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プロポーズ!

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「・・・・はい。」
「良いのか?」
「うん、お父さんに聞いた時から考えてた、まだ来たばかりだけど、あっちの生活で何年も過ごした時間よりもこの1ヶ月は充実してた、何より皆んなが優しくて、愛おしくて、離れたくない、それに・・・ハルトの事好きだもん。」
 千春はまた星空を見ながら呟く。

「そうか、ありがとう、チハルはこの事は気にせずこの国を楽しんでくれ。」
「うん、今すぐってわけじゃないんでしょ?」
「勿論、急ぐ必要も無いからな、父上も現役だ、戴冠式が有るとしても何年も先の話になる。」
「それじゃ何で今プロポーズしたの?お父さんの話じゃハルトが待つって言う話だったのに。」
 不思議に思い千春は問いかける。

「あぁ、勿論そのつもりだった、ただ、変な輩に手を出させない様に影の者にも護衛させてたんだが、だがチハルの行動範囲が広がっただろ。」
「うん、ロイロ居るからね。」
「影の者から泣きが入った、護衛は無理だってな、アイツらが泣き入れるとかよっぽどだぞ?」
 呆れた様にエンハルトが千春に言うと千春も笑っていた。

「そっか、うん、守ってくれてありがとう。」
 2人は微笑み合う。

「何じゃ、接吻くらいせんのか?」
 バルコニーの扉によたれかかり片手に酒のグラスを持ったロイロが茶化してくる。

「なー!なに!?聞いてたの?!」
「ちょっとだけじゃ。」
「何処から聞いてたのよ。」
「ハルトがこっちの世界に来ないか?あたりかの?」
「最初からじゃん・・・」
「関係がハッキリしただけじゃ、今までと変わらん、そうじゃろ?」
「うん。」
「めでたい事には変わらん、宴の続きでもするかの。」
 そう言うと部屋に戻るロイロ、その後ろにはモリアンとサフィーナ、ユラまでも扉の縁から覗いていた。

「・・・そう言う事になりました!」
「まぁ今更ですけどね。」
「見てたら分かりますもんね。」
「うんうん!」
 見ていた3人は真面目な顔をしながら頷きあう。

「あれ?ヨリは?」
「ちゅーはい呑んで火照ったから涼みに散歩に行きましたー。」
「1人で?!」
「アリンさんが一緒ですから大丈夫ですよ、館の周りですし警備も居ますので。」
 3人はソファーへ戻ってまた飲み出す、ユラはジュースを美味しそうに飲みながらお菓子を食べている。

「千春良かったな。」
「ルプ、ありがとう。」
 寝転んでいるルプに抱きつきお礼を言う千春、しばらくして頼子とアリンハンドが散歩から帰ってきた。

「おかえり、ヨリ大丈夫?」
「うん。」
 そう言うがヨリは真っ赤な顔でニヤニヤしている。

「千春ちょっと良い?」
「うん、どしたの?」
 頼子は寝室のある部屋に千春の手を引き連れて行く。

「千春~。」
「大丈夫?ヨリ。」
「違うの、酔ってないの、半分も飲んで無いし!」
「どうしたの?」
「あのね、アリンさんからね。」
「うん。」
「プロポーズされたぁぁぁ!!」
「えぇぇぇぇ!!!」
 つい叫んでしまい寝室の扉が開きサフィーナが入って来る。

「どうしました?!」
「あ!大丈夫!大丈夫だから!」
「そうですか?」
「うん!」
 サフィーナは扉をそっと閉める。

「で?!マジで?」
「マジ、超マジ。」
「ヨリなんて言ったの?」
「・・・はいって言っちゃった。」
「マージーかー。」
「だってあんな事言われたら頭真っ白になって嬉しくて!はいって言うしか選択肢出てこなかったんだもん!どうしよう!」
 オロオロしてるが顔は笑っている頼子。

