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リヴァイアサンさん!

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「サフィー、今どれくらい来たー?」
 サフィーナに聞くとサフィーナは山と森を見ながら8割程進んだと答える。

「早いなー、ユラちゃんトイレ無い?」
「ちょっといきたいかも。」
「もう少ししたら湖が見えて来ると思います、そこで休憩しますか?」
「ロイロー湖の所で休憩ー!」
『了解じゃー、もう見えとるぞー。』
「え・・・・どこ?」
「私も見えませんね。」
「んー?あぁ、湖面が見えるな。」
 ルプとロイロには見えるらしい、そして数分で湖に到着する。

『降りるぞー。』
「ほーい。」
 ゆっくり羽ばたきながら馬車を降ろすとロイロが地上に降り人型に戻る。

「ロイロお疲れ様、大丈夫?」
「大丈夫じゃ、飛ぼうと思えば2日飛びっぱなしも出来るからの。」
 ハッハッハと笑いながら千春から飲み物を受け取る。

「どこでトイレしようか。」
「誰も見てないでしょう、何処でも良いんじゃ無いですか?」
「・・・・・私もしたい。」
「簡易トイレでも作ってやろうか?」
 ルプが伸びをしながら千春に声を掛ける。

「ルプもソファーお疲れ様。」
「あぁ、動かないってのも身体が固まるなぁ。」
 そう言うと湖面の近くに行き聞き慣れない呪文を唱える。

ボコッ

「うわ、穴空いた。」
「ちょっと待ってろ。」
 ルプがまた呪文を唱えると囲う様に土壁が盛り上がる。

「おー!穴ボコトイレだ!」
「まぁ簡易だからな、終わったら崩して穴埋めるからそこで用を足せばいい。」
「ありがと!ユラちゃんおいで。」
 ユラが終わり、千春も用を足す、サフィーナもついでにと終わらせルプがトイレを崩した。

「はぁー、あとどれくらい?」
「そうじゃなぁ、この湖の向こうじゃったか?」
「はい、ここからだと馬車で半日掛からないはずです。」
「それじゃぁ後20分も有れば着くのぅ。」
「予定より早いね、途中道草したのに。」
「この馬車が運びやすいからの、もう少し改造してもらうか?まだ早く飛べるぞ?」
「いいね、帰ったら相談してみよう。」
 サフィーナがテーブルを出し、千春とサフィーナ、ロイロは座って休憩、ルプとユラは体をほぐす様に水際で走り回っている。

「仲良いよねあの2人。」
「狼と狐か、種族的に近いのかのー。」
「ユラは初めてルプを見た時から抱きついてましたものね。」
 3人はルプとユラを見て微笑む。

「ん?」
 不意にロイロが湖面を見つめる、ほぼ同時にルプがユラを顔で掬い上げ背中に乗せて戻って来る。

「どうしたの?」
「この湖の主かの?」
 そう言うとロイロはスタスタと歩き出し水際まで移動する、すると湖面が揺れ盛り上がりサーペントよりも大きな魔物が現れた。

「ほう?おぬしはこの湖の主か?」
『如何にも、そう言うおぬしはドラゴンか?』
 ロイロは腰に手を当て話しかける、湖の主はロイロに問いかけた。

「あぁそうじゃ、ちょいと休憩しとるだけじゃ、湖を荒らしに来た訳じゃ無いから心配せずとも良いぞ。」
「何あれ?サーペントじゃ無いよね?」
「俺はこっちの魔物に詳しく無いからな、サフィーは知ってんじゃねーか?」
「初めて見ますが、水竜と言われるドラゴンの仲間だと思います。」
 ユラはルプの上に乗って水竜を見ている、ポカーンと口を開けたままだが。

『ふむ、久しく感じておらぬ同族の気配がしたのでな、そう言う事ならゆっくりしていくが良い。』
「あぁそうさせて貰うとするぞ、湖の向こうの町に用事があって休憩しとるだけじゃが。」
『ほう?あの町か、あの町は良いぞ、儂を神と祀るのは頂けんが儂を見ても怖がらん、町に行くなら連れて行ってやろうか?』
「おぉ、それは良いの、空から行くと驚かせるから離れた所から歩く予定じゃった、チハル!コヤツが町まで乗せてくれるそうじゃ!」
 ロイロが巨大化したよりも更に大きいサイズの水竜を見ていた千春達は唖然としていた。

「あー、うん、助かる。」
「水竜に乗って行って町の人驚きませんか?」
「俺でも余裕で乗れそうだな。」
「おっきいー!かっこいー!」
 そう言う事ならと千春は馬車をアイテムボックスに入れサフィーナはテーブルを片付ける。

「よし、それじゃぁ乗ってみますか!水竜さんよろしく!」
『おー、任せるが良い。』
 皆が水竜に乗り最後にロイロが乗る、ゆっくりと水面を滑る様に動き出しどんどん加速していく。

「おー!結構早い!そして揺れない!」
『そうか?濡れても良いならもっと早く出来るぞ?』
「どれくらいで町に着くの?」
『1時間も掛からんぞ。』
「時速2~30kmってとこか、このペースでお願いしまーす!」
『わかった。』
 蛇の様な体で後方だけを器用にうねらせ進んでいく水竜、水の上を進むのが初めてなのかユラは楽しそうにしている。

