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デートに行こう!

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「おー!終わってるじゃーん!」
 千春は朝から訓練所に足を運ぶと、解体が終わり休憩を取っている冒険者達を見ていた。

「王女殿下おはよう御座います。」
「冒険ギルマスさん!おはようー!終わった?」
「はい、後は商業ギルドの者が仕分けして運び出します。」
「そっか、ビェリー、レフ、ライ、よろしくぅ。」
「ほいよー。」
「影を作るのですね。」
 レフトとライトはドラゴンになり翼を広げると、ビェリーは広場の中央にまた魔物の山を作って行く。

「・・・俺は一回ギルドに戻る。」
「ギルマス!逃げちゃダメです!」
「バカモン!応援を呼ぶんだよ!低ランクの冒険者でも解体くらい出来るだろ!」
 パトリスはジト目でレオを見る。

「戻って来てくださいよぉ?」
「・・・。」
 レオはパトリスの視線を無視し、馬に乗ると去っていった。

「おー!頑張ってんねーパトリス。」
「ユーリン、お前何してたんだよ。」
「え?チハルちゃんの所で・・・色々?」
「色々が気になるけどょー、終わったら戻ってこいよー。」
「王女様のお誘いだもん、終わらなかったんだよ。」
 そう言うユーリンと、シャルルはケラケラと笑う。

「朝食を準備したぞ!皆食べてくれ!」
 ルノアーが大きな声で言うと、解体組は歓声を上げる。

「はい、パトリス達の分は持って来てあげたから。」
 ユーリンはアイテムボックスからテーブルを出すと、次に朝食を取り出しシャルルが並べる。

「おぉぉぉ!!」
「私達も作ったんだからね。」
 そう言って取り出したのは色取り取りのサンドイッチだ。

「ユーリン、シャルル、こんなモン作れたのかよ。」
「チハルちゃんから教えてもらったんだよ。」
 男達は直ぐにサンドイッチを手に取り齧り付く。

「うめぇ!」
「でっしょー。」
「ユーリンは食べねぇのか?」
「あー、うん、みんなで食べて良いよ。」
「ユーリンは摘み食いしたもんねー。」
「シャルルだって食べてたじゃん!」
 男達は両手にサンドイッチを持ち、ガツガツと食べた。

「千春、とりあえず置けるところに置いたけん。」
「ありがとビェリー、まだ有るんだよね。」
「そやね、半分くらいは出したばい。」
「まだ半分くらいあんのかぁ、夕方にはヨリの出せるかな?」
「おはようチハル。」
「ハルトおはよー。」
「次の分を出したんだな、ビェリーありがとう。」
「問題ないばい、昨日たらふく酒貰ったけんね!」
 ビェリーはそう答えながら尻尾をプルプル振る。

「チハル今日の予定は有るのか?」
「ないよ、強いて言うなら日本に買い出しかなぁ、マジで昨日お酒飲み尽くしてくれたし、お菓子も残らなかったからね。」
「そうか、まぁ昨日は大変だっただろうからなぁ。」
「どうしたの?何か用事あった?」
「いや、暇なら街に出掛けるかと思ってな。」
「んー・・・あ、ハルト日本行ってみる?」
「は?」
「行った事ないじゃん?見てみたくない?」
 ニヤリと笑う千春はハルトを覗き込む。

「ふむ、行ってみるか。」
「オッケー、ちょっとお父さんの服取ってくるから後で私の部屋に来てね。」
 千春はそう言うと部屋に戻って行った。

「ただいー!」
「おかえー。」
「ヨリ、日本に買い出し行こー。」
「オッケー、解体の方は?」
「めっちゃ出してたから昼までおわんないと思うよ。」
「了解。」
「なにー?日本行くの?」
 美桜が髪を縛りながら声を掛けてくる。

