385 / 744
空飛ぶ島!②
しおりを挟む
「大きいなぁ。」
のんびり空を登る千春がつぶやく。
「距離感わかんないけどかなり大きいね。」
頼子は並んで話す。
「ユラ、レンちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶ!」
「大丈夫です!」
ルプに跨り楽しそうにする2人も上を見ている、ルプは見えない階段でもあるように空を歩いて登っている。
『ロイロが結界かけてるから大丈夫でしょ?』
「うん、言うほど寒くないし大丈夫そう。」
アイトネにそう答え、そのまま上空へ向かった。
-----------------
「うん、デカいね。」
「東京ドーム何個分?」
「だからその謎単位わかんないって。」
「アイトネこの島どれくらい大きいの?」
『東京ドーム20個分くらいね。』
「・・・いやいや、ツッコむ所多すぎる返答困る!」
『えぇぇ、歪な形だけど、一番長い所は1kmくらいね。』
「1km・・・ピンとこないな。」
「千春の家から2番目に高いコンビニあんじゃん。」
「あー水色の看板の方ね。」
「あそこがちょうど1kmだよ。」
「・・・広いな!」
頼子に言われなんとなく距離感を掴む千春、皆は島にたどり着きそのまま上空へ上がると島を一望する。
『あそこに降りましょ。』
緑で生い茂った場所の切れ目に花畑が見える、アイトネはそこを指差し先頭になって飛んでいく。
「オッケー、いこかー。」
「ういーっす。」
「生き物居るのかな。」
「居ないんじゃな~い?」
「ぱっと見わかんないね。」
「あ!あそこ!鳥がいる!」
日葵が指差すと皆そこを見る、数羽の鳥がロイロ達を見て驚いたのか急いで飛んで行った。
-----------------
「地面だー!」
「飛んでるけどな。」
大愛が箒から飛び降りて言うと青空がツッコミを入れる。
「ソラどん、わかってますわよ?」
「いや、一応ツッコむべきかと思ってね、お花きれーい。」
降り立ったところは一面花畑だ。
『私達はココで待ってるわね。』
「ルプ、ユラ達と遊んであげて。」
「分かった、気をつけろよ?」
「ほーい・・・ってどっち行けば良いんだろ。」
「チハル、向こうに建物が見えたんじゃが、そっちじゃろ。」
ロイロが指差す方は森だ。
「おっけ、それじゃ飛んで行こう。」
皆は箒に跨る、ドラゴン達も翼を広げる、そしてロイロが先頭になり建物へ向かった。
「どこー?」
「あっちじゃ。」
人型になり翼を出した状態で飛ぶロイロが建物の方へ飛ぶ。
「アレか!」
「ロイロちゃん目良いねぇ。」
「ドラゴンはみんな目が良いらしいよ。」
そう言っているうちに千春達も建物が見え下に降りる、建物の周りは綺麗な石畳で敷き詰められ所々に雑草が生えている。
「へぇ、綺麗な建物だねぇ。」
「ここ相当昔からあるんだよね?」
「らしいね。」
「その割に綺麗じゃね?」
美桜はそう言いながら建物の壁を触る。
「つるっつる!」
「風化して無いね。」
「魔法的な何かかなぁ。」
「入り口はここ?」
麗奈とリリが大きな扉の前に立つ。
「うん、開かない。」
麗奈は自分の背丈の倍は有る扉を押したら引いたりするがビクともしない。
「鍵掛かってる?」
青空も一緒に扉を触るが動かない、すると大愛が声を掛ける。
「ソラ、これ怪しく無い?」
扉の横2mほど離れた場所に、何か文字が書いてある、そして台が有り窪みがある。
「うわぁ、鍵くせぇ。」
「この窪みに鍵入れる感じ?」
「おー、RPGみたい!」
「お使いゲームかよ。」
「千春どうする?」
頼子が千春に問いかける。
「んー、なんて書いてあるんだろう、アリンさん分かる?」
「いえ、私が知っている言語にどれも当てはまりません、古代の文字でしょうか。」
「う~ん、意味わからん、ロイロ扉壊せる?」
「やってみるかのう。」
ガキィィィン!!!
