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雛鳥ちゃんと猫耳少女!

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「こっちじゃチハル。」
「ほーい。」
 オークションが終わり、商品の受け取りに移動する一同。

「お金は今渡すの?」
「いや、チハルの金は商業ギルドに直接貰うからいらんぞ。」
「へぇ、そう言う事出来るんだ。」
「証書に名前を書いてもらうんじゃがな。」
 扉を開けると先ほど司会をしていた男性が立っていた。

「ロンガート、連れて来たぞ。」
「有難うございますロイロ様。」
 恭しくお辞儀をし、千春達に微笑みながら挨拶をする。

「ロンガート・スゴールと申します、以後お見知りおきを。」
「はい、えっと、千春です。」
「はい、皆さまの事はお聞きしております、それでは落札された品をお持ちしますので、少々お待ちください。」
 ロンガートはソファーに千春達を促すと部屋を出て行った。

「あの人知り合いなの?」
「知り合いじゃなぁ。」
「ロイロ最近何やってんの?闇オークションに顔が利くし、ヤバい事してない?」
「してないぞ?のぅハルト。」
「チハルは気にしなくて大丈夫だ、国も把握している。」
「ふぅーん。」
 やり取りをしていると扉がノックされ、サフィーナが扉を開ける。

「お待たせしました。」
 ロンガートの後ろから、厳つい男と露出の多い女性が入って来る。

「こちらがオルニス鳥の雛で御座います。」
「やっぱりオルニスでしたか。」
 説明を聞いたアリンハンドが反応する。

「オルニスって?」
「山岳地帯に生息する肉食の鳥です、魔力次第ですが巨大化すると魔獣になるとても危険な鳥ですね。」
「えー、そんなヤバい鳥だったの?」
「過去オルニス鳥をペットとして育て、背中に乗って旅をしたという文献も残っておりますから、懐く事も有ると思いますよ。」
「・・・背中乗れるの?」
「魔獣化するとロイロさんより大きくなりますからねぇ。」
 アリンハンドはロイロをチラリと見て、千春に説明をした。

「それからこちらの猫族の娘ですね。」
 女性に手を引かれ入って来た少女は、耳をペタンと伏せたまま部屋に入って来る。

「んーーーーーーかわいい!」
「耳伏せてるじゃん、怖いのかな。」
「お嬢ちゃん名前何て言うの?」
 青空と日葵が言うと、大愛が名前を聞く。

「マクリ・・・です。」
「うちはダイアって言うのよろしくね?」
「はい、高く買ってくれてありがとう・・・です。」
 耳を伏せたままお礼を言うマクリ、怖いのか目は下を見たままだ。

「さて、ダイアお母さんの事聞いてもらって、今から行こう。」
「そうだね、マクリちゃんお家は何処?」
「エイクラー村から少し離れた所・・・です。」
「エイクラー?」
「チハル、ダンジョンの村だ。」
「え?王都じゃないの?」
 エンハルトに言われ千春が聞くと、マクリは頷く。

「一度王宮に戻ってリリにダンジョンまで送ってもらおう。」
 麗奈が言うと皆は立ち上がる。

「それじゃ、えっと・・・。」
「ロンガートです(ボソッ)」
「ロンガートさん有り難うございました、またよろしくお願いします!」
「いえ、こちらこそ、またお越しくださいませ。」
 ニコリと笑みで返すロンガート、皆はロイロの後ろを付いて行くと馬車に乗り込み王宮へ戻った。


----------------


「リリー。」
「おかえり~レナ面白かった?」
「うん、面白かったよ、リリも来ればよかったのに。」
「好きじゃ無いんだもの~人が争う感情は嫌いだわぁ~。」
 腰に手を当てプンプンと音が聞こえそうな素振りを見せるリリ。

「リリ、ちょっとエイクラーダンジョンまでフェアリーリングお願いしていい?」
「いいわよ~ん。」
「ちょっとまって!レナその恰好で行くの!?」
「あ、リリちょっと着替えて来るわ。」
 麗奈は青空に言われ、千春の寝室に皆で移動すると動きやすい服に着替えた。


