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閑話:ジブラロール王都!②

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「もう食べられないにゃぁ。」
「がんばって、次はあれ。」
 三珠は彩葉と王都を探索しながら食べ歩きをしていた。

「イロハ食べれないから。」
「吾輩だけじゃ食べきれないにゃぁ!」
 彩葉は三珠の味覚を共有しながら食事を楽しむが、三珠は既に限界が来ていた。

「パトリス、アレを見てみろ。」
「なんだ?トリス・・・人形と猫?珍しい柄の猫だな。」
「・・・人形が動いているぞ、ゴーレム系か?」
 パトリス、ガーラン、トリスは三珠と彩葉を見ながら呟く。

「どうしたのー?」
「シャルル、アレ見てみ?」
「あら、可愛い。」
 シャルルは人形と猫を見て微笑む。

「吾輩可愛いにゃ?」
「イロハの事を言ってるのよ。」
「喋れるの?あなた達。」
「話せるようになったの。」
「吾輩は元から喋れるにゃ。」
 シャルルはしゃがみこみ、2人と話す、それを見ていたパトリスがポツリと呟く。

「この手の事はアレか?姫様関係してねぇか?」
「あ~多分なぁ。」
「そうだよなぁ。」
「何?チハルさんの所の子?」
「千春を知ってるの?」
「知ってるにゃ?」
「やっぱりかぁ!そんなこったろうと思ったよ!」
「関わったらヤベェ奴か?」
「いや、ヤバいのは姫様だからな、多分大丈夫だろ。」
 好き勝手に言う男3人を横目に苦笑いするシャルル。

「で、人形ちゃんと猫ちゃんは何してるの?」
「イロハよ。」
「ミタマにゃ。」
「イロハちゃんとミタマちゃん何してるの?」
「食べ歩き探検なの。」
「もう無理にゃぁ、食べれないにゃぁ。」
「人形が食事するの!?」
「ミタマが食べて私が味覚を共有しているの、ミタマが食べれば私も食べた気になるの。」
「あー、だからミタマちゃんお腹いっぱいなんだ。」
「そうにゃぁぁぁ。」
 グッタリして項垂れる三珠、彩葉は頑張ってと励ます。

「イロハちゃん、それって私とも味覚共有出来たりする?」
「出来るの。」
「おっけ~、今からお昼食べるから一緒に行かない?」
「ちょっ!シャルル連れて行くのか!?」
「良いじゃない、可愛い人形と猫ちゃん連れて行くだけよ。」
「食堂に猫は入れないだろ、屋台で済ますか?」
「それは多分大丈夫じゃないかなぁ?」
 シャルルはそう言うと、目的の食堂に向かう、そして店の中に入る。

「そ、そうか、悪かった、飯美味かったぜ。」
「はい!またよろしくです!」
 店に入ると丁度男がテーブルを空け出て行く所だった。

「あ、テーブル空いた、良いタイミング♪」
「いらっしゃいませ!シャルルさん今日は何にします?」
「レウピィちゃん、私はオムライスで。」
「今日の日替わりは何だ?」
「煮込みハンバーグで~す。」
「それじゃ俺はそれで。」
「俺はギュウドン!」
「俺も!特盛ツユダクで!」
「はーぃ・・・って猫!こら!猫!」
「レウピィちゃん、この子チハル王女殿下の所の猫なの。」
「そうなの?」
「そうにゃ。」
「喋った!」
「ね、普通の猫じゃないから。」
「ん~、んじゃいっか。」
 レウピィはそう言うと厨房に注文を言いに行く。

「良い匂いにゃぁ。」
「おいしそう。」
「匂いも分かるの?」
「匂いも貴女と共有してるの。」
「そうなのね、あ、自己紹介してなかったね、私は冒険者狼の牙のシャルルよ、ヨロシクね。」
「俺はパトリスだ。」
「ガーランだ。」
「トリスです。」
「あと一人居るんだけど、もうすぐ来るよ。」
 シャルルがそう言うと扉を元気に開け、女の子が入って来る。

