上 下
411 / 744

フルーツ沢山、デザート作ろう!

しおりを挟む
「千春いっぱい採れたよー。」
「ヨリ、こっちも沢山採れたよーん。」
「・・・なにそれトマト?」
 頼子は千春が手にする真っ赤な果実を見て問いかける。

「フォルギネーって言う実だってさ、鑑定したら甘くて美味って書いてたから収獲してた。」
「・・・動いてね?」
「・・・気付いた?」
「そりゃぁパクパクしてたら分かるわ、本当に食べれるの?」
「鑑定を信じるならねー。」
 ぽいっとアイテムボックスに入れるとルプ達もやって来る。

「千春、トリフィードって妖精から酒を貰ったぞ。」
「へぇ~どんなお酒?」
「果実酒だな。」
「ワイン的な?」
「原始的な作り方だったがワインみたいな物だろうな。」
「ほ~、お礼しないとだねぇ。」
「お礼って言ってもなぁ、あいつら何食うとかあるのか?」
 千春とルプが話をしているとアルラウネが微笑みながら答える。

「チハル様、ルプ様、不要で御座います~♪、ラムンディ様を復活して頂いたお礼をさせてもらっておりますから~♪。」
 にこやかに答えるアルラウネ、トレント達もウンウンと頭を振っている。

「それじゃ戻ってフルーツ食べよう♪」
「おっけ~♪」
「ヨリ、コレみてみ~。」
 ビェリーが影から果実を取り出す。

「イチゴじゃん!」
「え?イチゴあったの!?」
「あったばーい。」
「結構実ってたからな、全部摘んできたぞ。」
「全部摘んだらダメじゃん?」
「すぐに次の実が出来るから良いんだとよ。」
 ルプは一緒に居る妖精を見ると頷いている。

「そっか、イチゴかー。」
「イチゴならやっぱりイチゴのケーキじゃん?」
「パフェでもよくね?」
「両方ってのも良いね。」
 千春と頼子はイチゴを見る。

「・・・でもデカいな。」
「私の顔くらいあんだけど。」
 頼子はビェリーから受け取るとイチゴで顔を隠す。

「ホントだ、顔隠れたわ。」
「あはははは。」
「俺らは貰った酒を呑んでみるか。」
「そやね、楽しみばい。」
 ワイワイと騒ぎ森の中を歩く千春達、そして里に戻る事にした。


-----------------


「おかえり、チハル、沢山採れたか?」
「いっぱい取れましたよラムンディさん。」
 外にあるテーブルに千春は取って来たフルーツを出していく。

「・・・フォルギネーが、あるではないか、食べるのか?」
「うん、美味しいって鑑定したら出たから、食べます?」
「我はトレントだ、食事と言う物をしない、すまない。」
「ですよねー、地中から栄養吸うんです?」
「育つ必要が有れば、地に根を張る事もあるな。」
「そっかぁ、作っても食べれないかぁ。」
「妖精達が、果物を食べる、もし作るのなら、妖精達へ、我の復活に力を貸してくれたからな。」
「了解!それじゃ妖精ちゃん達に振る舞いますか~♪」
「おっけ、それじゃ沢山作ろう~♪」
 千春が言うとサフィーナはアイテムボックスからテーブルやシンク、コンロなどを取り出す、サリナ、モリアン、ラルカは慣れた手つきでそれを並べ作業し易い様に場所を作る。

「・・・千春、サフィーちゃん達凄いね。」
「ん・・・うん、私が外でよく作るから慣れちゃって・・・えへっ。」
 テーブルのフルーツを手に取りサフィーナの水魔法で綺麗に洗い並べて行く。

「千春どれから行く?」
「ケーキはスポンジ無いからなぁ。」
「有りますよ。」
「「え?」」
 サフィーナはアイテムボックスから直径20cmほどのケーキのスポンジを幾つも取り出す。

「生クリームは使い切ったので作らなければいけませんが。」
「ミルクはある?」
「はい。」
「それじゃ氷と水をこのボウルにお願い。」
 千春はサフィーナに言うと泡立て器をモリアンに渡す。

「はいモリアン。」
「・・・ハンドミキサーは無いんです?」
「あるけど、ほら。」
 千春は既に猫耳侍女のマクリにハンドミキサーを渡していた。

「マクリ使い方分かりますー?」
「このボタン押すんですニャ?」
 モリアンが問いかけるとマクリは見せながら言う。

「押したら凄い音するからビックリして投げないでね?」
「え!?そうなのですかニャ?」
「ちょっと貸してみて。」
 モリアンはそう言うとハンドミキサーを受け取りボタンを押す。

ビィィィィィィィン!!!!