「水竜ってあっちだとリヴァイアサンとかになるのかな?」
「さぁ?そっち方面は俺にはわからんな、龍神自体が稀な存在たがらな。」
『ほう?娘、その名を知っとるのか。』
「水竜さんリヴァイアサンの知り合い?」
『いや、知り合いも何も儂がリヴァイアサンと呼ばれていた事がある。』
「本人か!」
『あぁ、遠い昔だがな、ちょいと大喧嘩して怪我の治療でこの湖で治しておったら居心地よくての、クラーケンやらサメ共もおらんしな!』
 大笑いしながらもどんどん進み水面の向こうに町が見えて来た。

「わぁ!思った以上に大きな町だ!めっちゃ田舎想像してたわ。」
「ええ、ここは湖の水産業、山や森の林業、畜産も豊富なんですよ。」
「へぇ!良いね良いね!どうせもう少ししたら日も暮れるし今日は宿取ったら町の探索しよう!」
「俺が泊まれる宿あんのか?」
 ルプが不満そうに千春へ聞く。

「大丈夫!そこは有り余る金の力でごり押しする!ルプだけ外とか私が許さない。」
「ユラもゆるさないー!」
 ルプはありがとうと言わんばかりにユラに頬擦りする。

『さぁもう直ぐ着くぞ。』
 水竜が速度を下げ桟橋に近づくと数人が港に立っていた。

「とうちゃーく!」
 千春とユラが桟橋に飛び降り、サフゆィーナもっくり降りる、ルプが降りると桟橋が揺れたがしっかりした作りで大丈夫だった。

「水竜よありがとう。」
 ロイロが水竜に御礼を言う。

『何を言う、儂も久しぶりに楽しかったぞ、湖で用事が有れば声をかけてくれ。』
 水竜は桟橋からゆっくり反転し尾鰭をプルプル振りながら湖の底に消えて行った。

「はー!楽しかった!」
「またのせてくれるかなーすいりゅーさん。」
「楽しかったって言ってましたから言えば乗せてくれますよ。」
 千春とユラも満足げに言う。

「あの!すみません!あなた達は水神様とどう言ったご関係でしょうか!?」
 桟橋を降りると待ち構えていた男に声を掛けられる。

「えーっとどちら様?」
「この町の町長、アレーン・エダガーと申します。」
「あ、どうも、千春です。」
「チハル、フルネームで。」
 サフィーナからコソッと声を掛けられる

「チハル・アル・ジブラロールと申します。」
「!?」
「失礼しますね、この方は、チハル・アル・ジブラロール第一王女殿下で御座います、そしてこちらが、ユラ・アル・ジブラロール第二王女殿下で御座います。」
 改めてサフィーナから紹介される。

「そしてこちらが女神様の眷属である聖獣、フェンリル様で第一王女殿下をお守りしています、無礼のない様に。」
 そう言うと町長が平伏す。

「は、はい!ご紹介有難う御座います!そ、それで水神様とのご関係は?!」
「ロイロさん姿戻せます?」
「構わんのか?」
「えぇ。」
 ロイロがドラゴンに変わると騒めきが広がる。

「女神様のお知り合いで、第一王女殿下を同じく守る聖獣のドラゴンと水神様が同族だそうです、それで対岸からお送りしていただきましたの。」
 サフィーナの説明で町長が今にも倒れそうだ。

「そ、それでこの町にどう言ったご用件で!」
「観光と少し探し物にお伺いしました、王女殿下も旅で疲れておりますので休める所を確保したいのですけれどもー。」
 サフィーナはチラリと町長を見ると直ぐに手配します!と、連れて来た者に連絡をさせる。

 千春、ユラ、サフィーナを馬車に乗せる、ロイロはパタパタと空を飛び、ルプは馬車と同じ速度で歩いてくる、そして程なく町の中でもかなり立派な屋敷に到着する。

「うわー豪華な屋敷!」
「町長の自宅でしょうね。」
「ココに泊んの?」
「えぇ、この町1番の宿ですよ?」
 クスクス笑うサフィーナ。

「サフィー、地位とか全部言っちゃったけど大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ、そもそもロイロとルプがいる時点で一国の軍隊が来ても負けませんからね、不埒な輩は私が排除しますし、その前にユラが気付きます。」
「そっか…………ん?その説明だと私だけ無能なイメージなんだけど気のせいかな?」
「気のせいじゃ。」
「気のせいだろ?」
「気のせいですよ。」
「そっか、気のせいだってユラちゃん。」
「きのせーきのせー!」
 千春はちょっと不満げだが納得し屋敷に案内される。

「ココが客間で御座います、メイドがおりますので何なりとお申し付けください!」
 町長自ら説明をして頭を下げている。

「有難う御座います、とりあえず町の観光なんかもしてみたいので、一息ついたら出掛けても良いですか?」
「はい!案内する者と護衛を準備させて頂きますのデ!それまでお寛ぎ下さいませデス!」
 町長は直ぐに退出し走って行った。

「なーんか申し訳ないね。」
「まぁちょっと可哀想ですけど、ルプが泊まれる宿で安全を考えると最善だと思いましたから。」
「サフィーこわぁー。」
「千春!ベッドがデカいぞ!俺でも寝れる!」
「ふわふわだー!」
「ルプー、ユラー、ベッドに乗るのはお風呂に入ってからにしなさーい。」
 余り汚れては居ないが、一日中外に居たのにベッドに乗るのは千春の意に反するので注意する。

「それじゃゆっくりさせて頂きましょうー。」
「ゆっくりー!」
 ユラが広い室内を走り回る。

「ゆっくりの意味わかってないよねユラ。」
「獣人は動けない方がストレス溜まるそうですからね、それにまだ子供ですから。」
 ソファーでだらけるロイロと千春、お茶を飲むサフィーナ、走り回るユラ、それを見守るルプ、皆それぞれのゆっくりを堪能した。



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