「・・・こりゃまた丈夫な扉じゃなぁ、魔法も掛かっとるぞ。」
「ふみゅ、ヨリちょっと砂頂戴。」
「アレやんの?」
「うん。」
頼子は千春が作る水球に土魔法で細かい砂を入れる。
「うぉーたーかったー!!!!」
バシューーーーー!!!!!
「うん、扉だけだね。」
壁から扉、そしてまた壁まで横一線に水のレーザーを当て満足そうに頷く。
「もういっちょ!うぉーたーかったー!!!!」
バシューーーーーーー!!!!
「はい、中に入ろう。」
扉の横の壁を縦横無尽に切り刻みボロボロにした千春は満足そうに皆に言う。
「チハルさぁぁん、一応大昔の重要文化財かもしれないんですよぉぉぉ???」
アリンハンドが悲しそうに物言いを付ける。
「だって先に進めないじゃん、こまけぇこたぁいいのよ。」
「そうそう、アリンさん千春に言っても無駄無駄~♪」
「へぇ、中はエントランスっぽいけど・・・ザ!館って感じだね。」
「こんなところに魔法掛けられたくっそ丈夫な扉が付いた館も不自然だよね。」
ゾロゾロと中に入るJK軍団、竜騎士団は外で警備するようだ。
「フィークス、何か有れば笛を。」
「はっ!お気を付けて!」
エンハルトは指示をすると千春を追いかける。
「チハル、何か有りそうか?」
「部屋多いけど、何かなぁ、不自然って言うか、古代の館ってこんな感じなの?」
「分かるわけないだろう、少なくともジブラロールや周辺の王国では見ない形式だな。」
広めのエントランスをてくてく歩くJK。
「あっちに扉発見!」
「そっちにも有るよ。」
「分かれる?」
「どうだろ、ロイロちゃん危ない物ある?」
青空達は見回しロイロに聞く。
「魔力の探索をしておるが・・・動きそうな物は無いのぅ。」
「んじゃ適当に分かれてもいいかな。」
「そうじゃなぁ、数人で行動するなら良いじゃろ、イー、アル、サン、護衛を頼むぞ。」
「はい、了解しました。」
頼子と日葵、美桜と麗奈、青空と大愛と4チームになり部屋を探索していく。
「サフィーあっち行ってみよー。」
千春はサフィーナとエンハルト、そしてロイロを連れ奥へ歩いて行く。
「・・・ん?」
「どうしたんじゃ?」
「いや、気のせい。」
「チハルどうしたの?」
「ん~~~~~~、なんか見られてた気がした。」
「ふむ、何か居る様とは思えんがなぁ。」
「だから気のせいだよ、私視線を感じて気付くようなスキル持ってないもん。」
気のせい気のせいと言いながら先へ進む、廊下と言うには少し広い通路を歩いて行くと、スマホから通知が来る。
「お!?」
「どうしたチハル。」
「ソラ達がお宝発見だって、なんか装飾品らしいよ。」
「ほう、それは後で楽しみだな。」
「だねぇー、何か無いかなー。」
暫く歩いていると突き当りになり左右に道が分かれている。
「ロイロどっちだと思う?」
「チハルが行きたい方に行けば良いじゃろ。」
「んじゃ右!」
「右か、それじゃチハル左に行こう。」
「は?なんで?」
「トラブルセンサーが右って言ってんだ、先に左を見るぞ。」
「・・・なにそれひどい。」
サフィーナはクスクスと笑いながらエンハルトに付いて行く。
「部屋がいくつか有るだけだな。」
「だねぇ、んじゃ右に向かおうー。」
回れ右をして次は右へ向かう、この通路数人並んで歩ける程広い。
「うん、こっち当たりっぽいね。」
「そうですね、壁が変わりました、別棟に繋がってるのでしょうか?」
千春が言うとサフィーナが呟く。
「ほらな、こっちが当たりだろう。」
エンハルトはやっぱりなと言わんばかりに目の前に見える扉を指差す。
「うっは怪しい~♪」
「嬉しそうじゃな。」
