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ルノアーのサンドイッチ!

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「おー、朝からやらかしてるなぁ。」
 桜の木を見上げながらエンハルトが歩いてくる。

「おはようチハル。」
「ハルト、おはよー。」
「エンハルト、あなた驚かないのね。」
「母上、チハルの事で驚いてたらキリが無いですよ、まぁ驚いてはいますが。」
 エンハルトは笑いながらマルグリットに答える。

「チハルー、アミがこの木に巣作って良いか聞いてるけど。」
「良いよー、立派な巣作りなー。」
 アミはブンブンと飛び回り桜の木を飛び回る、良い場所を探している様だ。

「アミって?」
「お母様、あの蜂です。」
 千春がアミを見ながら答える。

「軍隊蜂・・・初めて見たわ。」
「女王蜂らしいです。」
「大丈夫なの?」
「はい、レナと契約してますし、ドライアドさんの言う事もちゃんと聞いてましたから大丈夫です。」
「そう・・・それじゃ私は行くわね、もう一度言うけどチハル、出かける時は声を掛ける!良いわね?」
「はーい。」
 マルグリットが再度念押しすると微笑みながら城に戻った。

「チハル従者達は朝から飲んでんのか。」
「げ!何処から出したの!あのお酒!」
「ビェリーが出してたよ。」
 エンハルトの問いに千春が驚いていると頼子が答える。

「まぁ良いよ、何かあったら強制的に酔い覚ますから。」
「あー、例のあの魔法か。」
「アンチドートだっけ。」
「そ、私たちは朝ごはんにしよ、ハルトも食べる?」
「俺はちょっと用事が有る、また後で顔は見せるからのんびりしてたら良い。」
 エンハルトは千春に答えると帰って行った。

「チハル桜の下で朝ごはんしない?」
「良いけど、食堂行かないとご飯無いじゃん。」
 美桜がココで食べたいと言いだす。

「はーい!私が持って来まーす!」
 返事も待たずにモリアンが食堂へダッシュする。

「ま、いっか。」
「準備しますね。」
 サフィーナはアイテムボックスからテーブルを出し準備を始めるとサリナが千春の所へやって来た。

「チハル様、本日よりお世話させて頂きます。」
「サリナ!よろしくね!」
「はい。」
「なんか元気ないね。」
「そ、そうですか?」
 千春に言われ狼狽えるサリナ。

「同僚辺りに色々言われたんじゃ無いですか?」
 サフィーナが横から言うとサリナが目を逸らす。

「あーーー、モリーも命狙われてるとか冗談言ってたなぁ。」
「それ半分本当です。」
 サリナは苦笑いしながら千春に言う。

「そこまでか!」
「えぇ、今王宮で1、2位を争う職場で御座いますから。」
「へぇちなみに争ってるもう1つって何処なの?」
「王宮の厨房で御座います。」
「・・・どんだけ食い意地はってんのよ皆んな。」
 半笑いで千春が言うとサリナもサフィーナと一緒に準備を始める。

「チハルさーん!ルノアーさんに言いましたので朝食持ってこられます!」
「ありがとモリー。」
 テーブルや椅子が桜の木の下に準備出来た頃、料理人とルノアーが食事を持って来た。

「ルノアーさん!わざわざ持って来てくれたの?!」
「あぁ、チハルさんの朝食と聞いてな、新作を持って来たんだよ。」
「コレってサンドイッチ・・・食パンつくったの?!」
「前もらったサンドイッチのパンが美味しかったからなぁ、料理人総出で研究したよ。」
 真っ白な食パンでは無いが綺麗に並べられたサンドイッチは色取り取りで美味しそうだ。

「凄い!豪華じゃん!」
「玉子サンドにフルーツサンド、お腹空いて来たわ。」
「ウチもー、早く食べよー!」
 頼子、麗奈、美桜もサンドイッチを見てお腹を鳴らす。

「それじゃいただきます。」
「いただきまーす!」
「おいひー!」
「んーんー!」
「んまぁ!」
「コンビニのサンドと比べられない具の量、最高か?」
 千春達はバクバクとサンドイッチに齧り付く。

「フルーツサンドって言うの、美味しいですわー!」
 リリがフルーツサンドに抱きつく様に食べている。

「リリ美味しい?」
「美味しいですわー!コレって何処の料理なんですの?」
「日本だよ。」
「何処ですの?それ。」
「異世界。」
「・・・はい?」
「さっきアイトネが向かった先、こことは違う星ってわかるかな。」
「えー?!」
「言ってなかったっけ。」
「聞いてないですわー!」
 ビックリしたリリはフルーツサンドから離れ手をブンブン振り回しながら答える。

「ちなみに私たち4人と、ルプ、ビェリー、コンも異世界の住人、日帰りで来てんのよ。」
「私も行けますの?」
「異世界?行けるけど魔力無いらしいから魔法使えないよ。」
「えー、それじゃ飛べませんのー。」
 ガックリと見るからに肩を落として残念がるリリ。

「行くだけなら簡単だし後で連れてってあげる。」
「分かりましたわー。」
 リリはそう言ってまたフルーツサンドに齧り付く。

「サフィー、休憩してね。」
「ありがとう御座います。」
 千春がそう言うと、待ってましたと言わんばかりにモリアンが椅子に座りサンドイッチを食べる。

「んーーーー!」
「美味しいですね、またレパートリー増えましたねルノアーさん。」
「あのー、良いんですか?」
「いいんでふお!ひはるはんは・・・痛ぁぁ!」
「口に食べ物入れて喋らない。」
 サリナにモリアンが食べながら答えるがサフィーナからチョップされる。

「チハルは一緒に食べるのが好きなんですよ。」
「はぁ、サフィーナさんは立場的にアレじゃ無いですか、第二夫人ですし問題ないと思うのですが。」
「それが決まる前からこうでしたもの、今更ですよ。」
 そう言ってサフィーナもサンドイッチを食べ出す。

「はぁ、・・・・美味しい!」
 サリナが食べ目を見開く、そして千春はそれを見ながら微笑む。

「サリナ、いらっしゃい、これからよろしくね♪」
 サリナはコクコクと頷き満面の笑みで千春に返した。


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