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うさ耳少女と町の人気者!

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 マリーナとガゥアンの夫婦喧嘩を放置したまま、千春達はロイロに運んでもらい街へ向かっていた。

「千春そこの町ってなんで名前なの?」
「・・・なんちゃら町。」
「ヤバーツですよチハル。」
「それ!」
「ここで松茸採ったんだっけ?」
「そ、まだストックあるけど、他にも食材色々あんのよココ。」
「そうなの?」
 頼子は適当に言う千春ではなくサフィーナに聞き返す。

「はい、畜産も豊富ですし、山の幸も沢山採れますね。」
「果物も有ったらいいね。」
「楽しみですわ~♪」
 サフィーナが言うと、麗奈とリリはニコニコしながら話している。

『チハル、何処に降りる?』
「ロイロの事知ってるし町中で良くない?」
「町長の家の前で良いのでは?」
「あー、あそこ広いし市場近いから良いかも。」
 サフィーナの指示でロイロは町長の家の前まで行くと着陸する、すると家の中から男性が飛び出て来た。

「あ、町長さんだ。」
「チハル王女殿下!お久しぶりで御座います!」
「あー・・・。」
「アレーン・エダガーですよ(ボソッ)」
「アレーンさんお久しぶりです!」
 サフィーナに名前をこっそりと教えられる千春。

「エンハルト王子殿下!どう言ったご用件で!?」
「いや、用件と言うほどでは無いんだが、水竜に用事があったついでに買い出しに寄っただけなんだ。」
 ガゥアンの事を話し、千春達は皆歩いて町に移動する。

「あ!ウサ耳少女!」
 千春が叫ぶと、ビクッとして千春を見る。

「やほー!」
「こんにちは、王女様。」
「この前はありがとうね、いっぱい採れたよ松茸。」
「あ、香味茸ですか、その節はありがとう御座います!」
「ん?何の事?」
「フォレストタイガーやウルフ、ワイルドベアの討伐して頂いたお陰で、収穫が楽になりました!」
 耳をピコピコさせながらお礼を言うウサ耳少女。

「そう言えば狼の牙さん達と受けたねぇ、依頼。」
「ですので!お礼です!何でも持って行って下さい!」
 ウサ耳少女は満面の笑みで千春に言う、千春は可愛いウサ耳少女に、つい揶揄いたくなり冗談を言う。

「何でも良いの!?それじゃあなたを貰おうかな!」
「え?!良いんですか?!」
「え?」
「王女様に貰って頂けるなんて!」
 顔を赤らめ言うウサ耳少女。

「あれ?えーっと。」
 千春はエンハルトを見ると、目に手を当て空を仰いでいた。

「お前なぁ、サフィーの時も言っただろ。」
「え、えっと、じ、冗談・・・。」
 チラリとウサ耳少女を見ると、今にも泣き出しそうな顔で千春を見ている。

「千春ー、ちゃんと面倒見なよー。」
「そうそう、最後まで面倒みるんだよ~♪」
「またペット枠?」
 頼子達は他人事の様に笑いながら千春を揶揄う。

「名前はなんていうの?」
「ラルカです。」
「ラルカちゃんか、えっとぉ・・・よろしく?」
「チハル念のために言っとくが、夫人にするなよ?」
「わかってるよー!」
「いや、その顔は分かってないだろ。」
「ひどっ!」
「おー、こっちでも夫婦喧嘩始まったぞー?」
 千春とエンハルトの言い合いを見ながら、美桜が麗奈に言う。

「もー!それはいいよ!えっと、本当に来るの?」
「はい!」
「両親とかは?」
「村に居ますけど、成人して村を出たので大丈夫です!」
「ラルカちゃんいくつなの?」
「12です!」
「え?こっちの成人っていくつだっけ?」
「ジブラロール王国では15ですが、村や集落、別の国で成人年齢は変わりますよ。」
「そっか・・・んっとどうしたらいい?」
 千春はサフィーナに言うと、サフィーナは溜息を吐きながら千春に言う。

「成り行きとは言え、そういう事でしたら私の下に付けましょう、ウサギの獣人は耳が良いですし、脚力は他の獣人の比では有りませんから。」
「そうですな、自分の様な虎の獣人よりも足は強いでしょう。」
「そうなの!?すごいなうさ耳獣人。」
「えっと!店終いしますのでお待ちください!」
「あ、この食材全部買っていいんだよね?」
「え!?あ!はい!」
 千春はそう言うとお店の食材をまとめてアイテムボックスに入れる。

「全部でいくら?」
「タダで良いです!」
「そういうわけにはいかないよぉ。」
 アイテムボックスから金貨一枚をラルカに渡す。

「え?」
「買取分と今日の日当ね、お給料はサフィーにお任せしてるから、後で詳しく聞いてね。」
「はい!」
 ラルカの荷物も片付けると、買い物の続きで市場を歩く。

「チハル王女様じゃないか!久しぶりだね、食べていくかい?」
「あ!おねえさん!」
 お店の女性は、当たり前の様にソーセージを葉っぱに包み千春に渡す。

「ほれ、皆の分もあるからね。」
「ありがとうお姉さん。」
「おいしそー。」
「いただきまーす!」
 頼子達もソーセージを貰い、ほかのメンバーやサフィーナ達も貰って食べる。

「うんまあ!」
「でっしょー、ココもルノアーさんのレシピが出回ってて、すっごい美味しいんだよ。」
 そう言っていると隣のパン屋から男性が出てくる。

「おーぉ!王女殿下じゃないですかい!また遊びに来たんですかい?」
「うん!買い出しに来たの。」
「食べていくでしょう。」
 男性は前回と同じようにパンを籠に入れて持ってくる。

「どんどん食べてくだせい!足りなかったら幾らでももってきますわい!」
 ガハガハと笑いながら籠をサフィーナに渡すと店に戻っていった。

「あ、お金。」
「いいんだよ、王女様、この町の人間は皆王女様に感謝してるからね。」
「わるいなぁ・・・。」
「全然悪くないさ。」
 ソーセージをくれた女性はそう答えると店に戻り、またソーセージを焼き仕事を始めた。

「千春人気者だねぇ。」
「すごいね、王女様だからって感じじゃ無いよね。」
「それなー。」
「この町に出回っている料理がチハルのレシピで作られてるんだよ。」
「あー、そういう事かー。」
 エンハルトの説明に頼子は納得しソーセージとパンに齧り付く、そして湖の港の方が騒がしくなり、千春達は港に向かった。






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