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ダンジョン飯はポークチャップ!

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「ここは駄目な所だ!」
 炭になった魔物を見ながら千春は呟く。

「どうする?千春、もどるか?」
 ルプは心配そうに千春に問いかける。

「どうする?(ボソッ」
「出来れば進みたい。(ボソッ」
「虫はママドラさん達に任せよう。(ボソッ」
「見なけりゃ良いのよ、見なけりゃ(ボソッ」
「はい!進みます!」
「あいよ、ロイロそう言う事だ。」
『ほー、頑張るのぅ、それじゃぁサクッと焼き払ってくるわい。』
 ロイロは飛び立ち、目に付く魔物をブレスで焼き払う。

「千春、虫以外の魔物も寄ってきてるぞ。」
 まばらに生えた木々の奥から大きなネズミが集まっていた。

「ネズミならイケる!ヨリ!」
「オッケー!」
 千春は目の前に水玉を出すと、頼子が土魔法で砂を入れる。

「ウォーターカッター!」
 魔法を撃ち、横に動かし魔物を薙ぎ払う、

「あや?距離があると威力めっちゃ下がるね。」
「でもほとんど倒せてるじゃん。」
「んー、要検証だにゃぁ。」
 千春がネズミを相手にしていると、麗奈、美桜が別方向に魔法を打ち込む。

「カマキリでかっ!ハイドロボム!」
「こっちくんな!ブラストファイアー!」
 爆裂音と共に吹っ飛ぶ虫魔物。

「はぁはぁ。」
 美桜は周りの魔物が居ないのを確認し、魔法の鞄からペットボトルの水を飲む。

「はぁぁ・・・復活!」
「コレ有難いよねー。」
 麗奈も水を飲みながら美桜に言う。

「大丈夫?ミオ。」
「チハル達もそろそろ飲んでおきなよ、世界樹の水。」
「そだね、結構MP使ったもんね。」
 4人が休んでいるとロイロやママドラ達が帰って来た。

「この階はこんなもんじゃろ。」
「そうね、大方処理出来たわ。」
「ママドラさん休憩しなくて大丈夫?」
「大丈夫よ、子供のドラゴンと戯れ合う方が疲れるわ。」
 笑いながらママドラは答える。

「お腹空いた。」
 頼子が呟く。

「今何時?」
「えー!もう7時じゃん!」
「マジ?そういやお昼たべてなくない!?」
「朝ホットサンドすっごい食べたもんね。」
「晩御飯かー、リリ、ここからフェアリーリング出せる?」
「無理ねー、もし出してもダンジョンに取り込まれちゃうわ。」
「え!?取り込まれるの!?」
「えぇ、そこの虫の死骸もしばらくすればダンジョンに食べられちゃうわよ。」
「えぇぇ・・・掃除しなくて良いじゃん、でも一回帰るのは無理か。」
「晩御飯どうする?」
 話しを聞いていた頼子がお腹を触りながら千春に聞く。

「と・り・あ・え・ず!場所変えよう!ここで食べたくないし!」
 千春は転がる黒焦げ、消し炭になった虫に指を差しながら言う。

「ママドラさん達もごはん食べますよね。」
『勿論よ、そうと決まれば食べれる所まで移動しましょう。』
「そだね、この階層はもう終わったし、次の階層移動しよう。」
 千春達は箒からロイロ達に乗り換え、次の階層へ行く。

「はい!ここもダメ!!!ロイロ焼き払え!!!!」
『雑じゃのう。』
 ロイロは笑いながら地上の虫魔物にブレスを吐き、ママドラ達は風魔法や雷魔法で殲滅していく。

「はーい!次!ここもダメ!」
 その後29階層まで所々に虫とそれを餌とする魔物が大量発生していた為、ロイロ達が焼き尽くした。

「30階層!・・・・なんか違うね。」
『そうじゃなぁ、数匹魔力の高い魔物が奥におるが?』
「千春、あれじゃん?ボスエリア。」
「おー!ってお腹空いたし、ここ安全地帯っぽい?」
『まぁ魔物は近くにおらんな、なんなら儂らが結界を複数掛けるぞ。』
「それは助かる!」
『そうね、食事の邪魔なんてされたら、このダンジョン破壊したくなっちゃうわ。』
「それはやめてくださーい、王様が泣きまーす。」
 千春は整地したような、平らな地面にコンロを出すと、サフィーナがテーブルや椅子を並べる。

「千春何つくんの?」
「お腹空いたし、すぐに出来る方がいいよね。」
「うん!」
「えーっと、ごはんは炊いてるやつがあるからこれ!」
 千春は土鍋を数個出す。

「え?炊飯ジャーじゃないの?」
「うん、これルノアーさんが炊いたご飯、米もジブラロール産だよ。」
 頼子が土鍋の蓋を開けると湯気を立てているご飯が美味しそうに炊けていた。

「やっぱアイテムボックスは反則だね、炊きたてじゃん。」
「ほんっと助かるわ。」
「おかずは出来立てないの?」
「ないよ、おかずは出来たら皆がすぐに食べつくすからね。」
 テーブルとまな板を出すと、千春はオーク肉の塊を出す。

「がっつり食べたいねぇ、よし!」
 千春はオーク肉の前に立つ。

「はーい、向こう側に立たないでねー、真っ二つになりたくなかったら。」
 そう言うと水魔法を出し、魔法を唱える。

「ウォーターカッター!薄切り!」
 そう言うと水玉から数本の線が走り肉を切り裂く。

「イイね!練習した甲斐が有ったわ。」
「料理の為に練習したんかーい。」
「そりゃ元々料理で使おうと思った魔法だもん。」
 スパスパと肉を切る千春は、他の材料をモリアンにお願いする。

「モリー玉ねぎをスライスしといてー。」
「何個くらい切ります?」
「・・・・20個くらい。」
「・・・・そんなに?」
「がんばれ!」
「ラルカちゃん手伝ってください!」
「はい!頑張ります!」
 2人は玉ねぎを剥くと、スライスしながら涙をボロボロ流す。

「よし、肉オッケー、サフィー火はどう?」
「いつでも大丈夫です。」
「ういっ!それじゃこっちで私が焼くから真似してね。」
 千春はオーク肉を入れ炒める。

「玉ねぎでぎまぢたぁぁ。」
「ありがとモリー、ルカもありがと。」
「あ゛ぃぃぃ。」
 玉ねぎを入れそのまま炒めると塩コショウ、ケチャップ、ウスターソース、そしてマヨネーズをかけていく。

「うぁぁ美味しそう!」
「はい!出来ましたー!ポークチャップでーす!」
「うわーい!早く食べたーい!」
「付け合わせはサラダd・・・。」
「要らない!サラダ要らない!」
「えーバランスよk・・・」
「今はこの肉でご飯をすぐに食べたい!」
「はいはい、それじゃお皿ならべてね。」
 千春が言うと、ドラゴン達も手伝いお皿を並べ、サフィーナ達はご飯をよそう。

「そーれーでーはー!」
「「「「「「「「「「「 いただきます!(じゃ!)」」」」」」」」」」」










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