「せっかくここまで来たんだから面白い方が良いじゃん。」
千春は小汚いが丈夫そうな扉に手を掛ける。
「・・・えい!」
ギギギギギギギギィィィ・・・
「開いたな。」
「開きましたね。」
「開いたのぅ。」
「・・・そりゃ開けたもん。」
何言ってんの?と言うような顔で千春は3人を見る、そして扉の中を覗くと光が入っておらず暗闇が続いている。
「こういう扉は鍵でもかけておくものじゃないのか?」
「暗いのう。」
「じゃじゃーん!懐中電灯ー!」
アイテムボックスからドヤ顔で懐中電灯を取り出す千春。
「まぁ儂が魔術で光らせれば良いんじゃがな。」
ロイロが何かを呟くと明るい玉が生まれる。
「なにそれ・・・光魔法?」
「魔術の光じゃ、光属性ではないのぅ。」
「・・・コレどしよ。」
千春は懐中電灯をカチカチと点滅して照らす。
「持っておけば良いじゃろ、暗い所もあるでなぁ。」
明るくなった部屋を皆は見回す。
「研究所みたいだねー。」
「だいぶ朽ちておるのぅ、家の様に保存の魔法かけておらんかったか。」
「これ本の残骸だよね、腐った?」
砂の様に積もった物を見ながら言う千春。
「奥も有るな。」
エンハルトは広い部屋の奥へ歩いて行く。
「ハルト何か有るー?」
「・・・何だこれは。」
「なになになになぁぁぁぁぁ!!!!!!人じゃああん!!!!」
エンハルトが見つけた物を千春も見つける、それは水晶の塊の中に人が入っていた、しかし肌の色は青く普通の人間には見えない。
「保存された生物じゃなぁ、生きてるようには見えんが・・・魔法が掛かっておるのぅ。」
ロイロは水晶の塊に付いている幾つかのケーブルの先を目で追う。
「へぇ、女性かな?髪の毛長いし・・・って目が一つしかない!」
顔をのぞき込むと中央に大きな瞼が一つだけある、肌の色と目以外は普通の女性だ。
「これじゃなぁ。」
「何それ。」
「この保存された生物を解放する魔道具じゃろうな。」
「それ触ったら良いの?」
「ん~、何の為にこの生物を保存しているのか分からぬからのぅ。」
「ハルトーどうしよか。」
「チハルはどうしたい?」
「んー、解放してみたい・・・かな?」
「分かった、ロイロ、サフィー、チハルを頼むぞ。」
そう言うとエンハルトは剣を抜く。
「なんで剣抜いてんの!?」
「どう見ても普通の人間じゃないからな、もし動いて狂暴だったらヤバいだろ。」
「把握、で、ロイロこれ触る感じ?」
「魔力を通せば反応するとは思うんじゃが。」
「やってみよう~♪」
楽し気に言う千春はケーブルに繋がった魔道具に魔力を注ぐ。
「・・・なーんにも起きないね。」
「そうですねぇ。」
千春とサフィーナはそう言うと水晶を見る、すると水晶が微かに光りヒビが入る、そして砕けると言うよりは粉々になり砂の様に流れて行く。
「おぉぉぉすっごぉ。」
「初めて見る魔術じゃなぁ。」
水晶の砂に埋もれるように青い肌の女性が横たわる。
「生きてる?」
「魔力を感じるのぅ、生きておるぞ。」
「さっきまでは?」
「生きた魔力は感じんかったのぅ、魔法かこの装置で時間を止めておったのか、特殊な保存をしておったのか・・・。」
ロイロが説明をしていると、横たわる女性が動き大きな一つ目を開く、そして千春と目が合う。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その女性と千春は大声で叫びあった。
のんびり空を登る千春がつぶやく。
「距離感わかんないけどかなり大きいね。」
頼子は並んで話す。
