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盗賊いた!
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「お待たせしました!」
アリンハンドが千春達の泊まっている客間に入ってきた。
「アリンお疲れ様ー、引き継ぎ終わったの?」
「はい!後は現場の者に説明しながら進めるので取り敢えずは終了です。」
「オッケー、それじゃ荷物まとめて帰りますかぁ。」
「あ、私の荷物はヨリさんに収納してもらったので終わってます。」
アリンハンドがそう言うと頼子は千春にピースする。
「ハイハイよく出来た奥様だことで。」
「まだ奥様じゃ無いし!」
「あははは、忘れ物ないー?」
「大丈夫じゃろ、儂らの荷物もサフィーとチハルが全部入れたからの。」
「よし、ハース伯爵に挨拶して出発するか。」
エンハルトが皆を促し執事に言うとメイドが報告に行く、エントランスに行くとハース伯爵が来る。
「ハース伯爵世話になった。」
「またいつでもお気軽に御出でください、チハル王女殿下、美味しい食事ありがとうございました。」
深々とお辞儀をし礼を言うハース伯爵。
「こちらこそ厨房をお借りして申し訳ございませんでした、料理長に宜しくお伝えください。」
皆で表に出るとピッカピカに磨かれたゴンドラが有った。
「ピッカピカだね。」
「うん、来る時も綺麗だったけどさらに磨かれてんね。」
千春と頼子はゴンドラを見ながら呟く。
「ロイロよろしく。」
「任せろ。」
ロイロは、ドラゴンに戻りゴンドラの上に乗る。
「ではハース伯爵王都でまた会おう。」
「お気をつけて。」
エンハルトはそう言うとゴンドラに乗り込み皆も続いて乗り込む。
「ロイロおっけー!」
『行くぞー!』
大きく1度羽ばたき、グングンと高度を上げる、千春と頼子、ユラは窓から下を見ている。
「ひとがごみのよーだ?」
「ユラちゃん、ソレ人前で言っちゃダメだかんね?」
ユラの呟きに頼子が注意する、そしてロイロが加速して行く。
「あー楽しかったー、また来よう!」
「千春まだアワビとかサザエあんの?」
「めっちゃ有る、王都でも食べれるよ。」
「やったね!」
「チハルおねえちゃんトランプしよー!」
「良いよー。」
女の子6人はお菓子を賭けたババ抜きを始める、そして暫く経ってからロイロが声を掛けてくる。
『チハル、今下に居た馬車が襲われてたぞ。』
「え?!魔物?!」
『いや、盗賊じゃな、どうする?』
「助けれる?」
『造作もない、戻るぞ?』
「お願い!」
ロイロは緩やかに弧を描きUターンするとゆっくり高度を下げる。
「チハル、お前は良いと言うまでゴンドラから降りるなよ。」
心配そうに外を見ていた千春にエンハルトが言う。
「うん、ルプお願いして良い?」
「あぁ任せろ。」
「わっちも行っちゃろ。」
ルプとビェリーが楽しそうに言い放つ。
「ビェリー大丈夫なの?」
「心配せんでも良いっちゃヨリ、たまにはわっちも動きたいけんね。」
高度と速度を下げ、千春でも目視出来る距離でロイロがゴンドラをゆっくり降ろすとドアを開け、ルプとビェリーが飛び出る。
「ビェリー先に行くぞ。」
「おー直ぐ行くけん。」
ルプは颯爽と走り出し、ビェリーは巨大な白蛇に変化する、そして蛇とは思えない速度で盗賊に向かう。
「ビェリーでっか!ヨリ知ってたの?」
「知らなかった!大きくなれるって聞いてたけどルプ君よりデカいじゃん!」
そして空からロイロが、左右を走り回り咆哮を上げるルプ、正面から大蛇の尻尾で盗賊を薙ぎ倒すビェリー、遅れて聞こえる盗賊の悲鳴。
「おーおー、俺たちの出番ねぇな。」
「無い事もないでしょう、勝負ははなから付いてますので後処理ですね、どうしますか?」
