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モート国でお菓子作り!
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「ただいま戻りましたー!」
ホクホク顔で挨拶をする千春にマルグリットが笑顔で返す。
「おかえりなさいチハル、街はどうだった?」
「色々ありました!他国でお買い物楽しいです!」
「それは良かったわね。」
千春の満面の笑みにマルグリットも嬉しくなる。
「おかあさま!おみやげです!」
ユラはカラフルに染めた布のブレスレットを渡す。
「ありがとうユラ、美味しい物食べた?」
「びみょう!」
千春達が食べ歩きをしながら呟いていた言葉を元気よく答える、千春はそれを聞き苦笑いをする。
「お母様、モートさんの用事何だったのですか?」
「少し面倒な案件だったのだけど解決して頂けたわ、モート様チハルのお菓子は楽しみにしていらっしゃったわよ。」
「おぉー、それじゃ頑張って作らないとなぁ。」
千春は嬉しそうに腕まくりをしながら答える
「チハル何を作るの?」
「寒天の材料を作るんですけど、下ごしらえからするので時間が掛かるんですよ。」
「魔法でどうにかならないの?」
「ん~やった事ないので分からないです、色が抜けてるのでゴミを取って茹でるまでは早いと思いますけど。」
アイテムボックスから天草を出すと、広げながら千春は答える。
「それじゃやってみましょうか。」
マルグリットはそう言うと立ち上がる。
「え?お母様も?」
「えぇ、チハルがいつもどんな風に色々作っているのか興味があったの、ダメ?」
「いえ!大丈夫ですけれど、汚れますよ?」
「大丈夫、エリーナが洗浄の魔法を使えるわ、サフィーナも使えるでしょう?」
「はい。」
サフィーナは微笑みながら答える。
「さぁそれじゃ行きましょうか。」
「あ、はい。」
マルグリットは千春の手を取り部屋を出る、その後ろから付き人のエリーナとサフィーナが付いて行った。
------------------
「・・・ヨリ一緒に行かないの?」
「うん、行かないよ、邪魔したら悪いじゃん、ミオこそ付いて行かないの?」
「そりゃぁ・・・ねぇ、邪魔したら悪いじゃん?」
「みんな考える事は同じか。」
麗奈と日葵もニッコリと微笑み頷く。
「ルプ君は付いて行かないの?護衛的な。」
「メグが付いているだろう、サフィーもそうだがエリーナも相当だぞ。」
「そうなの?」
頼子は問いかけながらモリアンを見る。
「え~~~~っと・・・相当です。」
「因みに例えると?」
「サフィーさんと一騎打ちしたらどっちが勝つか分かりません、っていうかサフィーさんが負けると思います。」
「えぇぇ!!!!噓でしょ!?サフィーちゃんだよ!?あの!」
「はい、ですよね、アルベルさん。」
マルグリットのもう一人の付き人アルベルを見ながらモリアンが聞く。
「はぁ、モリアン一応その事は特殊任務事項ですよ?」
溜息を吐きながらアルベルが答える。
「私達の事もヨリさん達は全部しってますし?」
「そうですね、特殊部隊の纏め役になります、裏では私が副隊長になります。」
「そりゃそうだよねぇ、だってあの王妃殿下だもん、普通の人は付かないよねぇ。」
アルベルが答えると、頼子が納得と言う感じで話す。
「はーい!アルベルさん!」
手を上げて美桜が呼ぶ。
「何でしょう。」
「本気で逃げたモリーちゃん捕まえれますか?」
「はい。」
「「「「すごっ!!!!」」」」
「なんで私が基準なんですかぁ!?」
「そりゃ私達が分かりやすい規格外身体能力だから?」
「変人みたいな言い方はやめてくださーい!」
モリアンは物言いをつけるが、頼子達は大笑いしながらソファーに転げまわっていた。
------------------
「すみませーん、厨房お借りしまーす。」
「聖女様!どうぞ!こちらをお使い下さい!」
料理人は綺麗にしてあるキッチンを手で指すと、頭を下げる。
「あ、有難うございます、って借りるの知ってた感じです?」
「フフフッ、私がルイーズに言っておいたもの、チハルが料理を作るから厨房借りれるようにしておいてねって。」
「通りで・・・すんなり借りれた訳ですね、有難うございます。」
千春とマルグリットはお揃いのエプロンを着ると、先程出して片付けた天草をボウルに入れ水で綺麗に洗う。
「綺麗だなぁ、品質めちゃくちゃ良くない?ここの天草。」
「テングサっていうのね。」
「はい、これを酢を入れたお湯で煮込むんです、サフィー鍋にお湯作ってもらっていい?」
「はい、どれくらいの量入れますか?」
「んー、この量だと結構作れるけど、まぁ残ったら乾燥させたらいいか、10リットルくらいお願い、あともう一つの鍋にもお湯沸かしておいて、こっちは半分くらいでいいよ。」
「はーい。」
サフィーナは慣れた手つきで水魔法を使い鍋に水を入れると、生活魔法でお湯にしていく。
「よし、洗いはOKかな、これを酢と一緒に茹でてー。」
「分かりましたー。」
サフィーナに渡すと、サフィーナは鍋に天草を入れ軽く混ぜて行く。
「チハル私は何をしたらいいかしら?」
「えっと、お母様は料理出来ます?」
「勿論、何年冒険者で料理してたと思ってるの?」
「あははは、それじゃこのサツマイモの皮を剥きます、道具はコレです!」
ピーラーを掲げながらドヤ顔をする千春。
「これで芋の皮を剥きます・・・って良いんですか?お母様がこんな作業しても。」
「良いに決まってるでしょう、聖女で第一王女が場所も気にせず料理してるじゃない。」
「あー・・・はい、それじゃ使い方はこうです、お母様、絶対に刃を引く所に指を置かないでくださいね、爪くらいなら飛んで行きますから。」
ピーラーを使い千春は芋の皮をシュッシュッと削いでいく。
「便利ね。」
マルグリットは見様見真似で芋の皮を剥く、初めて使う道具なのに手際よく作業を始めた。
「・・・上手ですね。」
「フフフッ任せてちょうだい。」
2人は大振りのサツマイモを剥き終わり、ぶつ切りに細かく切り刻む。
「お母様、これを茹でますからこれくらいのサイズに切り刻んでください。」
「これくらいね。」
「固いので気を付けてくださいね。」
「わかってるわよ。」
フフッと笑い手際よくナイフで芋を切り刻むマルグリット。
「本当に料理出来るんですね。」
「あら、エイダン達とパーティーを組んでいた時は私が料理担当だったのよ?なんなら魔物の解体だって出来るわよ。」
「すごっ!味付けは?」
「・・・塩。」
「あ、はい、素材の味ですね。」
マルグリットと千春はそう言うと目が合い、クスクスと笑う、そして芋を鍋に入れ茹で、少し待つと、千春は串を芋に刺し茹で具合を確認する。
「イイ感じです。」
「出来たの?」
「はい、茹であがったのでこれを裏ごしします。」
芋をザルで取り出し、マッシャーで潰す。
「あら、潰しちゃうの?」
「はい、この後裏ごしします。」
裏ごしの道具とヘラを使い、ボウルの上で裏ごししていく。
「私もやるわ、チハル変わるわ。」
「お母様汚れますよ?」
「大丈夫、エプロン付けてるでしょ。」
ヘラを持ったマルグリットは芋をどんどん潰していく。
「お母様力凄いですね。」
「あら、身体強化の魔法はチハル使えないの?」
「はい、使えないです。」
「使えると便利だから教えてあげるわ、多分使えると思うわよ。」
「本当ですか?有難うございますお母様!」
裏ごしも終わり、次は芋に材料を入れる。
「生クリームと砂糖、あとはバターと卵黄、そしてコレです!」
千春はバニラを取り出す。
「これがバニラね、やっぱり嗅いだ事あるわねぇ。」
材料を混ぜ合わせると、千春は天板に形を作りながら並べて行く。
「こんな感じ?」
「はい、お母様そんな感じでお願いします。」
2人は長細い楕円の形で成形していく。
「これは何ていう物なの?」
「スイートポテトです、甘くてふわふわで美味しいですよー。」
「既に凄く美味しい匂いがするんだけど。」
「はい、実はこのままでも食べれますけど見た目を良くするために一度焼きます。」
「そうなのね、あとは?」
「この残った卵黄を塗りまーす。」
スイートポテトの上に卵黄を塗ると、つやつやした表面が出来る。
「あとは180度くらいで・・・げ、薪オーブンだ。」
「チハル様、大丈夫ですよ料理人が準備してくれてます、焼くのはお願いしましょう。」
エリーナは千春に言うと天板を受け取り、料理人に渡す。
「寒天はどんな感じかな?」
「そろそろですか?」
サフィーナは鍋をかき混ぜながら問いかける。
「うん、良いんじゃないかな、私も天草から作るの初めてだから。」
「そうなんです?」
「うん、粉だったり乾燥で売ってるんだよ、冷えるとすぐ固まるし。」
そう言うと天草をザルで漉す。
「こっちはどうします?」
「絞るとまだとれるらしいけど、磯の香が出ちゃうらしいからポイで。」
「はーい。」
サフィーナはアイテムボックスにポイっと入れる。
「で、この寒天に果物とシロップ、そしてアミちゃんの蜂蜜!」
液状の寒天に材料を入れ、最後に果物を入れて行く。
「チハル、コレって。」
「はい!お母様、世界樹の実でーす!」
「・・・まだ持ってたの?」
「まだと言うか、定期的に取りに行ってますし?」
「・・・アリンハンドには言わないでね?倒れるわよ。」
「はーい♪」
バットに綺麗に流し込む。
「あとは冷やすだけです。」
「あら、それじゃぁ私が冷やすわね。」
「お母様氷の・・・ぉぉ・・・得意でしたね。」
「・・・そうよ?」
クスリと笑うとマルグリットはひんやりとした空気を纏わせ、寒天を冷やす。
「これくらい?」
「はい、イイ感じで冷えました、ちょっと切り分けてみますね。」
ナイフです~~~っと刃を入れ切り分けると、お皿に取り分ける、そしてスプーンで掬うと、千春はマルグリットに味見と前に出す。
「おかぁさん・・・ま・・・味見です・・・。」
千春は言い間違いに気付き、顔を真っ赤にしながら寒天ゼリーの乗ったスプーンを前に出す。
「フフッ、有難うチハル。」
マルグリットは優しく微笑み、パクリとスプーンを口に入れる。
「んー!美味しいわチハル。」
「は・・い、よかったです。」
真っ赤になる千春の頭を撫でるマルグリット。
「チハル、王国でも一緒に料理しても良い?」
「え?・・・・はい!」
「また楽しみが増えたわ♪」
2人はニッコリと微笑み合う、そして大食い女神はもっと欲しがるだろうと、千春とマルグリット、そして侍女2人はお菓子を作り続けた。
ホクホク顔で挨拶をする千春にマルグリットが笑顔で返す。
「おかえりなさいチハル、街はどうだった?」
「色々ありました!他国でお買い物楽しいです!」
「それは良かったわね。」
千春の満面の笑みにマルグリットも嬉しくなる。
「おかあさま!おみやげです!」
ユラはカラフルに染めた布のブレスレットを渡す。
「ありがとうユラ、美味しい物食べた?」
「びみょう!」
千春達が食べ歩きをしながら呟いていた言葉を元気よく答える、千春はそれを聞き苦笑いをする。
「お母様、モートさんの用事何だったのですか?」
「少し面倒な案件だったのだけど解決して頂けたわ、モート様チハルのお菓子は楽しみにしていらっしゃったわよ。」
「おぉー、それじゃ頑張って作らないとなぁ。」
千春は嬉しそうに腕まくりをしながら答える
「チハル何を作るの?」
「寒天の材料を作るんですけど、下ごしらえからするので時間が掛かるんですよ。」
「魔法でどうにかならないの?」
「ん~やった事ないので分からないです、色が抜けてるのでゴミを取って茹でるまでは早いと思いますけど。」
アイテムボックスから天草を出すと、広げながら千春は答える。
「それじゃやってみましょうか。」
マルグリットはそう言うと立ち上がる。
「え?お母様も?」
「えぇ、チハルがいつもどんな風に色々作っているのか興味があったの、ダメ?」
「いえ!大丈夫ですけれど、汚れますよ?」
「大丈夫、エリーナが洗浄の魔法を使えるわ、サフィーナも使えるでしょう?」
「はい。」
サフィーナは微笑みながら答える。
「さぁそれじゃ行きましょうか。」
「あ、はい。」
マルグリットは千春の手を取り部屋を出る、その後ろから付き人のエリーナとサフィーナが付いて行った。
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「・・・ヨリ一緒に行かないの?」
「うん、行かないよ、邪魔したら悪いじゃん、ミオこそ付いて行かないの?」
「そりゃぁ・・・ねぇ、邪魔したら悪いじゃん?」
「みんな考える事は同じか。」
麗奈と日葵もニッコリと微笑み頷く。
「ルプ君は付いて行かないの?護衛的な。」
「メグが付いているだろう、サフィーもそうだがエリーナも相当だぞ。」
「そうなの?」
頼子は問いかけながらモリアンを見る。
「え~~~~っと・・・相当です。」
「因みに例えると?」
「サフィーさんと一騎打ちしたらどっちが勝つか分かりません、っていうかサフィーさんが負けると思います。」
「えぇぇ!!!!噓でしょ!?サフィーちゃんだよ!?あの!」
「はい、ですよね、アルベルさん。」
マルグリットのもう一人の付き人アルベルを見ながらモリアンが聞く。
「はぁ、モリアン一応その事は特殊任務事項ですよ?」
溜息を吐きながらアルベルが答える。
「私達の事もヨリさん達は全部しってますし?」
「そうですね、特殊部隊の纏め役になります、裏では私が副隊長になります。」
「そりゃそうだよねぇ、だってあの王妃殿下だもん、普通の人は付かないよねぇ。」
アルベルが答えると、頼子が納得と言う感じで話す。
「はーい!アルベルさん!」
手を上げて美桜が呼ぶ。
「何でしょう。」
「本気で逃げたモリーちゃん捕まえれますか?」
「はい。」
「「「「すごっ!!!!」」」」
「なんで私が基準なんですかぁ!?」
「そりゃ私達が分かりやすい規格外身体能力だから?」
「変人みたいな言い方はやめてくださーい!」
モリアンは物言いをつけるが、頼子達は大笑いしながらソファーに転げまわっていた。
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「すみませーん、厨房お借りしまーす。」
「聖女様!どうぞ!こちらをお使い下さい!」
料理人は綺麗にしてあるキッチンを手で指すと、頭を下げる。
「あ、有難うございます、って借りるの知ってた感じです?」
「フフフッ、私がルイーズに言っておいたもの、チハルが料理を作るから厨房借りれるようにしておいてねって。」
「通りで・・・すんなり借りれた訳ですね、有難うございます。」
千春とマルグリットはお揃いのエプロンを着ると、先程出して片付けた天草をボウルに入れ水で綺麗に洗う。
「綺麗だなぁ、品質めちゃくちゃ良くない?ここの天草。」
「テングサっていうのね。」
「はい、これを酢を入れたお湯で煮込むんです、サフィー鍋にお湯作ってもらっていい?」
「はい、どれくらいの量入れますか?」
「んー、この量だと結構作れるけど、まぁ残ったら乾燥させたらいいか、10リットルくらいお願い、あともう一つの鍋にもお湯沸かしておいて、こっちは半分くらいでいいよ。」
「はーい。」
サフィーナは慣れた手つきで水魔法を使い鍋に水を入れると、生活魔法でお湯にしていく。
「よし、洗いはOKかな、これを酢と一緒に茹でてー。」
「分かりましたー。」
サフィーナに渡すと、サフィーナは鍋に天草を入れ軽く混ぜて行く。
「チハル私は何をしたらいいかしら?」
「えっと、お母様は料理出来ます?」
「勿論、何年冒険者で料理してたと思ってるの?」
「あははは、それじゃこのサツマイモの皮を剥きます、道具はコレです!」
ピーラーを掲げながらドヤ顔をする千春。
「これで芋の皮を剥きます・・・って良いんですか?お母様がこんな作業しても。」
「良いに決まってるでしょう、聖女で第一王女が場所も気にせず料理してるじゃない。」
「あー・・・はい、それじゃ使い方はこうです、お母様、絶対に刃を引く所に指を置かないでくださいね、爪くらいなら飛んで行きますから。」
ピーラーを使い千春は芋の皮をシュッシュッと削いでいく。
「便利ね。」
マルグリットは見様見真似で芋の皮を剥く、初めて使う道具なのに手際よく作業を始めた。
「・・・上手ですね。」
「フフフッ任せてちょうだい。」
2人は大振りのサツマイモを剥き終わり、ぶつ切りに細かく切り刻む。
「お母様、これを茹でますからこれくらいのサイズに切り刻んでください。」
「これくらいね。」
「固いので気を付けてくださいね。」
「わかってるわよ。」
フフッと笑い手際よくナイフで芋を切り刻むマルグリット。
「本当に料理出来るんですね。」
「あら、エイダン達とパーティーを組んでいた時は私が料理担当だったのよ?なんなら魔物の解体だって出来るわよ。」
「すごっ!味付けは?」
「・・・塩。」
「あ、はい、素材の味ですね。」
マルグリットと千春はそう言うと目が合い、クスクスと笑う、そして芋を鍋に入れ茹で、少し待つと、千春は串を芋に刺し茹で具合を確認する。
「イイ感じです。」
「出来たの?」
「はい、茹であがったのでこれを裏ごしします。」
芋をザルで取り出し、マッシャーで潰す。
「あら、潰しちゃうの?」
「はい、この後裏ごしします。」
裏ごしの道具とヘラを使い、ボウルの上で裏ごししていく。
「私もやるわ、チハル変わるわ。」
「お母様汚れますよ?」
「大丈夫、エプロン付けてるでしょ。」
ヘラを持ったマルグリットは芋をどんどん潰していく。
「お母様力凄いですね。」
「あら、身体強化の魔法はチハル使えないの?」
「はい、使えないです。」
「使えると便利だから教えてあげるわ、多分使えると思うわよ。」
「本当ですか?有難うございますお母様!」
裏ごしも終わり、次は芋に材料を入れる。
「生クリームと砂糖、あとはバターと卵黄、そしてコレです!」
千春はバニラを取り出す。
「これがバニラね、やっぱり嗅いだ事あるわねぇ。」
材料を混ぜ合わせると、千春は天板に形を作りながら並べて行く。
「こんな感じ?」
「はい、お母様そんな感じでお願いします。」
2人は長細い楕円の形で成形していく。
「これは何ていう物なの?」
「スイートポテトです、甘くてふわふわで美味しいですよー。」
「既に凄く美味しい匂いがするんだけど。」
「はい、実はこのままでも食べれますけど見た目を良くするために一度焼きます。」
「そうなのね、あとは?」
「この残った卵黄を塗りまーす。」
スイートポテトの上に卵黄を塗ると、つやつやした表面が出来る。
「あとは180度くらいで・・・げ、薪オーブンだ。」
「チハル様、大丈夫ですよ料理人が準備してくれてます、焼くのはお願いしましょう。」
エリーナは千春に言うと天板を受け取り、料理人に渡す。
「寒天はどんな感じかな?」
「そろそろですか?」
サフィーナは鍋をかき混ぜながら問いかける。
「うん、良いんじゃないかな、私も天草から作るの初めてだから。」
「そうなんです?」
「うん、粉だったり乾燥で売ってるんだよ、冷えるとすぐ固まるし。」
そう言うと天草をザルで漉す。
「こっちはどうします?」
「絞るとまだとれるらしいけど、磯の香が出ちゃうらしいからポイで。」
「はーい。」
サフィーナはアイテムボックスにポイっと入れる。
「で、この寒天に果物とシロップ、そしてアミちゃんの蜂蜜!」
液状の寒天に材料を入れ、最後に果物を入れて行く。
「チハル、コレって。」
「はい!お母様、世界樹の実でーす!」
「・・・まだ持ってたの?」
「まだと言うか、定期的に取りに行ってますし?」
「・・・アリンハンドには言わないでね?倒れるわよ。」
「はーい♪」
バットに綺麗に流し込む。
「あとは冷やすだけです。」
「あら、それじゃぁ私が冷やすわね。」
「お母様氷の・・・ぉぉ・・・得意でしたね。」
「・・・そうよ?」
クスリと笑うとマルグリットはひんやりとした空気を纏わせ、寒天を冷やす。
「これくらい?」
「はい、イイ感じで冷えました、ちょっと切り分けてみますね。」
ナイフです~~~っと刃を入れ切り分けると、お皿に取り分ける、そしてスプーンで掬うと、千春はマルグリットに味見と前に出す。
「おかぁさん・・・ま・・・味見です・・・。」
千春は言い間違いに気付き、顔を真っ赤にしながら寒天ゼリーの乗ったスプーンを前に出す。
「フフッ、有難うチハル。」
マルグリットは優しく微笑み、パクリとスプーンを口に入れる。
「んー!美味しいわチハル。」
「は・・い、よかったです。」
真っ赤になる千春の頭を撫でるマルグリット。
「チハル、王国でも一緒に料理しても良い?」
「え?・・・・はい!」
「また楽しみが増えたわ♪」
2人はニッコリと微笑み合う、そして大食い女神はもっと欲しがるだろうと、千春とマルグリット、そして侍女2人はお菓子を作り続けた。
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