「アリンってお酒呑んでた?」
「一滴も飲んで無い。」
「マジかー。」
「勝手に決めたらまずいよね。」
「何て言われたの?」
「えっと・・、一目惚れしたって、こんな気持ちは初めてで・・・・うわぁぁぁ何て拷問!」
 頼子は思い出して悶える。

「もう私と一緒に結婚しちゃえばいいよ。」
「一緒に?」
「うん、私もさっきプロポーズされたし。」
「マジ?」
「大マジ。」
 2人は見つめ合い大笑いする。

「あははは!千春って王女で聖女で次期王妃なのね!」
「あはははは!ひぃー!2人してプロポーズとかぁ!めっちゃ笑える!」
 2人は暫く笑いがとまらなかった。

「はぁー笑った、千春そろそろ向こう戻ろうか。」
「そうだね、サフィーが心配してそうだし。」
 千春と頼子はリビングに戻るとエンハルトとアリンハンドは居なかった。

「あれ?2人は?」
「外に出られましたよ、ヨリの様子を見てアリンさんに話を聞きに行ったんでしょう、何があったんですか?」
「ヨリがアリンにプロポーズされた。」
「えー!やめた方が良いですよ!」
 モリアンが即座に反応する。

「え?モリーちゃん何で?!」
「だってバカですm痛ったぁぁい!」
 サフィーナが後ろから強めにチョップする。

「まぁ確かに魔法の事になるとちょっと残念な所は有りますけど、真面目で実力も信用も有る人ですよ、しかも本人が爵位持ちですから、貴族の令嬢からは人気有ります。」
「何その優良物件、良かったじゃんヨリ。」
「うん、まぁそうだけど、何でそんな人が私を選ぶの?話聞いたら選び放題じゃん。」
 頼子は心配そうにサフィーナへ言う。

「単純にアリンさんが貴族の令嬢を苦手としているからでしょう。」
「そうですよー、貴族令嬢の闇を知ると婚期遅れますからね。」
「何それ怖いんだけど。」
 千春もそれを聞いて引き気味だ。

「まぁチハルもヨリもこちら側で安心して生活が出来ると言う事ですよ、おめでたい話です。」
「ありがとうサフィー、でもウチはお父さん公認だから良いけど、ヨリん所はどうする?」
「あぁぁぁどうしようーちはるぅぅぅ!」
「・・・よし!保留!」
「えぇー。」
「帰ったらお父さんに相談しよう、大人の意見聞かないと、私たちみたいな子供じゃ良い案何て浮かぶわけないよ。」
「そ、そうだね、うん、わかった。」
 面倒な事は一旦保留し、貴族令嬢のサフィーナ、モリアンと話を聞く千春と頼子、そろそろ寝ようかと話を終わらせた頃エンハルトとアリンハンドが帰って来た。

「チハル、ヨリの事は聞いたか?」
「うん聞いたよ。」
「まぁそう言う事なんだが、アリンは本気らしいんでな、相談しようかと思ったんだがー・・・その雰囲気だと相談するまでも無いか?」
「うん、結論は出てるから今後の事は王都に帰ってからって話になった。」
「そうか、アリン、そう言う事らしいぞ。」
「はい、ご心配とご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。」
「アリンもちゃんと面倒見てあげてよ?」
「もちろん!幸せにします!」
「だってさ、ヨリ。」
「・・・・・」
 頼子は両手で顔を隠しているが耳が真っ赤だ。

「それじゃ私達は寝るよ、ハルト達は飲むの?飲んでなかったよね?」
「まぁ俺達は寝室の方で軽く飲んで寝るとするよ、お休みチハル。」
「はーいおやすみー、ユラー・・・寝ちゃってるじゃん。」
「ヨリさんおやすみなさい。」
「おやすみなさいアリンさん。」
 挨拶をし返す4人。

「モリーこう言う時何て言うんじゃったか?」
「あまーーーい!です。」
「あまーーーい!か。」
「2人うるさい!寝るよ!」
 千春に手を引かれ寝室のベッドに投げ込まれ皆眠りに就いた。






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