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生産ギルドに売り込むぞい!

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「この肉串、照り焼き味だ。」
 千春は肉串を食べながら呟く。

「色々味付けも変わりましたね。」
 サフィーナも食べながら答える。

「王女と貴族令嬢が歩きながら肉串食っとるのも変な感じじゃなぁ。」
「ドラゴンが人の姿で肉串食べてるのも変だと思うよー?」
 ロイロの言葉に千春が返す。

「ヨリ達が食べてるのなんだろう。」
 頼子とサリナは屋台の前で受け取り、その場で齧り付いている。

「あれはホットドッグですよ。」
「商品化したんだ。」
「精肉屋が肉詰めを売り込んでるらしいです。」
 千春は屋台を見ると、見慣れた料理が所々で売られていた。

「色々広まったねぇ。」
「チハルのおかげですね、食事に興味が無かった者達が美味しい料理を求めて食事処が増えてますから。」
「だから他国からも?」
「はい、他の領地からも頻繁に来るようになり、王都の経済が潤っていると言ってました。」
「へぇ、すごいにゃー。」
「はい、すごいんです、にゃー。」
 千春とサフィーナは目が合うとクスクス笑いながら次の屋台に移動した。

「レナ!ハンバーガーあるよ!」
「マ!?」
 ミオはハンバーガーを見つけると駆け出す。

「揚げ物バーガーだね。」
「オークカツバーガーとチキンカツバーガー、コロッケバーガーかな?」
「唐揚げバーガーみたいなのもあるよ。」
「レナ何にする?」
「朝から揚げ物バーガーかい!チキンカツで。」
「ウチはオークカツバーガー!」
「私はチキンカツバーガーマヨ多めで!」
「私もです!」
 モリアンとラルカも便乗して注文を入れる。

「モリーちゃんマヨ好きだねぇ。」
「ルカちゃんもマヨラーの素質あるよね。」
 麗奈と美桜は笑いながら言い、ハンバーガーを受け取る。

「はい!嬢ちゃんたち、全部で大銅貨4枚だよ!」
 美桜は銀貨を渡し、おつりを受け取る。

「一個100円くらいか、やっすいなぁ。」
「ここら辺の屋台にしては高い方ですけどねー。」
 モリアンはハンバーガーに齧り付きながら言う。

「大銅貨1枚あったら饅頭が3個くらい買えるんだっけ?」
「今は2個くらいでふよ・・・モグモグ。」
「高くなったの?」
「美味しくなって材料費が高くなったんだと思います、安いのもまだありますけど。」
 モゴモゴしているモリアンの代わりにラルカが答える。

「美味しくなって高くなるのはしゃーないね。」
「それでも安いけどね。」
 美桜と麗奈はそう言うとハンバーガーに齧り付いた。


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「食い過ぎたわ。」
 青空はお腹に手を当てながら言う。

「うちもだわ、これだけ食べて大銅貨3枚とか、300円だよね。」
「コスパ良すぎでしょ異世界。」
 大愛と日葵もお腹に手を当て同意する。

「おかえりーソラいっぱい食べたっぽいね。」
「くったくった!もう入んない!」
「あははは、で、何かいいアイデア出た?」
「うん、色々あるよー。」
「んじゃ戻ろうか。」
 千春達はそう言うと、ドラゴンの待つ中央広場に戻る、そして王城へ帰った。


「ロイロありがとー、レフ、ライ、これ皆んなで食べてね。」
 千春はアイテムボックスから、ホットドッグや肉串をテラスのテーブルに並べる。

「それじゃコンビニ行ってコピーしてくるから、作る物の設計図とかググって画像送って。」
「あーい、よろー。」
 青空達はスマホで検索し、千春に送る、千春はそれをまとめると頼子とコンビニに行く。

「えーっと、この設計図とー、写真も有った方が良いよね。」
「そうだね、生産ギルドマスターなら見た目からも想像出来るかも。」
「文字が読めないから説明しないとダメだねぇ。」
 千春はデータを送り次々とコピーしていく。

