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ドラゴンの宝物庫!

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「智美、アイちゃんはまだ後だよ。」
「え?」
「器取りにいかないと。」
「あっ。」
 完全に器の事を忘れていた智美はスマホを切るが、アイトネが現れる。

『お疲れさまー、無事終わったみたいねー。』
「アイちゃんごめんなさい、一度ドワーフの街に戻って器取りに行くんだったわ。」
『あら、大丈夫よ、付いて行けば良いだけだし?』
「え、付いて来るの?」
『せっかく来たし問題ないでしょ。』
「良いじゃない、どうせまだ時間有るし、お昼でも取ってのんびり行きましょうよ。」
「そうね、そういえば取りに行くの、お昼過ぎだったわね。」
 智美はスマホを見ると、まだ昼まで2時間はある。

「お昼かぁ、どこで食べる?ドワーフの街だとアレでしょ?」
「塩味の肉ね。」
「「「んーーーーーー。」」」
 智美達は腕を組み悩みだす。

『日本で食べる?』
「え?あっちに戻るの?」
『えぇ、私が移動させれば一瞬よ?別に手間じゃ無いわよ?』
「その手があったのか、メグちゃんも大丈夫?」
「私は大丈夫よ、日本には行った事ないからちょっと不安ですけど。」
『大丈夫よー。』
「服はどうしようか。」
『それも大丈夫、私が幻術を掛けて日本の服装に見せておくわ。』
「それじゃ日本でお昼食べて、またドワーフに戻るって事で、アイちゃんお願いするわね。」
 智美が言うと、アイトネはニコリと笑い、手を振ると王宮に飛び、千春の庭に風景が変わる。

「一瞬ね。」
「流石神様、チートだわ。」
「あ、アイさんお守り有難う、助かったわ!」
『それは良かったわ、それじゃ日本に行きましょ♪』
 マルグリットを見た侍女、通称千春部隊の面々が急いで駆け寄る。

「王妃殿下お帰りなさいませ。」
「ただいま帰りました、チハル達はまだ戻って来てないわよね?」
「先ほど一度戻って来られ、あちらへ買い物をした後、もう一度フェアリーリングで出かけられました。」
「あらー、入れ違いなのね、まだ終わってないのかしら、私達も少しの間向こうへ行ってくるわ、戻ったらもう一度出かけるから。」
「はっ!」
 マルグリットは簡潔に説明をすると、部屋に入りそのまま異世界の扉に行く。

『さ、みんな手を繋いでね♪』
 アイトネはそう言うと、皆と手を繋ぎ門を通る、そして麗子の運転でIONに有る飲食店に向かった。


---------------------


「んーカニクリームコロッケ美味しかったわぁ。」
 ママドラは満足そうに言うと、千春にお礼を言う。

「チハルさん、何かお礼を差し上げたいわ。」
「別に構いませんよ、石も貰いましたから。」
「いいえ、そうはいきません、美味しい食事に美味しいお酒、対価無しに帰らせるなんてドラゴンの風上にも置けないわ!」
「えーでも欲しい物って別に無いですよ。」
 千春はそう言いながら皆を見るが、左右に頭を振るか、傾げながら悩んでいる。

「欲がない子達ねぇ、ここまで来れる人間はほとんど居ないですけど、辿り着いた人間は揃って財宝を狙って来るわよ、あ!そうよ、宝物庫で好きな物を持って行って良いわよ!」
「えぇぇ・・・でも宝物庫は面白そう。」
「私もドラゴンの宝物庫は見てみたい!」
「私もー!」
「金銀財宝ってイメージだよねぇ。」
「お前たち、ドラゴンの財宝なんて国が買えるレベルだぞ。」
 財宝自体に興味を見せない4人を見て、エンハルトは呆れて言う。

「国とか要らないじゃん、私が国持ったらめちゃくちゃになりそう、何も分かんないし。」
「千春は次期王妃だしねー。」
 ニヤリと笑い、頼子が呟く。

「それじゃ付いて来て、宝物庫に案内するわ。」
 椅子から立ち上がると、ママドラは皆を促し部屋を移動する。

「何が有るのかな。」
「漫画だと金貨がゴロゴロ転がって宝箱が有って、伝説の剣とか鎧が飾ってある感じ?」
「私もそんなイメージだわ、金貨がそのまま山積みになってたりしてね。」
「伝説の剣かどうかは知らないけど、数代前の勇者が持っていた剣は有るわよ。」
「えー!勇者の剣?!」
「それは見てみたい!」
 興奮する千春達、それを見ながら、呆れつつも興味があるエンハルト、そして後ろには侍女4人が付いて来ている、リリ以外のペット枠、ロイロ達は部屋に残り酒を飲んでいる。

