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オークション後半戦!

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「お待たせ致しました、それではオークションを再開致します。」
 紳士は挨拶をすると、女性が品物を持ってくる、ドワーフの作った髪飾りだ。

「ドワーフさんって小さな細工もするんだね。」
「ドワーフは器用な者が多いからな、チハルはドワーフ国には行った事が無いか。」
「うん、一回行ってみたいね。」
「母上に手紙を書いて貰えば王城にも入れるぞ。」
「いや!街だけで良い!」
 装飾品が次々と落札されて行く中、頼子達もステージを見ながら呟く。

「あそこの貴族さん必死だね。」
「宝石に命かけてる感あるねぇ。」
「旦那さん大変そぉ~。」
 頼子、美桜、麗奈は品より人を見る方が楽しそうだ。

「さっきのネックレス何処に付けて行くわけ?」
「お茶会とか?」
「ほら、こっち夜会とかパーティー結構有るじゃん。」
「肩こりしそう。」
「「それな!」」
 青空、大愛、日葵は他人の肩こりを心配していた。

「それでは次の商品は、宝石加工技師、ヨリコ様の一品で御座います。」
 そう言って出された物は大粒の真っ赤なルビーだ、会場はどよめき、貴族令嬢や淑女が殺気を帯びる。

「魔法の紋章加工もしてあり、緻密な仕上がりで御座います。」
 紳士が手袋を付けた手でルビーを手に取ると紋章がうっすら輝く、会場は盛り上がってきた。

「あれ光るんだ。」
 千春が頼子に聞くと、首をブンブンと横に振りアリンハンドを見る。

「紋章は魔法陣と似た仕様なので、魔力を通せば光りますよ?」
「うっそぉん。」
「ヨリ知らなかったの?」
「マジで?作った本人が知らなかったの?」
 美桜と麗奈が突っ込むと、コクリと頷く。

「500!」
「550!」
「600!」
「700!」
「ちょ!ヤバい!上がり方ヤバい!」
 大愛が観客席を見ながら頼子に言う。

「こわっ!アリンさん!」
「はぁ、私は作っている所を見てますし、紋章は私の作った物ですから驚きませんが。」
「チハルもさっき言ってただろ?アウトなヤツだ。」
 値段の上がり方にビビり散らかす中、頼子が呟く。

「アリンさん、アレ出さなくてよかったね。」
「アレを出してたら全力で止めましたよ。」
 頼子とアリンハンドの話が聞こえ、千春とエンハルトが2人を見る。

「アレって?」
「なんだ?何かあるのか?」
「えっとねー、コレ。」
 頼子は影収納から頼子の握り拳程のルビーを取り出した。

「はい!アウトォ!」
「おい、アリン聞いてないぞ。」
 千春は野球の審判の様に腕を突き出し、エンハルトはジト目でアリンハンドを睨み付ける。

「ヨリさぁん、出しちゃダメですって。」
「身内しか居ないじゃん。」
 悪びれず頼子はアリンハンドに言うと、早く収納して下さいと怒られる。

「ヨリ、1000枚超えた!」
「マ!?」
「1億かぁ、人工宝石なのにねぇ。」
「詐欺?」
 青空達はステージを見ながら話す。

「人工宝石なのに大丈夫かな。」
 金額が上がり心配になる頼子はアリンハンドに問いかける。

「問題有りませんね、ヨリさんの所では分かりませんが、どの鑑定士が鑑定しても紛れもなくルビーでした、それに司会のフェニス氏も『加工』としか言ってません、人工でもルビーに間違いありませんから。」
 それを聞き、ホッとため息を吐く頼子、そして落札者が現れる。

「3番の方、金貨1265枚で落札で御座います。」
 盛大な拍手とため息、歓声が響く。

「女性じゃなく男性紳士さんが落札したね。」
「奥さんにプレゼントかね。」
「たっけぇプレゼントだなぁ。」
 それぞれが感想を言い合う中、次の商品が出される、千春達はそれぞれがアクセサリー等の落札に参加するものの、値を上げるだけ上げて最後の一声で止める嫌がらせの様な事をして楽しんだ。

「さっきのネックレスは競り落としても良かったなぁ。」
「でもアレ落札したら恨まれたんじゃない?あのオバサマに。」
 麗奈は満足そうに言うが、大愛はオバサマをのぞき込みながら言う。

「ウチはあの指輪買いそうになって焦ったわ、20番の人ありがとう。」
 ケラケラと美桜は笑いながら話し皆は楽しむ。

「次の商品はこちら、ジブラロール王国竜騎士団のドラゴンの鱗3枚で御座います!」
「「「うおぉぉぉ!」」」
 貴族男性が声を上げる。

「おぉー、人気あるね。」
「だろ?今じゃジブラロールと言えばドラゴンと思われている節がある、ステータスになるからな。」
「ママドラのは後?」
「だな。」
 貴族達は3枚の鱗に声を上げ落札しようと必死だ。

「いくらでも拾えるアリンハンドさん、この光景を見てどうですか?」
 千春はニヤニヤしながらアリンハンドに聞く。

「・・・申し訳なくなってきました。」
 既に3枚セットとは言え金貨600枚を超えている、アリンハンドはあはははとカラ笑いしながら呟く。

「852枚!他に御座いませんか?・・・それでは22番の方金貨852枚で落札で御座います!」
 司会の紳士は拍手をする、そして。

「それでは最後になります、こちら!ジブラロール王国の守護竜、ママドラ様の鱗です!」
 大歓声と言わんばかりの声が響き渡る、そして1人の紳士が声を上げる。

「1000!」
 ざわめく会場、エンハルトがぽつりと呟く。

「オーレン公爵か。」
「オーレン?聞いた事あるなぁ。」
「チハル、フランシス嬢のお父様ですよ。」
 千春が頭を傾げているとサフィーナが答える。

「えー、フランちゃんのお父さんならタダであげるのにぃ。」
 静まり返るオークション会場、そしてオーレン公爵がママドラの鱗を落札した。


-----------------


「あー楽しかったー。」
「結局出品分儲けただけで落札はしなかったねー。」
「別にコレ!って言うの無かったもん。」
 皆はそれぞれ感想を言いつつ案内された部屋へ移動する。

「チハル王女殿下、如何でしたか?」
「はい、楽しかったです!」
「皆さまのお支払の方になります。」
 テーブルの上に山積みにされた巾着袋を見せながらフィニスは笑みを浮かべる。

「ん~、私の分は孤児院に寄付します。」
 千春が言うと、私も~と、頼子と麗奈が言う。

「え?ヨリ達も?」
「うん、お金なら商業ギルドの口座に有るからねぇ、アレもまた作れば良いし。」
「私も宰相さんから沢山もらったからね、飛空艇の魔石で。」
 千春達が言うと、フィニスは困り顔でエンハルトを見る。

「まぁそう言う事だ、額が額だからな、商業ギルドのメイソンに話してくれ。」
「了解致しました・・・本当に宜しいので?」
「「「はい!」」」
 満面の笑みで返す3人、美桜達もそれを見ながら笑う。

「あんたららしいわ~。」
「ま、言うと思ったわ。」
「次は時間あるんだよね?」
「うん、ロイロが呼びに来るよ。」
「よし!お腹空いたから何か食べよう!」
「はーい!スイーツ食べたいでーす!」
「おっけ~、ハルト、王都のスイーツ店行こ!」
 皆はワイワイと部屋を出る、エンハルトとアリンハンドは軽く溜息を吐くと笑みを浮かべ付いて行った。








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