「うん、ハルト連れてくからお父さんの服取ってくるわ。」
「何だよーデートかよー。」
「ち!ちがうわ!皆んな行くじゃん!?」
「2人で行くなら邪魔はしませんことよ?」
「んじゃ私はアリンさんとデートしてこっかなー。」
「えー!ヨリズルい!ウチもエーデルさんとデートしたい!」
「エーデルさん解体指示してね?」
 相手の居ない麗奈はテーブルに座ったまま呟く。

「んじゃ解体一緒に見てよかな。」
「デートか?それ。」
 笑いながら麗奈は言う。

「麗奈はホーキンさんとデートしたら?」
「ホーキンさんは違うじゃん?」
「いやぁ、脈アリだと思うけどなぁ。」
 話をしていると、コンが美桜の頭に乗っかり言う。

「皆さんで日本のデートすれば良いのでは?」
「エーデルさんは獣人じゃん、無理じゃん?」
「僕、人に幻術掛けれますよ?」
「へ?」
「近くに居ないとダメですけど、エーデルさんを人間に見せれます。」
「でも解体忙しいし、服も無いよ。」
「大丈夫です!服も幻術で変えれます!」
 小さな体で胸を張るコン、すると扉からノックの音がする。

「チハル、すまん、アリンも日本に行ってみたいらしいんだが・・・何してるんだ?」
 千春と頼子はエンハルトにサムズアップしながら笑顔を向ける。

「ハルト、エーデルさんとホーキンさんも連れて行こう!」
「は?あっちには獣人は居ないんだろう?」
「そこは問題ないよ、誤魔化すから、忙しいからダメ?」
「いや、解体チームも組み終わって指示もしているから問題はない。」
 エンハルトは扉を開け、外の兵士に一言二言話すと部屋に戻る。

「それで?あの2人も連れて行って何するつもりなんだ?」
「別に?」
「何だそりゃ。」
「クアドラプルデートじゃ、ハルトよ、無粋な事を聞くでないわ、楽しんでくれば良いんじゃよ。」
 ソファーで話しを聞いていたロイロは笑いながらハルトに言う。

「あー、そうだな、服はどうするんだ?」
「コンが誤魔化すよ。」
「そうか、まぁたまには良いか。」
 しばらくすると、アリンハンドが、その後直ぐにエーデルとホーキンが入ってくる。

「お待たせしました、殿下。」
「急にすまん、少し出掛けるから付き合ってくれ。」
「はっ!どちらへ?!」
「異世界だ。」
「・・・了解しました。」
「自分もですか?!」
 ホーキンは驚き、エンハルトとエーデルを見る。

「そうらしいぞ?」
 エンハルトは、スマホで検索しながらどこに行くか話している千春達を親指で差し苦笑いをする。

「よし!ちょっとお昼過ぎちゃうけどいいよね。」
「解体は休憩して貰ったらいんじゃん?昨日の夜からやってんでしょ?」
「ねぇねぇ、メンズならココも行きたくね?」
「あー、イイね、コーディネートしよう!」
「レナ、着せ替え人形にしたいだけじゃん?」
「違いまーす!」
「・・・・・なに?ハルト。」
 キャッキャしている千春達を苦笑いしながら見ていたエンハルトに千春が問いかける。

「別に?まだ出かけて無いのに楽しそうだなってな?」
「ま、まぁね!」
「千春初デートだもんねー。」
「ヨリだってそうでしよ!?」
「さぁー?どうでしょーかー?」
「もー!準備できた?!いくよ!ほら!」
 千春は立ち上がり、腰に手を当て皆に言う。

「はいはいお姫様、アリン行くぞ。」
「はい、楽しみですねー。」
「エーデル、ホーキン、向こうでは俺の事はハルトと呼べよ、間違っても殿下呼びするなよ?」
「はっ!」
「返事も、おう!くらいでいいからな。」
 エーデルはお忍びで飲み屋に連れていかれ、ハルト呼びしたことがあるが、ホーキンは青ざめていた。

「ほら!ホーキンさん!元気ないよー!」
 麗奈はホーキンの背中を叩き、門の部屋に促す。

「みんな行くよー!」
 千春は満面の笑みで皆を日本へ連れ出した。








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