「あの様子だと全員生け捕りだな、とりあえず襲われた馬車に怪我人がいないか確認しよう、チハル回復を頼んで大丈夫か?」
「うん、任せて!」
先頭をエンハルトとサフィーナ、殿はアリンハンドとモリアンで馬車へ歩いて行く、到着した時には盗賊は全員倒れていた。
「怪我人は居るか?」
護衛にエンハルトが問いかける。
「はい!ですが軽傷なので大丈夫です!助けて頂きありがとうございます!」
「そうか、中の者は?」
エンハルトが声を掛けると馬車から身なりの良い執事が降りてる。
「これは!エンハルト王子殿下!助けて頂き有難う御座います。」
深々と頭を下げる執事。
「オーレン卿の馬車だったのか、怪我は無いか?」
「はい、おかげさまで皆無事です。」
執事の後から可愛らしい女の子が降りてくる。
「エンハルト殿下お久しぶりで御座います、この度は危ない所を助けて頂き有難う御座います。」
カテーシーで挨拶をする女の子。
「あー、フランシス嬢が乗っていたんだな、王都に向かっていたのか?」
「はい、学園も休みに入りましたので一足先に王都へ向かう途中でした。」
そう言いながらフランシスは盗賊を見回すと上からロイロが声を掛ける。
『ハルトよ、此奴らタダの盗賊では無さそうじゃぞ?』
「ほぉ、言われてみれば盗賊にしては小綺麗だな。」
護衛が次々と盗賊を縛り上げて行く中、数人の盗賊に近寄る。
「起こせるか?」
「水でもかけましょう。」
エンハルトの問いにサフィーナが水魔法を頭からかける、固まって縛り上げた数人の盗賊は目を覚ましエンハルトの後ろにいるロイロ、ルプ、ビェリーを見ておびえる。
「おい、お前ら誰に頼まれてこの馬車を襲った?」
「知らねえな。」
「盗賊なら護衛付きの貴族馬車じゃ無く商人を襲うだろ、貴族を襲えばその場で切り捨てだぞ?」
「ふん!」
話す気も無い素振りの盗賊にビェリーが楽しそうに話す。
「わっちは此奴が美味しそうやと思うなぁ。」
「そうか?こっちの方が肉付きが良くて美味そうだぞ?」
『儂はどれでも良いぞ、誰から喰われたいんじゃ?』
エンハルトの後ろからグイッと顔を近付け盗賊達を見る。
「生きたままわっちの腹の中で溶けていきたいやつはどいつや?」
「生きたまま腑を喰われたい奴はどいつだ?俺も腹減ったぞ。」
『生きたまま手足を噛み砕いて喰ってやろう、なーにこんだけおるんじゃ数人喰っても誰か話すじゃろ。』
人外3人は舌舐めずりしながらそれぞれが別の盗賊に近づく。
「しょうがないな、それじゃ順番に喰わせてやるか、お前は知らないと言ったな、お前から喰わせるとしよう。」
「ちょ、待ってくれ!話す!」
「知らないんじゃ無かったのか?別にお前から聞かなくても良いんだが。」
そう言って横の盗賊に目をやる。
「話す!俺は話す!」
「俺も話すから助けてくれ!」
起きた盗賊は次々と黒幕や目的を話し出す。
「へぇ、フランシス、お前の街の犯罪ギルドが報復する為だとよ。」
「そうでしたか、領内で一斉摘発をしましたが、まだ残党が居たのですね。」
「どうする?」
何故かエンハルトは千春に問いかける。
「ほぇ?なんで私?」
「捕まえたのはロイロやルプ達だ、チハルとヨリに決定権が有る、もちろん貴族を襲ったんだから通常ならココで切り捨てるのが普通だ。」
「えぇぇ、温情ないの?」
「チハルとヨリ次第だな。」
泣きそうな盗賊達は千春も頼子の発言をビビリながら聞いている。
「ロイロ、ルプ、食べる?」
「いらんわ、人なんぞ食いたく無いわ。」
「俺も演技で言っただけだ、こんなもん食ったら腹壊すだろ。」
盗賊に聞こえない様にロイロとルプは千春に言う。
「ビェリー、食べたいの?」
「食べんよ、食べるなら千春やヨリの飯が良い。」
頼子もビェリーに聞くと同じ返事だ。
「ハルト、切り捨て無しなら何になるの?」
「犯罪奴隷一択だ、チハルの温情次第で死ぬまでか年期が着くかが変わる。」
「ヨリ、どうする?」
「えぇ、日本だと無期懲役で良い子にしてたら30年上限?」
「あぁーうーん、忘れたぁ、ハルトとりあえず切り捨ては無しでお願い。」
「わかった。」
エンハルトは護衛に指示し最寄の街に連れて行く様に言う。
「エンハルト殿下、この方々は?」
「チハル第一王女とユラ第二王女、俺の妹だ。」
「え!?」
「母上の遠縁で養女になったんだよ、あとチハルにはプロポーズして承諾してもらった。」
「えー!?初耳です!」
「まぁプロポーズしたのは昨日だからな。」
「そ、そうなんですね、おめでとう御座います。」
「有難う、さて、とりあえず解決と言いたい所だが、フランシスは1度街に戻るか?」
盗賊を見ながらエンハルトは確認する。
「そうですね、盗賊はお父様に引き渡さなければなりませんし。」
「私たちと一緒に王都行けば?」
「流石に狭いだろう、フランシスだけならまぁ乗れるだろうが、執事と侍女も居るだろう?」
「そうですわね、私も含めて4人馬車に乗っていますので、それに荷物も有りますから。」
「あー、荷物は気にしなくて良い、まぁ窮屈にはなるが乗れん事は無いか。」
千春はスマホの時計を見ながらあとどれくらいか計算する。
「うん、あと2時間も有れば王都に着くしいんじゃ無い?」
「え?王都まで4日は掛かりますよ?」
フランシスは不思議そうに千春に言う。
「ロイロ・・このドラゴンに運んでもらうから早いんだよ、ルプーここでお花摘みするからトイレ作ってー。」
「おー、そこの木の陰あたりで良いか?」
「うん、ユラおいでー。」
「千春!私も!」
「私も行きたいでーす!」
結局全員がお花摘みに行き、ロイロはゴンドラを取りに戻って帰ってくる。
「うわぁ!凄いです殿下!」
「初めて見たら凄いだろうな。」
「はい!空を飛んて行くなんて夢の様ですわ!」
興奮気味なフランシスは早速ゴンドラに乗り込む。
「椅子が無いですわ。」
「あぁ、邪魔だからな、椅子が有ると詰めて乗れないだろう。」
「床に座るんですの?」
「立ってても良いぞ?」
エンハルトは笑いながらフランシスに言う。
「いえ、座らせて頂きますわ。」
「ロイロ準備オッケー!行こうか!」
『了解じゃー!』
そして残り2時間、狭くなったゴンドラの中でトランプをする女性達の姿があった。
アリンハンドが千春達の泊まっている客間に入ってきた。
「アリンお疲れ様ー、引き継ぎ終わったの?」
「はい!後は現場の者に説明しながら進めるので取り敢えずは終了です。」
「オッケー、それじゃ荷物まとめて帰りますかぁ。」
「あ、私の荷物はヨリさんに収納してもらったので終わってます。」
アリンハンドがそう言うと頼子は千春にピースする。
「ハイハイよく出来た奥様だことで。」
「まだ奥様じゃ無いし!」
「あははは、忘れ物ないー?」
「大丈夫じゃろ、儂らの荷物もサフィーとチハルが全部入れたからの。」
「よし、ハース伯爵に挨拶して出発するか。」
エンハルトが皆を促し執事に言うとメイドが報告に行く、エントランスに行くとハース伯爵が来る。
「ハース伯爵世話になった。」
「またいつでもお気軽に御出でください、チハル王女殿下、美味しい食事ありがとうございました。」
深々とお辞儀をし礼を言うハース伯爵。
「こちらこそ厨房をお借りして申し訳ございませんでした、料理長に宜しくお伝えください。」
皆で表に出るとピッカピカに磨かれたゴンドラが有った。
「ピッカピカだね。」
「うん、来る時も綺麗だったけどさらに磨かれてんね。」
千春と頼子はゴンドラを見ながら呟く。
「ロイロよろしく。」
「任せろ。」
ロイロは、ドラゴンに戻りゴンドラの上に乗る。
「ではハース伯爵王都でまた会おう。」
「お気をつけて。」
エンハルトはそう言うとゴンドラに乗り込み皆も続いて乗り込む。
「ロイロおっけー!」
『行くぞー!』
大きく1度羽ばたき、グングンと高度を上げる、千春と頼子、ユラは窓から下を見ている。
「ひとがごみのよーだ?」
「ユラちゃん、ソレ人前で言っちゃダメだかんね?」
ユラの呟きに頼子が注意する、そしてロイロが加速して行く。
「あー楽しかったー、また来よう!」
「千春まだアワビとかサザエあんの?」
「めっちゃ有る、王都でも食べれるよ。」
「やったね!」
「チハルおねえちゃんトランプしよー!」
「良いよー。」
女の子6人はお菓子を賭けたババ抜きを始める、そして暫く経ってからロイロが声を掛けてくる。
『チハル、今下に居た馬車が襲われてたぞ。』
「え?!魔物?!」
『いや、盗賊じゃな、どうする?』
「助けれる?」
『造作もない、戻るぞ?』
「お願い!」
ロイロは緩やかに弧を描きUターンするとゆっくり高度を下げる。
「チハル、お前は良いと言うまでゴンドラから降りるなよ。」
心配そうに外を見ていた千春にエンハルトが言う。
「うん、ルプお願いして良い?」
「あぁ任せろ。」
「わっちも行っちゃろ。」
ルプとビェリーが楽しそうに言い放つ。
「ビェリー大丈夫なの?」
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そして空からロイロが、左右を走り回り咆哮を上げるルプ、正面から大蛇の尻尾で盗賊を薙ぎ倒すビェリー、遅れて聞こえる盗賊の悲鳴。
「おーおー、俺たちの出番ねぇな。」
「無い事もないでしょう、勝負ははなから付いてますので後処理ですね、どうしますか?」
「あの様子だと全員生け捕りだな、とりあえず襲われた馬車に怪我人がいないか確認しよう、チハル回復を頼んで大丈夫か?」
「うん、任せて!」
先頭をエンハルトとサフィーナ、殿はアリンハンドとモリアンで馬車へ歩いて行く、到着した時には盗賊は全員倒れていた。
「怪我人は居るか?」
護衛にエンハルトが問いかける。
「はい!ですが軽傷なので大丈夫です!助けて頂きありがとうございます!」
「そうか、中の者は?」
エンハルトが声を掛けると馬車から身なりの良い執事が降りてる。
「これは!エンハルト王子殿下!助けて頂き有難う御座います。」
深々と頭を下げる執事。
「オーレン卿の馬車だったのか、怪我は無いか?」
「はい、おかげさまで皆無事です。」
執事の後から可愛らしい女の子が降りてくる。
「エンハルト殿下お久しぶりで御座います、この度は危ない所を助けて頂き有難う御座います。」
カテーシーで挨拶をする女の子。
「あー、フランシス嬢が乗っていたんだな、王都に向かっていたのか?」
「はい、学園も休みに入りましたので一足先に王都へ向かう途中でした。」
そう言いながらフランシスは盗賊を見回すと上からロイロが声を掛ける。
『ハルトよ、此奴らタダの盗賊では無さそうじゃぞ?』
「ほぉ、言われてみれば盗賊にしては小綺麗だな。」
護衛が次々と盗賊を縛り上げて行く中、数人の盗賊に近寄る。
「起こせるか?」
「水でもかけましょう。」
エンハルトの問いにサフィーナが水魔法を頭からかける、固まって縛り上げた数人の盗賊は目を覚ましエンハルトの後ろにいるロイロ、ルプ、ビェリーを見ておびえる。
「おい、お前ら誰に頼まれてこの馬車を襲った?」
「知らねえな。」
「盗賊なら護衛付きの貴族馬車じゃ無く商人を襲うだろ、貴族を襲えばその場で切り捨てだぞ?」
「ふん!」
話す気も無い素振りの盗賊にビェリーが楽しそうに話す。
「わっちは此奴が美味しそうやと思うなぁ。」
「そうか?こっちの方が肉付きが良くて美味そうだぞ?」
『儂はどれでも良いぞ、誰から喰われたいんじゃ?』
エンハルトの後ろからグイッと顔を近付け盗賊達を見る。
「生きたままわっちの腹の中で溶けていきたいやつはどいつや?」
「生きたまま腑を喰われたい奴はどいつだ?俺も腹減ったぞ。」
『生きたまま手足を噛み砕いて喰ってやろう、なーにこんだけおるんじゃ数人喰っても誰か話すじゃろ。』