「ユラ、レンちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶ!」
「大丈夫です!」
ルプに跨り楽しそうにする2人も上を見ている、ルプは見えない階段でもあるように空を歩いて登っている。
『ロイロが結界かけてるから大丈夫でしょ?』
「うん、言うほど寒くないし大丈夫そう。」
アイトネにそう答え、そのまま上空へ向かった。
-----------------
「うん、デカいね。」
「東京ドーム何個分?」
「だからその謎単位わかんないって。」
「アイトネこの島どれくらい大きいの?」
『東京ドーム20個分くらいね。』
「・・・いやいや、ツッコむ所多すぎる返答困る!」
『えぇぇ、歪な形だけど、一番長い所は1kmくらいね。』
「1km・・・ピンとこないな。」
「千春の家から2番目に高いコンビニあんじゃん。」
「あー水色の看板の方ね。」
「あそこがちょうど1kmだよ。」
「・・・広いな!」
頼子に言われなんとなく距離感を掴む千春、皆は島にたどり着きそのまま上空へ上がると島を一望する。
『あそこに降りましょ。』
緑で生い茂った場所の切れ目に花畑が見える、アイトネはそこを指差し先頭になって飛んでいく。
「オッケー、いこかー。」
「ういーっす。」
「生き物居るのかな。」
「居ないんじゃな~い?」
「ぱっと見わかんないね。」
「あ!あそこ!鳥がいる!」
日葵が指差すと皆そこを見る、数羽の鳥がロイロ達を見て驚いたのか急いで飛んで行った。
-----------------
「地面だー!」
「飛んでるけどな。」
大愛が箒から飛び降りて言うと青空がツッコミを入れる。
「ソラどん、わかってますわよ?」
「いや、一応ツッコむべきかと思ってね、お花きれーい。」
降り立ったところは一面花畑だ。
『私達はココで待ってるわね。』
「ルプ、ユラ達と遊んであげて。」
「分かった、気をつけろよ?」
「ほーい・・・ってどっち行けば良いんだろ。」
「チハル、向こうに建物が見えたんじゃが、そっちじゃろ。」
ロイロが指差す方は森だ。
「おっけ、それじゃ飛んで行こう。」
皆は箒に跨る、ドラゴン達も翼を広げる、そしてロイロが先頭になり建物へ向かった。
「どこー?」
「あっちじゃ。」
人型になり翼を出した状態で飛ぶロイロが建物の方へ飛ぶ。
「アレか!」
「ロイロちゃん目良いねぇ。」
「ドラゴンはみんな目が良いらしいよ。」
そう言っているうちに千春達も建物が見え下に降りる、建物の周りは綺麗な石畳で敷き詰められ所々に雑草が生えている。
「へぇ、綺麗な建物だねぇ。」
「ここ相当昔からあるんだよね?」
「らしいね。」
「その割に綺麗じゃね?」
美桜はそう言いながら建物の壁を触る。
「つるっつる!」
「風化して無いね。」
「魔法的な何かかなぁ。」
「入り口はここ?」
麗奈とリリが大きな扉の前に立つ。
「うん、開かない。」
麗奈は自分の背丈の倍は有る扉を押したら引いたりするがビクともしない。
「鍵掛かってる?」
青空も一緒に扉を触るが動かない、すると大愛が声を掛ける。
「ソラ、これ怪しく無い?」
扉の横2mほど離れた場所に、何か文字が書いてある、そして台が有り窪みがある。
「うわぁ、鍵くせぇ。」
「この窪みに鍵入れる感じ?」
「おー、RPGみたい!」
「お使いゲームかよ。」
「千春どうする?」
頼子が千春に問いかける。
「んー、なんて書いてあるんだろう、アリンさん分かる?」
「いえ、私が知っている言語にどれも当てはまりません、古代の文字でしょうか。」
「う~ん、意味わからん、ロイロ扉壊せる?」
「やってみるかのう。」
ガキィィィン!!!