「この中よ、好きなように見てね、欲しい物が有ったら言ってちょうだい。」
 家の中にある豪華な両開きの扉を、付いて来たドラゴンが押し開く。

「「「「うわぁぁぁ!!!」」」」
「これは凄いな。」
 宝箱がいくつも並び、蓋は開いたまま中には金貨が山盛りで入っている、他にも宝石が付いた王冠、立てかけられた大振りの剣、槍、弓、そしてフルプレートメイルが飾られキラキラと光り輝いていた。

「凄い以外に言葉が出ないね。」
「漫画じゃん。」
「ドラゴンって光物が好きなの?」
「物語だとよく言うよね。」
「別に好きって訳じゃないわよ、私達を倒しに来るバカが装備してたり、災害に助けてほしいと貢がれたりと、何千年分も溜まってるだけよ、私達には不要な物なのよねぇ。」
 ママドラはそう言いながら千春達を見ている。

「で、価値が良く分からないんだけど、言えるのは全部高い!って事かな?」
「そうだねぇ、見てこのネックレス、すっごい重たいんだけど。」
 頼子は近くに有った装飾と宝石が散りばめられたネックレスを持って見せる。

「サフィー、何か良い物有る?」
「どれも良い物だと思いますよ、ドラゴンの宝物庫に有ったと言うだけで付加価値が付きます、幾らになるかなんて想像もつきませんが。」
「そっか、ハルトー。」
「俺に聞くな、ぱっと見ただけで国宝級の物が幾つもあるんだ。」
「んー、こんな高価な物争いの元だよねぇ、ママドラさんやっぱり私は必要ないです。」
「私も見ただけで満足だわ。」
「ウチもー。」
「・・・私これ欲しいかも。」
 麗奈は一振りの杖を持ち、千春に言う。

「あら、その杖気に入ったのかしら?」
「はい、なんて言うか、なんだろう、呼ばれた気がしました。」
「その杖は数千年前に賢者と名乗る魔法使いが持っていた物だったと思うわ、英雄と名乗る騎士達と一緒にココまで来た数少ない人間の物ね。」
「その人達は?」
「ボッコボコにして、若いドラゴンが近くの町に落として来たと思うわ。」
「あらー、英雄と賢者のPTでもボコボコにされるんだ。」
「それはそうだろう、ドラゴンなんて俺達からすれば災害と変わらない、どうにか出来ると思う事が間違いだ。」
 ママドラ、千春、エンハルトが話ししている間も、麗奈は杖を見ている。

「リリ、この杖。」
「何か居るわ、精霊ね~。」
「閉じ込められてる?」
「多分~、私には無理だけど~、ドライアド様か、アイトネ様ならどうにか出来るかしら~?」
「そっか、ドラママさんこの杖。」
「良いわよ、持って行って、チハルさんは本当に要らないの?」
「はい、これだけで充分です。」
「何か必要になったら言ってちょうだいね。」
「はい、有難うございます。」
 麗奈が杖を貰い、千春達は宝物庫を出る、そしてロイロ達と合流する。

「ロイロー、用事終わったから帰ろうか。」
「何か欲しい物あったかー?」
「うん、麗奈が杖もらったよ。」
「・・・・ほぅ、力が閉じ込められた杖か。」
「うん、ドライアドさんに聞いてみたい事あるから、寄り道するよ。」
「構わんぞー。」
 そして、荷物や空の酒瓶をアイテムボックスに片付けると、千春達はフェアリーリングに入る。

「それじゃドラママさん有難うございました。」
「こちらこそ、ロイロをよろしくね、あと、またお酒持ってきてね♪」
「はい、それじゃリリ、ドライアドさんの所までお願い。」
「はーい!まっかせてー!」
 リリは魔力を溜めると、解放するそして皆は妖精の村へ向かった。




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