「ま、そこはサフィーちゃん達に記入してもらえば?」
「そうだね。」
 2人はコピーを終わらせ、コンビニを物色しお菓子やジュース、スイーツを買い異世界へ戻る。

「たっだいまー。」
「おかえりなさいチハル。」
「数字や文字をこっちに書き加えたいんだけど、サフィーお願い出来る?」
「はい、手分けして書き込みましょう。」
 サフィーナはそう言うと、サリナやモリアン、ラルカが手伝い、青空達も読み上げ書いて行く、そして侍女が2人部屋に来る。

「失礼致します、ダーサン様が来られました。」
「チハル、呼んでも大丈夫です?」
「オッケーだよ。」
 千春が言うと、サフィーナが部屋を出る、暫くしてダーサンと部下を2人つれ応接間に入って来た。

「チハルさん久しぶり。」
 レプラコーンのダーサンは小さな手を振りながら挨拶をする。

「ダーサンひさしぶりです、儲かってます?」
「お陰様でね、トランプは教えてもらった遊び方を別紙で付けたら面白いように売れたよ。」
「それは良かった。」
 ダーサンと千春は握手をしながら挨拶を交わす。

「それじゃぁ色々とお見せします、メイソンさんにお願いしている旅館で使う物がメインになりますけど、色々と作りたい物も有りますから。」
「へぇ、また儲かりそうなネタかい?」
「どうだろ、作れればそれなりに?」
「ふむ、チハルさんのその言い方だと儲かりそうだね、よし聞こうか。」
 そして皆はソファーに座る、千春達は自分の番になれば対面に座り、他は横で聞いている。

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「ふむふむ、凄い絵だね。」
「写真だからね。」
「設計図も精巧だ、書いたわけじゃないんだろう?」
「うん、誰でも見れるんだよ、それをそのまま紙に写し込んだ物だよ。」
「凄いな、うん、今見せてもらった物は問題なく作れるよ、急ぎの物はあるかい?」
「温泉旅館で使う物は建築する時に使うから、畳や浴衣を優先かな?」
「わかった、作る場所が違うからほぼ同時進行出来るだろうし、問題ないだろうね。」
 千春の説明が終わり、次は青空達3人が説明に入る。


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「・・・と言う物です。」
「ふむふむ、カラビナは大丈夫だろうね、しかし、誰が考えたんだこんな便利な物。」
「さぁ?」
 ダーサンはキーホルダーに付いていたカラビナを触り、バネの部分をパチパチと弾きながら呟く。

「リヤカーと折り畳みキャリーカートも単純な作りだから問題ない、クッションになるゴムと言うのはタイキ殿が言っていた物だ、同じ物か分からないが、近い物は確認しているよ、硫黄と炭素を混ぜると硬化させる事も聞いてるからね。」
「それじゃタイヤは出来そうです?」
「まだそれは無理だね、次にタイキ殿が来た時に試作品と材料を見てもらう事になってるんだ。」
「それじゃ無理かー。」
「今馬車で使っている車輪に皮を巻いたり工夫は出来るよ、それよりもこのサスペンションと言う部分は凄いね、馬車に使えば格段に乗り心地が良くなりそうだ。」
「そっちなの?」
「あぁこっちだね、これは特許を出しておこう、間違いなく儲かるよ。」
「えぇぇ、品物より?」
「うん、桁が違うだろうね。」
 青空達は思っていた所以外の部分で儲けが出ると聞いて複雑な顔で問いかける。

「この簡易テントも凄いなぁ、組み立て式ではなくバネと同じような材質で金属だが折れない仕組みで小さく出来る、良く考えられてるなぁ。」
「ギルマス、この折り畳みナイフという物は私達が受けても大丈夫ですか?」
「頼むよ、ここまで精巧な物は難しいだろうから、ナイフ1つだけか、2つか3つの機能が付いた物から作ってみよう。」
 ダーサンは秘匿するから設計図を貰って良いか?と千春達に確認を取る、試作が出来れば連絡をすると言い、満面の笑みで帰って行った。







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