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モリアン空の散歩!

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「美味しいですわ!」
 フランシスはケーキを一口食べると嬉しそうに言った。

「でしょー、いっぱい有るからねー。」
「やっぱ世界樹の実ケーキは美味しいよね。」
 美桜がケーキを食べながら自分がデコレーションしたと説明する。

「えっ・・・え?」
「どしたの?フランちゃん。」
「世界樹?」
「うん、世界樹の実。」
「・・・・・・・えぇぇぇ!!!」
「うわぁ!ビックリしたぁ!」
「世界樹ってあの世界樹ですわよね!?」
「どの世界樹なのか知らないけど多分そうだよ。」
 驚き、千春に問い詰める様に聞いてくるフランシスに、千春は引き気味で答える。

「世界樹の実がこんなに沢山、文献では実1つで領が1つ貰える程の価値が有るとか。」
「は?それはおおげさだよー。」
「だよねぇ、ドライアドさんも採ってきた実をボトボト落としてたし。」
「千春まだ実持ってんじゃん?」
「有るよ、だいぶ減ったけど。」
 千春はアイテムボックスから数個ほど世界樹の実を取り出す。

「チハルさん!それ魔導士に見せたらダメですよ!」
「え?なんで?!」
「争いが起きます、もし他の国まで知られたら戦争もあり得ます!」
「えー、またまたーおおげさだなぁ。」
 田舎のおばちゃんみたいに手をパタパタさせながら笑う千春、するとサフィーナが千春に言う。

「チハル、本当ですよ、アリンさんに見せて反応見たらよろしいかと。」
 真面目な顔で千春に言うサフィーナ。

「・・・えー、この実は見なかった、聞かなかった、ケーキのフルーツはエルフがくれた珍しい実!おっけー?」
「「「オッケー。」」」
「私は何も聞いてませんわ!」
 耳を塞ぎ目を閉じ左右に頭を振るフランシス。

「んじゃこの実はナイナイしとこ。」
 アイテムボックスに世界樹の実を入れる千春。

「あ、今飲んでる紅茶に入れたジャムもその珍しい実だよ。」
「そ、そうなのですのね。」
「効能は・・・すこぶる健康になる!」
「は、はい、何となくチハルさんの言いたい事が分かりましたわ。」
 効能を言うのを躊躇い誤魔化す千春にフランシスも乗っかる。

「サリナさぁぁん!!!」
 庭に居る千春達に聞こえる程の声でモリアンが応接間に入ってくる。

「お、帰ってきたね。」
「(ちっ)無傷ですね。」
 サリナが小さく舌打ちしモリアンを見る。

「なぁぁんでサリナさんの部隊が襲ってくるんですか!」
「私はモリアンを捕か・・・・連れてくる様に言っただけですよ。」
「嘘でしょ!3人とも抜身で襲って来たですけどぉ!」
 サリナに文句たらたらなモリアン、それを見ながら千春とサフィーナは話す。

「あの3人もまだまだですね。」
「あの3人から逃げ切ったの?モリー。」
「みたいですね、あわよくば変わりの侍女にと狙ってますから本気だったはずです。」
「凄いなモリー。」
「あんな子ですけど身体能力は優れてますから、モリーくらい捕まえれないと代わりはさせれませんね。」
 呆れつつも感心する千春とサフィーナ、そして千春がモリアンを呼ぶ。

「モリアンちゃーん、ちょっとおいでー。」
「・・・はい。」
「はい、そこに座る。」
 千春は椅子に座る様に言ったつもりだがモリアンは千春の前で正座する。

「・・・サフィーこっちに正座って言う文化あるの?」
「いえ、有りませんがモリアンは家で怒られる時はこう座らせられてますね。」
「そうなのね、それで、モリアンちゃ~ん。」
「はいっ!!!」
「なんか噂が変な方向で広がってるみたいなんだけどぉ、心当たりある?」
「あ、えーっと、あ!ミオさんとレナさんが言ってたじゃないですかぁ!桜の木の下で告白したらとか!」
「うん、言ってたね、でも言う必要無いよねぇ、あとプロポーズしたら幸せになるって噂もあるんだけど。」
「はい!幸せになる繋がりで広まったっぽいです!」
「・・・はぁ、なんでそんな事言ったのよー、面倒事増えるじゃん。」
「それはおもしr・・・いえ、あの!女神様と聖女様の御利益と言うか、威厳をですね!」
 必死で答えるモリアンだが、しっかり最初の言葉は聞かれていた。

「おもし・・なに?」
「いえ・・・何か重しいるかなーって・・・てへっ。」
「うわぁあざといテヘペロしたよ。」
「モリーちゃん、それ教えたのウチだけどさぁ、男性限定言ったじゃん、女性にすると逆効果だよ。」
 モリアンにテヘペロを教えた美桜がモリアンに突っ込む。

「えぇぇ!!!」
 美桜に叫ぶモリアン、しかし千春にガッツりと首元を掴まれ引っ張って行かれる。

「ロイロー。」
「おー、なんじゃチハル。」
 千春はアイテムボックスから七面鳥の絵が付いたウイスキーボトルをロイロの前に置く。

「モリアンが空の散歩に行きたいんだって、ウイスキーあげるから張り切って飛んできてくれるかな。」
「そう言う事なら了解じゃ!しっかり楽しませてやろう!」
 そう言うとロイロがドラゴンに変わり前足でガッツリとモリアンの肩を掴む。

「え?え?ええ????」
『それじゃぁ儂が1人で飛ぶ時の速度で楽しませてやるぞ、モリー。』
 普段は羽をバサリと大きく広げ浮き上がるロイロだが、脚力を使ったジャンプからの滑空で一気に空へ飛びあがる。

「ぎゃぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」
「おーあっと言う間に豆粒みたいになった。」
「凄い早いね。」
「いつも手加減してるって言ってたからねぇ。」
 千春と頼子が真上を見ながらロイロを目で追う。

「さて、お茶会の続きでもしますか~♪」
「さっきの話だと桜の木で告白させて欲しいってお願い来そうだよね。」
「そだねぇ、対策組むかぁ。」
 そう言って千春達4人、フランシス、そしてサフィーナとサリナは、モリアンの作った面倒事にどうするか対策する話を行った。




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