「・・・こりゃまた丈夫な扉じゃなぁ、魔法も掛かっとるぞ。」
「ふみゅ、ヨリちょっと砂頂戴。」
「アレやんの?」
「うん。」
頼子は千春が作る水球に土魔法で細かい砂を入れる。
「うぉーたーかったー!!!!」
バシューーーーー!!!!!
「うん、扉だけだね。」
壁から扉、そしてまた壁まで横一線に水のレーザーを当て満足そうに頷く。
「もういっちょ!うぉーたーかったー!!!!」
バシューーーーーーー!!!!
「はい、中に入ろう。」
扉の横の壁を縦横無尽に切り刻みボロボロにした千春は満足そうに皆に言う。
「チハルさぁぁん、一応大昔の重要文化財かもしれないんですよぉぉぉ???」
アリンハンドが悲しそうに物言いを付ける。
「だって先に進めないじゃん、こまけぇこたぁいいのよ。」
「そうそう、アリンさん千春に言っても無駄無駄~♪」
「へぇ、中はエントランスっぽいけど・・・ザ!館って感じだね。」
「こんなところに魔法掛けられたくっそ丈夫な扉が付いた館も不自然だよね。」
ゾロゾロと中に入るJK軍団、竜騎士団は外で警備するようだ。
「フィークス、何か有れば笛を。」
「はっ!お気を付けて!」
エンハルトは指示をすると千春を追いかける。
「チハル、何か有りそうか?」
「部屋多いけど、何かなぁ、不自然って言うか、古代の館ってこんな感じなの?」
「分かるわけないだろう、少なくともジブラロールや周辺の王国では見ない形式だな。」
広めのエントランスをてくてく歩くJK。
「あっちに扉発見!」
「そっちにも有るよ。」
「分かれる?」
「どうだろ、ロイロちゃん危ない物ある?」
青空達は見回しロイロに聞く。
「魔力の探索をしておるが・・・動きそうな物は無いのぅ。」
「んじゃ適当に分かれてもいいかな。」
「そうじゃなぁ、数人で行動するなら良いじゃろ、イー、アル、サン、護衛を頼むぞ。」
「はい、了解しました。」
頼子と日葵、美桜と麗奈、青空と大愛と4チームになり部屋を探索していく。
「サフィーあっち行ってみよー。」
千春はサフィーナとエンハルト、そしてロイロを連れ奥へ歩いて行く。
「・・・ん?」
「どうしたんじゃ?」
「いや、気のせい。」
「チハルどうしたの?」
「ん~~~~~~、なんか見られてた気がした。」
「ふむ、何か居る様とは思えんがなぁ。」
「だから気のせいだよ、私視線を感じて気付くようなスキル持ってないもん。」
気のせい気のせいと言いながら先へ進む、廊下と言うには少し広い通路を歩いて行くと、スマホから通知が来る。
「お!?」
「どうしたチハル。」
「ソラ達がお宝発見だって、なんか装飾品らしいよ。」
「ほう、それは後で楽しみだな。」
「だねぇー、何か無いかなー。」
暫く歩いていると突き当りになり左右に道が分かれている。
「ロイロどっちだと思う?」
「チハルが行きたい方に行けば良いじゃろ。」
「んじゃ右!」
「右か、それじゃチハル左に行こう。」
「は?なんで?」
「トラブルセンサーが右って言ってんだ、先に左を見るぞ。」
「・・・なにそれひどい。」
サフィーナはクスクスと笑いながらエンハルトに付いて行く。
「部屋がいくつか有るだけだな。」
「だねぇ、んじゃ右に向かおうー。」
回れ右をして次は右へ向かう、この通路数人並んで歩ける程広い。
「うん、こっち当たりっぽいね。」
「そうですね、壁が変わりました、別棟に繋がってるのでしょうか?」
千春が言うとサフィーナが呟く。
「ほらな、こっちが当たりだろう。」
エンハルトはやっぱりなと言わんばかりに目の前に見える扉を指差す。
「うっは怪しい~♪」
「嬉しそうじゃな。」
「せっかくここまで来たんだから面白い方が良いじゃん。」
