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サクッと行くよ!

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「んー。」
「おはよー千春。」
「おはよーヨリ。」
「お?チハル起きた?」
 頼子と美桜は支度をしながら千春に声を掛ける。

「今日は一気に行こうってロイロちゃんが言ってたよ。」
「うぃー。」
 千春は起き上がり、準備をすると表に出る。

「ビェリーおはよう。」
「おはよう千春。」
「なにしてんの?」
「ラルカが解体するって言うけん、1頭出したんよ。」
 ラルカはサリナと2人でブラックホーンブルを解体している。

「こう言うのって血抜きとか熟成とか必要じゃ無いの?」
「わっちは気にせんけど、美味しく食べるならいるっちゃないかいな。」
「この牛は?」
「血抜きはしとるばい、熟成は魔法で出来るけん。」
「へぇ、魔法便利だねぇ。」
 解体を見ながら話をしていると、サフィーナに呼ばれる。

「チハル、朝食はどうします?」
「んー、ママドラさん達は今日頑張って貰うしなぁ、ヨリ何食べたい?」
「ガッツリ行くならハンバーガーとか?」
「ハンバーガーか、牛肉100%パティのバーガー作るかな。」
 ラルカに肉を貰い、千春達は細かく肉をミンチにしていく。

「ミンチにする機械欲しいね。」
「ミンサーかぁ、ダーサン作ってくれないかな。」
「どのみち見本いるんじゃない?」
「設計図ダウンロードしてもわかんないかもね、買うかぁ。」
 千春と頼子はミンチを作り、美桜と麗奈はパン粉と胡椒を混ぜ、コネコネする。

「おっけー、焼いていくよー、ヨリ、パン焼いててー。」
「りょ!」
「レナ、レタス洗ってー。」
「うぃっす。」
「ウチはー?」
「ミオはマスタードとケチャップ持って待機!」
「ほーい。」
 流れ作業でハンバーガーを作る千春達。

「出来たらどんどん食べてね。」
 サフィーナとモリアンは皿に乗せると、ママドラ達に出していく。

「良い匂いですぅ。」
「ラルカ、サリナお疲れ様、一緒に食べてね。」
「いえ!続きは私がやります!チハル様もお食べ下さい!」
「大丈夫だよ、解体で疲れたでしょ、お食べー。」
 パティを焼きパンに乗せながら、千春はラルカに言う。

「さて、皆んなの分焼けたね、私達も食べよ。」
「あいよー。」
 頼子達も椅子に座り、ハンバーガーに齧り付く。

「うっ・・・・うまぁ。」
「何だこれ、肉が、肉すごっ。」
「これが黒毛和牛!」
「いや、ミオ、和牛では無いよ。」
 人数よりも多く作ったハンバーガーはあっという間に皆の腹の中に消えた。

「ふむ、美味かったのぅ!今日は頑張らんといかんな。」
「そうね、朝からこんなに美味しい物を食べさせて貰えるなんて、皆んな頑張るわよ!」
 ロイロが言うと、ママドラはレフト、ライトに言う、イー、アル、サンも頷く、そして片付けも終わると次の階層へ移動する。

『左行きます!』
『右行きます!』
『私は中央突破するわ、ロイロ達は散ったのをお願いね。』
 ママドラとレフト、ライトが空を駆け殲滅して行く。

『散った魔物・・・おらんな。』
「あぁ、張り切り過ぎだろ、全滅させてるじゃねぇか。」
 ママドラ達が飛ぶ隙間をイー、アル、サンが飛び回り、取りこぼしなく殲滅して行くのを見ながら、ロイロとルプが呟く。

