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ミルクレープも作ろう!

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「やっぱ100均じゃん?」
「でもこっちで作れる物じゃ無いと仕入れは出来ないよ?」
「千春今日の予定は?」
「今からケーキ作るつもり、3人は100均行ってくる?」
 悪巧みをしている3人に千春は言う。

「手伝わなくて良いの?」
「うん、ケーキは何度も作ってるし、料理人いっぱい居るからね。」
 頼子は少し申し訳なさそうに言うが千春は笑顔で答える。

「よし!レナ!ヨリ!100均行こう!」
「おー!」
「オッケー、それじゃ千春着替えて100均行ってくるよ。」
「ほいよー。」
 4人は服を着替える為に寝室に移動する。

「千春も着替えんの?」
「そりゃこの格好で料理出来ないよ。」
 ヒラヒラとしたドレスをふりふりしながら答える。

「オッケー、それじゃこれうちの鍵、帰って来たらLIMEして。」
「りょー。」
「行ってくるね!」
「ネタ探すぞー!」
 日本に送り出すと3人は意気揚々と玄関を出て行った。

「では、自分は戻りますので。」
「エーデルさんありがとう、またよろしくね。」
「はっ!」
「私も戻りますね。」
 エーデルとアリンハンドが部屋を出て行く。

「さてと・・・ハルトは?」
「陛下に報告に行かれました。」
「ふーん、報告する様な事あったかな。」
「何言ってるんですか、報告する事だらけですよ。」
 サフィーナが呆れた様に呟く。

「チハルさん!ケーキ作るんですよね!?」
「うん、明日でも良いんだけどアイトネにも言ったし作るかな。」
 千春とサフィーナ、モリアン3人は王宮の厨房へ向かい、ルノアーに声をかける。

「ルノアーさん来たよー。」
「おーチハルさんいらっしゃい。」
「今日はケーキ作りたいんだけど。」
「前言ってた王子殿下の誕生日ケーキってやつか。」
「そ、場所借りて良い?」
「もちろん、人も出すから手伝わせてくれ。」
「ありがとう、それじゃ材料出すね。」
 千春は日本から買って来た苺とチョコプレート、文字が書けるチョコペンを出して行く。

「サフィー、このチョコプレートにこのペンで文字書いてもらって良い?」
「文字ですか?文字ならモリーが上手ですよ。」
「え?」
「何ですかー!その、え?って!」
「いや、意外だなと思って。」
「素行は雑ですが、文字は凄く綺麗なんですよ。」
「サフィーひどい!」
「まぁ1つくらいは取り柄があっても良いよね。」
「チーハールーさーんー!」
「あははは冗談だよ、それじゃここに書いてね、練習する?」
「はい、何て書くんです?」
「フィンレーお誕生日おめでとう。」
「あー、ケーキにトッピングするんですね。」
「いや、それ以外に何があるのよ。」
 モリアンは試し書きとシートの上に文字を書く、もちろん千春はそれを見ても綺麗なのかどうかは分からない。

「サフィー、この苺のヘタとって洗ってもらえる?」
「はい、わかりました。」
「それじゃ生クリームはっと・・・うわぁ!」
 後ろを見ると屈強な料理人が指示を待っていた。

「チハル様生クリームですね!」
「あ、はい。」
「よし、お前とお前、生クリームだ。」
「はい!」
「あとはケーキでしたらスポンジですね!」
「はい。」
「よし!残りは玉子を分けてメレンゲ、お前は小麦粉を振るって準備だ!」
「はい!」
 テキパキと指示をする料理人。

「サフィー・・・私やる事ないなった。」
「苺一緒にやりますか?」
「やる。」
「皆チハルのお手伝いが出来て嬉しいんですよ、チハルのお陰で腕も味も上がりましたからね。」
「それは嬉しいけどねぇ、このケーキ私が作った感無いじゃん。」
「そんな事無いですよ、話し変わりますけど、オーレン公爵覚えてますか?」
「だれ?」
「お出かけした帰りに盗賊倒した時にご令嬢助けたでしょ?」
「あ!えーっとフランちゃん!」
「そのフランシス嬢からお茶会のお誘いが来てますよ。」
「え?初耳なんだけど。」
 コテンと頭を傾げる千春。

「手紙自体はまだ手元に来てませんから、今王宮で預かりになってます。」
「そうなんだ。」
「はい、チハルに届く招待状は全て一度王宮で確認されてからチハルに届きます。」
「一度も届いた事無いけどね。」
「ええ、全て弾かれてるんでしょう。」
「フランちゃんのは?」
「チハルがお茶会に行くって言った事を伝えてますから届きますよ。」
「へぇ、誰がチェックしてんだろ。」
「基本宰相様ですけど、最終は王妃殿下ですね。」
「お母様チェック入るのか、そりゃ届かないよね。」
 苺のヘタを黙々と取りながら2人は話す。

