上 下
78 / 744

魔物討伐!

しおりを挟む
「おはよールプ。」
「おはよう千春。」
 千春が起き、ルプも目を覚ます。

「ロイロは?」
「ベッドの下見てみろ。」
 千春が覗き込むと床で寝ていた。

「ベッドが柔らかすぎたか。」
 笑いながらベッドから降りるとユラも目を覚ます。

「ありゃ起きちゃったか。」
「おはようございます~。」
「おはようユラちゃん。」
「おはようユラ。」
「ルプおはよー。」
 千春は隣の部屋に行くとサフィーナが片付けをしていた。

「おはようサフィー。」
「おはようございますチハル。」
「あの2人は?」
「こちらの部屋で寝てますよ。」
 そう言って寝室の反対にある扉を指す。

「昨日結構呑んだ?」
「えぇ、4人で全部呑みましたね。」
「マジか、大丈夫かなあの2人。」
 千春はそーっと2人の寝室を開けるとユーリンはベッドに座って起きていた。

「ユーリンおはよう。」
「チハルちゃんおはよーございまふわぁぁぁす。」
「大丈夫?」
「だーいじょうぶですよあれくらい。」
「シャルルは?」
「シャルルー起きなー。」
「あとごふん~。」
 ユーリンと千春は笑いながら応接間に戻る。

「サフィーちゃんおはようございます。」
「おはようございますユーリン、シャルルは?」
「まだ寝てるよ。」
「それじゃお茶でも淹れますのでゆっくりしましょう。」
 サフィーナは手際良く準備をする。

「ユーリンあれからアイテムボックス使った?」
「うん、何度か出し入れしたよ、なんか少しづつ入る量が増えてる感じがするね。」
「あー分かる、私も最初クローゼットくらいかなーから一部屋くらいの間隔になったもん。」
「私もそんな感じですね、ただ今は安定してこの部屋位の空間から増えなくなりました。」
「んじゃサフィーと私同じくらいだね、私も増えなくなったもん。」
 千春とサフィーナはそう言いながら空間の話をする。

「へぇ、私はそのテーブルが入るかなー?くらいの感じだね、昨日は椅子も入らないくらいだったけど。」
「使ってたら使う魔力も減るしもう少し広がると思うよ。」
「正直今の入る量でも十分凄いんだけどねー、馬車1台分入るなら、もう大店の良い所にお嫁に行けるわー。」
 3人が話をして居るとシャルルも起き、ユラを乗せたルプも出てくる。

「ルプーロイロは?」
「起こしといたぞ。」
「ありがとう。」
「ルプよ、アレは起こしたとは言わんぞ、踏んづけただけじゃろ。」
「起きただろ?」
 ロイロは出て来ると文句を言い、ルプは笑いながら床に寝そべる。

コンコンコン

「はーい、どうぞ。」
「おはよう御座います。」
 執事がノックをして入ってくる。

「朝食までもう少しお時間が有りますので飲み物でもと思いましたのですが。」
 執事はサフィーナを見ていい詰まる。

「有難う御座います、こちらは私がやりますので大丈夫ですよ。」
「有難う御座います、それではお食事が出来ましたらお持ち致しますので。」
 そう言って執事は部屋を出る。
 しばらくして朝食が運ばれて来る、パンも美味しくベーコンやソーセージも美味しかった。

「それじゃお出かけしましょっか。」
「パトリス達呼んできますね。」
 シャルルが部屋を出て走っていく、千春達が外に出ると馬の繋がれてない馬車があった。

「この馬車かな?」
「そうじゃろうな、コレなら全員乗れるじゃろ。」
「王族の馬車より小さいかな?」
「そうじゃな、運びやすそうじゃ。」
 シャルルがパトリス達を連れて来る。

「おはようございます王女殿下。」
「おはよーパトリスさん。」
「昨日のお酒ありがとうございました!すっごい美味しかったです!」
 ガーランが食い気味に声をかけて来る。

「いいえ~、今日はよろしくお願いしますね。」
「了解です!」
「とりあえず冒険者ギルドに行こう、依頼受けないとね。」
 千春は馬車をアイテムボックスに入れると狼の牙の歓声が上がる。

「ユーリンこれ覚えたって言ってたよな?」
 トリスがユーリンに聞く。

「うん、まだこんなのは入らないけど、チハルちゃんとサフィーちゃんの話じゃもう少し入る様になるみたいだから、もしかしたらこれくらい出来るようになるかもね。」
「すげぇな、討伐依頼受けて持って帰る手間が無くなるじゃ無いか。」
「そうだな、収入が激増するぞ。」
 トリスとガーランもニコニコしながら喜んでいる。
 そして冒険者ギルドに向かい、狼の牙に依頼を受けて貰うとギルマスに呼ばれた。

「おはようございます王女殿下、昨日の買取り分の金貨4枚と小金貨6枚です。」
「思ったより多いね。」
「どれも傷や損傷が少なく査定が上がっています、本日分もお渡しお願いしますね。」
「はーい、それじゃ狼の牙さんの依頼金渡しますね。」
 千春はアイテムボックスから巾着袋を出し金貨1枚出し5枚にして渡す。