人外3人は舌舐めずりしながらそれぞれが別の盗賊に近づく。
「しょうがないな、それじゃ順番に喰わせてやるか、お前は知らないと言ったな、お前から喰わせるとしよう。」
「ちょ、待ってくれ!話す!」
「知らないんじゃ無かったのか?別にお前から聞かなくても良いんだが。」
そう言って横の盗賊に目をやる。
「話す!俺は話す!」
「俺も話すから助けてくれ!」
起きた盗賊は次々と黒幕や目的を話し出す。
「へぇ、フランシス、お前の街の犯罪ギルドが報復する為だとよ。」
「そうでしたか、領内で一斉摘発をしましたが、まだ残党が居たのですね。」
「どうする?」
何故かエンハルトは千春に問いかける。
「ほぇ?なんで私?」
「捕まえたのはロイロやルプ達だ、チハルとヨリに決定権が有る、もちろん貴族を襲ったんだから通常ならココで切り捨てるのが普通だ。」
「えぇぇ、温情ないの?」
「チハルとヨリ次第だな。」
泣きそうな盗賊達は千春も頼子の発言をビビリながら聞いている。
「ロイロ、ルプ、食べる?」
「いらんわ、人なんぞ食いたく無いわ。」
「俺も演技で言っただけだ、こんなもん食ったら腹壊すだろ。」
盗賊に聞こえない様にロイロとルプは千春に言う。
「ビェリー、食べたいの?」
「食べんよ、食べるなら千春やヨリの飯が良い。」
頼子もビェリーに聞くと同じ返事だ。
「ハルト、切り捨て無しなら何になるの?」
「犯罪奴隷一択だ、チハルの温情次第で死ぬまでか年期が着くかが変わる。」
「ヨリ、どうする?」
「えぇ、日本だと無期懲役で良い子にしてたら30年上限?」
「あぁーうーん、忘れたぁ、ハルトとりあえず切り捨ては無しでお願い。」
「わかった。」
エンハルトは護衛に指示し最寄の街に連れて行く様に言う。
「エンハルト殿下、この方々は?」
「チハル第一王女とユラ第二王女、俺の妹だ。」
「え!?」
「母上の遠縁で養女になったんだよ、あとチハルにはプロポーズして承諾してもらった。」
「えー!?初耳です!」
「まぁプロポーズしたのは昨日だからな。」
「そ、そうなんですね、おめでとう御座います。」
「有難う、さて、とりあえず解決と言いたい所だが、フランシスは1度街に戻るか?」
盗賊を見ながらエンハルトは確認する。
「そうですね、盗賊はお父様に引き渡さなければなりませんし。」
「私たちと一緒に王都行けば?」
「流石に狭いだろう、フランシスだけならまぁ乗れるだろうが、執事と侍女も居るだろう?」
「そうですわね、私も含めて4人馬車に乗っていますので、それに荷物も有りますから。」
「あー、荷物は気にしなくて良い、まぁ窮屈にはなるが乗れん事は無いか。」
千春はスマホの時計を見ながらあとどれくらいか計算する。
「うん、あと2時間も有れば王都に着くしいんじゃ無い?」
「え?王都まで4日は掛かりますよ?」
フランシスは不思議そうに千春に言う。
「ロイロ・・このドラゴンに運んでもらうから早いんだよ、ルプーここでお花摘みするからトイレ作ってー。」
「おー、そこの木の陰あたりで良いか?」
「うん、ユラおいでー。」
「千春!私も!」
「私も行きたいでーす!」
結局全員がお花摘みに行き、ロイロはゴンドラを取りに戻って帰ってくる。
「うわぁ!凄いです殿下!」
「初めて見たら凄いだろうな。」
「はい!空を飛んて行くなんて夢の様ですわ!」
興奮気味なフランシスは早速ゴンドラに乗り込む。
「椅子が無いですわ。」
「あぁ、邪魔だからな、椅子が有ると詰めて乗れないだろう。」
「床に座るんですの?」
「立ってても良いぞ?」
エンハルトは笑いながらフランシスに言う。
「いえ、座らせて頂きますわ。」
「ロイロ準備オッケー!行こうか!」
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