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空飛ぶ島!②

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「大きいなぁ。」
 のんびり空を登る千春がつぶやく。

「距離感わかんないけどかなり大きいね。」
 頼子は並んで話す。

「ユラ、レンちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶ!」
「大丈夫です!」
 ルプに跨り楽しそうにする2人も上を見ている、ルプは見えない階段でもあるように空を歩いて登っている。

『ロイロが結界かけてるから大丈夫でしょ?』
「うん、言うほど寒くないし大丈夫そう。」
 アイトネにそう答え、そのまま上空へ向かった。


-----------------


「うん、デカいね。」
「東京ドーム何個分?」
「だからその謎単位わかんないって。」
「アイトネこの島どれくらい大きいの?」
『東京ドーム20個分くらいね。』
「・・・いやいや、ツッコむ所多すぎる返答困る!」
『えぇぇ、歪な形だけど、一番長い所は1kmくらいね。』
「1km・・・ピンとこないな。」
「千春の家から2番目に高いコンビニあんじゃん。」
「あー水色の看板の方ね。」
「あそこがちょうど1kmだよ。」
「・・・広いな!」
 頼子に言われなんとなく距離感を掴む千春、皆は島にたどり着きそのまま上空へ上がると島を一望する。

『あそこに降りましょ。』
 緑で生い茂った場所の切れ目に花畑が見える、アイトネはそこを指差し先頭になって飛んでいく。

「オッケー、いこかー。」
「ういーっす。」
「生き物居るのかな。」
「居ないんじゃな~い?」
「ぱっと見わかんないね。」
「あ!あそこ!鳥がいる!」
 日葵が指差すと皆そこを見る、数羽の鳥がロイロ達を見て驚いたのか急いで飛んで行った。


-----------------


「地面だー!」
「飛んでるけどな。」
 大愛が箒から飛び降りて言うと青空がツッコミを入れる。

「ソラどん、わかってますわよ?」
「いや、一応ツッコむべきかと思ってね、お花きれーい。」
 降り立ったところは一面花畑だ。

『私達はココで待ってるわね。』
「ルプ、ユラ達と遊んであげて。」
「分かった、気をつけろよ?」
「ほーい・・・ってどっち行けば良いんだろ。」
「チハル、向こうに建物が見えたんじゃが、そっちじゃろ。」
 ロイロが指差す方は森だ。

「おっけ、それじゃ飛んで行こう。」
 皆は箒に跨る、ドラゴン達も翼を広げる、そしてロイロが先頭になり建物へ向かった。

「どこー?」
「あっちじゃ。」
 人型になり翼を出した状態で飛ぶロイロが建物の方へ飛ぶ。

「アレか!」
「ロイロちゃん目良いねぇ。」
「ドラゴンはみんな目が良いらしいよ。」
 そう言っているうちに千春達も建物が見え下に降りる、建物の周りは綺麗な石畳で敷き詰められ所々に雑草が生えている。

「へぇ、綺麗な建物だねぇ。」
「ここ相当昔からあるんだよね?」
「らしいね。」
「その割に綺麗じゃね?」
 美桜はそう言いながら建物の壁を触る。

「つるっつる!」
「風化して無いね。」
「魔法的な何かかなぁ。」
「入り口はここ?」
 麗奈とリリが大きな扉の前に立つ。

「うん、開かない。」
 麗奈は自分の背丈の倍は有る扉を押したら引いたりするがビクともしない。

「鍵掛かってる?」
 青空も一緒に扉を触るが動かない、すると大愛が声を掛ける。

「ソラ、これ怪しく無い?」
 扉の横2mほど離れた場所に、何か文字が書いてある、そして台が有り窪みがある。

「うわぁ、鍵くせぇ。」
「この窪みに鍵入れる感じ?」
「おー、RPGみたい!」
「お使いゲームかよ。」
「千春どうする?」
 頼子が千春に問いかける。

「んー、なんて書いてあるんだろう、アリンさん分かる?」
「いえ、私が知っている言語にどれも当てはまりません、古代の文字でしょうか。」
「う~ん、意味わからん、ロイロ扉壊せる?」
「やってみるかのう。」

ガキィィィン!!!