「たのもう!」
「何をだよ。」
「注文だろ?」
「だから何を注文するんだよ。」
 男3人の突っ込みをスルーし、テーブルに座るのはユーリンだ。

「何たのんだー?」
「オムライス♪」
「俺は定食。」
「俺とトリスはギュウドンだ。」
「ん~~~~~、レウピィちゃん!ビーフシチューとふわふわパン!」
「はーい!」
「おいおい、高いの行ったなぁ。」
「へっへ~♪バイトしてっからねー。」
「あー、アレか、ロイロさんの所の。」
「ヤバい事はすんなよ?」
「大丈夫だよ、あの連中の収支管理してるだけだもん。」
 話をしていると、次々と食事が運ばれてくる。

「で、この人形ちゃんと猫ちゃんは何?変わった人形だねぇ。」
「チハルさんの所の子だよ。」
「へぇ、チハルちゃんの、ヨロシクね猫ちゃん。」
「よろしくにゃぁ。」
「よろしくお願いします。」
「おぉ!しゃべった!」
 ビックリしたのは一瞬で、直ぐに笑みを浮かべながら話し、そして食事をはじめた。

「ん~美味しいわぁ。」
「おいしいです。」
「どういう事?」
「私の味覚をイロハちゃんが共有してるらしいよ。」
「へー、私にも出来る?」
「出来るわ。」
 彩葉はそう言うとユーリンを見る。

「食べるよー。」
 パクリとスプーンで掬ったビーフシチューと肉を頬張る。

「ん~♪どう?」
「・・・美味しい!」
「でっしょ~、この店で一番高いからね!」
 そして食事が終わると皆は店を出る。

「んじゃまた後でね~。」
 ユーリンはそう言うと街中に消える。

「私は魔道具屋に行くけど、イロハちゃんとミタマちゃんはどうするの?」
「満足したからお城に戻るわ。」
「吾輩もお昼寝したいにゃ、帰るにゃ。」
「そっか、チハルさんによろしくね。」
「俺達は装備の整備してくる、それじゃな!」
 シャルル達はそれぞれ目的の方へ向かう、彩葉は三珠に乗ると三珠は歩き出す。

「ユラちゃんが居るわ。」
「ほんとにゃー、何してるにゃー?」
 ユラはイーレンと一緒にアクセサリー売り場を見ていた。

「ユラにゃー。」
「あーミタマちゃん、イロハちゃんもいるー。」
「こんにちわ、何してるの?」
「おかいものだよー、イーレンちゃんは初めてだよね。」
「こんにちわ、イーレン・ゴールマンともうします。」
「イロハよ。」
「ミタマにゃー。」
 4人は挨拶をする。

「イロハちゃんは何してたの?」
「お食事よ、今からお城に帰るの。」
「そっか、きをつけてね。」
「ユラちゃんもね。」
「ユラはだいじょうぶだよー。」
 ユラはそう言うと街道向かいの屋根を見上げる。

「ほら。」
「ルプさんが居たのね。」
 ルプはあくびをしながら屋根の上に座っていた。

「それじゃ行きましょ、ミタマ。」
「猫使いが荒いにゃぁ。」
「気にしたら負けよ?」
「負けてもいいにゃぁ、お腹苦しいにゃぁ。」
「大きくなったら?」
「皆驚くにゃ?」
「そうかしら、ルプさんの方が大きいわよ?」
「・・・そう言えばそうにゃ。」
 三珠はそう言うと、大きくなる。

「それじゃ帰るにゃ!」
「はいよー!しるばー!」
「なんにゃそれ?」
「おじいさんが見ていた映画のセリフよ。」
「まぁいいにゃ!いくにゃー!」
 急に大きくなった猫を見て、一瞬驚く人々、しかし近くにユラが居た事もあり、王都の住人は「あぁ、王女殿下関係か。」と平常に戻る、そして屋根の上を駆け抜け2人は王宮に戻った。







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