「お待たせ~・・・あれ?お母様どうしたんです?」
 千春が着替え終わり応接間に戻ると、マルグリットが座っていた。

「お帰りチハル、オークション楽しかったみたいね。」
 微笑みながら千春に言うマルグリット、そしてソファーに座ったマルグリットの前にはゲージに入った鳥が居た。

「はい、ちょっと予定外な物買っちゃいましたけど。」
「この子とその子?」
 テーブルの鳥と大愛に手を引かれ着替えた猫耳少女マクリを見る。

「はい、その鳥は逃がしてあげたいんですけど、雛らしいんですよね、マクリちゃんはお母さんが病気らしいので今から治療しに行こうかと思ってます。」
「そう、この鳥は名前付けたの?」
「いえ、逃がす予定なので。」
「そう、あなたまだ名無しなのね。」
「クィッ~~。」
「そうなのね。」
「キュゥキュゥ。」
「そうなの?」
「クゥィ~。」
「名前付けてあげましょうか?」
「キュ~~~。」
「チハル、この子私に売ってくれない?」
「え?あの、お母様、この子と話してました?」
「えぇ、言って無かったかしら、私動物と話せる道具持ってるのよ。」
 首に付けた真っ赤な宝石を見せるマルグリット。

「えー!?えっと、鳥ちゃんは何て言ってるんですか?」
「自分が何故ここに居るか分かって無いの、帰る場所も分からないみたい。」
「そうなんですね、えっとお金はいらないので。」
「いいの?」
「はい、お母様が飼われるんですか?」
「えぇ、この子も懐いてくれそうだし。」
 マルグリットはゲージの扉を開けると、オルニス鳥の雛はマルグリットの手に擦り寄る。

「・・・えぇぇ、懐いてるし。」
「メグ様動物と話出来るって反則じゃん?」
「チートだね。」
「でも意思疎通出来るならお任せした方が良いね。」
 頼子達は懐くオルニス鳥とマルグリットを見ながら呟く。

「で、チハルは今から出かけるの?」
「あ!そうだった!この子、猫耳マクリちゃんのママが病気らしいんです、治療できないか見てきます!」
「なんの病気なの?」
「・・・あ、聞いてない。」
 そう言うと皆の視線がマクリに集まる。

「えっ・・・えっと・・・ずっと熱が出て・・・歩けなくなりました。」
「治療は出来なかったの?」
「教会の人に見てもらいました・・・お金も渡しました・・・治りません・・・でした。」
「えー!なにしてんの教会!それいつ頃?」
「前の春です。」
「チハルが来る前だな。」
 エンハルトがポツリと呟く。

「そっか、その頃の教会か、ぶん殴りたいな。」
「いや、ぶん殴るヤツはモート様に連れていかれただろ。」
「・・・あー!居たねそんな人。」
「ねぇ千春、病気わかんないけどどうするの?」
「ふっふっふー!ちゃっちゃら~ん!」
 変な効果音を付けながらアイテムボックスに手を入れ取り出す。

「ばんのうやくぅ~♪」
「あ、ジャムじゃん。」
「そう言えば万能薬だったねそれ。」
「初めてじゃん?万能薬なのに万能薬として使うの。」
「なー、普通にパンに付けて食べてたもんねぇ。」
「この邪魔に成らない風味がマフィンに合うんだわ。」
 頼子達もそう言えば!と思い出す。

「ヨシ!リリお願い!」
「は~い、皆フェアリーリングに入って~♪」
「それじゃお母様行ってきま~す!」
「気を付けてね。」
「はーい!」
 JKと侍女、ロイロ率いるペット軍団、そして、まぁ付いて行くかぁと護衛がてら付きそうエンハルト達はフェアリーリングに入るとエイクラーダンジョンの有るエイクラー村へと飛んだ。





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