「・・・こりゃまた丈夫な扉じゃなぁ、魔法も掛かっとるぞ。」
「ふみゅ、ヨリちょっと砂頂戴。」
「アレやんの?」
「うん。」
 頼子は千春が作る水球に土魔法で細かい砂を入れる。

「うぉーたーかったー!!!!」

 バシューーーーー!!!!!

「うん、扉だけだね。」
 壁から扉、そしてまた壁まで横一線に水のレーザーを当て満足そうに頷く。

「もういっちょ!うぉーたーかったー!!!!」

 バシューーーーーーー!!!!

「はい、中に入ろう。」
 扉の横の壁を縦横無尽に切り刻みボロボロにした千春は満足そうに皆に言う。

「チハルさぁぁん、一応大昔の重要文化財かもしれないんですよぉぉぉ???」
 アリンハンドが悲しそうに物言いを付ける。

「だって先に進めないじゃん、こまけぇこたぁいいのよ。」
「そうそう、アリンさん千春に言っても無駄無駄~♪」
「へぇ、中はエントランスっぽいけど・・・ザ!館って感じだね。」
「こんなところに魔法掛けられたくっそ丈夫な扉が付いた館も不自然だよね。」
 ゾロゾロと中に入るJK軍団、竜騎士団は外で警備するようだ。

「フィークス、何か有れば笛を。」
「はっ!お気を付けて!」
 エンハルトは指示をすると千春を追いかける。

「チハル、何か有りそうか?」
「部屋多いけど、何かなぁ、不自然って言うか、古代の館ってこんな感じなの?」
「分かるわけないだろう、少なくともジブラロールや周辺の王国では見ない形式だな。」
 広めのエントランスをてくてく歩くJK。

「あっちに扉発見!」
「そっちにも有るよ。」
「分かれる?」
「どうだろ、ロイロちゃん危ない物ある?」
 青空達は見回しロイロに聞く。

「魔力の探索をしておるが・・・動きそうな物は無いのぅ。」
「んじゃ適当に分かれてもいいかな。」
「そうじゃなぁ、数人で行動するなら良いじゃろ、イー、アル、サン、護衛を頼むぞ。」
「はい、了解しました。」
 頼子と日葵、美桜と麗奈、青空と大愛と4チームになり部屋を探索していく。

「サフィーあっち行ってみよー。」
 千春はサフィーナとエンハルト、そしてロイロを連れ奥へ歩いて行く。

「・・・ん?」
「どうしたんじゃ?」
「いや、気のせい。」
「チハルどうしたの?」
「ん~~~~~~、なんか見られてた気がした。」
「ふむ、何か居る様とは思えんがなぁ。」
「だから気のせいだよ、私視線を感じて気付くようなスキル持ってないもん。」
 気のせい気のせいと言いながら先へ進む、廊下と言うには少し広い通路を歩いて行くと、スマホから通知が来る。

「お!?」
「どうしたチハル。」
「ソラ達がお宝発見だって、なんか装飾品らしいよ。」
「ほう、それは後で楽しみだな。」
「だねぇー、何か無いかなー。」
 暫く歩いていると突き当りになり左右に道が分かれている。

「ロイロどっちだと思う?」
「チハルが行きたい方に行けば良いじゃろ。」
「んじゃ右!」
「右か、それじゃチハル左に行こう。」
「は?なんで?」
「トラブルセンサーが右って言ってんだ、先に左を見るぞ。」
「・・・なにそれひどい。」
 サフィーナはクスクスと笑いながらエンハルトに付いて行く。

