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町探索ついでに冒険者ギルド!

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「ココが冒険者ギルドです。」
「へぇ結構立派な建物だねー。」
 千春はドアを開けると数人の冒険者がテーブルに座り千春を見る。

「おぉ、可愛いお嬢ちゃん何しに来たんだい?」
「依頼しに来たんじゃねーか?」
「あんた達絡むのやめなさいよー。」
 千春はテンプレな声をかけられてニコニコだ。

「どうされましたか?」
 カウンターに座っている美人な受付お姉さんが声を掛けてくる。

「香味茸の取れる所で討伐依頼とか出てます?」
「はい、フォレストタイガーの番いが目撃されてますので出てますが。」
「それ受けますね。」
「え?!冒険者なのですか?!」
「あ、違いますけど、冒険者じゃ無いとダメか。」
「はい、冒険者で銀級以上の受付です。」
「狼の牙さん達銀だよね?」
「えぇ、でも私達は今護衛の依頼受けてますから。」
「それは達成で、新たに受けたら?」
「いやいや、今護衛中だよな!」
 パトリスも思わず突っ込む。

「チハル、どのみち今日は遅いですし明日にしませんか?」
「そだね、それじゃ明日受けるからパトリスさん明日よろしく!」
「えぇぇ。」
「良いじゃん道案内してくれたらロイロとルプが討伐するから、ロイロ倒せるよね?」
「余裕じゃな。」
 ルプは外でユラと待って居る。

「ちなみにどこら辺に出るの?」
 千春が聞くとパトリスが掲示板を見ながら答える。

「馬車は通れないな、徒歩で3時間、結構上の方だぞ、王女様にはキツすぎねぇかなー。」
「ロイロ大きめの馬車で全員乗って運べる?」
「王国の馬車なら詰め込めば乗れるじゃろ、あれくらいなら運べるが有るのか?」
「町長さん持ってないかな?」
「全員で行くなら辻馬車くらいで乗れますし何なら貸切して借りますか?」
「良いね、なかったらサフィーの案で行こう!」
 話は進み、明日の計画を組んでいく。

「あーそうだお姉さん!買取とか出来ます?」
「はい、出来ますよ?」
「オークなんだけど良い?」
「はい、どちらに有りますか?」
「魔法で収納してるんだけどココに出して良い?」
「そんな事出来るんですか?少々お待ちください、こちらに買取り受付が有りますので。」
 受付嬢は買取りカウンターが有る隣の部屋へ案内する。

「おぅヘンシアどうした?買取りか?」
「はい、こちらの方がオークの買取りという事です。」
「で?物は何処だい?」
「出すねー。」
 千春はテーブルにオークを1体だす。

「こりゃたまげた、魔法か?」
「はい、収納出来る魔法です。」
「ほぉー、状態もいいな、傷もほとんど無いな、魔法で一撃か。」
「まだいっぱい有るんですけど。」
「どんくらい有るんだ?」
「私は後18匹だね、サフィーは?」
「私は21匹ですね。」
「ちょっと待て!何処でそんなに狩ってきたんだ!」
「通りすがりに群れが居たので殲滅して来ました。」
「はぁー、凄いお嬢ちゃんだな。」
「いや、狩ったのはドラゴンとフェンリルですけどね。」
 買取りのおじさんと受付嬢のヘンシアは眼が点になる。

「出して良いです?」
「待ってくれ、保管出来るなら半分にしてくれ、明日残りを貰う。」
「了解ー、サフィーの分全部出そう。」
「わかりました。」
 サフィーナはそう言うとちょっと高い所にアイテムボックスを開き、ボトボトとオークを落としていく。

「こりゃすげぇ、長い事この仕事をしてるがこんなのは初めてだぞ。」
「私もです。」
「おいおい、こりゃオークジェネラルじゃねーか!コレも一撃で倒してるな!」
 オークを選別しながらおじさんは興奮しながら話す。

「それじゃ残りは明日で。」
「は、はい、買取りの登録をしますので登録証は・・・・・無いですよね?」
「商業ギルドのなら有りますけど。」
「それで良いです、お借りして良いですか?」
「はい、コレね。」
 アイテムボックスからギルド証を出し渡す。

