「あったわよ、魔王まで辿り着けなかったけれど話は聞いたわね。」
 ラミが千春に答える。

「勇者でも無理だったか。」
「勇者じゃ無い、ただの冒険者パーティーが魔王様と戦った事はあるわ。」
「おぉ!凄いじゃんそのパーティー!」
「えぇ、しかも魔王様に勝ったらしいわ。」
「え?討伐されたとかじゃ無いの?」
「試合したらしいわ。」
「らしい?」
「えぇ、魔王様が負けたと言う話なんて広めれないでしょ?」
「ラミ知ってんじゃん。」
 さらりと極秘情報を話すラミに突っ込む千春、そしてアルデアが答える。

「この子魔王の子だもの。」
「「「「「「えぇーーー!!!」」」」」」
 話を聞いていた千春達は大声で驚く?

「父って感じ無いわね、あっちこっちに兄弟姉妹がいるもの、たまたまお城で見ていた姉妹が居たのよ。」
「へぇ、凄いパーティーも居たもんだねぇ。」
「一番凄いのは魔法使いが試合して魔王をボコボコにしたらしいわ、確か二つ名を持ってて氷の魔女とか言われてたわね。」
 ラミの言葉を聞き全員が凍り付く。

「・・・なんて?」
「氷の魔女よ、赤い髪で凄い美人だったって聞いたわ。」
 自分の父が負けたと言う話なのに楽しそうに話すラミ、そしてアルデアが笑みを浮かべる。

「ラミ?」
「なに?お姉様。」
「その氷の魔女が来たわよ。」
「ほぇ?」
 アルデアに言われ変な返事をすると同時に扉が開かれる。

「チハル、あら、アルデアいらっしゃい。」
「ごきげんようメグ、子供が出来たんですって?おめでとう。」
「ありがとう、あら、ラミちゃんも来てたのね。」
「・・・は!はい!いらっさりましてございまする!」
「フフッ面白い子ね、そうそうチハル、パスタマシーンの事でダーサンが来るそうよ。」
「はーい!これで王都にも広まったらいいですねー、スパゲッティも作れますし!」
「そうね、美味しい料理が広まれば良いわね。」
「あ!もうしばらくしたら、うどん・・・新しい麺が出来るので、ラーメンと違ってあっさりしてモチモチした麺なんです。」
「フフッ、聞いただけで美味しそうね、楽しみにしてるわ。」
「え?お母様それだけの為にココに来たんですか?」
 ダーサンの事を伝えると部屋を出ようとするマルグリットに千春は驚いて声を掛ける。

「そうよ、少しは動かないと体がなまっちゃうもの。」
「そう言うものなんですね、もう少ししたらうどん作ります、お昼も近いのでココで食べられませんか?」
「そうねぇ、お邪魔しちゃおうかしら。」
 マルグリットはそう言うとアルデアの対面に座る、サフィーナがお茶を淹れ、付き人のエリーナとアルベルは後ろに立つ。

「お母様。」
「どうしたの?」
「あのー、魔王って知ってます?」
「・・・知ってるわね。」
「えっと、試合しました?」
「・・・何故それを?」
「ラミちゃんって魔王の娘らしいんですよ。」
「・・・あぁあの魔王あっちこっちで子供作ってるらしいわね、もう一度シバキ倒しに行こうかしら。」
「あ、やっぱり魔王ボコったのってお母様だったんですね。」
「えぇ、エイダンと魔王も勝負したわよ。」
「お父様勝ちました?」
「判定負けね。」
「お母様は?」
「指一本触れさせなかったわよ。」
「・・・流石です。」
 話を聞いているラミはプルプル震えている、それをみてアルデアはクスクス笑う。

「ラミ、分かった?」
「はい!大人しく生きて行きます!」
「どうしたの?」
「なんでもないわよ。」
 すまし顔でまたもや紅茶を口にするアルデア。

「そろそろうどん良い感じかな、ちょっと待っててくださいね!」
「よっしゃー、切るぞー。」
「私もやってみたい!」
「ウチもー。」
 JK軍団はうどんを作りに厨房へ、そしてラミはこの場から離れたそうに千春を見るが千春は華麗にスルーし厨房へ向かった。




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