「部屋がいくつか有るだけだな。」
「だねぇ、んじゃ右に向かおうー。」
 回れ右をして次は右へ向かう、この通路数人並んで歩ける程広い。

「うん、こっち当たりっぽいね。」
「そうですね、壁が変わりました、別棟に繋がってるのでしょうか?」
 千春が言うとサフィーナが呟く。

「ほらな、こっちが当たりだろう。」
 エンハルトはやっぱりなと言わんばかりに目の前に見える扉を指差す。

「うっは怪しい~♪」
「嬉しそうじゃな。」
「せっかくここまで来たんだから面白い方が良いじゃん。」
 千春は小汚いが丈夫そうな扉に手を掛ける。

「・・・えい!」

 ギギギギギギギギィィィ・・・

「開いたな。」
「開きましたね。」
「開いたのぅ。」
「・・・そりゃ開けたもん。」
 何言ってんの?と言うような顔で千春は3人を見る、そして扉の中を覗くと光が入っておらず暗闇が続いている。

「こういう扉は鍵でもかけておくものじゃないのか?」
「暗いのう。」
「じゃじゃーん!懐中電灯ー!」
 アイテムボックスからドヤ顔で懐中電灯を取り出す千春。

「まぁ儂が魔術で光らせれば良いんじゃがな。」
 ロイロが何かを呟くと明るい玉が生まれる。

「なにそれ・・・光魔法?」
「魔術の光じゃ、光属性ではないのぅ。」
「・・・コレどしよ。」
 千春は懐中電灯をカチカチと点滅して照らす。

「持っておけば良いじゃろ、暗い所もあるでなぁ。」
 明るくなった部屋を皆は見回す。

「研究所みたいだねー。」
「だいぶ朽ちておるのぅ、家の様に保存の魔法かけておらんかったか。」
「これ本の残骸だよね、腐った?」
 砂の様に積もった物を見ながら言う千春。

「奥も有るな。」
 エンハルトは広い部屋の奥へ歩いて行く。

「ハルト何か有るー?」
「・・・何だこれは。」
「なになになになぁぁぁぁぁ!!!!!!人じゃああん!!!!」
 エンハルトが見つけた物を千春も見つける、それは水晶の塊の中に人が入っていた、しかし肌の色は青く普通の人間には見えない。

「保存された生物じゃなぁ、生きてるようには見えんが・・・魔法が掛かっておるのぅ。」
 ロイロは水晶の塊に付いている幾つかのケーブルの先を目で追う。

「へぇ、女性かな?髪の毛長いし・・・って目が一つしかない!」
 顔をのぞき込むと中央に大きな瞼が一つだけある、肌の色と目以外は普通の女性だ。

「これじゃなぁ。」
「何それ。」
「この保存された生物を解放する魔道具じゃろうな。」
「それ触ったら良いの?」
「ん~、何の為にこの生物を保存しているのか分からぬからのぅ。」
「ハルトーどうしよか。」
「チハルはどうしたい?」
「んー、解放してみたい・・・かな?」
「分かった、ロイロ、サフィー、チハルを頼むぞ。」
 そう言うとエンハルトは剣を抜く。

「なんで剣抜いてんの!?」
「どう見ても普通の人間じゃないからな、もし動いて狂暴だったらヤバいだろ。」
「把握、で、ロイロこれ触る感じ?」
「魔力を通せば反応するとは思うんじゃが。」
「やってみよう~♪」
 楽し気に言う千春はケーブルに繋がった魔道具に魔力を注ぐ。

「・・・なーんにも起きないね。」
「そうですねぇ。」
 千春とサフィーナはそう言うと水晶を見る、すると水晶が微かに光りヒビが入る、そして砕けると言うよりは粉々になり砂の様に流れて行く。

「おぉぉぉすっごぉ。」
「初めて見る魔術じゃなぁ。」
 水晶の砂に埋もれるように青い肌の女性が横たわる。

「生きてる?」
「魔力を感じるのぅ、生きておるぞ。」
「さっきまでは?」
「生きた魔力は感じんかったのぅ、魔法かこの装置で時間を止めておったのか、特殊な保存をしておったのか・・・。」
 ロイロが説明をしていると、横たわる女性が動き大きな一つ目を開く、そして千春と目が合う。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 その女性と千春は大声で叫びあった。







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