千春は小汚いが丈夫そうな扉に手を掛ける。
「・・・えい!」
ギギギギギギギギィィィ・・・
「開いたな。」
「開きましたね。」
「開いたのぅ。」
「・・・そりゃ開けたもん。」
何言ってんの?と言うような顔で千春は3人を見る、そして扉の中を覗くと光が入っておらず暗闇が続いている。
「こういう扉は鍵でもかけておくものじゃないのか?」
「暗いのう。」
「じゃじゃーん!懐中電灯ー!」
アイテムボックスからドヤ顔で懐中電灯を取り出す千春。
「まぁ儂が魔術で光らせれば良いんじゃがな。」
ロイロが何かを呟くと明るい玉が生まれる。
「なにそれ・・・光魔法?」
「魔術の光じゃ、光属性ではないのぅ。」
「・・・コレどしよ。」
千春は懐中電灯をカチカチと点滅して照らす。
「持っておけば良いじゃろ、暗い所もあるでなぁ。」
明るくなった部屋を皆は見回す。
「研究所みたいだねー。」
「だいぶ朽ちておるのぅ、家の様に保存の魔法かけておらんかったか。」
「これ本の残骸だよね、腐った?」
砂の様に積もった物を見ながら言う千春。
「奥も有るな。」
エンハルトは広い部屋の奥へ歩いて行く。
「ハルト何か有るー?」
「・・・何だこれは。」
「なになになになぁぁぁぁぁ!!!!!!人じゃああん!!!!」
エンハルトが見つけた物を千春も見つける、それは水晶の塊の中に人が入っていた、しかし肌の色は青く普通の人間には見えない。
「保存された生物じゃなぁ、生きてるようには見えんが・・・魔法が掛かっておるのぅ。」
ロイロは水晶の塊に付いている幾つかのケーブルの先を目で追う。
「へぇ、女性かな?髪の毛長いし・・・って目が一つしかない!」
顔をのぞき込むと中央に大きな瞼が一つだけある、肌の色と目以外は普通の女性だ。
「これじゃなぁ。」
「何それ。」
「この保存された生物を解放する魔道具じゃろうな。」
「それ触ったら良いの?」
「ん~、何の為にこの生物を保存しているのか分からぬからのぅ。」
「ハルトーどうしよか。」
「チハルはどうしたい?」
「んー、解放してみたい・・・かな?」
「分かった、ロイロ、サフィー、チハルを頼むぞ。」
そう言うとエンハルトは剣を抜く。
「なんで剣抜いてんの!?」
「どう見ても普通の人間じゃないからな、もし動いて狂暴だったらヤバいだろ。」
「把握、で、ロイロこれ触る感じ?」
「魔力を通せば反応するとは思うんじゃが。」
「やってみよう~♪」
楽し気に言う千春はケーブルに繋がった魔道具に魔力を注ぐ。
「・・・なーんにも起きないね。」
「そうですねぇ。」
千春とサフィーナはそう言うと水晶を見る、すると水晶が微かに光りヒビが入る、そして砕けると言うよりは粉々になり砂の様に流れて行く。
「おぉぉぉすっごぉ。」
「初めて見る魔術じゃなぁ。」
水晶の砂に埋もれるように青い肌の女性が横たわる。
「生きてる?」
「魔力を感じるのぅ、生きておるぞ。」
「さっきまでは?」
「生きた魔力は感じんかったのぅ、魔法かこの装置で時間を止めておったのか、特殊な保存をしておったのか・・・。」
ロイロが説明をしていると、横たわる女性が動き大きな一つ目を開く、そして千春と目が合う。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その女性と千春は大声で叫びあった。
306
お気に入りに追加
2,592
あなたにおすすめの小説
幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~
明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる