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美桜と麗奈のお買い物!

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「なんだこれー?」
「干物?」
 見たこともない形の干物を見ながら美桜と麗奈は首を傾げる。

「いらっしゃいお嬢ちゃん達、何か探し物かい?」
 恰幅の良い店の女店員は美桜と麗奈に声をかける。

「これ何ですか?」
「これはエイの干物だよ。」
「エイって干すとこうなるのか。」
「他にも色々あるよ。」
「干物多いですねぇ。」
「船乗りや海を渡る商人が多いからね、保存食は豊富にあるよ。」
「この塊は?」
「魚の燻製、削って食べるんだ、酒のつまみにもなる。」
 女性は自分の腕程ある燻製を持つと、コンコンと塊を叩く。

「ミオ、これってさ・・・鰹節じゃない?」
「ウチも同じ事思った。」
「食べてみるかい?」」
 そう言うと表面を軽くナイフで削ぎ落とし美桜と麗奈に渡す。

「ちょっと風味違うけど鰹節じゃん!?」
「うん、これはチハルが喜ぶ。」
 太めに削られた鰹節をモグモグしながら話す2人。

「なかなか味があって美味いだろ?」
「はい!美味しいです、これ一本いくらですか?」
「大銅貨5枚だよ。」
 美桜の膝上よりも太さのある鰹節を見せる。

「大銅貨っていくらだっけ。」
「1枚100円のはず。」
「やっす!お姉さんこれあるだけ下さい!」
「お?お姉さんなんて嬉しい事言うねえ、今の在庫はこれだけだね。」
 木箱を出すと中には20本以上入った鰹節があった。

「はい!お金!」
「おっと、金貨かい、細かいのは無いのかい?」
「はい・・・。」
「ちょっと待ってなー。」
 店の奥に入り、女店員はすぐに戻ってきた、そして美桜にお釣りを渡す。

「金貨を持ち歩くなんて、どこぞの貴族の娘さんかい?」
「そんな感じです。」
「あーメイドも付いてるんだね、気をつけなよ?この街は荒くれ者も多いからね。」
 オクナとサビアは入り口で待機していた、それを見た女性は微笑む、美桜と麗奈はアイテムボックスのバックに鰹節を全て入れると挨拶をし店を出た。

「カツオブシって何かしら?」
 リリは姿を消したまま呟くと、コンが答える。

「カツオを乾燥させた物です、日本の料理にはなくてはならない物です。」
「そ、チハルが前鰹節がこの世界に無いって言ってたからね、これは良いお土産になるよ。」
 店を出ると美桜と麗奈にオクナとサビアはピタリと付く。

「オクナちゃんどうしたの?」
「そのまま次のお店にお入り下さい。」
 美桜と麗奈は緊張したオクナの様子を見て頷き、軽食が取れる店に入る。

「リベスさん、サイマスさん、入り口を頼みます。」
「了解です。」
 リベスは頷き、ドラゴニュートのサイマスも頷く。

「どうしたの?」
「チハル様とヨリ様が狙われたそうです。」
「げっ!マジで?大丈夫なの?」
「はい、問題ないとの事でした、ですが、こちらも狙われておりますのでお伝えしようかと思いまして、申し訳ございません。」
「謝らなくて良いよー、でもどうしようか、チハル達はどうしてるの?」
「引き続きお買い物を続けるそうです。」
「そっか、んー、どうする?レナ。」
「合流しても良いけどねぇ。」
 美桜と麗奈は残念そうに呟く。

「ミオさん、僕が幻術かけましょうか?」
「私も魔法で姿を消すわよ?」
 コンとリリは姿を現し美桜と麗奈に言う。

「良いねぇ、まいちゃう?」
「面倒事は避けたいもんね。」
「あ、でも城から付いて来た護衛さん達もまいちゃわない?」
「そこは気にしなくても良いでしょう、何も無ければ良いのですから。」
 そうと決まればと、サビアがリベスとサイマスを店の中に入れ、軽く飲み物を頼み一休みする。

「それでは、皆さんに幻術をかけます、こちらの人の見た目にしますので。」
 そう言うと皆の見た目がセイレーン達のように耳元にヒレのような物が現れ、顔も変わる。

「それじゃぁ私が姿を消すわね、私達は普通に見えてますけどぉ、他の人には見えてないからぶつかったりしないでねー。」
 リリが魔法を掛ける、そして店を出るとチンピラの様な男が数人店の周りを見ていた。

「・・・・。」
「・・・・。」
 6人は開かれた扉をすり抜け通りを歩いていく、しばらく歩くと美桜が大きく息を吸う。

「ぷはぁぁぁぁぁ!!!」
「どうしたミオ。」
「思わず息止めちゃってたわwww。」
「止めなくてもよろしいのにぃ。」
 呆れた様にリリが言う。

「うん、知ってたんだけど思わず止めちゃってたよ。」
「それじゃそこの隠れたところで魔法を消すわ、移動してぇ♪」
 物陰に隠れて魔法を解除すると、美桜達はまた通りに戻る。

「んじゃ気を取り直して次いこー!」
「このバッグって生ものもOKなんだっけ?」
「大丈夫らしいよ、でも魚介類はチハルが買うっしょ?」
「レナ!あそこ果物売ってますわぁ!」
「ほんとだ、果物見に行こう。」
 6人は人混みに紛れ、何事もなかった様に買い物を続けた、美桜と麗奈を見失い探す事を諦めた男達は、ターゲットを変え他の者達と合流する、そして向かった先は青空、大愛、日葵達の所だった。




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