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エルフが喧嘩売って来た!

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「おー!ゴンドラすげー!」
「この前のと違うね。」
 千春と頼子がゴンドラを見ながら呟く。

「チハル王女殿下おはようございます。」
「いつもありがとうございます、コレ新しいゴンドラ?」
「はい、ロイロ様とお話しをしながら作りました。」
 馬車の管理人は満面の笑みで答える。

「ロイロいつの間に、寝てるかお酒飲んでるだけかと思ったよ。」
「失礼じゃのう、ちゃんとやる事はやっとるぞ、まぁ儂の趣味もあるがな。」
「使いやすそう?」
「もちろん、移動速度も大幅アップじゃ。」
「よーし!みんな乗り込めー!」
「おー!」
「ひゃっはー!」
「うわー、結構広い!」
 入り口は両開きで広く取られルプも楽に入れる。

「あ、壁側に椅子だ、コレは?」
「折りたたみテーブルじゃ。」
「ほうほう、おー!ドリンクホルダーも付いてる。」
「そう揺れる事も無かろうが、固定出来た方が良かろう。」
「ばっちしだね。」
「それじゃ儂もスタンバイするか。」
 ロイロは外に出てドラゴンに変化する。

「おお!ロイロ殿は龍神でありましたか!」
「コンちゃんの紹介してなかったねぇ。」
『さっきのを見ておったら見当はついたからの、千春の国の管理者が付けた使者じゃろ。』
「ピンポーン。」
 千春がゴンドラの窓からドラゴンになったロイロと話しをしている間に皆も乗り込み準備が出来た。

「チハル王女殿下!」
「ん?誰?」
 窓から顔を出していると2人の女性が現れる。

「エンハルト王子殿下の側近で御座います。」
 千春はサフィーナを見る。

「例の特殊な・・・・。」
「あー、なんでしょ?」
「どちらにお出かけで!?」
「えっとー、妖精さんのいる村に行ってきます。」
「あ、あの!殿下にはお伝えされてますでしょうか!?」
「サフィー言った?」
「いえ、言ってません。」
「モリーは?」
「言ってませーん!」
 千春は側近の女性を見る。

「チハル王女殿下、私もお供させて頂けませんでしょうか。」
「いいよー、それじゃ乗ってー。」
「ありがとう御座います!」
 そう言うと女性はゴンドラに乗り込む、もう1人は直ぐに城に戻った。

「ロイロオッケー!」
『了解じゃー。』
 いつもの様に大きく翼を広げ大きく羽ばたくとゴンドラが浮き上がる。

「さーて、恒例のお菓子争奪トランプ大会するかー。」
 千春はルプに寄りかかりアイテムボックスからトランプを出す、頼子はお菓子を広げ賞品用のちょっとお高いお菓子も並べる。


------------


「よっしゃー3連勝!」
「ミオつえぇ。」
「はーい2番上がりー。」
 ワイワイと遊びながら時間を潰していると麗奈が声を上げる。

「チハルトイレ。」
「私はトイレでは無い。」
「知ってるよ!」
「ロイロー、お花摘みー。」
『了解じゃー。』
 池の辺りの開けたところへロイロは着陸する、皆が降りて伸びをしているとルプは魔法で穴を掘り4方を囲む壁を作り入口を開ける。

「千春できたぞ、遮音結界付きだ。」
「ありがとうルプ、レナ、トイレ出来たよー。」
「ありがとうルプさまぁぁ!」
 麗奈はトイレに駆け込む。

「ロイロあとどれくらい?」
「そうかからんな、新しいゴンドラはやっぱり良いのぅ。」
 人型になったロイロは千春から飲み物を受け取りながら答える。

「ロイロ。」
「あぁ、わかっとる。」
 ルプがロイロに声を掛けるとロイロは笑みを浮かべ魔法を発動する。

「どうかした?」
「数人に見られとるね、ロイロが結界張ったけん問題無いやろ。」
 頼子が呟くとビェリーが答える。

「監視されておりますね、敵意と言うより警戒してるだけの様で御座いますが。」
 コンも池の反対にある森を見ながら呟く。

「ロイロ、こんな森の中に誰かいるの?」
「気配は消しておる様じゃがコレだけ近くならわかるのぅ。」
「へぇ。」
 千春がロイロと話しをしていると1人の男が森から出てくる。

「何しにこの森へ来た!」
「ほう?名乗りもせずに叫ぶとは、なってねぇなぁ。」
 ルプが男に向かって威嚇する。

「ルプ、ちょっと、穏便に!」
「千春は結界から出るなよ、数人が、弓を構えてる。」
「えぇぇ。」
「な、魔獣が、喋るのか!?」
「ロイロ、ドライアドには話付けたんだよな?」
「勿論だ、こやつらは聞いておらんのじゃろうな。」
 ロイロはそう言うとドライアドに報告する。

「すぐ来るぞ。」
 言うが間も無くドライアドが現れる。

「ロイロさんごめんなさいねぇ、村長には伝えてたんだけど、この子達昨日から森を見回りしてて聞いてなかったみたいなの。」
「ドライアド様!」
 男はすぐに膝を突き頭を下げる、そして森の中から4人の男達が出てくると同じ様に膝を突く。

「もう大丈夫ですから、あなた達も警戒を解いて下さいね。」
 ドライアドはルプやコン、ビェリーに声を掛ける。

「コンちゃん!?」
「ビェリー、戻りなー。」
 コンはいつもの可愛い姿とは異なり尻尾が9本、ルプに近いほどの大きさになっていた、ビェリーも同じく大きくなり戦闘態勢だった。

「それじゃ村で待ってるわね。」
 ドライアドはそう言うと地面に沈む様に帰る。

「お客人とは知らず申し訳ございません!」
「まぁ急に儂が飛んでくればのぅ。」
「しかし名乗りもせず威嚇は頂けんな、千春達がいなければお前ら全員ミンチだぞ。」
 顔を青ざめ頭を下げる男。

「あれ?耳が長い。」
 頼子が男を見ながら呟く。

「あ、ほんとだ!もしかしてエルフさん?」
「はい、ドライアド様の森を守るエルフで御座います。」
「おぉー、あれ?エルフの村?妖精じゃ無く?」
「妖精も居ますが、我々も種族は妖精族と呼ばれており人との交流は私達エルフの仕事です。」
 頭を下げたまま答えるエルフ男。

「まぁ良いわ、お前達も仕事に戻るがいい、ドライアドから謝罪は受けたからの、この件は不問じゃ。」
 ロイロはそう言い結界を消す。

「ん?・・・何かあったの?」
 トイレから出てきた麗奈は見知らぬ男達と千春達を見ながら呟いた。









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