「はい、確かに、依頼達成後お渡ししますね。」
 そして受け取りカウンターで手続きをし、残りのオークを出す。

「よし!ギルドは終わり!出かけるぞー!」
 一同は少し離れた広場に行くと千春が馬車を出す。

「はーい乗ってねー。」
 ロイロがドラゴン形態になり馬車の上に乗る。

『パトリスよ方向はどっちじゃ?』
「湖がこっちだから、あの1番高い山の右を沿う様に飛んでくれ。」
『わかった。』
 皆が乗り込みロイロが羽ばたく。

「うわぁぁ!」
「すげぇ!」
「きゃぁ!」
「・・・」
 狼の牙は悲鳴をあげる。

「パトリスさん場所の確認お願いね。」
「任せろ!」
 数分で目的地の上らしき所に到着する。

「ロイロどう?居る?」
『あぁ、ツガイと言ってたが2匹だけでは無さそうじゃな。』
「何匹も居るの?」
「フォレストタイガーは2匹だろ、他の気配は別の魔物だな。」
『降りるぞー。』
 ロイロは少し開けた所へ馬車を降ろす。

「ロイロお疲れ様。」
『なんて事ないわい。』
「それで、フォレストタイガーの他に何が居るの?」
『見てみんとわからんがの、フォレストタイガーより厄介そうなのが1匹、後はウルフか?』
「そうだな、ウルフは俺が威嚇すれば散るだろ。」
『それじゃ儂はタイガー2匹に行くぞ。』
 そう言うと馬車の周りに結界を張り飛んで行く。

「俺はその厄介そうな奴に行って来る。」
「ルプ大丈夫?」
「厄介と言っても誤差だ、タイガー2匹の方がめんどくせぇだろ。」
 ルプはそう言い吠える。

ウォォーーーン!!

「ウルフが来たらパトリス達が蹴散らしとけ。」
 そしてルプは森の中へ駆けていく。

「ルプの方は何が居るのかなぁ。」
「ここいらで出る魔物って言えばゴブリンかウルフくらいだからな、フォレストタイガーももっと奥に居てここまで来るのは稀の筈だ。」
 パトリスと話して居ると3匹のウルフが逃げるように飛び出してきた。

「お、ウルフ来た。」
「よーし俺の出番だな!」
 剣を抜き気合いを入れるガーラン。

「アイスアロー!」
 シャルルが魔法を打ち一撃でウルフを仕留める。
 残り2匹もトリスの弓とユーリンの投げたダガーが頭に刺さり絶命する。

「・・・おい、俺の出番ねぇじゃん。」
 恨めしそうに3人を見つめるガーラン。

「あとにひきくるよー。」
 ユラが耳をピクピク動かし森を見つめる。

「本当か?よっしゃぁ!」
 すると同じように2匹ルプから逃げてきたのか走って来る、そして千春達を見て立ち止まり唸る。

ストン

「え?ウルフが消えたんだが。」
 ポカンとウルフがいた所を見つめるガーラン。

「サフィーもいい所に開けたねぇ。」
「ユラが見てたから何処から来るかわかりましたもの。」
 2人は空を見上げながら手を翳し、かなり高い所からウルフを出す。

ギャン!!

着地出来ずに落ちるウルフはピクピクと痙攣して居る、そこにユーリンがナイフを投擲し動かなくなった。

「あんな使い方も出来るのね。」
「ユーリンも慣れたら出来るよ。」
「練習しよーっと。」
 パトリスが生暖かい目でガーランを見ながら肩を叩く。

「ユラちゃん!まだウルフ来るかい?!」
「んーん、もういなーい。」
 ガックリとしながら剣を鞘に戻すガーラン。

 しばらくしてロイロが足に2体のフォレストタイガーを掴んできた。

『帰ったぞー。』
 ドスンと地面に置き人型に戻るロイロ。

「お疲れ様ー、ルプと同じくらいデカいね。」
「デカいだけじゃ、ルプとやり合ってもかすり傷も与えれんじゃろ。」
 サフィーナはフォレストタイガーをアイテムボックスに入れて居るとルプも戻ってきた。

「フン!」
 咥えて戻ってきた魔物を千春達の前に放る。

「おーデカい熊!」
「ワイルドベアですね、珍しい。」
「コイツはまた大物だなぁ。」
 サフィーナが珍しいと言い、パトリスも大物だと感心していた。

「あれ?この熊手が4本ある。」
「ワイルドベアは4本ですよ。」
「何で?」
「何でと言われても。」
「あーチハルの世界じゃ6足の生き物はおらんじゃったか。」
「こっち居るの?」
「そりゃ居るわ、儂もそうじゃぞ。」
「え?ドラゴンになっても手二本じゃん。」
「翼があるじゃろ、アレは一対の手が進化したんじゃ。」
「へぇぇ!」
 感心しながらチハルはワイルドベアをアイテムボックスに入れる。

「よーし、邪魔な魔物は討伐出来たので、こっからが本番です!」
「チハルさん何するんです?」
 不思議そうにシャルルが問いかける。

「え、ここに来る当初の目的はコレでしょ。」
 そう言って松茸っぽい香味茸を見せる。

「あーそうだった!」
「忘れるなよ。」
「俺は覚えてた。」
「俺も~。」
「私も覚えてたー。」
 裏切るシャルル以外の狼の牙メンバー。

「で、何処にあるの?」
「さぁ?」
「儂も流石にわからんなぁ、魔物なら魔力で分かるが。」
「はーいチハルおねえちゃんユラわかる~!」
「本当に?!」
「うん、あっちからそのきのこのにおいするよ?」
 最初にウルフが飛び出してきた方を指差すユラ。

「ルプわかる?」
「あぁ、風が左前から流れてるからもう少し左の方だろうがな。」
「さっすが狼と狐!それじゃ松茸狩りしゅっぱーつ!」
 皆は千春に促され森に足を踏み入れた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

処理中です...