「それじゃお茶会用のケーキも作るかー。」
「苺足ります?」
「んー、違うケーキ作ろう、クリームはいっぱいあるし。」
 そう言うと千春は材料を揃えに行く。

「ルノアーさんクリームは多めにお願い、別のケーキ作るから。」
「了解、何を作るんです?」
「そだねー、今ある材料だと・・・ミルクレープ作るか。」
 千春は振った小麦粉、砂糖を混ぜ合わせ玉子を溶いてその中に入れ混ぜる。

「生クリーム少し貰うねー。」
「どうぞ!」
「あと牛乳ももらいまーす。」
「はい!お持ちします!」
 持ってきた牛乳と生クリームを混ぜ合わせ緩くなった生地をクルクルまぜる。

「これにメレンゲを入れるの?」
「いや、これは入れないよ、ラム酒とかあるかな。」
「持ってきますね。」
 サフィーナがお酒の貯蔵庫からラム酒を持ってくる。

「はいチハル。」
「ありがとー、これをすこーし入れて香り付けー。」
「お酒使うのね。」
「そ、あとは焼いていくだけ。」
 フライパンを軽く温めお玉で掬った生地を流す。

「こうやって焼いて行くの。」
「薄く無いかしら。」
「うん、そう言う生地だからね。」
 火が通れば裏返し、焦げない様に次々と焼いて行く。

「何枚焼くの?」
「さぁ?生地無くなるまで?」
「適当なのね。」
「まぁねw」
 サフィーナがそう言いながら見ている、20枚ほど焼いた生地は広げて冷やす。

「ほい、生地出来上がり。」
「これがケーキ?」
「まだこれからだよ、クリーム出来たかな。」
「貰って来ますね。」
 千春は平皿に一枚クレープを広げる。

「出来てたわよ、これで良い?」
「うん、ありがと、このクレープにクリームを塗りまーす、それからクレープを乗せてー、また塗りまーす。」
 真ん中にクリームを多めに塗りドーム型にしていき形を整える。

「はい!ミルクレープの出来上がり!」
「かんたんですね。」
「うん、生地を少し寝かせた方が良いけどね。」
 千春は真ん中にナイフを入れ半分に切る。

「切ったらこんな感じ。」
「わー!綺麗です!」
「でしょ、試食する?」
「します!」
 食い気味に返事をするモリアンに切って試食させる。

「モチモチしておいしーーー!!!痛ぁぁ!」
「静かに食べなさい。」
「はぁぁい。」
「チハルさん、それこっちでも作って良いかい?」
「あ、ルノアーさん、いいよ、作り方はー。」
「大丈夫だ全部見ていたからな。」
「あ、見てたのか、うん、私のストック分もお願いします。」
「了解した。」
 ルノアーは数人の料理に指示をしミルクレープも作り出す。

「夕食の準備大丈夫なのかな。」
「大丈夫そうですよ、仕込みも終わって後は焼いたりするだけみたいですから。」
 サフィーナが奥のテーブルを見ながら答える、ミルクレープを作っている間にスポンジケーキも焼き上がりスライスした状態で千春の前に置かれる。

「どうでしょうか。」
「良い焼き加減です・・・ほんっと上手になりましたよね。」
「ありがとう御座います!」
「それじゃ苺とクリームでトッピングしましょー!」
 クリームを1段目に塗り苺を隙間なく並べクリームを塗る2段目を乗せてまた苺を並べクリームを乗せ3段目を置く。

「よし、後は周りを塗ってー。」
 綺麗にヘラで整えると千春はアイテムボックスからクリームの絞り袋を出す。

「なんです?それ。」
「これにクリーム入れて搾り出すの、見ててね。」
 絞り袋にクリームを入れ、上を縛るとケーキの上で搾り出す。

「あ、可愛い!」
「凄いですね。」
「ここがね、こう星型になってるの。」
 絞り袋の先を見せ、次々と絞って飾り付けする。

「おっけ!後は苺をのせてー・・・モリアンさっきのプレート頂戴。」
「はい、どうぞ!」
「これを真ん中に乗せます。」
「おー!」
 出来上がった誕生日ケーキを見て皆が声を上げる。

「よし、これは明日用だから、ナイナイします。」
 千春は誕生日ケーキをアイテムボックスに入れた。




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