「ニャぁ!!!!!」
「チハルさんマクリにコレは無理ですよー。」
「ありゃ、でも手でやるのキツイよね。」
「そのキツイの普通に私にさせようとしてましたよね?」
「・・・キノセイじゃん?」
「デスヨネー。」
 笑って返すモリアン、しかし目は笑っていなかった。

「マクリはこっちでやりますニャ!」
 モリアンから泡立て器を受け取ると、低いテーブルに氷水が入ったボウルを置き、そこにミルクの入ったボウルを浮かべ混ぜ始める。

「ニャニャニャニャニャー♪」

カシャカシャカシャカシャカシャ

「おぉー、結構良い速度で回してんね、疲れたら言ってね。」
「了解しました!ニャ!」
 そう言うと楽しそうに生クリームを混ぜ始めるマクリ。

「千春私も手伝うわ、ロボット出して。」
「イロハも?」
「うん、ヨリが色々機能を付けてくれたから手伝えるわ。」
 千春がロボメイドを出すと彩葉は中に入り動き出す。

「ミタマ、ボウル押さえてて。」
「こうにゃ?」
 少しサイズを変えた三珠が両手でボウルを押さえる。

「ヨリ、アレ付けて。」
「おっけ~♪」
 頼子はそう言うと手のパーツを外し丸い手を付け泡立て器を装着する。

「いくわよー。」
 彩葉のロボットはそう言うと手首から回りだす。

「おおぉ!ハンドミキサーじゃん!何この機能。」
 千春は頼子を見る。

「いや、千春のメイドロボならこれくらいの機能いるっしょ。」
「まぁ便利だけどさ、もしかして他にも機能ある?」
「うん、スライサータイプとフードプロセッサー、あとはバーナーとかオプション作ってるよ。」
「すげえな!」
「それがさー、色々作ってたらアリンさんがノッちゃってさ、魔石使って色々作っちゃったんだよ。」
「あー、魔法バカだもんね。」
「そ、ほんとバカ、でも凄かったわ、私が言うのほとんど作れたからね。」
 ケラケラと笑っている間にも生クリームが出来上がりそうだ。

「やば、フルーツ切るよ!」
「おっけ。」
「サフィー、こっちのフルーツはシャーベットにするから砕いて氷魔法お願い。」
「了解。」
「千春、コイツどうするのよ。」
「あ、ちょっと味見しないと何とも言えないな。」
 千春はまだパクパク動いているフォルギネーを包丁でスパン!と半分に切る。

「うわぁ・・・真っ赤。」
「血みたいだね。」
「アルデアは喜びそう。」
 千春はヴァンパイアのアルデアを思い出しながら一口サイズにすると菜箸に一つ刺す。

「モリーちゃーん。」
「はーい!」
「あーん。」
「あーーーーん!」

ぱくっ

「どう?」
「おいひいれふ!」
「よし、毒見おっけ。」

ぶふぅぉ!!!!

「チハルさん!?」
「冗談だよ、食べれて甘くて美味って鑑定で出てるから、味はどう?」
「えっと、食感リンゴで味は柑橘っぽい甘酸っぱい感じです、なんですこれ?」
「モリーは見てなかったね、コレだよ。」
 千春はまだパクパク動いているフォルギネーを手に取ると見せる。

「・・・チハルさん。」
 ジト目で千春を見つめるモリアン。

「こっちの人?達も食べた事無いらしいんだよね、多分食べた人第一号だよおめでとう!」
「えー!!!いらないですそんな称号!」
「さて、私も味見してみますかね。」
「私も食べてみるわ。」
「お、チャレンジャー。」
 千春と頼子はフォルギネーを一口サイズに切って口に入れる。

「ん~・・・何だコレ。」
「美味しいけど、何だコレ。」
「例えが分からないね。」
「モリーちゃんが言った食感リンゴの味はオレンジ?」
「だねぇ、不味くはないね。」
「いや、美味しいよ。」
「問題は何に使うか・・・。」
「シャーベットで良くね?」
「だね、サフィーこれもシャーベットにお願い!」
「了解です。」
 千春と頼子は沢山のフォルギネーを次々とぶった切り、息の根?を止め、早速彩葉に搭載したフードプロセッサーで細かく砕く、そしてサフィーナが氷魔法でシャーベットにした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな

こうやさい
ファンタジー
 わたくしは婚約者や義妹に断罪され、学園から追放を命じられました。  これが「ざまぁ」されるというものなんですのね。  義妹に冤罪着せられて殿下に皆の前で婚約破棄のうえ学園からの追放される令嬢とかいったら頑張ってる感じなんだけどなぁ。  とりあえずお兄さま頑張れ。  PCがエラーがどうこうほざいているので消えたら察してください、どのみち不定期だけど。  やっぱスマホでも更新できるようにしとかないとなぁ、と毎度の事を思うだけ思う。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

処理中です...