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オコだよ!

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「どう言うこと?」
 千春は映像を見ながらルプに問いかける。

「・・・かくかくしかじかだ。」
「ルプぅ。」
「アイトネがロイロと同じ事をしてんだ、察しろよ。」
「もしかして私関係?」
「もしかしなくてもな。」
「えーーー!」
 千春は叫んで頼子達を見ると、ウンウンと頷いている。

「そりゃアイトネ様が怒る事って、千春案件でしょ。」
「私のチハルって言ってるもんねー。」
「チハルにちょっかい掛けようとしたんじゃなーい?知らんけど。」
 頼子達はさも当然と言うように答える。

「チハルにちょっかいかけると女神様の神罰くらうの?」
「こっわ!今度からチハル様って呼ぼ。」
 青空と大愛は相変わらず映像を見ながら呟く、すると日葵が言う。

「あ、ドラゴンと女神様動いたよ。」
 映像は消滅した城の跡地にドラゴンとアイトネが降りる所だ、そしてレフトとライトは掴んでいた人間をぽいっと地面に投げる。

「何してんのかな、声聞こえたら良いのに。」
 映像しか分からない千春はそれを見ながら呟く。

「あれじゃん?チハルに次ちょっかいかけたら国ごと消すぞとか。」
「あー言ってそう。」
 頼子、麗奈は笑いながら映像を見る、するとロイロの視線が動き、後ろを見る、ママドラの後ろにドラゴンが並んでいる。

「あれ?ドラゴン多く無い?」
「ママドラが呼んだら多く来たらしいぞ。」
「そうなの?」
「里のドラゴンは千春の飯を知ってるからなぁ。」
 ルプは笑いながら答える、すると映像が変わり見慣れた風景と大きな木が映る。

「帰ってきた!」
 千春は映像を消して庭に出る。

「ロイロ!アイトネ!なにやってんの!?」
「いや、あー、儂はエイダン国王に報告があるからな!」
 ロイロはそう言うと人型になり地面を蹴り、あっという間に飛んで消える。

「アイトネ~・・・。」
『ただいまチハル。』
「おかえり、なんで城消し飛ばしたのよー。」
『ロイロから事情聞いたら腹が立ったから?』
「何聞いたのよ。」
『聖女のチハルを実力行使で攫うって言ったらしいわ、神の怒りを買ってもしょうがないじゃない?』
 アイトネは少し不機嫌に説明しながら、部屋に入って行く。

「ママドラさん!」
「な、何かしら?」
「あそこまでしなくても。」
「私はチハルの件とは別よ!?昔あの国の人間に喧嘩売られたの、その仕返しよ?本当よ?」
「ドラゴンに喧嘩ぁ?そんな人居るの?」
「えぇ、あの国を建国した人間、勇者と聖女よ。」
「えー!?・・・あー、それで聖女の私を?」
 なんとなく話しが見えて来た千春が呟く。

「そ、エイダン国王に聖女のチハルを渡せって何度も書状が届いてね、困ってたからロイロが話し付けに行ったの。」
「で、話し付いた・・・訳ないか、城燃やしてるし。」
「私達に驚いてだけど、話しが出来ると分かったら強気だったのよ、余計に腹が立って・・・ね?」
「ねって・・・もー!そんなの聞いたら怒れないじゃん!」
 話しを聞いた千春は部屋に入ったアイトネを見ると、ニッコリ微笑み、サフィーナの入れたお茶を飲んでいる。

「むー・・・それで、その国の王様はなんて?最後話ししてたよね?」
「もうチハルには関わらないと約束したわよ、アイトネ様に。」
「女神と約束したなら大丈夫かぁ、んー・・・。」
 千春は唸りながら部屋に入り、アイトネに声をかける。

「アイトネありがとう。」
『気にしないで良いわよ、私の判断だもの。』
「でも、ありがとう。」
『ウフフ、チハル可愛い♪』
「あー・・・そう!ほら!アイトネにお願いした対価何が良い?!」
 照れ隠しに話を逸らす千春はアイテムボックスの中身を思い浮かべる。