「はい、それでは・・・チハル・・・アル・・・ジブラロール・・・・・王女殿下ぁぁぁぁ?!し、失礼致しました!此方へどうぞ!」
 受付嬢はすぐに隣の部屋に移動し応接室に案内する。

「パトリスさん、護衛の受付って王女の護衛って受けなかったの?」
「あぁ、町長からやんごとなき方の護衛って聞いた、てっきり高位貴族が狩りに行く護衛と俺たちも思ってたよ。」
 応接室に行くと身なりの良い女性が立っていた。

「ようこそ冒険者ギルドへ、ギルドマスターのテミールと申します、どうぞお入りください。」
「どうもー。」
 ぺこりと頭を下げ中に入ると綺麗な部屋で広々としていた。

「職員が失礼致しました、オークの買取りと明日依頼を受けるとの事で。」
「はい、オークは明日またお渡ししますね。」
「よろしくお願いします、代金の方は査定を急いで明日お渡し致しますので。」
「あー、えっと、明日狼の牙の方に依頼を掛けるので、その支払いに回してもらって良いです?」
「買取りの金額が大きいのでそれでも余りますが?」
「そうなの?サフィー。」
「さぁ?オークが幾らになるか私も知りませんね。」
 2人で頭を傾げて居るとシャルルが説明を入れる。

「オークは肉以外にも素材が取れますから、1匹で小金貨2~5枚、最低で見積もっても金貨4枚にはなります、オークジェネラルだけでも金貨1枚は行くと思いますね、私たち5人の1日護衛で多く見積もっても金貨1枚にならないですよ。」
「へぇ、それじゃ今回は美味しい依頼という事で、1人金貨1枚、合計金貨5枚で依頼しますね。」
「えぇぇぇ!」
 さらっと破格な依頼金額を出す千春に狼の牙は声を上げる。

「なんかジェネラルってのが入ってるし私の方も2匹そんなの混じってるから。」
 ギルマスも口が開きっぱなしだ

「俺の治療費要らないって言う意味がわかったわ。」
「王族の金銭感覚怖ぁ。」
「しかも討伐はしなくて良いんでしょ?あの依頼報酬も私たちがもらうんだよね?」
「「・・・・・」」
 パトリス、シャルル、ユーリンは呆れた様に話し、ガーラン、トリスの2人は言葉が出なかった、こういう時のストッパーであるサフィーナも良い所のお嬢様の為金銭感覚は少しズレて居た、一番金銭感覚が庶民のモリアンは残念ながら不在だった。

「それじゃ買い物の続きして帰ろうか。」
「そうですね、買い足したい物も有りますし。」
 冒険者ギルドを出て買い物にもどる、畜産も豊富なだけ有り、ベーコンやソーセージを大量に購入、普段着にと衣類や小物も買い漁る。

「王女殿下凄い買うなぁ。」
「あの魔法凄いね、私も使えないかしら?」
 パトリスとシャルルは千春とサフィーナのアイテムボックスを見ながら呟く。

「あ!」
「どうした?」
 ユーリンが急に声を上げパトリスが驚く。

「私たちまだ宿取ってないじゃん!」
「忘れてた!トリス!何処でも良いから確保して来てくれ!」
「わかった!」
「町長の家泊まれないの?」
「え?」
「広そうだから客間ありそうじゃ無い?もう日も暮れそうだけど。」
 空は既にオレンジ色に染まって居るのを見ながら千春が提案する。

「執事さん泊まれない?」
「大丈夫で御座います、王女殿下のご依頼と有れば直ぐにでも準備させますので。」
「良いんですか?」
「良いんじゃ無い?どうせ明日も護衛するんだし効率良いじゃん?」
 執事の了解も得てシャルルは申し訳無さそうに言うが、千春はケラケラ笑いながら話を進める。

「それじゃお言葉に甘えさせていただきます。」
 パトリスが執事と千春にお礼を言い町長の家に辿り着く。

「お帰りなさいませ。」
 町長とメイドが玄関で迎えてくれる。

「ただいま戻りました、とても良い町ですね。」
「そう言っていただけると嬉しく思います。」
 嬉しそうに町長はお辞儀をする。

「明日またお出かけするんで狼の牙さん達にそのまま依頼を掛けました、それで一緒に泊まれないかと思いましたて。」
「はい、大丈夫で御座います、直ぐに準備させますので。」
「あーそうだ、女性陣は私達と一緒にどう?」
「えー!王女殿下とですか!?」
「うん、色々冒険談聞きたいし。」
「そう言う事でしたら・・・」
「それでは男性の3名は別にお部屋を準備させて頂きます、王女殿下の部屋にベッドをご準備するのでそれまで応接間の方でお寛ぎ下さい。」
「有難う御座います。」
 千春達は応接間の方へ案内されメイドがお茶を入れる。