『まぁ良いだろ、次の階層は・・・あっちだな。』
 ルプが風魔法で探索し、出口を見つけると、皆は箒に乗り、エーデルとホーキンはロイロの背に乗る。

『次行くわよー!』
 ママドラが出口に突撃し、40階層に入る、そして千春達が降りると。

『はい終わり!次よー♪』
 40階層は広い空間だった、魔物であっただろう消し炭の塊が数個転がり、中央には砕け散った大きな木が倒れていた。

「え?終わってる?」
『その様じゃなぁ、あれはトレントか。』
「あらー珍しいわね、エルダートレントですわ。」
「へぇ、アレも魔物なんだね。」
「森に居るトレントは温厚でのんびりしてるわ、人を襲う事はないわよ。」
 リリはトレントの残骸を見ながら言う。

『チハルさん、トレントの木は色々使えるらしいから燃やさなかったわ、回収してね、さ!次行くわよー!』
 ビェリーに回収を頼んでいると、ママドラ達は次の階層へ突っ込んでいく。

「・・・元気良すぎない?」
『美味い飯のお礼じゃ、気にするな。」
「こっちの世界の人って、食に対する対価がデカいんですけどぉ?」
『この世界は飯が不味いからのぅ。』
 ビェリーが回収し、次の階へ行くと、また広いエリアだったが、ほぼ狩り尽くされ所々で煙が上がっていた。

「ドラゴン凄いな。」
『ほれ、次じゃ次、儂らの出番が無くなるぞ。』
「もう無理じゃねえか?」
 ロイロとルプは既に狩り尽くし、次の階層へ向かっているママドラを見ながら呟く、そしてそのまま48階層まで快進撃は続いた。

「ママドラさーん!休憩しよー!」
『えー、別に疲れてないわよー?』
「いや、私達が付いて行くだけで疲れてるんだけども・・。」
『そうね、レフト、ライト、休憩するわよー。』
『『はーい。』』
 レフト、ライトも疲れた様子を見せず、千春達の所へ降りてくる。

「イー、アル、サン、お疲れ様。」
『大丈夫です、雑魚処理しかしてませんから、疲れてません。』
 元気に答えるイー、千春は微笑み返し、サフィーナがテーブルとお茶セットを取り出す。

「ダンジョンでティータイムとか、他の冒険者が見たら驚きそうだよね。」
 頼子が当たり前の様にテーブルを出しお茶を入れるサフィーナと、普通に座ってお茶を飲む千春を見て言う。

「ヨリ、私達も人の事言えないからね。」
「そうそう、ダンジョンでお風呂入ってのんびり朝ごはん食べてるから。」
「そういえば50階層って昔の人が到達したって言ってたけど、今の冒険者は出来てないんだよね。」
 ミオが50階層の話しをすると、エーデルが答える。

「ここまで来るのに通常でしたら数週間、場合によっては一か月くらい掛かりますからね。」
「え?マジで?」
「そうですよ、途中見たと思いますが、階層一面が湖や、毒の沼地と毒の魔物エリア、森や高低差のある階層と、歩きで動けば1つの階層攻略に1日掛かるのもザラです。」
「・・・1階層の平均20分くらいだよね。」
「はい、階層に入った時点でママドラ達が殲滅終わってますから、自分達は出口を探してるだけでした。」
 エーデルと美桜は話しをしながら呆れる様にママドラ達を見る。

「まぁいいじゃん、早く終わった方が。」
「そうじゃぞ、原因を調べる為にも早く上に戻った方が良いじゃろ。」
「あ!帰りもダンジョン通るの?」
「どうでしょうか、ジブラロールにあるダンジョンは最下層に地上へ戻れる魔法陣が有りますが。」
 エーデルは顎を触りながらダンジョンを思い出す。

「このダンジョンにそれが無かったら?」
「来た道を帰るしか無いでしょうな。」
「・・・うん、めんどくさい、最終手段を考えておこう。」
「千春、その最終手段って?」
 頼子はなんとなく答えは分かっているが、問いかける。

「め・が・み・さ・ま。」
「ずるっ!!!!」
「ズルくないもーん!」
 千春達は残り2階層を前にし、のんびりとお茶をしながら疲れを取った。









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