『別にいいわよ?さっきも沢山貰ったし?』
 アイトネは買って来たドーナツをユラ、イーナ3人で食べ尽くし、さらにステーキも食べていた。

「良いのあった!はいこれ!」
 アイテムボックスから出したのは小箱に入ったマカロンだ。

『あら、マカロン?』
「知ってたの?」
『えぇ、ウカちゃんと食べたわ、美味しいわよねぇ!』
 宇迦之御魂とアイトネは頻繁にデザートを食べに行く為、千春よりもデザートに詳しくなっていた。

「要らない?」
『いただくわ♪』
 ニコニコしながらアイトネは受け取り収納する。

『それじゃ戻るわね、サフィーちゃんお茶美味しかったわ、チハルも何かあれば直ぐに呼びなさいね。』
「うん、ありがとう。」
 千春は笑顔で答え、サフィーナは頭を下げる、アイトネが帰り、しばらくするとロイロが帰ってきた。

「チハルの機嫌は治ったか?」
「もー、ロイロやりすぎだよ。」
「アイトネに言え、儂は止めたぞ?」
「うん、まぁ、ありがとう。」
 お礼を言うと、ロイロは千春の頭をポンポンと触りソファーに座る。

「お父様どうだった?」
「ん?んー、まぁ、お腹押さえて苦笑いしとったなぁ。」
「だよねぇ・・・。」
 千春は日本にある薬箱に胃薬あったかなぁと思い出しながらロイロに返事をした。


-----------------


「はぁ。」
 エイダンは執務室の椅子に座りため息を吐く。

「陛下、大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるか?」
「いえ、私も今同じですから。」
 宰相のルーカスは苦笑いしながら答える。

「城が消滅か。」
「女神様が見ていたとは、想定外でございました。」
「メラディオ国王も災難じゃったなぁ。」
「まさかドラゴン20頭に襲われ、その後女神から城を消し飛ばされ説教、生きた心地しませんね。」
「そうじゃな、イタタタ・・・。」
 エイダンは、また腹を押さえて唸る。

「・・・。」
「ルーカス、思ったより平気そうじゃな。」
「まぁ薬を飲みましたので。」
「薬?」
「はい、タイキ殿から頂いた物で、チハル様が何かして胃を痛めたら飲むようにと。」
 そう言うと宰相は、胃薬の箱を見せながら話す。

「な・・・儂にもくれ。」
「まぁ仕方ありません、残り少ないのですが。」
 エイダンは執事に水をもらい薬を飲む。

「これで落ち着けばいいがのぅ。」
「メラディオの方はどうされますか?」
「どうもしようが無いじゃろ、ジブラロールから何か言う必要も無い、あちらからも言って来る事は無いじゃろ。」
「では放置で。」
「じゃな。」
 2人は暫く考えたが、女神も関わり、メラディオからのアクションも無いだろうと言う事で結論づけた、すると兵士がお伺いを立てる。

「陛下、チハル王女殿下がお越しで御座います。
「入ってくれ。」
「お父様失礼しまーす!」
「チハルどうした。」
「今回はご迷惑をお掛けしたみたいで。」
「チハルはなーーーんにも悪くないぞ、メラディオがふざけた事を言ってきたのが悪いんじゃ。」
「いや、でもロイロと言うか、ママドラとアイトネが暴走しちゃいましたから。」
「それも想定済みではあった、ロイロ殿が居たから・・・まぁ話し合いで済めば良いなぁ・・・とは思ったがのう。」
 エイダンは少し遠い目をしながら呟く。

「お父様、宰相様、お詫びと言っては何ですが。」
 チハルは先ほどドラックストアにガンダし買ってきた胃薬を数箱取り出す。

「胃薬です。」
「ほぅ・・・いっぱいあるのぅ。」
「はい!これからも迷惑かけると思うので!」
「・・・・・うっ。」
 エイダンとルーカスは軽く胃を押さえながら、胃薬を受け取った。







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