「サフィーなにそわそわしてんの?」
「私がお茶を準備したいなーと・・・。」
「たまにはゆっくりしたら良いじゃろ、サフィーも貴族の娘じゃろ?」
「えぇ、そうなんですけれど、チハルに入れるお茶は私が入れたいなと思いまして。」
「帰ってから幾らでも入れたら良いんじゃ。」
 笑いながらロイロがお茶を飲む。

「・・・うむ、まぁ、サフィーのお茶が良いのぅ。」
 メイドに聞こえない様にボソッと呟く。

「あ!そうだ!厨房借りれないかな。」
「何か作るんです?」
「うん、アイトネにお菓子作ってあげようと思ってたの忘れてココに来たじゃん。」
「そう言えば昼食の時言ってましたね。」
「そそ、メイドさん、ちょっと厨房借りれるか聞いてもらっていいですか?」
「少々お待ちください。」
 メイドは直ぐに部屋を出て行った。

「何を作るんじゃ?」
「ちょっとねー、プリン作ろうかなって。」
「プリンですか?」
「うん、ホイップクリームはルノアーさんから作ってもらったヤツがアイテムボックスに有るからさ、厨房借りれないかなー。」
 少しして執事が部屋に入って来る。

「王女殿下、厨房を使われると言う事でしたが、大丈夫で御座います。」
「ありがと!それじゃちょっと行って来る。」
「私も行きますね。」
「みんなは寛いでてねー。」
「はーい!」
「了解じゃ。」
「俺の分も作ってくれよー。」
 ユラ、ロイロ、ルプは返事をして寛いでいる、狼の牙メンバーは何故王女殿下が料理を?と言う顔で見送った。

「こちらで御座います。」
「ありがとうー、それじゃまずはプリンを入れるカップを~。」
 食器が有る所で入れ物を物色する。

「これイイね、執事さん町長さんって何人家族?」
「4人で御座います。」
「んじゃ私達5人と狼の牙さんが5人、アイトネが二つは食べるからー。」
 千春は玉子と牛乳、砂糖を準備し玉子を混ぜて行く、そして玉子を濾して牛乳と混ぜ合わせ砂糖を入れまた混ぜる。

「ほい、あとはカップにいれて~♪」
「これで終わりですか?」
「うん、基本の作り方だからね、王都に帰ったら違うバージョンも作ってみよう。」
 そう言って鍋を幾つか準備し水を張り並べていく。

「あとは20分くらい弱火で沸騰させたら取り出して冷やすだけ。」
「簡単ですね。」
「うん、これ牛乳をダシに変えると茶碗蒸しって言う別の料理になるの、明日取りに行く茸入れて茶碗蒸しにしたら美味しいよぉ~♪」
「へぇ~楽しみです。」
 ニッコニコの千春とサフィーはプリンが出来るのを待つ、そしていい時間になり取り出した。

「あとは冷蔵庫で冷やすんだけど。」
「はい、私が冷やします。」
「デスヨネーw」
 そう言うと取り出したプリンに魔法を掛ける、氷魔法でゆっくりと冷やしていく。

「出来ましたよチハル。」
「ありがと!よし、それじゃご飯前だけどこれくらいなら良いよね、持って行こう。」
 千春は町長家族の分は執事に任せ、自分達の分をアイテムボックスに入れる、そして応接間へ戻った。

「ただいまー。」
「おかえりなさい!チハルおねえちゃん!」
「チハルもう出来たのか?早いのう。」
「うん、冷やす時間をサフィーが短縮してくれたからねー。」
 話をしていると部屋の準備が出来たとメイドが知らせに来る。

「んじゃあっちで食べるかー、あ、男性陣は渡しておくね。」
 3つプリンを出しスプーンと一緒に渡す。

「それじゃ女性陣&ルプは部屋行くよー。」
 皆そろって客間の方へ移動する、男3人はプリンと千春を見ながらあっけにとられたままだった。

 







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