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枝豆と銀色のアレ!

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「ロイロ、ルプ、護衛ありがと。」
 城に戻り、スチュアとスタンはエンハルトの所へ戻り、千春は部屋に戻った。

「何事も無かったな。」
「あったらヤだよ。」
「何か有ってもサフィーとサリナもおるんじゃ問題ないじゃろ。」
 ソファーにもたれかかり、ロイロは笑いながら言う。

「で、枝豆を茹でるんだろ?」
「うん、ルプは食べたことある?」
「勿論、夏にはよくお供えでばあさんが置いて行ったからな。」
「よし、それじゃ枝豆茹でよう!私も久しぶりに食べたいし。」
 千春はキッチンに移動すると、魔導コンロに火を点けお湯を沸かす。

「サフィー、サリナ手伝って。」
「何をしたらいいの?」
「枝豆を枝から切り取るの。」
 そう言うとハサミでパチパチと先端を切っていく。

「先端を切るんですね。」
「そ、切ったらこのボールに入れてね。」
「了解です。」
 サリナも返事をすると、ハサミでパチパチと枝豆を切り取っていく。

パチ、パチ、パチ、パチ。

「・・・・・何かしゃべってよ~。」
「・・・・・どんな話が良いですか。」
「・・・・・面白い話。」

パチ、パチ、パチ、パチ。

「・・・・・最近訓練でラルカのモリー捕獲率が8割超えましたよ。」
「・・・・・そりゃすごい。」
「・・・・・うちの部隊の子もラルカくらいの身体能力が有れば良いのですけれど。」

パチ、パチ、パチ、パチ。

「・・・・・部隊の子って何処で訓練してんの?」
「・・・・・地下です。」
「・・・・・特殊部隊や影の者専用訓練所があるのですよ。」

パチ、パチ、パチ、パチ。

「・・・・・チハル、どれだけ切り取るの?」
 気付けばボールに枝豆が山盛りになっていた。

「うん、これくらいで許してやろう!」
 山盛りの枝豆を3つに分けると、塩を振る。

「サフィーはこれー、サリナはこれー、私はこれー、塩もみしてね。」
「はい、これは中身を取り出さなくて良いのですか?」
「うん、サヤごと茹でるんだよ、塩もみすると塩味がのりやすいのと、産毛が取れるの。」
 サリナに説明しながら千春はガシガシと塩もみする。

「こうですか?」
「うん、そうそう、ガシガシやっちゃって。」
 3人は黙々と塩もみをする。

「チハルお湯が沸きましたよ。」
「おっけー。」
 塩の瓶を持ち、お湯に塩をドバドバと入れて行く。

「チハル!?入れすぎじゃない!?」
「んー、大丈夫だよ、ちゃんと計ってるから。」
 千春は計量スプーンの大匙でドバドバ入れている。

「因みにどれくらい入れるんですか?」
「んっとね、1リットルで大匙二杯くらい。」
「そう言えば塩もみの時も大匙で入れてましたね。」
「うん、その塩もみした塩も込みで1リットル大匙二杯ね。」
 千春は塩もみした枝豆を塩ごと鍋にぶち込む。

「サフィーの頂戴。」
「はい。」
 サフィーナが塩もみした枝豆も塩ごと入れ、サリナの枝豆も入れる。

「あとはかき混ぜながら茹でまーす。」
「どれくらい茹でるの?」
「3分くらい。」
「そんなに早く出来るの?」
「出来るよ~ん。」
 長い菜箸でぐるぐるかき混ぜながら千春は答える。

ぴぴぴぴっ

「はい!3分!」
 千春はザルで枝豆を取り出し水を切るとザルごとお皿の上に置く。

「できあがりー。」
「・・・・サヤ付いてますけど?」
「うん、これが良いんだよ。」
 大量の枝豆をザルで取り出し3つに分け皿に乗せると3人は応接間に移動する。

「ロイロー、ルプーできたよーん。」
「早かったな。」
「アツアツだから気を付けてねー。」
「儂は食べ方を知らんぞ、このまま食べるのか?」
「えっとね、こうやってサヤの背の部分を口に付けてー。」

プチッ

「・・・うん、んまい!!!」
「ほほう、こうか。」
 ロイロは枝豆を1つ取り、千春の真似をしながら口に付ける。

プチッ

「・・・んー、美味いのぅ。」
 ロイロはもぐもぐと口を動かし次の枝豆を手に取る、ルプは器用にぽいっと口に入れもぐもぐと動かしサヤだけをプィっと吐き出す。

「出来立ては美味いな。」
「それでは私も頂きます。」
「頂きます。」
 サフィーナとサリナも熱々の枝豆を口に付け、プチっと中を出し食べる。

「・・・美味しい。」
「茹でただけでこんなに!?」
「豆の甘みと香りが、塩味と相まってとても美味しいです。」
「でっしょー。」
「千春、ちょっと早いが呑んでも良いか?」
「だよねぇ、これはダメって言えない感じだよねぇ。」
 千春はそう言うと、銀色のアレを取り出す。

「サフィーとサリナも呑んでいいよ。」
「いえ、流石にこの時間からは問題が有りますので。」
 サリナは千春に答える。

「大丈夫だって、用事が出来たら魔法でアルコール飛ばすから。」
 気付けばロイロもビールを手に取り、ルプも獣人の姿になりビールを握っていた。

「私はジンジャーエールにしよっと。」
「・・・サフィーナ様良いのですか?」
「サリナ、ごめんなさい、私・・・飲みたいわ。」
 サフィーナは銀色の缶を取ると、慣れた手つきで開ける。

プシュッ

「頂きます!」
 サフィーナはそう言うとグビグビとビールを飲む。

「はぁぁぁぁ・・・・幸せ。」
「はっはっは!サフィーよ、いい飲みっぷりじゃのう!」
「そりゃ枝豆と来ればビールだよな。」
 ロイロとルプも枝豆を食べながらビールを流し込む。

「っぷっはああああああ!!!!!んっまい!!!」
「こりゃたまんねぇな!」
「本当、チハルが商業ギルドで言っていた意味が良く分かったわ。」
 ロイロとルプ、サフィーナは枝豆を食べつつビールを飲む。

「っぷはぁ!枝豆にはジンジャーエールだね!」
「チハル様それもお酒ですか?」
「んにゃ?ジュースだよ。」
「エールと言ってましたが。」
「あー炭酸と色が似てるからエールって言われてるだけだよ。」
「そ・・・そうですか。」
 サリナはそう言うと、手に持つビールを見つめる。

「ほれ、サリナも呑まぬか。」
「サフィーだって呑んでんだ、それに千春が呑んで良いって言ってんだ問題無いぞ。」
「サリナお酒呑めるよね?」
「あ、はい、お酒は好きです。」
 サリナは意を決してビールを開ける、そして口にする。

「・・・っはぁ。」
「はい、枝豆食べてから呑んでみて。」
「はい。」

プチッ・・・・グビッ

「・・・・!?」
「どう?」
 サリナは口の中の余韻で喋れないのか、頭を縦にコクコクと振る。

「サリナもいい飲みっぷりじゃな!」
「千春ビールはまだ有るか?」
「あるよーん、今日は別に用事もないし出してあげよう。」
 そう言うと銀色の500ml6本セットをドン!ドン!とテーブルに置く。

「よし!乾杯じゃ!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
 そして5人は昼前から酒盛りを始めた。

「あ、豆水に浸けてないや・・・ま、いっかww」
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